ふうり

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朝の陽気が眠気を飛ばしたある日
だるそうに体を伸ばし隣を見やると、昨日泊まって行った彼がいた。
筋肉質の体に、赤紫色の短い髪。
彼の手をそっと握り、これが夢じゃないんだと改めて認識する。
起こさないようにベットから降り、身支度を済ませる。
顔を洗って、髪を溶かして、お手洗いに行って、着替えて冷蔵庫を開ける。
昨日の残り物を取り出し、レンジで温める。

ガチャリと扉が開き、彼が顔を出す。
レンジの音で起こしちゃったかな
「おはようございます桜さん」
「おはようございます よく寝れましたか?」
「はい、おかげさまで。桜さんがいなかったら、今頃俺は野宿でしたよ。」
「この辺りにカプセルホテルなんて、ないですもんね。
お役に立てて何よりです」
若干しどろもどろになりながらも、日常会話を行う。
大丈夫私?ちゃんと喋れてる?顔に出てないよね!?

「このお礼は絶対…」
「あ、あの!お礼なんですけど!」
「ん、はい。何がいいですか?」
手を後ろで強く握り、顔が熱くなる。
それでも今しかないと直感がそう言っている
私の直感は大体当たるんだ
「よかったら、川沿いの桜を見に行きませんか。
私一人じゃ、その………寂しくて!」
桜のような綺麗なピンク色の恋が、ここで始まったような気がした。

お題『春爛漫』×『愛慕』

3/28/2025, 9:40:29 AM