かたいなか

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3/7/2026, 3:08:54 AM

明日投稿分のおはなしに、続くかもしれない物語。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
都内在住の稲荷子狐が、立派な稲荷狐となるため、今月の1日から修行に出されておりました。

週休完全2日制。日本でいう土日は修行も休み。
その日はちょうど、修行に来て最初の休日です。
コンコン子狐は管理局員専用の、食堂の使い方もだいぶ慣れた様子で、滋味深い朝食AセットとBセットとCセットを注文。
尻尾をぶんぶん振り倒しながら、幸福にそれらを胃袋へ、ちゃむちゃむ、ちゃむちゃむ。
大好きな味の順番に、収容しておりました。

そんな
ちゃむちゃむ食事中の子狐の
よく聞こえる耳にパッと入ってきたのが
まさかの東京で毎週毎週観ておった特撮風アニメ、
「管理局戦隊アドミンジャー」に関する館内放送。

『本日 午後1時から 管理局戦隊アドミンジャー最新話の 公開収録をおこないます。
最新話タイトルは 「分断の罠! キングマンダリン 絆の統合合体」です
観覧を ご希望のかたは 正午に 広報部企画課 企画・運営班 アニメ部門へ お集まりください』

世界線管理局で管理局戦隊アドミンジャーなるアニメの館内放送。
そうです。この厨二ふぁんたじー企業、広報の一環としてアニメ制作もしておったのです。
「あどみんじゃ!あどみんじゃーだ!」
しかもこのアニメ、普通に日本で放送されておりまして、子狐はアドミンレッドとブルーのファン。
「あどみんじゃー!」

公開収録が何を意味するのか、コンコン子狐知りませんが、ともかく管理局でアドミンジャーのイベントが開催されるそうです。
アドミンジャーが大好きな稲荷子狐としては、断じて見過ごすワケにはいきません
が、

コウホウブキカクカ キカク・ウンエイハン アニメブモンとは何でしょう?

「おねーちゃん! おねーちゃんに、聞こう!」
コンコン子狐はガツガツガツ!
大急ぎでAからCセットの朝食をたいらげて、
子狐のことを修行の前から知っている管理局員、収蔵部収蔵課のお嬢さん、ドワーフホトのもとへ飛ぶように、走ってゆきました––…

…––「あ〜!」
「なんだ。どうしたホト」
「そうだぁ、今日、アドミンジャーの公開収録!」

その頃の収蔵部収蔵課です。
持ち運び可能な高性能コタツ、Ko-Ta4の中でもにゅもにゅと、オレンジハニーナッツピザを堪能しておったお嬢さん・ドワーフホトです。
コタツの主・経理部のスフィンクスは、ドワーフホトが放送を聞いて、珍しく慌てますので、
こいつ、アドミンジャーファンだったっけ?
と首をかしげます。

「違うよー、コンちゃんだよぉ!
コンちゃんね〜、アドミンジャー、大好きなの」
「コンちゃん、ああ、ゆたんぽ!」
「スフィちゃん、温かいコンちゃん好きだもんね」

ピッピのピ。
クリスタルタブレットをドワーフホト公認執事、カモに繋ぎまして、メッセージを送信です。
カモはとっても優秀で、ハイスペックで、しかもドワーフホトのことをドチャクソに推しておるので、
ドワーフホトの頼みを全力で、聞いてくれます。

カモさんなら、コンちゃんの分の公開収録観覧優先チケットを、ゲットしてくれる。
ドワーフホトはカモより、大親友のスフィンクスの方が大好きでしたが、
しかし間違いなく、カモへの信頼と絆は、確固として持っておるのでした。

『カモさんおねがい』
『ご安心ください。既にホト様とスフィンクス様と、余分2枚のチケットを確保済みです。
観覧後は近くのレストラン・月夜グリルで、月夜ディナーをご堪能ください』
ほら見たことか(信頼と絆)

「おねーちゃん!」
ズザッ! ベストタイミングで子狐が、ドワーフホトとスフィンクスの居る収蔵部収蔵課に到着です。
「おねーちゃん!」
子狐にも、ドワーフホトとの確固たる信頼と、なにより絆が、存在しました。

「コンちゃん、おはよ〜」
ドワーフホトは全部ぜんぶ仕込み終えて、にこり。
飛び込んでくる子狐を受け止めて、頭も、背中も、優しく撫でてやりましたとさ。

3/6/2026, 3:57:48 AM

偶には、玉には、多摩には、田間仁は。
全部ひらがなのお題は漢字変換が容易で、いろいろイジれるというものですが、
結局、たまの贅沢とか、たまに見つかるとか、オーソドックスな物語をご紹介する物書きです。
「多摩には2羽ニワトリがいる」なるネタを置いておきますので、ご自由にお持ちください。
と、いう前書きは置いといて。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこに都内在住の稲荷子狐が、今月1日から修行に出されておりました。

ところでその稲荷子狐
修行にあたって管理局員のための
アパートモドキないし寮モドキの個室1部屋を提供されたのですが、
まさかのその1部屋に先日、自称子狐の前に部屋を使っていた先代ルリビタキなる幽霊が出まして。
なんならその日もドロンドロン、子狐がご利益たっぷりの稲荷餅を作ってる最中、
部屋の隠しキッチンに、入ってきまして。

「オバケさん、オバケさんだ」
ぺったん、ぺったん、もひとつぺったん!
稲荷神社に伝わる由緒正しい臼と杵で、コンコン子狐が餅をつきます。
「オバケさん、キツネ、今おもちをこさえてるの」
まだまだ子供の子狐です。なにより幽霊なんて、見飽きている子狐です。
死人が突然現れたって、怖くありません。
「ダメだよオバケさん。今日は、遊ばないの」

『いや、遊びたくて戻ってきたのではないんだよ』
先住民の野郎幽霊は、自分が作った隠しキッチンの機能だの道具だのの、案内をしたかったのです。
『子狐ちゃん、きみ、お料理が好きなんだろう。
僕も生前、料理が大好きだったんだ。だから』
だから、同じ料理好きの子狐ちゃんに、僕の秘密キッチンを使いこなしてほしいんだ。
幽霊は丁寧に説明しますが、
コンコン子狐、ちっとも聞きません。

『子狐ちゃん。 子狐くん。こぎつね』
「だめ、ダメ!キツネ、おもちこさえてるの」
『あのね。ちょっとだけで良いから、話を』
「ダメ!キツネ、いま、おててはなせないの」

『ほんのちょっとで良いんだ。
ほら、たまには自分以外の料理人の視点を』
「オバケさんキツネのハナシきかない。おしおき」

くわっ!コンコン子狐は一声吠えると、
狐の瞬発力でもって、がぶーっ!
野郎幽霊のおしりに、全力で噛みつきました!
「おしおき。おしおき」
『わぁわぁわぁ!やめて!とめて!ゆるして!』
そのまま子狐はブンブンブン、ぶんぶんぶん!
うるさい幽霊を高速で振り回して、ぽーん!
部屋の外に、放り飛ばしてしまいました。

「よし!」

たまには、自分以外の料理人の視点を。
飛んでった野郎幽霊のアドバイスは、その辺にひとまずポイチョです。
まずはお餅を作るのです。
「ぺったん、ぺったん、もひとつ、ぺったん!」
五穀豊穣商売繁盛、諸願成就に病魔退散、稲荷のご利益は多種多様。素晴らしいご利益なのです。

『あの……こぎつねくん』
「むっ」
『分かった、分かったから。待つから。
終わったら、言って……』
「よろしー」

ぺったん、ぺったん、もひとつぺったん。
コンコン子狐はホカホカつやつや、まんまるお餅にいろんな具を詰めます。
オーソドックス・スイーツのあんこから、惣菜お餅の可能性を追求したチーズまで。
いろんなお餅をこさえて最後に、稲荷のご利益をひと振り、ふた振り。

「できた!」
『そうか、良かった。じゃあ僕の話を』
「売ってくる!」

『こぎつねくん……』

いってきます。コンコン子狐は尻尾をぶんぶん。
お餅をカゴに入れて、キッチンからログアウト。
隠しキッチンには先住民であった野郎の幽霊が、ひとりポツンと約3時間、取り残されましたとさ。

3/5/2026, 6:51:53 AM

今回のお題が「大好きな君へ」とのことなので、
大好きな物を追い求める不思議なハムスターのおはなしを、ひとつご紹介します。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの法務部執行課、実動班特集情報部門は、まさかの全所属局員が、ハムスターという部署。
なのに法務部自体のビジネスネーム貸与規則が付与規則であるせいで、
ハムスターたちが貸与されておるビジネスネームは、全部ぜんぶ、鳥の名前だったのでした。

ハムスターなのに鳥とはこれいかに(しゃーない)

さて。そんなこんなの特集情報部門です。
情報部門所属のハムスター・カナリアは、ハムスターらしくナッツが大好き!
その日は非常に品質の良いミックスナッツが、ゴロゴロ3袋も手に入ったので、
1袋を部署の差し入れに、
1袋を自分のミックスナッツパーティーに、
そして最後の1袋を、人間女性の収蔵部収蔵課局員・ドワーフホトへのプレゼントに、
それぞれ、使うことにしました。

ドワーフホトは、とっても優しいお嬢さん。
近くに行っても、ちっとも危険がありません。
別に人間女性に、恋してるワケではないのですが、
カナリアはドワーフホトのことも大好きで、
ドワーフホトは美味しいものが大好き。

「よし。大きいピザを作ろう」
とっとこカナリアは小さな体で、大きくて美味しいハニーナッツピザを焼くことにしました。

よいしょ、よいしょ。
とっとこカナリアは一生懸麺、大好きなドワーフホトのために、ピザの生地を広げます。
よいしょ、よいしょ。
大好きな大好きな君へ、君の笑顔が見たくて、ピザの生地を広げます。
「こんなモンかな?」

もっちりピザ生地がよく広がったら、ピーナッツバターとフレッシュチーズの混ぜものを塗って、
さらさら、ざらざら。上等なナッツを散りばます。
「まだチーズが足りないかな」
カナリアはナッツがイチバン大好きですが、ネズミらしくチーズも好物。
ナッツの上にナチュラルチーズを振りかけました。
「よし!あとはオイルだ」

オリーブオイルを適量注いだら、焼く前にピザを丁寧に、紙箱に詰めて収蔵課へ内線。
「やあ、こんにちは、ホトさん」
とっとこカナリア、大好きな君へ連絡です。
「美味しいナッツピザが、ちょうど仕込み終わったんだ。お昼ご飯がまだだったら、どうだろう?」
とっとこカナリア、大好きな君へアピールです。

というのも収蔵部収蔵課の局員・ドワーフホトは、
昔々の特殊即応部門長・通称「先代ルリビタキ」が局内に実費で作った隠しキッチンの場所を、
諸事情で、知っておりまして。
しかもその隠しキッチンのうちの複数個には素晴らしい火力の上等な窯があるのです。

『ごめんカナリアくん、今日のお昼は、スフィちゃんと一緒に食べる約束なのー』
「経理部のスフィンクス?店は、決めてあるの?」
『まだぁ』

「まだ焼いてないからミックスナッツピザにトッピングでスライスみかん追加できるよ」
『スフィちゃんに相談してみr
スフィちゃんミカンピザ食べたいって〜』

ミカン!ミカン!マジか!
内線の奥からドワーフホトではない声が、すごくすごく嬉しそうに、漏れてきます。
カナリアはドワーフホトのことも大好きで、
ドワーフホトは経理部のスフィンクスが大好きで、
スフィンクスはドワーフホトとみかんが大好き。

「よし、そっちにすぐ行くよ!」

とっとこカナリアは嬉しくて嬉しくて、
さっそく、箱に詰めたピザをドワーフホトが居る収蔵部収蔵課に向けて、運びます。
ミカンは敢えて、付けません。ミカンが大好きなスフィンクスは、間違いなく、とても良いスライスミカンをストックしているのです。
「しゅっぱつ!」

局内の物資配達ロボット「クロネコ」を1匹つかまえて、とっとこカナリアは上機嫌。
大好きなドワーフホト(とスフィンクス)のもとへ、意気揚々と、向かうのでした。

3/4/2026, 3:00:03 AM

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
ここに今年の3月1日から、都内在住の稲荷子狐が、週休完全2日のスケジュールで、御狐修行に出されておりました
が、
実はこのコンコン子狐、まだまだガチモンの子供でして、初めて親元から離れて独りぼっち。
「さびしいなぁ。さびしいなぁ」

前回投稿分で、そんな子狐の寂しい夜に丁度良い、
優しくて噛み心地が良くてブンブン振り回せる楽しいオバケおもちゃが爆誕。
今回のおはなしでは、更に寂しさを解消すべく、
子狐ルームに何故か存在しておった隠し部屋のキッチンを使って、ご近所挨拶用のお餅を作ります。

そうです。「ひなまつり」です。
菱餅ヨモギ餅さくら餅。柏餅も作る予定です。

「うんしょ。うんしょ」
コンコン稲荷子狐は、五穀豊穣が大好きな狐。
稲荷狐となるために、お餅の修行もするのです。
東京の実家たる稲荷神社から、もち米とキネとウスとを持ってきて、お餅をつきます。

「ぺったん、ぺったん!もひとつ、ぺったん!」
稲荷子狐には、稲荷狐の餅つき歌がありました。
「このもち、子ぎつねつくもちにあらず、ぺったん!
みけの神、とこよにいますウカサマの、ぺったん!
かむほき、ほきくるほし、とよほきもとほし!」
母狐から教わった難しい言葉を、ぺったんぺったん歌いながら、由緒正しいらしいウスとキネで、お供物として貰ったお米をつくのです。

味を整えて、色を整えて、形も整えて箱にポン!
ひなまつりのお餅を4時間かけて作りまして、
最後に稲荷狐の御利益をコンコン少し振りかけて、
さあ、出発!
子狐がこれからお世話になるであろう、管理局アパート(仮称)のお隣さんに、ご近所さんに、
お餅を配りに、行きました。

「こんばんは!こんばんは!」

ピンポンピンポン!
コンコン子狐がアパートの、左隣の部屋のドアの、インターホンを鳴らします。
「となりに、ひっこしてきました!
菱餅ヨモギ餅さくら餅、どうぞ」

「あれ、俺、いつの間に奥多摩に帰ってきたっけ」
子狐ルームの右隣は、きっと、ここが隠しキッチンに改造されておるのでしょう、
しっかり施錠されておって、入れませんでした。
子狐ルームの左隣は、きっと、子狐と同じく東京から管理局に通勤しておるのでしょう、
寝ぼけたような様子をして、ドアを開けました。

「そうか。今日は、ひなまつりか……」
「ひなまつり!ひなまつり!
ウカノミタマのオオカミサマの、ごりやくたっぷり!キツネのおもち、どうぞ」

「俺、女じゃないんだよ」
「さくらもち!かしわもち!ごりやく、たっぷり」
「そうかそうか。うんうん。1個ずつください。
色違い厳選のオトモに丁度良いや」

おいくらですか。 おだい、いりません。
稲荷子狐の部屋のお隣さんは、最後まで頭がポワポワで、確率がどうとか御利益頼んだぞとか、
なにやら、最後まで言っておりました。

「こんばんは!こんばんは!」
ひなまつりのお餅をコミュニケーションツールに、
コンコン稲荷子狐は、次のお部屋へ向かいます。
「となりのとなりに、ひっこしてきました!
菱餅ヨモギ餅さくら餅、どうぞ」
御利益たっぷりのお餅は大盛況。
寂しさ解消を目的にお餅を作った子狐は、目的どおり、ちょっとだけ、寂しくなくなりましたとさ。

3/3/2026, 6:46:35 AM

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
ここに都内在住の稲荷子狐が立派な御狐となるために、修行に来ておったのでした。

期間は最短だいたい1年。
初日を楽しく終えた子狐は、
どっどっど、ゴシュゴシュゴシュ。
管理局内を走る機関車風列車に乗って、管理局内に建てられた個室寮に帰ります。

で、何が困ったかと言いますと、すなわち子狐は子供なのです。初めての独りぼっちなのです。
コンコン稲荷子狐、一気にさみしくなりました。

「こわいよ、こわいよ、かかさん!」
くわぁー!くわぁーぁ!ここココンコンコン!!
だあれも居ない、静かな部屋です。
「さびしいよ、さびしいよ、ととさん!」
ここココンコンンコン!ここココンコンンコン!!
途端に子狐、自分が誰にも守ってもらえていない気がして、お母さんとお父さんを呼びます。
よく「狐の鳴き声は実はギャー」と言われますが、
意外と子狐が親狐を呼ぶ叫び声は、ちゃんとコンコンだったりするのです。

「かかさん!ととさん!おじーじ!おばーば!」
ここココンコンンコン!ここココンコンンコン!
子狐は寂しくて寂しくて、だいたい5分か10分くらい、お母さん狐を呼んでおったのでした。

ところでそんな今回のおはなしのお題が、
寂しん坊な子狐にとって幸いなことに、
ちょうど、「たった1つの希望」でして。

「かかさん、かかさん……」
鳴いて吠えて、喉を痛めて、すっかり疲れてしまった稲荷子狐です。
泣き疲れて眠ってしまう、ギリギリの頃合いに、
おやおや、夢か幻でしょうか、
優しそうな声が、子狐を呼ぶのでした。

『おいで おいで こっちだ』

子狐は耳を動かして、鼻を動かして、姿が見えない声の主の場所を探します。
『おいで おいで こっちだ』
悪霊や邪念じゃなさそうです。
稲荷子狐は心魂の匂いが分かるのです。
『さあ ここだ』

コンコンコン、独りぼっちで寂しい子狐にとって、誰だか知らない優しい声は、
まさしく、「たった1つの希望」でした。

『やあ。はじめまして』

ガコン! 個室寮の部屋の壁の、ブロックのひとつが隠し扉であったようです。
隠し通路をトテトテトテ、通って隠し部屋に到着すると、そこはよく整備されたハイテクキッチン。
ふわっとミカン、文旦の香りがする幽霊が、
優しい笑顔をして、子狐を待っておりました。

「おばけだ!」
稲荷子狐は幽霊なんて、怖くありません。
なによりその幽霊、善良な魂の匂い(と食べ物の良い香り)がしておりますので、
間違いなく、子狐に害は加えないのです。
「おばけ!おばけ!」

ああ、自分はもう、独りぼっちじゃない!
間違いなく、隠し部屋に現れたその幽霊は、寂しさ解消に適切な、「たった1つの希望」です。
子狐は一気に寂しさが吹き飛んで、安心しました
が、
そうです、子狐、子供で狐なのです。

『僕は、君の部屋を何年も昔に使っていた、いわば先住民だ。君のk』
「おばけ!おばけ!あそんで!」
『待って。まず話を聞いて。自己紹介させt』
「おばけ!おばけ!」
『やめて噛まないでっていうか幽霊を噛まないd
わぁわぁわぁ、あわうわうあうあ』

ぶんぶんぶんぶんぶん!
元気になったコンコン稲荷子狐は、幽霊が幽霊でありましたので、完全におもちゃにしてしまって、
噛みついて心のままに振りまくって、大満足!
気持ちが落ち着くまでだいたい1時間ほど、幽霊で遊んで遊び疲れて、
そしてぐっすり、眠りました。

子狐が起きた頃には幽霊は消えておって、
文旦の良い香りの痕跡だけが、残っておったとさ。

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