前回投稿分から続くかもしれないおはなし。
「ここ」ではないどこか別の世界に、「世界線管理局」という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
更にその管理局には、超地球規模の難民シェルターが、山に海に温泉なんかも込みで在りました。
前回投稿分のおはなしでは、なにやらミニチュア人工太陽ドローンなるものが、最終テスト中。
起動して上昇を始めたドローンの上で
ぐぅすぴしておったドラゴンを乗っけて
上昇してって、上昇してって、ふわふわ。
結果、珍妙な日の出モドキが大爆誕です。
寝ぼけたドラゴンはツルツルテンのフェイク太陽ドローンを、ピタピタ、べしん!
尻尾で引っ叩いて、破壊して、墜落させて、
あらあら、寝ぼけたまんまでどこか、前回投稿分に登場した例の雪山に、飛んでってしまったのです。
ところで
墜落してったドローンはけっこうな高額でして。
「あああー!ウソだろ!」
「大丈夫だよ水増しして請求しよう」
「でもさぁ!でもさぁ!アレ、スフィンクスさんから技術提供してもらったやつだぞ」
「技術提供料?」
「ぎじゅつてーきょーりょー?」
「うん。提供料」
「1個作るごとに何と何献上だっけ」
「ミカン5箱にお菓子5箱」
「ミカン……」
ミカンとスイーツってさ。経費で落ちるのかな。
俺達、年明けのズレ込み休日のために、年末ほぼほぼフル稼働で仕事しまくってたけど
俺達の休日、年始休業って、
どこまで、延期されるんだろうな。
フェイク太陽ドローンの墜落現場で小規模な爆発と小規模な炎上が発生しておるのを見て、
太陽ドローンの飛行テストをしておった部署の精鋭たちは、ただただチベットスナギツネの虚ろ目。
血と涙と寝不足の結晶を、寝ぼけドラゴンの寝ぼけアタックで破壊されてしまう局員たちです。
そんな彼等の「幸せとは」、
はて、どこにあるのでしょうね。
「俺達の……おれたちの、やすみ……」
さて。
そんなことになってるとも知らず、
寝ぼけて雪山に飛んでって、前回投稿分の焚き火チームと合流した、ドローン破壊ドラゴンです。
焚き火の上に吊られた鍋が、コトコト、くつくつ、とっても良い香りをしておりますので、
ドラゴンはその香りを間近でかいで、良い気分になって、ゴロン。 焚き火の近くで二度寝です。
ドラゴンはとっても強いドラゴンで、光と水と少しのカロリーさえあれば十分活動できます。
でも管理局に身を売ってからの●●●日で、美味いものを楽しむということを知ってしまったので、
良い香りのスープ、良い香りの肉、良い香りの唐辛子系スパイスを、特に好むのです。
「ぐるる。ぐるるるる」
ああ、良い香りだ。良い心地だ。
鍋の方に鼻を向けて、ドローン破壊ドラゴンはすぴすぴ、ご機嫌に眠ります。
ドラゴンにとっての「幸せとは」まさにこのこと。
良い心地で居ることです。
ところで
このドラゴン、焚き火の世話をしておるところの
法務部局員の上司でして。
「あっ、部長、お疲れ様です」
幸せそうにスピスピするドラゴンに、焚き火の世話役、言いました。
世話役に、難民支援課から連絡が来ておりました。
すなわち『アンタんとこの特殊即応部門長、ウチのドローン破壊してったんだけど』と。
「あのですね」
ドラゴンの部下が、言いました。
「来たばっかりで申し訳無いのですが、
まずですね。ご自身で破壊したドローンの消火活動、してきていただけます?」
ドラゴンは寝ぼけておりました。
ドラゴンはただ、幸せの只中で、あくびなどして、
首をかっくり傾けるのでした。
ひょっとしたら次回に続くかもしれないおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
どこかの世界と別の世界を繋ぐ航路を敷設したり、
航路上の世界が滅んだらその航路を封鎖したり、
その世界からこぼれ落ちたチートアイテムが他の世界に影響を及ぼす前に、回収したり。
要するに世界線管理局は、世界に関するいろんな仕事を、本当に色々としておるのでした。
さて。
そんな世界線管理局には、滅亡世界からこぼれ落ちた難民のためのシェルターが、
文字通りの超地球規模な広さで、
人工的な太陽と月の運行システムまで導入されて、
日本と区分の数こそ違えど季節の移り変わりがあり、
ちゃんと、積雪した山も存在するのでした。
で、
「日の出」というお題ですので
もちろん今回はその雪山のひとつから、
白い息を吐き、焚き火にあたって、
温かいコーヒーなどすすりながら、
日の出を待つ複数名が、ちょうど在りまして。
「見えましたよ」
バチ、ぱきん、バチ、ぱきん。
焚き火の薪の世話をしながら、雪山キャンプのリーダー役が、遠くの山のてっぺんを指しました。
「ほら。あの向こう」
リーダー役は、管理局の法務部執行課、実動班に勤めておりまして、「ツバメ」のビジネスネームを貸与されておりました。
「じき、山全体が赤くなります」
ああ、やっと。
去年まで別の職場で働いておった女性、アテビが、遠いとおい山の先を見て、息を吐きました。
まだ空は薄暗く、日の出の反対側では星が、チラリちらり、まばらに残っていました。
ところで彼女の隣では
経理部のヒョロいボクっこマンチカンが
寒さでぷるぷる、心細さでカタカタ、
もうひとりの女性と手を取り合っていますし
その「もうひとりの女性」はといえば
ツバメが生涯の推しカプのひとりでありまして
尊みでぷるぷる、過呼吸気味でハァハァ、
心を鎮めようとボクっこマンチの手を
ぎゅぅぅ、っと握り返しておりますが
今回のお題とは無関係なので放置しましょう。
「ほら。 初日の出ではありませんが。
見えてきますよ。雪山から見る日の出です」
ギャン!! ギャン!!
静寂の雪山に、雄狐の吠える声が響きます。
夜を越す湖から朝食の湿原へ、
くぅ、くわっくわっ! くぅ、くわっくわっ!
白い鳥が群れを為して、飛んでゆきます。
「良いものでしょう。たまには。こういう経験も」
「はい。とっても」
ひょんなことから転職してきたアテビです。
「アテビ」は前職で貰った仮名でフェイク。
2月いっぱいで新しい、管理局側のビジネスネームが局から貸与され、正式に配属・着任です。
その前に「アテビ」としての最後の思い出でも、どうですか。ツバメが提案して、山に来たのでした。
ところで日の出の反対側の遠いとおい草原で
ミニチュア太陽ドローンの飛行テストなどが始まり
小さな太陽球がプカプカぽわぽわ浮きまして
テストは見事に大成功したのですが
ミニチュア太陽の展開場所が悪かったのか
玉の上でたまたまドラゴンが寝ておりまして、
とつぜん浮いた寝床で飛び起きて、寝ぼけてはてなマークを量産しておりまして、
ドラゴンとしては、ミニチュア太陽ドローンは完全に、迷惑な日の出ムーブになったとさ。
今年は少し、本当にすこし、ダイエットなど始めようと考えておる物書きです。
別に、BMIとしては、本当に、特に、無難なのです
(お察しください)
ただ皮下脂肪というものは内臓脂肪より落ちやすいと、どこぞのネットで知りましたので、
そう、ほら、今年の抱負として
(お略)
というのはそのへんに置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。
最近最近の都内某所、某本物の稲荷狐が居る稲荷神社は、今年の書き初めイベントが終わったところ。
紅白のしめ縄をちょうちょ結びに、首輪のように、かわいらしく飾った子狐が、
背負った大筆に墨汁をつけて、稲荷寿司とお揚げさんで接待されて、それはそれはご機嫌で、
大きなおおきな半紙の上を、全力疾走。
お狐様が走り回った半紙の切れ端に、今年の抱負をよくよく念じて、それをお焚き上げに投じれば、
念じた抱負をやり遂げるためのチカラを、御狐様が授けてくれる、と言われています。
ホントかどうかは、人間には分かりません。
だって検証しようがないのです。
再現性にも、乏しいのです。
それでも、その稲荷神社の参拝客は、「あれを為したい」、「これを為したい」の小さな願いを、
参拝客は今年の抱負として、半紙に託すのです。
ところでそんな抱負の半紙を
ギューっと握って
ガチめに二重にも三重にも願掛けして
そしてお焚き上げの焚き火にくべて
パンパン!二拍手一礼する野郎がありまして。
「今年こそは、今年こそはッ!!
この東京を滅亡世界の難民たちのために!
開放してみせる!!」
なんだか妙な抱負もあったものです。
どうやらフィクションふぁんたじーな物語らしく、
「ここ」ではない、別の世界から来たようです。
「あと今年はゼッテーに副業で黒字にする!
薪材ビジネスと飲食で!脱!資金難!!」
ノーモア!利益ドロボウ!!
ノーモアキャンプ管理官!!
ドチャクソに必死に願掛けする、野郎の右隣と左隣では、野郎の部下の女性が双方ため息。
「取り敢えず、夏からずっと不通のゲートが、今年こそ開通すればそれで良いですよね」
「あと難民さんね。 現地さんとのトラブルなく、無病で過ごしてくれれば」
「ね」 「ねー」
おみくじ引いて帰りましょうか。
今年の抱負もそこそこに、部下の面々は上司を置いて、稲荷まんじゅう買って帰ります。
「アテビちゃんとこ寄ってく?」
「そっとしてあげましょ。せっかく自分がやりたいこと、こっちで見つけたんだもの」
メスの大人の稲荷狐が、その様子をじーっと観察して、クシュン!くしゃみをひとつしましたが、
そっちの物語はお題と無関係なので、
気にしない、気にしない。 おしまい。
新年も2日目をそろそろ終えるこの頃です。
「ここ」ではないどこか、別の世界の厨二ふぁんたじー組織「世界線管理局」は、
たまたま、妙な偶然から、あるいはご都合のお約束から、「こっち」の世界とよく似たカレンダーを使っている部署がありまして、
すなわち、世界線管理局の広報部、企画課の企画・運営班のことでありました。
「定刻になりました」
日本の新年に合わせて、企画課の優秀なエリートの面々は、大事な会議に臨みました。
「これより定例意見交換会を開催します。
まず広報部長、あけぼの部長に、挨拶を頂きます」
「諸君。新年、おめでとう」
静かで重々しい、しかし間違いなく力強い男声が、
心持ち薄暗い気がしないでもない室内に響きます。
「諸君ら企画・運営班の勤労ぶりは、この私、あけぼのもよく知るところである。
諸君らの知るとおり、我等、管理局の最終的な稼ぎ頭は、間違いなくプロアイルルス経理部長だが、
5つ存在するそもそもの原資の、そのひとつこそ、諸君らによるソーシャルゲーム事業である」
ご苦労。ただただ、ご苦労。
あけぼの部長はゆっくり、部下を見渡しました。
彼等、企画・運営班は、これまで約10年続いてきたソーシャルゲームを通じて、
それとなく、それと明記せず、世界線管理局の組織的理念や活動内容を広報してきました。
そして、新年を迎えた本年、企画・運営班は満を持して新しいゲームアプリをリリースするのです。
世界線管理局がどのような組織か、
何を守り、何を整備し、何を取り締まっているか、
そしてなにより、なぜ世界線管理局という世界が必要とされているのか、
フィクション、異世界、2次元の偽装をかぶって、引き続き、こっちの世界に広報するのです。
企画・運営班の本当のメインは、ゲームアプリ運営による課金収入や広告収入ではありません。
別の世界で実際に活動している管理局の活動を、「こっち」の世界に、知らせること。
収入に関しては「付いてくればそれで良い」程度。
ゆえに、企画・運営班はただただ、自分が作りたいもの・見たいもの・動かしたいものその一点を、
往年も、新年も、突き詰めるのでした。
結果としてゴニョゴニョ以下略(後述)
とはいえ、間違いなく結果として、
世界線管理局が何者であるか、「ひとつのゲーム、ひとつのフィクションにおける設定」として、
間違いなく、浸透したのでした。
「新年も、諸君の活躍と貢献に期待している」
あけぼの部長が言いました。
「以上。さっそく、意見交換に取り掛かってくれ」
あけぼの部長は静かに、力強くそう結んで、
そして、部下たちを信頼して退席したのでした。
「これより、意見交換に」
意見交換に、移ります。司会役が言い終わる前に、
スッ、とハンドサインを挙げる者が在りました。
「あのな」
企画・運営班はただただ、自分が作りたいもの・見たいもの・動かしたいものを突き詰めます。
ゆえに、意見交換は結果として、
往年もそうだったように、
新年も、戦場となるのです。
「旧アプリの【ピー】比率、調べたけど、
【ピー】と比較してあからさまに【ピーピー】の方が【ピーーーーーーー】で、どないなん」
「あ?【ピー】こそ至高だろ何言ってんの」
「異議。【ア〜ン】も【オーゥ】も【わぁ〜ぉ】も不要。新アプリは健全路線で、
カップリングの余地を、すべてに残すべき」
「ハァぁ??」
企画・運営班はただただ、自分が作りたいもの・見たいもの・動かしたいものを、突き詰めます。
ゆえに企画・運営班の意見交換は、
往年も新年も、本当に、ほんとうに、再度明記しますが、 戦場と、なるのでした。
謹賀新年。「良いお年を」のお題を、元旦に投稿することになった物書きです。
2023年にアカウントを開設して、3回目の年越し。3月には4周年、シーズン4開始予定。
本当に年月は本当に早いものです
というご挨拶は置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。
元旦早朝の都内某所、某アパートの一室です。
藤森という雪国出身者が静かに住んでおり、
アパートの近くには不思議なふしぎな、本物の稲荷狐が住まう稲荷神社がありました。
神社が混み合う前に早々に新年のご挨拶をして、
稲荷子狐の頭とポンポンをちょっと撫でてやって、
神社を管理している家族の奥さんが経営しているお茶っ葉屋さんにでも寄って帰ろうかと、
素早く身なりを整えて、部屋から出ていこうかと
思っておったところですが、
「おとくいさん、あけまして、あそべ、あそべ!」
なんということでしょう。
藤森の頭に狐の子供がピョン!飛び乗りまして、
わしわしわし、カジカジカジ!
髪を噛んで噛んで、毛づくろいごっこしています。
そうですこの子狐こそ、
藤森のアパートの近所、都内にしては深めの森の中、稲荷神社に住まう、稲荷子狐なのです。
どうやって藤森の部屋に入ったんでしょうね
(気にしてはいけません)
「あのな子狐、私はこれから、お前のところの神社に挨拶に行かなきゃならない」
「いらない!あそべ、あそべ」
「去年というか昨日、遊んでやっただろう。
お前が満足するまで、おなかも撫でてやって、
『良いお年を』でおしまい。数時間前だ」
「良いお年をした。良いお年を終わった。
今年なったから、おとくいさん、あそべ」
「こぎつね」
「あそんでくれなきゃ、おとくいさんのレーゾーコの中のお水、ぜんぶオミキ、お神酒にする」
「それは酷く非常に困るからやめてくれ子狐」
「キノコをもちキンチャク」
「こ ぎ つ ね」
ああもう。 あーもう。
稲荷子狐のお得意様に認定されている藤森です。
しゃーないのです。稲荷の狐は善き人、善きモノ、善き供え物への執着が、バチクソなのです。
藤森は魂の根っこが誠実で、優しいので、
諸事情あって、稲荷子狐に匂いを嗅がれて、お気に入り認定されてしまったのです。
結果、藤森と稲荷子狐の付き合いは、
「良いお年を」と「新年明けました」を繰り返し、
かれこれ、2023年から通してそろそろ4年目。
子狐が藤森の頭をカジるのも、じき4年目です。
「おあげさん、おあげさん」
「分かった。わかったから。ちょっとだけだぞ」
「あそべあそべ!おとくいさん、あそべ」
キャキャキャ、きゃっきゃ!
子狐は元旦の早朝からご機嫌。
時計を見れば、段々とお昼が迫ってきますが、
執着強い稲荷子狐、なかなか開放してくれません。
「そろそろお前のお母さんのお店にだな」
「かかさん!」
「そうだ、お前の、かかさんのお店に挨拶を」
「せなかなでて」
「こぎつね」
「良いお年を」から数時間、そろそろ稲荷神社とお茶っ葉屋さんに行きたい藤森でしたが、
元旦から色々ありまして、朝は稲荷子狐の接待に、時間が使われましたとさ。