前回投稿分の続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの収蔵部で働く、ドワーフホトというビジネスネームのお嬢さんと、
経理部のスフィンクスという女性エンジニアは、
入局が同じ年だったこともあり、とっても仲良し。
前回投稿分では彼女たちの職場に魔女のアンゴラおばあちゃんが、
プラネタリウムと花見を一緒に楽しめる、コンセプトカフェを期間限定オープンしましたので、
2人並んで、美しい桜と魔法のプラネタリウムを、
穏やかに、幸福に、楽しんでおりました。
ところで
前回投稿分で
このスフィンクスとドワーフホトに
ティーセットと料理を運んできたヤツですが
去年のあたりにドワーフホトお嬢さんに命を救われて別組織から天職してきた
ホトお嬢さん推しのハイスペ執事野郎でして。
(お題回収開始)
「ハァ。 ホト様、ドワーフホト様。
今日もやはり、おうつくしい」
アンゴラおばあちゃんにホトサマスキーの弱みを握られて、3日の短期バイトを契約させられて、
大忙し、てんてこ舞いの野郎です。
前職はビジネスネームをネギと、管理局入局後はカモと言います。
「ホト様、俺はあなたに救っていただいてから、ずっと、あの御恩を忘れたことはありません……」
アンゴラばあちゃんの見込んだとおり、
まるで人気飲食店のホールでもレジでもワンオペでも数年の経験があるかのように、
カモはテキパキ、手ぎわ良く、私情を挟んでも決して仕事はおろそかにせず、
予約をさばき、会計を見て、テーブルも見て、
誰より多くの仕事を、効率よく為しました。
ところでさっき少しだけ
ほんの少しだけお嬢さんと目が合った気がします
(君の目を見つめると云々)
だけど、カモは知っています。
ドワーフホトお嬢さんと、スフィンクスの間に入り込むことは、誰にも、何人にも、カモにも、
決して、許されないことなのです。
カモは、ちゃんとわきまえる、紳士なのです。
ところでそんな仲良しの
ドワーフホトお嬢さんとスフィンクスが
嬉しそうに、幸福そうに、視線を合わせています
(君の目を見つめると略)
お嬢さんと、お嬢さんの親友が、幸福にしている。
それを見るだけで、それと目が合うだけで、
カモは胸があつくなり、お嬢さんからの御恩を思い出して、
恩返しの心を、あらたにするのでした。
「ホトさま、ドワーフホトさま」
「バイトくん、バイトくん最上層フロアのヘルプに行ってちょうだい」
「あなたの目を見つめると、俺は、私は……」
「バイトくん、ちょっと、カモくん」
「ああ、ホト様」
「そのドワーフホトちゃんがいる最上層フロアの注文が詰まってるのよ。ヘルプにいt」
「ただちに行ってきますアンゴラ店長」
「頼んだわよ〜」
てきてきパキパキ、テキテキぱきぱき。
アンゴラばあちゃんが自分のとこの、東京に持っている喫茶店に採用してやろうかと思う程度には、
ハイスペ執事のカモはハイスペに、仕事をこなして終わらせました。
その間もカモが推している、ドワーフホトお嬢さんは、大親友と幸福な時間を過ごしておったとさ。
お題とは完全に真逆、空の上では今頃 例の、アルテミスだかオリオンだかの宇宙船が、
月への最接近、歴史上最長距離への到達、フライバイに向けて、順調に飛行中だとか。
所要時間10日ほどの任務過程は、もうじき、往路から復路へと切り替わるそうです。
と、いうハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。
「ここ」ではないどこか、別の世界、別の宇宙に、
世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織があって、
そこが所有・管理する難民シェルターには、
滅んだ世界からこぼれ落ちた難民が、衣食住にリラクゼーション、それから娯楽も仕事も揃った快適生活を送っておりました。
なんてったって、三食おやつ付き、自分の好きな店で好きなものを食べられるのです。
ところでそんなシェルターの、人工太陽によって運行管理された季節は、
そろそろ、「こっち」の世界でいうところの春の頃合い。ポカポカとても良い陽気です。
その陽気のある日、管理局収蔵部の魔女、
アンゴラというビジネスネームのおばあちゃんが、
期間限定の喫茶店を、オープンしました。
アンゴラおばあちゃんが開いた喫茶店は、
すなわち、星空花見ティーパーティー。
魔法のプラネタリウム投影器によって映し出された星空の下で、桜を見ながら紅茶にコーヒー、
あるいはいくつかのお酒と一緒に、
星のモチーフのケーキや焼き菓子、サンドイッチにキャンディー等々を、
ゆっくり、楽しむのでした。
「わぁお。なかなか、良いふんいき〜」
「時間によって、どこの世界の星座が投影されてるか、変えてあるんだとさ」
「あたしの故郷の星座、見れるかなぁ」
さて。オープニングセレモニーもそこそこに、星空の下の観桜喫茶が開店です。
収蔵部のアンゴラおばあちゃんから招待された、収蔵部のドワーフホトお嬢さんと経理部のスフィンクスは、お店の居心地に大満足
プラネタリウムが見やすいように、しかし桜も美しく見えるように、
電気設備の専門家、デンセツもとい電設のカモシカが、絶妙な暗明を投げかけています。
スフィンクスのエスコートを受けて、ドワーフホトお嬢さんが席に座ります。
お嬢さんの上には満開の桜と、どこかの世界のどこかの宙域から見える星座に銀河。
星空の下で、お嬢さんは大好きな大好きな大親友のスフィンクスと一緒に、
まず、ウェルカムドリンクのハーブティーを1杯、2杯、楽しみました。
ところで
お嬢さんのそこそこ近いあたりで
初手からケロっとした顔でもって
ドチャクソに度数の高いお酒など1本
フツーにオーダーしとるのが居ます。
酒豪さんの隣でおくちパッカンしとるのは
経理部のマンチカンではないかしら。
気のせいかしら。
お題と無関係だから気にしないかしら。
「お待たせしました。星空の花見ティーパーティー・グランドスペシャルです」
マンチのやつ大丈夫か?
スフィンクスが小首を傾けてるところに、桜と夜空をモチーフにした美しい制服のウエイターが、
ガラリ、がらり。
サービスワゴンでもって、桜のケーキスタンドと星空のケーキスタンド、それから桜のティーセットと星空のティーセットを、持ってきました。
美しい桜と星のティー&スイーツで、ドワーフホトとスフィンクスのテーブルはいっぱい。
「失礼いたします」
ウエイターが、シャリシャリ、星空ティーにシトラスの皮を削り散らしました。
「では、ごゆっくりお楽しみください」
星空ティーに浮いた小ちゃなシトラスは、まるで、銀河の流れのようでした。
「じゃ、飲むか」
スフィンクスが、星空ティーカップを持ちました。
「かんぱぁ〜い」
ドワーフホトが、桜のティーカップを持ちました。
ふたりは魔法の星空の下で、桜を見ながら、
美しいティータイムを一緒に楽しむのでした。
前々回から続くおはなしも、ようやくおしまい。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこではいろんな世界からいろんな種族が、
人類も獣人もドラゴン種も妖精も宇宙タコも、
それぞれがそれぞれの役目に誇りをもって、仕事をしておりました。
今回のお題回収役のドラゴン種は、
管理局の法務部執行課、実動班特殊即応部門の部門長で、ビジネスネームがルリビタキ。
とっても平和な日でしたので、局内の難民シェルターにある原っぱで、ぐーすぴ、かーすぴ。
幸福に、昼寝などしておったところ、
「待ちやがれゴラァ!!」
「どーしたのぉ、どーしたのぉwww
何に怒ってるのかなぁツバメくぅーんwww」
遠くでズドドン!ドガガガガン!
ルリビタキ・ドラゴンからすごく離れたあたりで、彼の部下の人間、ツバメとカラスが、
すなわち前回投稿分に登場した野郎2人が、
すごい形相で追いかけて、
すごく楽しそうに煽って逃げて、
要するに、追いかけっこをしておりました。
いつもは敬語で、礼儀正しく冷静な、あのツバメ副部長がガチギレしています。
ガチギレしたツバメに追われる査問官のツバメが、
ひらぁり、はらぁり、ツバメのガチめの猛攻撃を上手に回避しています。
今日も平和だ。
ルリビタキ・ドラゴンはツバメとカラスが遊んでいるのをふぃっと見て、あくびをアファゥン。
それでいいと、昼寝をし直しms
「今日という今日は許さねぇ!!
たったひとつ、たったひとつ!!『あの』コーヒーにさえ手を出さなけりゃ、【ピーー】で勘弁してやろうと思ったが!!
テメェ!!よりによって!!『あの』棚の豆を開けやがって!!許さねぇ!!」
「へー、過激ぃ〜www
許さないってどーするのぉ、ねぇ、
どーするのかなツバメくぅーんwww」
ドガガガガ!!ガガガズダダダン!!
ルリビタキ・ドラゴンから少し離れたあたりで、ブチギレのツバメとイタズラカラスが、
すなわち確実にこちらに近づいてくる野郎2人が、
すごい形相で追いかけて、
すごく楽しそうに煽って逃げて、
相変わらず、追いかけっこをしております。
少しうるさいけれど、やはり平和だ。
ルリビタキ・ドラゴンは眠気で重い頭をふぃっと上げて、あくびをアファァゥン。
それでもいいと、今度こそ昼寝をしn
「ツバメくーん、ツバメくぅん、随分と戦闘スキルが落ちたねぇ、俺に副部長の席ゆずる〜?」
「うるせぇ!!【ピーー】ってやるから、そこを動くな!!【ピーーーーーー バキューン】!!!」
「わぁ野蛮wwwwわぁ野蛮〜〜wwwww」
ガガズダダン!!ズドドドドダン!!
ギャギャズダダダズダダダガガガガガダダダン!!
「……」
とうとうツバメとカラスの鬼ごっこは、
ルリビタキ・ドラゴンのすぐ近く、それほど離れていない距離に、場所を移してしまいました。
「【ピーーー ピーーー ピーーーー】!!!」
「そっかそっかぁツバメぼっちゃん、
コワイ言葉を使いたいんだね〜、そっかーwww
コワイ、コワ〜イ、副部長かわいーwww」
ガガン!!ガガズダダン!!
ツバメは容赦なく、管理局収蔵のアイテムを使って大暴れするし、
カラスはツバメを煽って、ひらぁり、はらぁり。
ガン!!
ツバメの攻撃が、ドラゴンの隣に落ちました。
原っぱがえぐれて、穴ぼこになりました。
「……」
これにはルリビタキ・ドラゴンも、さすがに、指導スイッチが入りまして。
ドラゴン種特有の強力な魔法と強力なチカラでもって、やんちゃ野郎の2人組を拘束!!
大人オオカミが子オオカミを叱るように、ひとつ吠えて、見下ろして、圧をかけて、
ツバメもカラスも正座で反省しておったので、
ドラゴンはようやく、それでいいと、
ふたりを許しましたとさ。
前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの法務部執行課の、ビジネスネームをツバメという男はコーヒーが大好き。
前回投稿分では、彼の大切なもの、コーヒー豆の保管庫に、収蔵部のお嬢さん・ドワーフホトが、
まさかのツバメの保管庫の、セキュリティーを全部ぜんぶ突破して、
一直線、ツバメが保管しておったところの練乳の小瓶を、手にとり熱心に調べておった映像が、
豆保管庫の防犯カメラに、残っておりました。
「随分と、真剣に調べてるメェ」
ホトさん、なんのつもりだメ?
ツバメといっしょにカメラの映像を観ておった局員、保管庫の責任者をしている通称「黒ヤギ」が、
メェメェ、首をかしげて言いました。
映像の中のドワーフホトお嬢さんは、薄暗い保管庫の中で、持ち込んだ鉱石ランタンを頼りに、
一生懸命、練乳の小瓶のイラストや、文字等々、
収集できる情報をメモ用紙に書き込んでいます。
『んぅぅ〜〜……』
映像の中のお嬢さんは、本当に目当てとしている、
「1つだけ」の、本当に欲しい1つだけの情報が、
まだ、手に入らないでいる様子。
『直接聞いた方が、早いのかなぁ〜……』
「なにを聞くメ?」
「聞く? 直接、私に?」
「ホトさん、そう言ってるメ」
「きく……」
そうか。練乳の小瓶の、販売場所か商品名だ。
ツバメは思い至りました。
ドワーフホトがランタンの光でもって、傾けたり覗き込んだりしている小瓶は、非売品でした。
とある高原の小さな牧場で、生乳の廃棄を増やさぬよう、もったいない精神で作られたものでした。
自分で使うために作ったものであって、ヒトサマに売れるような物じゃない。
産直市場に行けば、もっと美味しい練乳がある。
申し訳無さそうに言う若い牧場主に、しかしここの練乳が良いのだと、
頼み込んで押し切って、1つだけ、
やっと譲ってもらった最初の小瓶だったのでした。
自家製だから、そりゃ販売場所も商品名も、ましてや値段も成分も、書かれちゃいないのです。
「そんなに美味しい練乳メ?」
「コーヒーに少し入れるのに丁度良いのですよ」
「コーヒーに練乳入れるのメ?」
「少しです。少しだけ」
一生懸命に練乳の小瓶の、特徴やイラストをメモしておったドワーフホトは、
最終的に大きく肩を落として、小瓶を元の場所に丁寧に戻して、としてため息。
寂しそうに、保管庫から出てゆきました。
「どうするメ?」
映像を観終えた黒ヤギが、ツバメに聞きました。
「特に何も盗んでいないようですから」
サラサラサラ、練乳を貰った牧場の名前と連絡先をメモに書きながら、ツバメが答えました。
「1回なら、厳重に注意して、許します」
1回だけですよ。
ツバメは穏やかに笑って、防犯カメラの映像を、
「ん?」
閉じようとしたところ、
映像がパッと一気に明るくなって、
すなわち誰かがツバメのコーヒー保管庫の、照明を付けたようでした。
その誰かとは––
「……カラス査問官?」
ヒヒヒヒヒ。
映像の中の男性、かつてツバメの部署で主任職をして、今は出戻りで尋問官と図書館業務を兼務しているところの彼が、
イタズラな笑顔をして、カメラに向かって、
コーヒー保管庫内で
湯気たつコーヒーカップとソーサーを
スッ、 と見せつけました。
カラスがひょっこり出てきた棚には
ドチャクソに、バチクソに、メチャクチャに、
高価だったり希少だったり超高額だったり
そんな豆が100gずつパック詰めして
保管されておりました。
途端ツバメが跳ね立ちました。
「どうしたのメ!!どうしたのメェ!!」
「あンの野郎『あそこ』に手ェ出しやがって!」
「ツバメさぁぁん!!」
ブチギレたツバメが去って、
黒ヤギだけが取り残されて、
テーブルにはツバメが書いたメモがあります。
黒ヤギはただただ、ポカンとしておりましたとさ。
昔むかし、それこそまだ某1000匹超モンスターが151匹だけだった初代のころ、
使用ボックスひとつを変更しただけで強制セーブが為されていたころ、
120匹ほど図鑑を埋めていた大切なセーブデータを、ニューゲームで上書きしてしまった経験がある物書きです。
大切なものが、一瞬で吹っ飛んだのです。
懐かしい、いたましい思い出です。
と、いうハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまりはじまり。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこには滅んだ世界からこぼれ落ちたアイテムや、
生存世界に落っこちて悪さをした滅亡世界の技術、
滅亡世界がどこかの世界へ託したかった魔法等々、
様々な「大切なもの」が、収蔵されておりました。
その中でもなかなか便利な機械が
保存空間生成装置
というチートアイテムでして、
世界線管理局員は、事前に申請書類を書いて提出して、それが空間管理課の審査に通れば、
2年ごとの更新制で、この装置を使って、自分だけの空間を持つことができるのでした。
局員が申請して生成してもらう空間といえば、
たとえば気温がとてつもなく低くて、食材の冷凍保存に適した空間とか、
あるいは面積がドチャクソに広くて、コレクションの金銀財宝を全部収容できる空間とか、
それから、重力がメチャクチャに強くて、常に筋トレの負荷がかかっているっような空間とか。
本当に、様々なものがありました。
今回のおはなしはその中のひとつ、
常に10℃から15℃で、常に湿度が30%で、
常に標高1500m程度の酸素しかなくて、
なにより直射日光・蛍光灯の紫外線が存在しない、
コーヒー豆を保管するにあたって理想に近い環境が整えられた保存空間のおはなし。
その空間の持ち主は法務部の局員で、
ビジネスネームをツバメといい、コーヒーをとても愛している男でして。
「メ。ツバメさん。ちょっとちょっと」
「はい、なにか?」
「報告があるメ。わりと大事な報告だメ」
午前中の法務部の仕事を終えた休憩中のツバメは、
トントントン、環境整備部空間管理課の局員・通称「黒ヤギ」がドアをノックして、
ツバメのことを呼んでいるのを、見つけました。
黒ヤギはとっても真面目な局員で、
なにより、保存空間生成装置の責任者でした。
そんな黒ヤギが言うことには……
「ツバメさんも、保存空間生成装置で、非公開の保存空間を所有してたと思うメ」
「えぇ、そうですね。コーヒー豆の保存用と、私のバイクやアウトドアグッズの保管用を」
「コーヒー豆保存用の空間は、原則的にツバメさん本人しか、利用できないセキュリティーにしてるとリストに記載されてるメ」
「えぇ、まぁ」
「どうも誰かがツバメさんのコーヒー豆保管庫のロックを勝手に開けて忍び込んでるっぽいメ」
「はぁ、 ……は?」
「誰かがツバメさんの大切なものを、
勝手に入り込んで、盗んでる可能性があるメェ」
私の大切なものを??コーヒー豆を??
いや、それとも、コーヒーに入れる砂糖やミルク、あるいはコーヒーを淹れるためのミルを?
なぜ? ツバメは首を、かっくり。
ひとまず保存空間に仕掛けている防犯カメラを遠隔で呼び出して、映像を確認しました。
「自分しか入らない空間なのに、わざわざそんな、防犯カメラを付けてるメ?」
「おかげでこうして、侵入者が出れば映像が証拠として残るでしょう?」
プライバシーな保存空間のセキュリティーは、とってもとっても強固なものです。
誰がそのセキュリティーを突破したのでしょう?
ツバメが映像をスワイプスワイプ、自分が映っているだけのものをスルーし続けてゆきますと、
「ドワーフホトさん?」
収蔵部収蔵課のお嬢さん・ドワーフホトが、薄暗いコーヒー保管庫にランタンとメモを持参して、
トトトト、とととと、
一直線に、コーヒーミルクやコーヒークリーム、それからホイップクリーム等々の乳製品を保管している棚に向かっていって、
そしてひとつ、ちょっと小さめの遮光金属ボトルを、間違いなく手にとりました。
「ホトさん、何してるメ」
「練乳のボトルを手に取りましたね」
「れんにゅー?」
ツバメにとってそのボトルは、
コーヒーに比べれば、大切レベルが2段3段下がりますが、間違いなく大切なものでした。
映像にうつるドワーフホトのお嬢さんは、そのツバメの小さなボトルを、
とても熱心に、真剣に、調べておりました……