かたいなか

Open App
12/11/2025, 9:56:18 AM

【世界線管理局 収蔵品
『おこのみ源泉発生装置』】

特定の成分、特定の効果を内包する温泉の、
源泉を指定された穴の中に発生させる装置。
別世界からの観光を財源としている某世界、某リゾート企業が、富裕層の求めに応じて、
それぞれの客がリクエストする温泉の源泉を、彼等の別荘に生成するために使用された。

事業は軌道に乗ったものの、源泉発生によって生成地の地下に小規模な疑似火山を作り出してしまうことが発覚し、製造停止、回収、廃棄となった。
製造元の世界の滅亡に際し、世界線管理局がこの発生装置の最後のひとつを回収。
収蔵課の管理下に入った。

空間管理課に貸与されてから返ってきてない。

<<空間管理課に貸与されてから返ってきてない>>

――――――

「ここ」ではないどこか、別の世界のおはなし。
「世界線管理局」という厨二ふぁんたじー組織の中に、超広大な難民シェルターがありまして、
滅んでしまった世界からこぼれ落ちた人々を収容し、彼等に終の住処、終の世界を提供中。

3食おやつ付き、リフレッシュ施設も完備。
ドチャクソにニッチな滝行レジャーに最適な自然も、滝行後の温泉含めて、複数整備されています。

ところで
某滝行スポットの隣に
それはそれはもう湯ざわりの良い温泉が
バチクソ適切な温度で湧き出しておりまして。

「鍛錬の後は休養も必要だ!」
さぁ、滝行で冷えた体を温めよう!
ふんどし一丁のイケボマッチョ、空間管理課のキリンさんが、サッパリした笑顔で言いました。
「ここの温泉は、滝行後に長風呂するには、丁度良い程度の温度と成分になっている。
今の時期は、低体温が特に命取りとなる。
温泉につかって、体の芯まで温めるのだ!」

湯けむり上がる天然露天風呂に、同じくふんどし一丁で、首までつかっている男性は、
管理局に就職した奥多摩出身の、通称奥多摩君。
イケボふんどしキリンさんに、勝手に鍛錬の弟子にされて、ほぼほぼ毎日毎朝滝行させられています。

おかげでヒョロッヒョロだった奥多摩君も、今では少し、すこぉーーし、筋肉が付いてきた模様。
「筋肉はもう良いから、温かい生活がほしい……」
滝行で冷え切ってしまった体を温泉の中で動かして、腕をさすって足をさすって、
滝行イケボふんどしさんの部署に来る前の自分を、思い返して唇をキュッ。

キリンさんの部署に来る前は、冷たいつめたい滝行なんて、無縁だったのです。
ただただ出勤前までぬっくぬくして、帰宅後もぬっくぬくして、夜もぬっくぬくな毛布に入ります。

ああ、ああ。常時供給されていた温度の至福よ。
2枚合わせの毛布に最適な空調よ。
滝行なんて極寒の暴力と無関係だった、
あの、ほぼほぼ恒久的な、ぬくもりの記憶よ。
どこいっちゃったの。もどっておいで。
「あ"あ"ぁ……」

ぬくぬく、ぽかぽか。
数年前から湧き始めたという温泉の、源泉近くに寄ってって、奥多摩君は体を温めようと、
にじにじ温泉の中を移動してったところ、
「あー、奥多摩君!ひさしぶり〜」
入浴用のウエアに身を包んで、大きな大きなモフモフ猫だか猫ドラゴンモドキだかのヘソ天に寝そべっている、同僚を見つけました。

ヘソ天猫は温泉で、毛が完全にお湯の中に浸かって、パッカン。おまたおっぴろげの大胆体勢。
おなかに奥多摩君の同僚を乗せて、お酒でも飲んだ後なのか、口から甘い花の香がします。

「ツバメさんがねぇ、ミカンのおさけ、ガラガラで当たったって。持ってきてくれたの〜」
それをスフィちゃん、全部飲んじゃったんだよ。
奥多摩君の同僚が言いました。
お酒を飲んでからお風呂に入るのは、とても、とっても危険なことのように、奥多摩君は思いましたが、
モフモフ猫ゴンはほろ酔いで、至極気持ちよさそうに、おまたパッカンでプカプカ浮いています。

多分大丈夫なのでしょう。 たぶん。
「……ホントに大丈夫なのか?」

ぬくぬくぽかぽか、ぬくもりの記憶と温泉のおはなしでした。おしまい、おしまい。

12/10/2025, 9:58:19 AM

「凍えた」と気付くのは、
指先がとっくに冷え切って、冷気が第二関節まで上ってきた頃だと思う物書きです。
その頃にはパソコンのキーボードを叩くにしても、完全に速度にデバフがかかってしまって、
なんなら指が思うように動かない気がするのです
なんて屁理屈は置いといて、
今回のおはなしのはじまり、はじまり。

最近最近のおはなしです。
都内某所には不思議な不思議な、本物の稲荷狐の一家が住まう稲荷神社がありまして、
そのうち稲荷狐のお母さんは、商売繁盛、神社の近くでお茶っ葉屋さんをしています。

美しい髪の女性に化けるお母さん狐は、
緑茶に和紅茶、台湾烏龍茶にハーブティー、
果ては稲荷狐に伝わる不思議な薬茶まで、
幅広いお茶を棚に並べて、お客さんを待ちます。

その日もお母さん狐は、コンコン、
お金持ちのお客さんに、それはそれは貴重で美しく、香りの良い工芸茶を、5個1セット。
そろそろ、売りつけることに成功しそうです。
「こちら、完全手作業、完全国産の工芸茶です」

お母さん狐は穏やかに、静かな笑顔で、こやん。
上等な紙箱を入れた取っ手付き紙袋を上客さんに、
手渡す前に、お客さん1名様を、お得意様専用の飲食スペースへご案内です。
「どのような花を咲かせるかご覧頂ければ、
きっと、お気に召していただけるかと」

さぁさぁ、どうぞ、こちらへ。
お母さん狐は特別スペースにお客さんを招いて、
磨き上げられた無色透明のガラスポットに、
ころん。 ひとつ、まるまる太った大きな栗の実のような茶っ葉の玉を、静かに入れました。

「寒暖差の大きい山の茶畑の中で、収穫から加工まで一環して、作られたお茶です」
たぱぱとぽぽ、トポポ。
まんまるガラスポットが熱湯で満たされます。
「カフェインが比較的少ない冬採りの茶葉を蒸して、手揉みで揉んで、加工して、
冬空の寒い頃、1枚1枚の茶葉を、
凍える指先もいとわず、まとめ上げるのです」

ポン。
栗の実サイズの茶葉の玉が、一瞬にして開きます。
一気に白いジャスミンが、ガラスポットの上、水面もとい湯面まで登ってきて、
その下で黄色いキンセンカが太陽のように花開き、
さらに下には、オレンジ色のマリーゴールドの花びらが、カーペットのように控えます。

「わぁ」
きれい。 お金持ちのお客さん、息をのみました。
目の前で咲く工芸茶の花は、すべて寒い冬のなか、
凍える指先で整えられて、結ばれて、玉に成形されて、お客さんの目の前まで来たのでした。

「こちら、サービスとなっております」
ジャスミンの上に小ちゃくて赤い、千日紅の花が添えられて、完全国産工芸茶の完成です。
ジャスミンの白、太陽のキンセンカ、それらが調和してひとつのポットで美しく整う工芸茶は、
ジャスミンがお客さん、キンセンカがお客さんの大親友のように、お客さん自身には思えました。

お客さんは工芸茶の美しさにうっとり。
「いただき……まぁす……!」
もはや購入は決定事項で、問題は金額より、「何箱お持ち帰りするか」の方。
「うん、決めたぁ!」

お客様はお母さん狐に、カードをピッ、渡します。
お母さん狐はただ穏やかに笑って、
かしこまりましたと、一礼しましたとさ。

12/9/2025, 9:13:58 AM

場所によっては、寒いさむい厳冬の1月から、既にスギ花粉が飛ぶそうですが、
どこぞのネット情報によれば、ゴボウをよくよく消費している某森県民のスギ花粉症発症率は、
県が内包するスギの人工林の面積と比較して、非常に、ひじょうに低いとのこと。

フラクトオリゴ糖なるものが良いそうです
(なおネット情報)

ということで今回は雪原の先へ、ゴボウ掘りに向かうスギ花粉持ちのおはなし。

最近最近の都内某所、某杉林の奥のあたりに、
領事館と呼ばれている不思議な館がありまして、
そこは「こっち」の世界とは別の世界からやってきた、厨二ふぁんたじー組織による支援拠点。
「世界多様性機構」といいます。

滅んでしまった別世界から、避難民を受け入れて、
そしてまだ生きている別の世界に密航させては定住をサポートするのが機構の仕事のひとつ。
機構は都内に領事館を建てて、日本を滅亡世界の難民たちの受け皿として整備しようと、
一生懸命、頑張って、活動しておったのでした。

領事館は、滅んだ世界から生き延びてきた密航者の、おそらく最後の拠り所。
「こっち」の世界での栄養指導や生活支援、少額ながら金銭援助も受けられます。
領事館を通して日本の文化を勉強しながら、密航者は日本人に迷惑を為さないよう気をつけつつ、
静かに、生活しておったのでした。

え?別の厨二ふぁんたじー組織「世界線管理局」が局内に整備している難民シェルター?
向こうは三食おやつ付きのレジャー完備?
ほら、そっちは機構が推しの仇ばりに敵視しておるチクショウなので。気にしない気にしない。

ところで、
その領事館の館長が、
「こっち」の世界に赴任してきて1年くらいで
まさかの重度のスギ花粉症を発症しまして。
しかも彼のビジネスネームが「スギ」なのです。

なんということでしょう(災難)

そんなスギ花粉症持ちの館長スギさん、
このたび「ゴボウを食えば花粉症予防」なる、デマだか事実だか知らぬ情報を入手しまして。
特に、強力なアレルギー症状鎮静効果を持つ不思議なゴボウ、「キツネノシズメゴボウ」が、
東京から遠く離れた、高い高い山地の雪原に、
根を張り、冬を待っているとか。

「野生としては、本当に標高の高い雪原……
そうですね、長野の山奥の稲荷神社くらいしか」
そのくらいしか、野生には自生していませんよ。
とある病院の漢方医が、コンコン、言いました。
「ま、冬の長野を軽く見てはいけません。
あそこはとても、とても寒いのです」

諦めたほうがよろしい。こやん。
その漢方医があんまりにも、オスナヨ・ゼッタイオスナヨの視線と抑揚で言うので、
別世界出身のスギ花粉症持ちスギさん、
雪積もる長野の山の稲荷神社に出発!

いざ、雪原の先へ!
スギ花粉症を予防すべく、雪のゴボウを得る旅へ!
「よし!行くぜ!」
スギ花粉症持ちの館長スギさん、別世界の高度な装置を使って、雪積もる高いたかい標高の長野へ、
高山の不思議なゴボウを掘りに、行きました。

…——結局、スギさんは雪国を甘く見ました。

「お、おお、おおお」
どうせ、北海道でも東北でもない。
車で3時間も飛ばせば届く距離しかない。
スギさんは機構の領事館の制服に、ウィンターコートという酷い軽装で、雪原の長野に到着。
「さむい」

スギさんは絶望しました。
雪原です。 一面の白です。
標高の影響で気温は氷点下。びゅうびゅう鋭利な強風が。スギさんのコートを貫通します。
「さむい」
スギさんはぽつり、言いました。
間違いなくその山には、貴重な狐の薬、キツネノシズメゴボウが野生で自生しており、
その近くに、さびれた稲荷神社があるのでした。
「さむい……!」

雪原の先へ、スギさんは踏み出そうとして、
数歩で断念して東京に緊急退避したのでした——…

「だから言ったでしょう。とても寒いと」
数日後、スギさんは例の漢方医に、ゴボウ掘りのすべてを語りました。
「あそこは本当に、ほんとうに、寒いのです」
諦めなさい。こやこや。
漢方医はため息を小さく、小さく吐きました。

雪原の先へ、ゴボウを掘りに行こうとしたスギ花粉症持ちのおはなしでした。おしまい、おしまい。

12/8/2025, 4:17:46 AM

厳冬極寒の雪国では、ときに自室で白い吐息を観測できるとか、特に廊下で顕著とか。
温かい鍋が欲しくなるトリビアは置いといて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。

実は前々回投稿分あたりのおはなしで、酷い目にあったドラゴンがおりまして、
というのもドラゴンが勤めている「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織で、
難民シェルターの年末電飾プランを電気設備のカモシカ(ビジネスネーム)から紹介されまして、

ハイさっそくジオラマで点火!
なんてやっておったところ、
まさかの夜間の白色LEDハイビームもまだ暗いほどの暴力的光量、破壊的光度の酷い光が
バン!! ビカーーーッ!!
ドラゴンの目をメガーメガーしてしまったのです。
本当に、ドラゴンには、酷い災難だったのです。

で、今回のお題が「白い吐息」とのことなので
このドラゴン、また災難に遭ってもらいます。
泣き面に蜂とは、このことなのです。

さて。
『ああ……ああ、エラい目に遭った』
ドラゴンは、ようやっと十分に回復してきた目をクシクシと、こすりながら言いました。
ドラゴンが勤務している管理局の、局内に整備されている難民シェルターの、草原エリアは良い天気。
人工太陽が適度適切な温度と光度、光量で、ドラゴンを温めて、なぐさめてくれます。

『まったく今年は災難だ。ヤクドシだ。
年のはじめにカナリアのやつの、アーモンド型花粉爆弾を誤食する事故を食らって、
さっきはカモシカのやつの、ジオラマで目が、1時間、いや1時間半?2時間……?』

オハライとやらでも、申請するべきなのか?
ちゃんと経費で落ちるのか?
とぼとぼとぼ、のしのしのし、ドラゴンは難民シェルターの草原エリアから、少し外れた小さな林に、昼寝のために入ってゆきました。

ところで世の中には
潰すと白い吐息のようなものを出す
ホコリタケだかケムリダケなるものが
事実として存在するそうですね?
(お題回収)

『ん?』
ピタッ。ドラゴンが林の中で、止まりました。
『なんだ。なんのニオイだ』
このドラゴンは、ドラゴンなので、嗅覚や聴覚、視覚等々が、とっても優れておりました。
『キノコ?』
そのドラゴンの本能を、直接ピピっと刺激する、とても良い香りに気付いたのです。

俺は、この香りを摂取しなければならない。
ドラゴンは本能に従って、香りを辿りました。
『キノコだ』
それは、どこか新しい滅亡世界からこぼれ落ちて、難民シェルターに持ってこられて植えられた、新しくて不思議なキノコでした。

冬にパッと群生を作るようです。
抹茶オレ色で大きくて、マッシュルームのようなキノコの正体は、ドラゴンの記憶にありません。
でもドラゴンの本能は、この抹茶オレマーブルキノコを食うべきだと命じています。
『ニオイは、良いニオイだ』

くんかくんか、クシュン!くんくん。
ドラゴンは本能に従って、抹茶オレマーブルマッシュルームモドキに鼻を近づけて、くしゃみして、
そして一気にガブッ!
群生の抹茶オレマーブルマッシュルームモドキのうちの、最も大きく最もカタチの良いものを、

ひとくちで食べて、
一瞬ローストしたナッツのような風味を感じて、
その一瞬後、すぐに、 ぼふん!!
食べたキノコが破裂したことに、気付きました。
「ぎゃお?」

どうやらこのキノコ、成長しきって「準備ができた」ところで皮が破けるようなチカラが加わると、
まさしくケムリダケやホコリタケのように、白い胞子をドチャクソ大量に噴出ようなのです。
「ぎゃお、ぎゃおう、ぎゃお?」
モフモフ、もくもく。
ドラゴンの鼻からも、口からも、抹茶オレマーブル巨大マッシュルームモドキの白い胞子がぼふん。
白い吐息を断続的に出しているように、次から次へと出てきます。

「ぎゃ……」
災難だ。ああ。ああ、まったく災難だ。
鼻と口から出てくる胞子の白い吐息は、1分くらいでやっと落ち着きまして、
「ナッツ」に詳しいドラゴンの同僚によれば、キノコにも胞子にも毒は無く、むしろ良い胞子なので、
安心して良いとのことですが、
本来は胞子が作られる前の未熟なものを、ナマにせよソテーにせよ、食うのが正解だとか。

そんなもん知らん。
ドラゴンは大きなため息を吐いて、本気でヤクバライなる儀式を、申請しようか考えたとさ。
白い吐息のおはなしでした。 おしまい。

12/7/2025, 3:34:03 AM

前回投稿分に繋がりそうなおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
局内に整備している難民シェルターには、滅んだ世界からこぼれ落ちてしまった生存者が、
3食おやつ付き、リラクゼーションにレジャー完備、医療もセラピーも最高レベルという高待遇で
どっさり、収容されておりました。

ところでどこぞのカモシカさんなる電飾担当さんが
ジオラマで居住区域の年末電飾構想を
法務部特殊即応部門のルー部長もといルリビタキに
ドヤ顔でもって紹介しておったころ、
本格的ジオラマに電力を供給している電源が
まさかの超ハイスペックに置換されておりまして。

というのも実はその日、電飾担当のカモシカさんもすっかり失念しておったのですが、
難民シェルターで一斉に、大電流-高電圧の耐久チェックだの、絶縁破損部品等の交換だの、
ともかく電気に関わるテストをしておりまして。

「難民支援課からゴーサイン、出ました」
その耐久テスト、および部品交換作業を、せっせこご安全にチャッチャカしておったのが、
環境整備部の、工事施工課でした。
「では、始めましょう。
安全第一、ゼロ災、ゼロハラ!ヨイカ!」
「安全第一ゼロ災ゼロハラ!ヨシ!」

難民シェルターでは点検や試験も難民たちの娯楽。
工事施工課が整備した観覧スペースで、現場見学の希望者が、彼等の作業を見守ります。

「対象地域より全難民の退避を確認」
「対象地域全難民の退避確認!
対象地域の電源を、試験用電源に切り替えます!
カウント10から入れ!」

10!9!8!
レバーを下ろす係の作業員が、アナログ懐中時計の秒針を見ながらマイクに向かって、
正しいテンポの秒数で、カウントダウンです。
7!6!5!
現場見学の難民たちも、十分に離れた観覧スペースから、一緒にカウントダウンです。
4!3!2!切り替え!いま!
ガチャン!作業員が一気にレバーを下ろすと、
試験用電源に切り替えられた対象区画の照明が、バン!最大光度で灯ります。

「試験用電源切り替えを確認。
投光器への最大供給を、2時間維持します」
「観察係は投光の状態を確認。修理係に報告せよ」
で、ここからがお題回収。

「監督。かんとく」
日中の居住地域に煌々光る「消えない灯り」を確認していた観察係のひとりが、
現場監督に、ポツリ、言いました。
「もしかしてですけど、電設のカモシカさん、
耐久テスト対象地域から電源引っ張ってません?」

ほら、あそこ。
観察係が指さした先は、対象地域から離れたカモシカさん専用の電気設備テスト棟(本人建造)。
その一室の窓から、バン!最大光度の照明が漏れて、非常に、それはそれは非常に、眩しそうです。

どうしましょう。
工事施工課の意図しない場所で、勝手にテスト対象の地域から電源が流用されて、
結果として流用先が、消えない灯りの暴力に、勝手に巻き込まれています。

「うん」
現場監督さん、すべてを察しました。
「テスト忘れて電源引っ張った方が悪い」

見てない、ヨイカ。 見てないヨシ。
同時刻にカモシカさんが、ルリビタキ部長に自分のジオラマを紹介して、照明スイッチ付けて、
結果、部長の目が一時的に大変なことになってたなんて、工事施工課の責任じゃないのです。
「大丈夫かな電設のカモシカさん」
「空間管理課のキリンさんから連絡です。ちょうど近くに居るから、対処してくれるそうです」

「お礼持ってけ」
「はい」

最高光度、最高光量の「消えない灯り」が、意図しない場所に灯ってしまったおはなしでした。
とばっちりを食らった法務部の、特殊即応部門のルリビタキ部長は、あーなって、こーなって。
要するに、前回投稿分の物語に、多分、繋がるのでした。 おしまい、おしまい。

Next