かたいなか

Open App
4/12/2026, 6:56:53 AM

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某本物の稲荷狐が住まう稲荷神社に、まだまだ小ちゃなガキんちょの末っ子子狐がおりまして、
前回投稿分でコンコン子狐は、近所のアパートの雪国出身者から、美味しい春の山菜を貰ったところ。

特に苦味やエグみがほとんど無いタケノコは、コリコリしていてとっても大好き!
油揚げと一緒に炒めても美味しいし、
白米と一緒に炊いても美味しいし、
なにより、お肉とも相性が良いのです。

ところでそんな万能食材、こりこりタケノコを前回投稿分で、コンコン子狐、貰いまして、
もう尻尾ブンブンのビタンビタン、大喜びです。
さっそく優しくて大好きな、人間のお姉ちゃんのところへタケノコ持って、
とってって、ちってって、向かうのです。

近所のアパートの雪国出身者さんと一緒に!

「なぜ私まで?」
「いっしょがいい」
「だから、なぜ、私も一緒が良いんだ?」
「だって、いっしょがいい」

「んん……??」

子狐の自信満々の返答に、首を傾ける雪国出身者。
言葉にできないモヤモヤ感です。
雪の人は名前を、藤森と言いました。

さて。
稲荷狐の秘術でもって、どこ●もドアならぬどこでも黒穴を抜けまして、
コンコン子狐は雪国さん・藤森を引っ連れて、人間のお嬢さんのところへ向かいます。
お嬢さんは、子狐が稲荷狐の修行でお世話になっている、公的機関のお嬢さん。
ビジネスネームを、ドワーフホトといいます。

コンコン子狐はドワーフホトのお嬢さんが、とっても大好き。だって、すごく優しいのです。
そしてコンコン子狐は、藤森のことも、とっても大好きでした。だって藤森も、すごく優しいのです。
子狐は藤森と、ドワーフホトと、それからドワーフホトの親友と一緒に、みんなで、美味しいタケノコ料理を堪能したかったのです
が。

『お仕事が入っちゃって、留守だよぉー』

ドワーフホトの職場に子狐が到着しますと、
お嬢さんが居るであろう収蔵庫にはロックが為されて、入ることができません!
大事な用事ができてしまって、お嬢さんはあと20分ほど、帰ってこないとのことでした。

『20分、中で待ってるなら、カギ開けるよぉ〜』

さぁさぁ、どうぞ。
お嬢さんの部屋の番人、ドワーフホトによく似せてつくられた電子生命が指パッチン。
収蔵庫のロックを開けて、子狐と藤森をすんなりと、招き入れました。

「入れてしまって、良いのか?」
『いいのぉ〜』
「ホトさんに、事前許可とか、そういうのは」
『いいのぉ〜』

「んん……」

電子生命お嬢さんの自信満々な返答に、またも首を傾ける雪国出身者・藤森。
言葉にできない不思議です。
そんな藤森を置いてけぼりに、子狐と電子門番のおはなしは、勝手に進みます。

「おねーちゃんに、タケノコりょーり、つくる!」
『タケノコ〜!春だねー』
「こっそり作れば、おねーちゃん、びっくり!」
『ボク、レシピデータベース、探せるよぉ。
タケノコ料理、見てみるぅ?』
「れしぴ。れしぴ」

あれー。なんだろこの古いデータ。
なんだそれ。なんだそれ。
コンコン子狐は大きいモニターの中の、電子のお嬢さんと一緒に、その日のタケノコ料理を考えている最中の様子。
ただただ、子狐に勝手に連れてこられた藤森だけが、お題どおり、言葉にできないモニョモニョを数秒抱えておったのでした。

4/11/2026, 7:45:47 AM

春爛漫どころか、最近は初夏を疑う20℃以上の日もチラホラの昨今です。
最近最近の都内某所、某アパートの一室には、そんな4月の「暑さ」から避難してきた部屋の主が、
大きい段ボール箱から小さな段ボール箱に、故郷の昨日の朝刊に包まれたのを移してうつして、
隣の稲荷子狐を時々制しながら……

「隣の稲荷子狐を時々制しながら」?

「こぎつね、子狐。分かった。分かったから」
大きい段ボールによじ登って、中にダイブしたがっている稲荷子狐です。
近所の神社に住まう、稲荷狐の一家の末っ子です。
最近は「ここ」ではないどこか、別の世界の世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織に、
いっちょまえの稲荷狐となるべく、完全週休2日で修行に行ってるとのこと。
「ちゃんとお前の好きなものを、好きなように詰めてやるから、お行儀よく待ちなさい」

部屋の主が小箱に移していたのは、主の故郷から送られてきた、春の味覚。
フキノトウにタラの芽、山椒の新芽にゼンマイモドキ、行者にんにく等々、
まさにお題どおり、「春爛漫」!
雪国春を告げる、山菜です。
細いタケノコ、いわゆる姫竹も少し採れたそうで、
子狐はこれが、苦くないのでとっても大好き!

よこせ!よこせ!キツネたけのこ持ってく!
かしゃかしゃカチャカチャカチャ!
コンコン稲荷子狐は、お目々をキラキラさせて、段ボールに乱れ引っ掻きを食らわせておりました。

修行先に持ってゆきたいのです。
修行先で子狐によくしてくれる、管理局のお姉ちゃんに、美味しいタケノコを贈りたいのです。
あわよくば、一緒に食べたいのです。

はやくはやく、タケノコ、よこせ!
「コゴミの天ぷらも、美味いぞ」
にがいの、いらない!タケノコよこせ!

「天ぷらにすれば、少しは苦味も減る」
ほんと?
「一応、入れておこう。山菜のエグみも、ひとつの春の味だから」
えぐみ、にがい、やだ。やっぱいらない。
「あのなぁ……」

春爛漫のクール便は、営業所持ち込みにより最短で発送されたらしく、鮮度そのままで、良い香り。
コンコン子狐は狐なので、美味しいタケノコの匂いを知っています。
特に姫竹は東京をはじめ、関東ではほとんど見ませんので、ここの部屋の主から貰っておるのです。

去年も春の姫竹を、5月か6月に貰いました。
それはそれはコリコリして、良いタケノコでした。
コンコン子狐は頭がよくて、美味しいものを覚えておるので、今年もタケノコを貰うのでした。

きっと姫竹を管理局の、いつも子狐によくしてくれるお姉ちゃんにプレゼントすれば、
お姉ちゃんは大喜びで、子狐を抱きしめて、撫でてくれるに違いないのです。

「そういえば、子狐」
かしゃかしゃ、カチャカチャカチャ!
既に段ボールを引っ掻く音が楽しい域に達した子狐に、部屋の主がポンと両手を叩きました。
「おまえ、ジャーキーが好きだったな」

実家に頼んで、送ってもらったんだ。
部屋の主が取り出したのは、犬用のお花見セット。
和牛とブランド鶏と、ブランド豚のジャーキーの、豪華な詰め合わせセットです。
「これも入れておくから、花見、楽しんでおいで」

じゃーきー!じゃーきー!
コンコン子狐は大興奮!
尻尾をぶんぶん高速回転して、室内を走り回り、
春爛漫のジャーキーへの歓喜を体いっぱいで表現して、ベロベロべろべろ。
部屋の主の胸に飛び込んで、ほっぺを舐めに舐め倒しましたとさ。

4/10/2026, 4:15:42 AM

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界多様性機構なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
この多様性機構がこれまた万年財政難!

滅びそうな世界の住人を、まだ若くて発展途上な世界に密航させたり、
発展途上な世界の文明に、勝手に先進世界の技術を導入して過剰に発展させたり、
そんな高コストな「慈善」行為ばっかりなので、
親組織の多様性機構も、
その支援機関、出先機関たる「領事館」も、
お金をいくら持ってても、足りないのでした。

そもそもその所持金自体がバチクソ少ないという。

そんな、いっつもいっつも赤字とギリ黒字とトントンの間を行ったり来たりしておる機構です。
機構には、推しのカタキばりに敵視しておる公的機関がありまして、
それは世界線管理局と言いました。

彼等は密航を取り締まったり、
別世界への過剰・違法な技術導入を阻止したり、
あるいは別世界から別世界への合法的な航路を敷設したり整備したり、封鎖したり、
多様性機構よりも多くの公的事業を、多様性機構より広く、深く、法律にのっとって為しています。

実はこの管理局の経理部長が
ドチャクソに、バチクソに、どえらいほどに、
資金を増やすことにかけては神同然でして。

稼いだお金が次々消えていく機構と、
稼いだお金を次々増やしていく管理局。
管理局に嫉妬し、管理局を憎悪する機構と、
機構のことは違法団体としか思ってない管理局。
そんな、ふたつの組織がありますので、
機構が管理局に忍び込んで、資金を盗もうとするのは、まぁまぁ、必然なのでした。

ということでここからお題回収開始。

誰よりも、ずっと財政難の多様性機構が、
誰よりも、ずっと錬金術に長ける管理局経理部に、
忍び込んで、あっちこっち調べて、
機構のスパイのうちの1人が、なんと錬金釜の張本人に遭遇したのでした。

「にゃご。にゃごにゃご。にゃーご、にゃーご」
管理局の経理部長は、なんと、おデブな鍵しっぽの巨大猫だったのです!
「にゃーご。にゃーご。にゃごにゃご、なぁご」
経理部長は管理局内でのビジネスネームを、プロアイルルスといいました。

「プロアイルルス部長は、こう仰っています」
機構のスパイに、経理部長の秘書たる魔法生物が、主人の鳴き声を通訳て伝えます。
「プロアイルルス部長は、
『機構のスパイよ。お前が機構の構成員であることは、吾輩にはお見通しである。
カネが欲しくば好きなだけ、くれてやろう』
と、仰っています」

なんだって?!
元々、管理局の資金を盗みに潜入していた機構スパイでしたが、経理部長の言葉にビックリ!
だって、モノホンの黄金と、モノホンの白金と、モノホンのイリジウムとパラジウムとクロノタキオニウムの延べ棒を、
ドンと、惜しげもなく、並べ始めたのです!

これでは、潜入したスパイを全員呼び出して、勝手に持って行けと、言っているようなものです。

「にゃぁーご!にゃぁーご!
なごなごなご、なぁご!にゃぁーご!」
ところでプロアイルルス部長、目をギラギラに光らせて、興奮した様子で何か鳴いています。
「にゃああご!にゃごにゃご!んなああご!
にゃごにゃごタタカエアラソエにゃごぉ!」

「プロアイルルス部長は、こう仰っています」
罠や伏兵、警備員、その他セキュリティーを警戒する機構のスパイに、しかし秘書が言いました。
「『安心しろ!何も隠していないし、誰を伏せてもいない!お前は安全だ』と仰っています。

『そのかわりお前はカネのために、
お前と一緒に忍び込んだ仲間を全員呼び出し、1人になるまで潰しあうのだ!』と仰っています」

そうです。なんということでしょう。
このプロアイルルス部長、世界線管理局という不正や違法を取り締まる側の局員なのに、
趣味嗜好がまさかのほぼほぼ悪役状態!
醜かろうと美しかろうと、誰かと誰かが敵対し、攻撃し、憎み合い、争い合っているのを見るのが、
ドチャクソに、
バチクソに、
それはそれはもう、
誰よりも、ずっと、ずっと、大好きなのです!

おまえ、正義の世界線管理局じゃねぇのかよ……?!
機構のスパイは、開いた口が塞がりませんでした。
ウソだろ? ウソだろ……?
機構のスパイは、文字通り、本物の悪魔を見るような心地であったのでした。

その後のことは、もうお題も回収しましたので、詳しくは書きません。
ただただ管理局は今日も平和で、機構は相変わらず、財政難でありました。

4/9/2026, 6:22:03 AM

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界から来て、親玉組織にカネが無いのをグチる、
別世界人がスパイの同僚に嘆いたおはなし。

世界多様性機構はその名のとおり、様々な世界、様々な次元、様々な宇宙の多様性を求める組織。
あっちの滅びそうな世界の住人を
そっちの発展途中な世界に移送したり(密航)
そっちの発展途上な世界の文明に
あっちの先進世界の技術を導入したり(違法干渉)
皆で生存発展することを良しとして、
あんなこと、そんなことをしております。

それだけ違法で高コストなことをしとるので
どれだけの世界の活動家セレブから寄付を受けても
いつも、ずーっと、
これからも、ずっと、
万年財政難の資金不足でして。

世界多様性機構は、カネが無い!
いつも、ずーっと、
これからも、ずっと、
世界多様性機構は収入と支出と、歳出と歳入と、
つまりお金と、にらめっこし続けるのです。

そんな、万年資金不足の機構の子分組織に
領事館というのがありまして、
今回のお題回収役はすなわち、そこの職員。
ビジネスネームをスギといいました。

「そうさ、これからも、ずっと、
ずっとずっと万年資金不足のままなのはゴメンだから、先進世界の技術で利益を上げようと、」
利益を上げようと、先進世界の技術を使って、
エイプリルのフードイベントでほぼほぼ原価ゼロの大食いチャレンジを開催したんだ。
スギは虚無目を虚無目のままに、エイプリルフールの頃の、惨劇を語り始めました。

メタいことを言うと、過去作4月2日投稿分の頃。
スワイプがただただ面倒なので、細かいことは気にしてはなりません。

「参加無料、チャレンジ成功で10万円プレゼント、チャレンジ失敗で2万円の支払い。
ギリギリ食えない量を出して、コツコツ、売り上げを50万くらいまで伸ばしたんだ」

50万に届く頃合いに、「ヤツ」が来た。
スギは言いました。
「ヤツ」とは領事館が、世界多様性機構が推しのカタキほどに敵視している組織の局員、
世界線管理局の職員でした。

世界線管理局には
美味しいものがとってもとっても大好きな
胃袋中性子星か食欲ブラックホールか、
ともかく、暴食の悪魔が居るのです。

大食いチャレンジを出店していたスギのもとに
その暴食悪魔、「ドワーフホト」が来たのです。

「もう少しで、売り上げが50万。
チャレンジ失敗で2万の売り上げ、チャレンジ成功で10万の損。ギリギリ食えない量。
そのハズだった。 その、ハズだったんだ。

あいつ一気に20セット注文しやがった。
それでも足りなくて10セット追加したんだ……」

ひでぇよな。 本当に、ほんとうに、ひでぇよな。
スギが同僚に、なげきます。
もうちょっとで、あと1時間2時間で、過去イチの売り上げを更新できたのです。
それを暴食のドワーフホトは、ぺろっと全部、消し去ってしまったのです。

「ひどいよな……」

いつも、ずーっと、
これからも、ずっと、
俺達、利益率の高い料理系の事業を展開したら、
あの悪魔に、暴利を貪られるのかなぁ。
虚無目のスギに、聞き手の同僚は何も言いません。
ただただスギの虚無な目を、じっと、静かに、
見つめ返すのでした。

「あいつは、誰よりもずっとブラックホールだよ」
スギが言いました。
「誰よりも、ずっと、恐ろしい悪魔だよ」
スギはただただ、沈む夕日を見ておりました。

4/8/2026, 3:34:10 AM

「沈む夕陽」なるタイトルの曲があるそうです。
なんだか今週金曜日に、劇場から聞こえてきそうな気がしないでもない響きです。
赤い蝶ネクタイに青いジャケットの少年が、遠くからゆっくり近づいてきそうな旋律です。

とはいえ今回のお題は「沈む夕『日』」ですので、
夕日のおはなしを始めましょう。

最近最近の都内某所、某ビルの屋上庭園で、
花を見るでもなく、鳥を見るでもなく、
沈む夕日を虚無目で追尾してる野郎がおりまして、
野郎は「ここ」ではないどこか、別の世界から来た別世界人。
ビジネスネームをスギという、世界多様性機構なる厨二ふぁんたじー組織の構成員でした。

別世界人のスギが東京の、沈む夕日を見ながら、
思うところがあって、黄昏れています。
スギが勤めている別世界由来の組織は、カネが無いのです。万年財政難なのです。

今日も今日とて東京の、現地人を相手に先進世界の技術でもって、暴利をむさぼって、
スギが担当している施設「領事館」の経営を、少しでも安定させようと思っておったのに、
なんということでしょう、ツメが甘いせいで大爆死。赤字を出してしまったのでした。

沈む夕日は、何も言いません。
ただただスギが虚無目でもって、黄昏のそれを観察するだけでありました。

同じ最近最近の都内某所、同じビルの屋上庭園で、
花を見るでもなく、鳥を見るでもなく、
沈む夕日を充足感とともに見ておる野郎がいます。
野郎も「ここ」ではないどこか、別の世界から来た別世界人。
ビジネスネームをカモという、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織の局員でした。

そうです。前回投稿分に出てきた例の野郎です。
細かいことは面倒なので、気にしてはなりません。

別世界人のカモが東京の、沈む夕日を見ながら、
その日に成し遂げた仕事の充足感に包まれながら、黄昏れています。
カモは前回投稿分で、ドチャクソに忙しい喫茶店での業務を、見事に乗り切ったのでした。
予約整理、注文対応、料理提供にテーブル掃除。
カモに期待されていた以上を、カモはカモの全力でもって、成し遂げたのでした。

沈む夕日は、何も言いません。
ただただカモは心地良い疲労とともに、黄昏のそれを観察するだけでありました。

ところでこのカモなる野郎
実は管理局に入局する前の職場は
スギと一緒の多様性機構、そのスパイ部門。
当時はネギなるビジネスネームを使ってまして。

「ネギじゃねえか!久しぶりだな」
「久しぶりです、スギさん。まさかここでバッタリ会うなんて。奇遇ですね」

「……おまえ、敬語だったっけ?」
「おっと失礼。向こうで敬語を使ってるもので。ついつい出てしまった」
「あー。管理局のな。把握把握」

昔々、去年の頃に管理局にネギが忍び込んで、破壊任務をしておったところ、
管理局にバレまして、局内で負傷しまして、
その負傷したネギを敵にもかかわらず、かくまって、傷を癒してくれたのが、
収蔵部の局員のドワーフホト、すなわち現在カモが忠誠を誓っておるお嬢さんだったのです。

要するにカモは現在、管理局に完全に寝返った、機構の二重スパイなのです。

「そっち、どうです?」
沈む夕日に照らされて、黄昏れるカモが言います。
「知ってるだろ。資金難で、てんてこ舞いだよ」
沈む夕日に照らされて、黄昏れるスギが答えます。

「機構、カネ無いですものね」
「機構はカネが無いんだよ」
「しかも領事館、ゲートの不具合でしたっけ?」
「そうそう。去年の夏から。おかげで機構本部と連絡できねぇし、俺のとこまで予算が来ない」

「なんなんでしょうね」
「なんなんだろうなぁ……」

ハァ。 ふたりは一緒に、ため息を吐きます。
沈む夕日は相変わらず、なにも、言わないのです。

「聞くかぁ?俺の領事館とこの近況」
「話してラクになるなら、付き合いますよ……」

Next