かたいなか

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1/29/2026, 6:36:17 AM

ラストダンジョンがニューヨークの街へ突っ込み、
街へ突っ込んだダンジョンから実在の建物の上にステージが切り替わって、
建物の上でそのままラスボス戦開始のゲームが、
約25年前に爆誕しました
(??「人の人生は限られている」)

という時事的かつ速攻お題回収なハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近の都内某所、某アパートの一室に、
藤森という名前の雪国出身者がおりまして、
その日は近所の稲荷神社を管理している一家のお母さんに頼まれて、稲荷子狐の散歩中。

子狐のハーネスにはお母さんが経営しておるお茶っ葉屋さんの、バレンタインフェアの告知がドン。
子狐を珍しがってスマホを向け、SNSにアップすれば、必然と茶っ葉屋の宣伝にもなるのです。

しゃかしゃかしゃか、カチャカチャカチャ。
子狐が比較的人間の数が少ない道路を歩きます。
しゃかしゃかしゃか、カチャカチャカチャ。
商店街へ向かう子狐の、爪が道路を叩きます。

稲荷神社を出発して、神社から伸びる商店街へ足を進めて端まで行って、一往復。
子狐は赤い前掛け、えんじ色のハーネスでご機嫌。
縫い付けた広告には金色のミシン糸で、稲荷狐の四宝のひとつ、宝珠が描かれておりました。

「……」
ところで藤森の表情は、子狐と違って少し不安。
というのも藤森、街への散歩の道中で、
八百屋さんなり
お酒屋さんなり
お肉屋さんなりそれぞれから、
「茶っ葉屋さんに届けてくれ」と、
荷物の配達を任されることになっておりまして。

去年の初夏に同様のお散歩を
同じ商店街へのルート指定でもって任された日は
アウトドア用のキャリーワゴンでも
1台いや2台くらい持ってくるべきだったと
本気で、ほんきで、思ったくらいだったのです。

『どこの誰とは言いませんが、複数政党の複数人が、既に必勝祈願のご祈祷を予約していましてね』
仕方ないのですよ。ふふふ。
藤森に稲荷子狐の散歩を依頼したお母さんが、狐のように不思議な微笑して、言いました。
『今日の夜から日曜まで、慌ただしくなりますの』
決して、あなたをアマーゾンやイーオーン扱いしているワケでは、ないのですよ。
商店街へ向かう藤森を、不思議な笑顔でもって、送り出したのでした。

密林でも永遠スーパーでもないなら
藤森はラクーテンかもしれません(同業他社)

おにく。おにく。
カシャカシャしゃかしゃかしゃか!
商店街のお肉屋さんに、突撃してお肉の差し入れを貰おうとしておる子狐です。
リードはピンと張って、子狐なりに一生懸命、藤森を引っ張ります。ジャーキーを発見したのです。

「こら子狐。肉は別の店で購入予定だ」
子狐を商店街の歩道に引き戻そうと、
藤森も藤森で、一生懸命。
「今は我慢してくれ。な。子狐。こーぎーつーね」
荷物を持って、子狐も引いて、藤森は大忙し。

「こぎつね!」
ぎゃぎゃっ!ぎゃぎゃ!ぎゃん!
「駄目と言ったら!駄目だ!」
ぎゃーん!ぎゃーん!ここココンコンコン!

散歩で稲荷神社から商店街へ。
行って戻っての単純ルートのハズでしたが、
お肉屋さんにお豆腐屋さん、あっちこっちに子狐が顔を出しては追加の買い物が増えまして、
結局、商店街へのお散歩は、予定より1時間遅く、終了しましたとさ。

1/28/2026, 4:25:29 AM

いろんなタイプの「優しい」が、星の数だけ存在することと思う物書きです。
作る優しさ、触れる優しさ、飲ませる優しさに優しさの料理、優しさの空回り。
その「優しさ」がお題とのことなので、おはなしをひとつ、ご紹介。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこの法務部執行課、実動班特殊即応部門は、
まさかの全員、言葉を話す不思議なハムスター。
小さな体であっちこっち走り回り、様々な危ない組織に潜り込んで、あらゆる情報を取ってきます。

今回のお題回収役はそのハムズの中の、
ジャンガリアンだかロボロフスキーだか、ともかく灰色ハムスター、「ムクドリ」。
ハムなのに鳥類の名前です。
細かいことをきにしてはなりません。

管理局はビジネスネーム制を敷いており、
法務部に属する局員は、それが人間でもドラゴンでも宇宙タコでもハムスターでも、
全員、鳥類の名前を貸与されるのです。

で、とっとこムクドリのおはなしです。
ムクドリはその日もカラカラしゃーしゃー、
ネズミの回し車によく似た不思議アンティーク器具をとっとことっとこ回しまして、
それによって、1杯分のグアテマラコーヒー豆を、カンペキな温度管理でもって焙煎中。

ムクドリは自分の体の温度を、
零下は液体ヘリウムほど、高温は液体タングステンほど、すなわち極低温から業火まで、
0.1℃単位で調整できるハムスターなのでした。

すなわち1杯1杯のコーヒー豆を
そのコーヒー豆が最も香り高く、最も味わい深く、最も雑味の少ない温度でもって、
とっとこ最適に、焙煎することが可能なのです。

とっとこムクドリはここ1〜2年、コーヒー専門店の店長にして唯一の店員。
売り上げが目標金額に到達するまで、店から出してもらえません。

というのもとっとこムクドリ、
本物の魔女のおばあちゃんが経営する喫茶店の
あの家具そのコードあれこれかじって
魔女のおばあちゃんの堪忍袋の緒までぶっつん
一気に噛み切ってしまいまして。
『ここで修理費を返済なさい』
魔女のおばあちゃんはムクドリを、
世界線管理局内に建てたコーヒー専門店の中に
魔法でもって、閉じ込めてしまったのです。

あらタイヘン
(返済すれば出られるという優しさ)
まぁタイヘン
(お題回収完了)

「なにが優しさだよ、ちくしょう!」
ギーギー!ぎーぎー!
とっとこムクドリがキレています。
「僕たちハムスターはハムスターなんだぞ!
硬いものを噛みたくなるのは、本能だぞ!
なのにこんな、こんなッ、虐待だ!」

ギーギーギー!ちゅーちゅーちゅー!
魔女のおばあちゃんの財産に、●桁円単位で損害を与えたムクドリが、罰の減刑を求めt
「借金返済して!ここから出たら!
仕返しにあいつの店のテーブルをかじってやる!」
減刑を求めてるんだか更なる罪を重ねる宣言だか
もはや不明な絶叫をしています。

「あのですねムクドリ。そろそろ戻ってきてもらわないと、我々も困ります」
はいよ!グアマテラのブラックおまち!
ムクドリから焙煎したて、挽きたて、淹れたての3たてコーヒーを受け取って、
ムクドリと同じ法務部所属、実動班特殊即応部門の人間男性・ツバメが、
最高のコーヒーで唇と喉を湿らせて、言いました。
「もう少しこう、彼女への復讐ではなく、
優しさと寛容の心で、ですね」

「監禁ハンタイ!脱借金!」
ギーギーチュー!
とっとこムクドリはプンプン。
次のお客のコーヒー豆を焙煎器に入れて、
自分の借金を減らすために、またガラガラちゅーちゅー回し車型焙煎器を回し始めましたとさ。

1/27/2026, 6:41:18 AM

ノリノリ音楽と一緒に爆速で、主に都内の湾岸なんかを走行する、漫画原作が思い浮かぶお題です。
映画にもなったとか。
世代ながら未履修の物書きが、「ミッドナイト」をお題に物語をひとつご紹介。

最近最近のおはなしです。
都内某所、某不思議な稲荷神社の近くに、
お題どおりミッドナイト、深夜にしか姿を現さないおでん屋台が時折確率で出現しまして、
そこの店主は生粋の呑んべぇ、あらゆるお酒を愛し、様々なお酒に合うおでんを出しておりました。

「昔々やんちゃしてお偉いさんに、こっぴどく怒られた」とは店主の言葉。
それでもお酒が飲みたくて飲みたくて、今後一切悪いことをしないことを条件に、許してもらったのが【ピー】年前。
当時は若かったそうです。
そんな店主が深く暗いミッドナイトに、赤提灯の火を灯しますと、
ポツポツ、ぽつぽつ。
人外だの妖怪だの、別世界から東京に来た渡航者だのが、屋台の料理とお酒を楽しむのでした。

ところでその日のミッドナイトは
屋台にスペースを貸してる稲荷神社に住まう
本物の稲荷狐のおじいちゃんとおばあちゃんと
それからその2匹の孫の子狐が
それぞれお肉だのお酒だのを楽しんでおりまして。

「それでな、ワシとかかさんは、その怨霊になってしもうた幽霊をこう、バーンと、ばーんと」
デロンデロンおじいちゃん狐は、ちびちびピチャピチャ幸福に、文字通りコップのお酒を舐めます。
「その時のかかさんはなぁ、牙は鋭く、毛並みは美しく、狐火は熱く、秘術は強く、
でもその頃より更に、今はべっぴんなんじゃ……」

はいはい。はいはい。
おばあちゃん狐も店主もおじいちゃん狐のハナシは完全スルー。だってこれで2周目なのです。
おじいちゃん狐はおばあちゃん狐が大好き。
ずっとずっと、おばあちゃん狐の美しさ、賢さ、強さを自慢しておるのです。
「かかさん、かかさん、ああ、ワシのかかさん」

お酒と花の香りを口からヴァーして、
狐のおじいちゃんはおばあちゃんにグルーミング。
当然、おばあちゃん狐はキツイにおいが近づいてくるので、お耳が威嚇でイカさんしています。

くぅくく ギャッ! くくくぅくわぅ ギャギャ!
おじいちゃん狐とおばあちゃん狐が老夫婦漫才してる間、孫の子狐はちゃむちゃむちゃむ!
一心不乱に牛すじと、豚の角煮と、ソーセージと餅巾着と油揚げを、それぞれ食っておりました。
「おいしい。おいしい」
ちゃむちゃむちゃむちゃむ!
子狐のトレンドは油揚げ系と、なによりお肉。
おじいちゃん狐が好きなだけ食って良いと言いましたので、遠慮なく片っ端から食っておるのでした。

「ああ、かかさん、かかさん」
「はいはい」
「かかさんとワシの出会いは、昔々そのまた昔」
「はいはい」
「あれはまだ江戸も無かったころ……」

こやこや、コンコン。
ミッドナイト限定のおでん屋台から赤提灯の灯火が消えるまで、
おじいちゃん狐はずっとずっと、おばあちゃん狐の自慢話をリピートして、
こやこや、コンコン。
お酒の香りとおでんの香りで、ミッドナイトはゆるゆる、過ぎてゆきましたとさ。

1/26/2026, 4:11:29 AM

私、永遠の後輩こと高葉井は、
職場の昼休憩中に、なんか妙な夢を見た。
私は知らない場所を全力で走ってて、
私の前を、誰か男の人が同じく走ってる。

それが誰は分からない。
声は私の推しカプの右側に似てるけど違って、
顔は逆光で分からない。

私は走ってる間にコケて、
その人は、私をお姫様抱っこして走り続けた。

夢の最後でどこかのヘリポートに着いた私と誰かを待ってたのは、
私と同じ職場に勤めてる同僚の、付烏月(つうき)さん……に似てるけど違う声の男性。
これまた顔は逆光だ。分からない。
『つんでれ?』って茶化されたから、
私はそいつを引っ叩いて、
それで、起きた。

…——「っていうことがあってさ」
「そーなのかー」
「ヘリの近くで電話してた誰かが、付烏月さんの声に似てたけど、違う声でさ」
「そーなのかー」

「なんだったんだろうってさ」
「後輩ちゃん電話対応ヨロシクねん」
「こんにちは私立全世界図書館東京分館でs
はいゲーム『世界線管理局』コラボのストラップですね。ルー部長版もツー様版も在庫十分でs
はい私もツル派ですお待ちしてます
お取り置k はい不要で。 お待ちしてます」

図書館職員室で自分の仕事をしながら、
同僚で、夢の中に出てきたっぽい付烏月さんに、
なんとなく、私はそのハナシを持ち出した。

特に意味は無い。
強いて意味を付けるなら、私の職場で開催中の、
「その」推しイメージのパラコードストラップ。
有償で推しカプの、右と左のストラップが配布されてて、私は職員だけどまだ買えてなくて、
在庫に関する不安を、まぎれさせるためだ。

「大盛況だねぇ。管理局のパラコードストラップ」
「だってこの図書館がそもそもあのゲームの聖地」
「後輩ちゃんも買ったの」
「5セット買い『たい』。 買えてない。
……なんで私の夢、推しカプの右側モドキと、
左側じゃなく付烏月さんモドキが出てきたんだろ」

「知りたい?」
「知ってるの付烏月さん」
「実は俺と後輩ちゃんの推しの右は別の世界線で」

「はい私立全世界図書館東京分館です。
はいゲーム『世界線管理局』コラボのパラコードストラップはまだ双方在庫十分でs
すいません転売ヤーに差し上げる分は無いです
お引き取りください失礼します」

「別の世界線でルーブチョと俺は同期の同い年d」
「はいこんにちは全世界図書館東京分館です」

在庫は十分。ざいこはじゅうぶん。
書庫にいっぱいパラコードが入荷して入ってきたから、間違いなく、在庫は十分。
だけど最近は転売ヤーが多いから、不安で不安で仕方無い、けど在庫は十分。

安心と不安が、ごっちゃだ。

「後輩ちゃん、先に買ってくれば?」
「サキニ、ライカンシャ‐サンニ、ハイフ」
「本心じゃないのバレてるよん」
「ダイジョウブ、ライカンシャ‐サンニ、ハイフ」
「真面目だねぇー」

安心と不安、安心と不安。
推しグッズの在庫の需要と十分な段ボール箱。
私はその日の午後の時間を、在庫データの更新と確認と更新で、1割くらい使った、気がした。

結果として退勤前に欲しい数の推しグッズは手に入ったので、私の不安は、安心で終わった。

1/25/2026, 3:00:00 AM

先週16日から続いておった昔々のおはなしも、
前回投稿分で、ようやく終了。
これからは昔々の「ここ」ではないどこかから、
最近最近の都内某所に、
おはなしの舞台を、戻しましょう。

最近最近、都内某所の私立図書館で、
後輩もとい高葉井という名前の女性がぐーすぴ、
昼休憩中に寝ておりました。
「んん、ぐぅ」

お題がお題なので、
高葉井は、こんな夢を見たのでした。
それはそれは不思議な、こんな夢を見たのでした。

『なぁんでもっと早く起こしてくれなかったの!』
高葉井はどこか、高葉井の知らない廊下を、
全力で、息を切らしながら走っていました。

『俺がいなけりゃロクに早朝管理もできんようなガキだとは思わなかったんだよ、お嬢ちゃん!』
高葉井の前を走る男性は、逆光で顔が見えません。
声はだいたい30代か40代。
推しの右側に似た声なのに、推しより若い声です。
高葉井自身にも、彼が誰なのか分かりません。

『きぃー!ガキって言ったわね!』
『あぁ言った!かんしゃく起こしてるヒマがあったら走れガキ!』

逆光のなか、高葉井は知らない誰かと一緒に、
どこかへ向かって全力で走って、
『痛った!』
バタン!大きな音を響かせて、転びました。

『チッ、……世話の、やける!』
『ぎゃぁっ?!』
逆光で顔の見えない誰かは、高葉井を横抱き、
すなわち「お姫様抱っこ」のシチュエーションで、
抱えて、そのまま、全速力。

『ひねったか?!』
『へ?』
『ころんだとき、足を捻ったかと聞いてるんだ!』
『え、多分、違う、』

『多分?!』
『ひぃい?!』

え、なにこれ。
高葉井はこんな、夢を見たのでした。

『え!部屋、ひとつですか!』
カンカンカン!
階段を駆け上がり、高葉井と誰かが屋上へ出ると、
ヘリポートでは、ヘリのプロペラのローター音が、スタンバイ状態の回転数で比較的控え目ながら、連続的に騒いでいます。

その音源から離れた地点では、これまた逆光で顔の見えない誰かが携帯端末で、
誰かに、連絡をとっていました。

『あ、いえいえ、ご用意頂けただけで、感謝です!はいっ!……はいっ、……ではこれから向かいますので、到着は6時半から7時頃かと!……はぁい!
失礼しまぁす!』
その声も、30代から40代くらいの男性。
一緒に同じ私立図書館で仕事をしている、つうき、「付烏月」という男に似た、
でもちょっと違うような気がする声でした。

ヘリの近くで電話をしておった逆光と、高葉井の目が、なんとなく合ったような気がします。
『すまない、遅れた!』
高葉井の頭の上で、推し右モドキの声がしました。

見られてる。
付烏月さんモドキさんに、みられてる。
ここに至って、夢の中の高葉井は、赤面しました。

『ちょうど30分だよ。大丈夫。……で、えーと?』
『寝坊して、すっころんだ。転倒理由は知らん』
『あっ、そういう。
わぁ。こりゃ頭から湯気出ちゃってるねぇ。こいつに惚れちゃった?惚れちゃった〜?』
『ちが、っ、んなワケないでしょっ!!』
『つんでれ?』

『………ッ!!』

すっぱぁん!!
付烏月モドキを引っ叩いたところで、
高葉井、ようやく起きました。
「ん? ん?」

気がつけばそろそろ休憩時間も終わり。
けっきょく逆光の人物が誰だったのか、
どのようなシチュエーションであったのか、
高葉井はサッパリ、分かりませんでしたとさ。

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