かたいなか

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ラストダンジョンがニューヨークの街へ突っ込み、
街へ突っ込んだダンジョンから実在の建物の上にステージが切り替わって、
建物の上でそのままラスボス戦開始のゲームが、
約25年前に爆誕しました
(??「人の人生は限られている」)

という時事的かつ速攻お題回収なハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近の都内某所、某アパートの一室に、
藤森という名前の雪国出身者がおりまして、
その日は近所の稲荷神社を管理している一家のお母さんに頼まれて、稲荷子狐の散歩中。

子狐のハーネスにはお母さんが経営しておるお茶っ葉屋さんの、バレンタインフェアの告知がドン。
子狐を珍しがってスマホを向け、SNSにアップすれば、必然と茶っ葉屋の宣伝にもなるのです。

しゃかしゃかしゃか、カチャカチャカチャ。
子狐が比較的人間の数が少ない道路を歩きます。
しゃかしゃかしゃか、カチャカチャカチャ。
商店街へ向かう子狐の、爪が道路を叩きます。

稲荷神社を出発して、神社から伸びる商店街へ足を進めて端まで行って、一往復。
子狐は赤い前掛け、えんじ色のハーネスでご機嫌。
縫い付けた広告には金色のミシン糸で、稲荷狐の四宝のひとつ、宝珠が描かれておりました。

「……」
ところで藤森の表情は、子狐と違って少し不安。
というのも藤森、街への散歩の道中で、
八百屋さんなり
お酒屋さんなり
お肉屋さんなりそれぞれから、
「茶っ葉屋さんに届けてくれ」と、
荷物の配達を任されることになっておりまして。

去年の初夏に同様のお散歩を
同じ商店街へのルート指定でもって任された日は
アウトドア用のキャリーワゴンでも
1台いや2台くらい持ってくるべきだったと
本気で、ほんきで、思ったくらいだったのです。

『どこの誰とは言いませんが、複数政党の複数人が、既に必勝祈願のご祈祷を予約していましてね』
仕方ないのですよ。ふふふ。
藤森に稲荷子狐の散歩を依頼したお母さんが、狐のように不思議な微笑して、言いました。
『今日の夜から日曜まで、慌ただしくなりますの』
決して、あなたをアマーゾンやイーオーン扱いしているワケでは、ないのですよ。
商店街へ向かう藤森を、不思議な笑顔でもって、送り出したのでした。

密林でも永遠スーパーでもないなら
藤森はラクーテンかもしれません(同業他社)

おにく。おにく。
カシャカシャしゃかしゃかしゃか!
商店街のお肉屋さんに、突撃してお肉の差し入れを貰おうとしておる子狐です。
リードはピンと張って、子狐なりに一生懸命、藤森を引っ張ります。ジャーキーを発見したのです。

「こら子狐。肉は別の店で購入予定だ」
子狐を商店街の歩道に引き戻そうと、
藤森も藤森で、一生懸命。
「今は我慢してくれ。な。子狐。こーぎーつーね」
荷物を持って、子狐も引いて、藤森は大忙し。

「こぎつね!」
ぎゃぎゃっ!ぎゃぎゃ!ぎゃん!
「駄目と言ったら!駄目だ!」
ぎゃーん!ぎゃーん!ここココンコンコン!

散歩で稲荷神社から商店街へ。
行って戻っての単純ルートのハズでしたが、
お肉屋さんにお豆腐屋さん、あっちこっちに子狐が顔を出しては追加の買い物が増えまして、
結局、商店街へのお散歩は、予定より1時間遅く、終了しましたとさ。

1/29/2026, 6:36:17 AM