かたいなか

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お題とは完全に真逆、空の上では今頃 例の、アルテミスだかオリオンだかの宇宙船が、
月への最接近、歴史上最長距離への到達、フライバイに向けて、順調に飛行中だとか。
所要時間10日ほどの任務過程は、もうじき、往路から復路へと切り替わるそうです。
と、いうハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

「ここ」ではないどこか、別の世界、別の宇宙に、
世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織があって、
そこが所有・管理する難民シェルターには、
滅んだ世界からこぼれ落ちた難民が、衣食住にリラクゼーション、それから娯楽も仕事も揃った快適生活を送っておりました。
なんてったって、三食おやつ付き、自分の好きな店で好きなものを食べられるのです。

ところでそんなシェルターの、人工太陽によって運行管理された季節は、
そろそろ、「こっち」の世界でいうところの春の頃合い。ポカポカとても良い陽気です。
その陽気のある日、管理局収蔵部の魔女、
アンゴラというビジネスネームのおばあちゃんが、
期間限定の喫茶店を、オープンしました。

アンゴラおばあちゃんが開いた喫茶店は、
すなわち、星空花見ティーパーティー。
魔法のプラネタリウム投影器によって映し出された星空の下で、桜を見ながら紅茶にコーヒー、
あるいはいくつかのお酒と一緒に、
星のモチーフのケーキや焼き菓子、サンドイッチにキャンディー等々を、
ゆっくり、楽しむのでした。

「わぁお。なかなか、良いふんいき〜」
「時間によって、どこの世界の星座が投影されてるか、変えてあるんだとさ」
「あたしの故郷の星座、見れるかなぁ」

さて。オープニングセレモニーもそこそこに、星空の下の観桜喫茶が開店です。
収蔵部のアンゴラおばあちゃんから招待された、収蔵部のドワーフホトお嬢さんと経理部のスフィンクスは、お店の居心地に大満足
プラネタリウムが見やすいように、しかし桜も美しく見えるように、
電気設備の専門家、デンセツもとい電設のカモシカが、絶妙な暗明を投げかけています。

スフィンクスのエスコートを受けて、ドワーフホトお嬢さんが席に座ります。
お嬢さんの上には満開の桜と、どこかの世界のどこかの宙域から見える星座に銀河。
星空の下で、お嬢さんは大好きな大好きな大親友のスフィンクスと一緒に、
まず、ウェルカムドリンクのハーブティーを1杯、2杯、楽しみました。

ところで
お嬢さんのそこそこ近いあたりで
初手からケロっとした顔でもって
ドチャクソに度数の高いお酒など1本
フツーにオーダーしとるのが居ます。

酒豪さんの隣でおくちパッカンしとるのは
経理部のマンチカンではないかしら。
気のせいかしら。
お題と無関係だから気にしないかしら。

「お待たせしました。星空の花見ティーパーティー・グランドスペシャルです」
マンチのやつ大丈夫か?
スフィンクスが小首を傾けてるところに、桜と夜空をモチーフにした美しい制服のウエイターが、
ガラリ、がらり。
サービスワゴンでもって、桜のケーキスタンドと星空のケーキスタンド、それから桜のティーセットと星空のティーセットを、持ってきました。

美しい桜と星のティー&スイーツで、ドワーフホトとスフィンクスのテーブルはいっぱい。
「失礼いたします」
ウエイターが、シャリシャリ、星空ティーにシトラスの皮を削り散らしました。
「では、ごゆっくりお楽しみください」
星空ティーに浮いた小ちゃなシトラスは、まるで、銀河の流れのようでした。

「じゃ、飲むか」
スフィンクスが、星空ティーカップを持ちました。
「かんぱぁ〜い」
ドワーフホトが、桜のティーカップを持ちました。

ふたりは魔法の星空の下で、桜を見ながら、
美しいティータイムを一緒に楽しむのでした。

4/6/2026, 4:38:19 AM