かたいなか

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2/14/2026, 7:12:16 AM

明日投稿分のおはなしと、ひょっとしたら繋がるかもしれないおはなし。

最近このアカウントの投稿作品にちょくちょく登場しておる、「世界線管理局」です。
管理局にある部署のひとつ、収蔵部収蔵化は、
滅んだ世界からこぼれ落ちたアイテムが、他の世界に紛れ込んで何かの影響を与えぬように、
局内に収容して、管理局だけに閉じ込めて、モノによっては局内のみで活用するための部署。

お題回収役のお嬢さんは、管理局でのビジネスネームをドワーフホトといいまして、
局内に点在する隠しキッチンで、ガサガサ、ごそごそ、なにやら作業中。

「おーい。ホト。ほーと。俺様が来たぞ」
親友の経理部のエンジニア、スフィンクスが来てもガサガサ、ごそごそ。
ドワーフホトお嬢さんは探し物をしておりました。
親友スフィンクスは、ドワーフホトから外出のお誘いを貰っておりました。

「ごめぇん!もーちょっとだけ、待ってて〜」
もうちょっと。もうちょっとだけ。
ドワーフホトは捜索に一生懸命!
かつて昔、局内に隠しキッチンを作った局員が、
戸棚に複数冊のノートを遺しておりまして、
ホトお嬢さん、スフィンクスとの外出に際して、ノートのうちの1冊が、どうしても必要なのです。

「何のノートだって?」
「ないしょ〜。待っててぇ」
「内緒って。見つかったらどうせバレるだろ」
「良〜いのっ。待ってて〜」
「ハァ。 しゃーねぇなぁ」

ガサガサ。がさがさ、パラぱらぱら。
明るく温かい照明の隠しキッチンには、
ノートを出し入れしたり、ページをめくったり、
アナログな音が、静かに響いています。

「まーだーか」
「ま〜だだよぉー」

「まぁーだか」
「まぁ〜だだよぉ〜」

待ってて。 待ってて。
スフィンクスを待たせてだいたい10分程度。
「あったー!」
ぱたん!ドワーフホトのお嬢さんは、ついにノートの複数冊から、目当てのひとつを見つけました。
「これ、これだよー、昨日の夜から探してた〜」

「徹夜したのか?」
「違うもん!ちゃんと、ぐっすり寝たもぉん」
「で 何のノートだソレ」
「まって、まって〜」

ドワーフホトホトお嬢さん、軽やかに跳ねてスフィンクスに、みつけたノートを見せました。
「これ、コレだよー」
「どれどれ。

……『2月14日スペシャル』?」

ハァ?なんだそりゃ?
スフィンクスがノートをパラパラ、ぱらぱら、
見ておりますと、どうやら東京都内の、食材店とその住所と、それから食材の名前と値段と、
最後に、店主さんの名前が几帳面に、
そこそこキレイな大人の筆跡で、記されています。

「随分と年代物のノートだ」
スフィンクスは言いました。
「20年?40年?意外と10年?」

「隠しキッチンの前のオーナーさんのノートだよ」
たまたま去年掃除してたら、ノート置き場の隠し扉と、その開け方を見つけちゃって。
ドワーフホトが答えました。
「間違いないよ、このキッチンのオーナーさん、
2月14日にこのノートに記された食材で、
カカオパーティーを開いてたに違いないよぉ!

あたしは、それを、現代に蘇らせてみせるぅ!」
「お……おう?」
「スフィちゃんも!一緒にがんばろ〜!」
「なにを??」

出発!おー!
さんざん待ってて その結果、外出に誘われた理由が食材の買い出しだったと気づくスフィンクス。
ドワーフホトは楽しそうで、スフィンクスは頭の中がはてなマークでいっぱい。

「まず、このカカオ製品専門店を、探しにいくぅ」
スフィンクスのハテナは、気にしません。
ただただ幸福そうに、楽しそうに、ドワーフホトは隠しキッチンから退出してゆきましたとさ。

2/13/2026, 4:23:13 AM

前回投稿分では、あっちの世界とこっちの世界を公的に繋ぐ組織、「世界線管理局」の平和なおはなしをご紹介しました。
今回は管理局から離れて、あっちの世界からこっちの世界に違法で技術や人を渡す組織「世界多様性機構」の下部機関、
その名も、「領事館」のおはなしをご紹介。

多様性機構の仕事はすなわち、
途上世界に先進世界の技術を伝授して、(管理局に無許可で)途上世界を開発したり、
滅びゆく世界の住民たちを回収して、(管理局に無許可で)別の元気な世界に密航させたり。

あるいは
良い環境の世界に領事館を(管理局に略)建てて
その世界を滅亡世界から来た難民たちのためのシェルターに(管略)認定して、
難民たちが、新しい世界で静かに平穏に暮らせるように、サポートするのでありました(略)。

で、そんな世界規模の領事館が
まさかの都内某所、某杉林の奥にありまして。
すなわち今回はその領事館のおはなしなのでした。

さて。
その日も相変わらずの領事館です。
東京はスギ花粉が飛散を始めた頃合い。
領事館では別世界のトンデモ技術で、円形自動掃除ロボットと空気清浄機が合体したマシン、
通称、頑張ルン●"が巡回中。

うぃんうぃん、うぃんうぃん、
頑張●ンバは先進世界の技術とプログラムに従い、
あっちの部屋の残留花粉を吸って除去して、
終わったら次の部屋の残留花粉を吸って除去して、
うぃんうぃん、うぃんうぃん。
この世界に来てから重度のスギ花粉症を発症してしまった領事館の館長のために、
それはそれは、よく仕事をしておりました。

––ところでその日、
頑張ル●バは花粉除去の自動走行中、領事館に妙な黒穴がポッカリ、開いておるのを見つけました。
頑張ルンバが空間認識センサーで、黒穴を計測しますと、どうやら子狐1匹くらいがギリギリ出てこれそうなサイズと分かりました。

ビービー!ビービー!伝えたい!
ビービー!ビービー!お題回収!
頑張ルンバは領事館長のところへ移動して、異常を伝える電子音を鳴らしましたが、
「なんだ頑張ルンバ。掃除でゴミが詰まったのか」
館長は、領事館ではなく頑張ルンバ本体の異常と勘違いしてしまいました。
「なんだ。問題無いじゃないか」

––ところでその翌日、
頑張ルンバが、またもや花粉除去の自動走行をしておると、領事館の妙な黒穴から、
子狐が1匹ぴょこん!出てきたのを見つけました。
その子狐は都内某所の、本物の稲荷狐が住まう稲荷神社のとこの、末っ子稲荷子狐でした。

ピーピーピー!伝えたい!
ピーピーピー!お題回収!
頑張ルンバは領事館長のところへ移動して、ひとまず電子音を鳴らしましたが、
「なんだ頑張ルンバ。調子が悪いのか」
やはり館長は、子狐ではなく頑張ルンバ本体の報告と勘違いしてしまいました。
「なんだ。やっぱり問題無いじゃないか」

––そしてその数日後、
頑張ルンバは、その日も花粉除去の自動走行をしておると、領事館の妙な黒穴から、
例の稲荷子狐とその親友の化け子狸と
更に子狐の友人の化け子猫と子猫又と
それから子カマイタチという合計5匹の子供ーズが
ぞろぞろ、ぴょこぴょこ!
出てきたのを見つけました。

なんということでしょう。
領事館はここ数日で、稲荷子狐たちの秘密基地として、勝手に認定されてしまったのです!

ビービー!ビービー!伝えたい!
ビービー!ビービー!最後のお題回収!
頑張ルンバは領事館長のところへ移動して、やはり警告音を鳴らしましたが、
「最近本当に妙なタイミングで警告音出すな……」
相変わらず館長は、子供ーズの大所帯ピクニックではなく頑張ルンバ本体の異常と勘違い。
「花粉飛散が本格化する前に、そうだな、ちょっとカネはかかるがメンテナンスしてもらうか」
領事館長は親玉組織の、連絡が取れる構成員・ネギというやつに連絡をとりました。

頑張ルンバの伝えたいことは伝わらず、
領事館の黒穴はそれから2週間程度開きっぱなし。
稲荷子狐たちによる領事館の大所帯探検は、2週間で累計4回程度、発生しましたとさ。

2/12/2026, 6:33:34 AM

この場所で1日1回のお題に合わせて、連載風のおはなしを投稿するようになってから、
2年11ヶ月と11日が経過した物書きです。
日数にして1079日、早いものです。
と、いう懐古もこの辺にして、フィクションでふぁんたじーな、別の世界のおはなしをご紹介。

その日も世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織は、平和も平和、平穏も平穏。
エントランスは相変わらず明るく、にぎやか。
別世界への旅行目的で渡航申請をしに来た獣人や、
自分の世界と別世界の間を航行している渡航船の、往復本数や行き先等を増便したい魔法使い、
渡航中に密航船と衝突して事故ったと通報しに来た宇宙タコ等々、等々、
いろんなモノが、いろんな目的で、世界線管理局に集まっておりました。

そんな管理局に勤めておる
法務部執行課の不思議ハムスターは
ビジネスネームをムクドリといいまして。

「ホトさん!ドワーフホトさん!かくまって!」
トタタタタ、とたたたた!チューチュー!
小ちゃい足を爆速で動かして、
収蔵部収蔵課のお嬢さん、ドワーフホトに救助を求めてきたのでした。

というのもムクドリ、
ドワーフホトお嬢さんと同じ収蔵課に勤めておる魔女のおばあさんのアンゴラの、
そこそこ気に入って使っておった魔法の杖を
カジカジカジ、かじってしまいまして。

「仕方無いじゃないか!僕はハムスターだぞ!」
たすけて、たすけて!
爆速とっとこムクドリが、ギーギー!叫びます。
「固いもの、噛みやすいものを見ると、そりゃ、かじりたくもなるさ!不可抗力だ!」

そーなのかぁ。 ドワーフホトお嬢さん、滅んだ世界から流れ着いたチートアイテムの収蔵登録作業を一旦中断します。
そしてウサギのマークのタイルの上に、とっとこムクドリを抱えていって、
そしてお題回収、
この場所で ポン!ジャンプをしました。

「わっ!なんだ、なんだ」
「転移魔法ー。管理局の中にある、あたしの隠しキッチンに、ご招待だよぉ〜。
探知対策バッチリ。完全セーフティ〜」
「すごいや!さすがホトさんだ」

へっへっへ、なるほどね、
ここでジャンプすればいつでも隠れられるんだ!
アンゴラ魔女から逃げおおせたムクドリは、
ひとまずアンゴラの追跡が振り切れた頃合いに、隠しキッチンでの籠城を終えて帰路につきました。

「この場所でジャンプすれば勝てる」!
そこで味をしめてしまったのがムクドリです。

…––「はぁ、はぁ、逃げろ!逃げろ!」
さて。数日後のムクドリです。
「あのウサギのタイルの床まで、逃げるんだ!」
その日もアンゴラ魔女の家具の、絶妙に固い木材をカジカジ!かじって怒られて追われまして。

「へへへ、追われたって、怖くない!
あの場所で、ジャンプすれば良いんだ!」
トタタタタ、とたたたたたた!
爆速とっとこムクドリが、息をきらして逃げてにげて、収蔵部収蔵課まで到達して、
「勝っッ……た!!」
先日、ドワーフホトお嬢さんが自分をすっかり隠してくれた、あのウサギのマークの床を見つけて、

はい、再度お題回収!
ポン! この場所で、ジャンプ
したのですが。

「あれ。 あれ」
そうです。
先日と違って、転移魔法が作動しないのです!
「えっ、ウソだろ、この場所でジャンプすれば」
この場所でジャンプすれば、勝てるんじゃなかったの、慌てまくったムクドリの上に、
大きなおおきな、人間の女性の影が、落ちました。

「さあ。お仕置きよ」
それはとっとこムクドリが、杖をかじり、家具をかじり、お仕置きから逃げてきた、
まさに本人、魔女のアンゴラの影でした。

ぎゃあああ!!ギーギー!ちゅーちゅー!
2度目も逃げられると思っておったハムスターは、そのまま魔女のおばあさんに捕まって、
キッチリ、お仕置きを食らいました。

「家具と杖の修繕費も上乗せ。
あなたは合計【ピーーーー】と慰謝料【ピー】の合計【ピーピーピーーー】、自分で稼ぐのよ」
「理不尽だぁぁぁ!!」

イタズラハムスターのムクドリはその後、アンゴラ魔女に指定された場所に連れ戻されて、
この場所で、コーヒー屋を続けておりましたとさ。

2/11/2026, 4:07:13 AM

『I suppose
 every one has some little immortal spark
 concealed about him. 

 私はね、思うのだよ
 誰もがみんな、なにか小さな不滅のかがやきを
 彼等のその中に、秘め持っているのだと』

コナン・ドイル『The Sign of Four』第十章
上段シャーロック・ホームズのセリフ原文
下段かたいなか意訳(により、誤訳バチクソ注意)

――――――

昔々に某えふごソシャゲで、某バリツ紳士&某新宿ダディータッグをリセマラして、最終的に折れて辞めた過去のあるモノカキです。
誰もがみんな、ガチャ運を自分のその中に、秘め持っておるわけではないのです。
ふぁっきん悪しき文明(八つ当たり)

というハナシとは完全無関係な、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近のおはなしです。
都内某所、某杉林の奥のあたりに、
「ここ」ではないどこか、別の世界から来た別世界人によって勝手に建てられた洋館がありまして、
そこは他の別世界人から、「領事館」と呼ばれて、頼りにされておりました。

というのも東京、いろんな人がおりますので、
故郷の世界が滅んでしまった別世界の難民が、避難場所として住み着くのに丁度良いのです。
滅びゆく故郷の世界から密航船で、「こっち」の世界に非合法的に渡航してきて、
そして、ひっそり、大人しく、自分たちの密航がバレないように、暮らしておるのです。

領事館はそんな難民たちのための、支援拠点にして、情報収集場所、かつ簡易的な医療施設。
領事館は別世界の組織、「世界多様性機構」の構成員によって管理・運営されておって、
難民たちの生活基盤のひとつであり、
かつ、故郷を亡くした彼らの、心の拠り所
であったのですが。

実は去年の夏頃から
大規模なバグだか妨害だか封印だか知りませんが
この領事館、本部たる世界多様性機構が存在する親元の世界との接続が
プッツン!途切れてしまっておりまして。

すなわち
親組織からの資金援助が
ここ数ヶ月、完全に、1銭も、ビタ一文も、
サッパリ断絶されておりまして。

領事館には、カネが無い!
危機的状況の領事館に手を差し伸べてきたのが、
「世界線管理局」という、これまた別の世界の、
領事館や多様性機構と違って、正規かつ完全合法、
公的な超巨大組織。

領事館のポストにポン!
不思議なハムスターの管理局員が使者として来て、
手紙を一通、置いてゆきました。

領事館–多様性機構間の接続途絶の理由を知ってる管理局の使者は、手紙に一筆、こう書きました。

『意地張ってないで密航者と不法難民を引き渡せば、領事館と機構の接続直してあげるよ
連絡はコチラまで
世界線管理局 法務部執行課実動班 特集情報部門
臨時窓口 カナリア (内線 ✕✕✕✕)』

「誰が!!引き渡すかってんだ!!」
ここでようやくお題回収。
「誰もがみんな、公的機関の方の難民シェルターに行きたがってると思うなよ!!」

ギャーギャー!ぎゃーす!
領事館の館長さん、どうやら公的機関の煽りがドチャクソに効いた模様。
手紙をバリバリ千切って、燃やしてしまいました
……が、

「––そうか。
管理局の連中が、接続途絶の原因を知ってるのか」
ハタと気付いた館長です。
「つまり、管理局の人間を誰か拉致れば、」
誰か拉致れば、情報を吐かせられるかもしれない。
考えた館長は一計を、
案じますが、途端に目が痒くなって、鼻水が出て、
くしゅん!くしゅん!

「ぐああ!!」
どうやら手紙にスギ花粉が、ドチャクソに付着していた模様。それはそれは大騒動です。
結局一計を案じるどころのハナシではなくなって、
ティッシュに目薬、濡れ布巾を出動させて、
数十分、数時間、悶絶しておりましたとさ。

2/10/2026, 6:29:05 AM

花束なんて、高校だか中学だか、ともかく●●年前の卒業式以来貰った記憶が無い物書きです。
買ったこともない心地。ただ●●年前と現代とでは、花の単価もだいぶ上がったとか。
なんてハナシは置いといて、今回のお題、花束のおはなしのはじまり、はじまり。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの地球規模にデカい難民シェルターの、寒帯エリアの雪原では、
人工的に調整された寒気と冷気によってもたらされた予定通りの積雪を利用して、
故郷の世界をなくした難民たちの主導で、雪まつりが絶賛開催中。

子供たちはもちろん、大人たちも、
スキーにボードに雪だるま、整備されたリンクではスケートなんかも、
皆みんな、楽しんでおりました。

で、「花束」のお題の回収です。
なだらかで安全な雪の坂道では、子供たちのソリレース、決勝戦がちょうど終了。
表彰式が為されておりまして、
みごと、栄誉の優勝のメダルとともに大きな花束を受け取っておったのが、
まさかの、大人の男性の管理局員でありました。

「ゆーしょー!わりゅーじんさま!」
「おめでとーわりゅーじんさま!」

わーわー!子供たちはパチパチ!
明るい笑顔で拍手を贈りますが、
拍手と花束とメダルを貰った管理局員はというと
完全に虚無、完全にチベットスナギツネ、
目のハイライトが多分迷子です。

「……」
なぜだ。 わりゅーじんさまと呼ばれた局員は、ポツリ言いました。

というのも全部の発端は数時間前でして。

…——『子供用のソリレース??』
数時間前、だいたい早朝の頃合いでした。
わりゅーじんさまと呼ばれた管理局員、実は本性が人間ではなく、ドラゴンでして、
難民シェルターの子供たちに、「悪い龍神様」、わりゅーじんさまとして、親しまれておりました。

なお別に龍神でも神様でも何でもなく、
管理局員としての名前、ビジネスネームを「ルリビタキ」といいますが、
まぁまぁ、その辺の細かいことは気にしない。

『わりゅーじんさまも、いっしょにやろうよ!』
子供たちは、わりゅーじんさまが大好き!
早朝に寝ているところを叩き起こして、
クレヨンでグリグリした手作り招待状を差し出し、
複数人の子供は既に、わりゅーじんさまの尻尾を引っ張って、連れて行こうとしています。
『いこう!いこう!ソリレース!』

わりゅーじんさまルリビタキは困りました。
そりゃそうです。自分と彼らのサイズは違います。
そもそもドラゴン用の大きいソリなんて、聞いたことがありません!
『用意したのか?作ったのか?』
わりゅーじんさまが聞きますと、
『ない!』
子供たちは当然のように、元気に答えました。

行こうよ!行こうよ!
子供たちは尻尾をぐいぐい!わりゅーじんさまを何がなんでも、連れて行こうとします。

『……』
ぐるるる、ドラゴンの頭をガンガンに働かせ、わりゅーじんさまルリビタキ、考えました。
子供たちの招待を断るのは、かわいそうです。
ですが、ドラゴンの自分が子供たちのソリレースに参加するのは、安全面から危険です。

ぐるるるる、ぐるるるる。
数秒考えて、わりゅーじんさまが出した妥協案は、
すなわち、「人間に変身すれば比較的安全」、
というものでした。

取り敢えず「自分の友人」という設定にしよう。

『俺は、これから仕事がある。
俺の代わりに、俺の友人、人間の男を連れてくるから、そいつをレースに出すと良い』
子供たちから十分に離れて、隠れて人間に変身して、子供たちの前に戻ってきた「わりゅーじんさまの友人」、ルリビタキは、

自己紹介しようとして数秒で、自分が「わりゅーじんさま」本人もとい本竜だとバレました。

「あのとき正直に断れば良かった……」

…——で、
なんやかんやありまして、
子供用のソリにカラダを押し込んで、ソリレースに出たわりゅーじんさまは、
結局優勝しまして花束贈呈。拍手喝采。

子供たちは嬉しそうでしたが、
花束を貰った本人は、どうにもこうにも、
虚無顔が数分、十数分、数十分かもしれません、
ともかく抜けませんでしたとさ。

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