前回投稿分に繋がりそうなおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
局内に整備している難民シェルターには、滅んだ世界からこぼれ落ちてしまった生存者が、
3食おやつ付き、リラクゼーションにレジャー完備、医療もセラピーも最高レベルという高待遇で
どっさり、収容されておりました。
ところでどこぞのカモシカさんなる電飾担当さんが
ジオラマで居住区域の年末電飾構想を
法務部特殊即応部門のルー部長もといルリビタキに
ドヤ顔でもって紹介しておったころ、
本格的ジオラマに電力を供給している電源が
まさかの超ハイスペックに置換されておりまして。
というのも実はその日、電飾担当のカモシカさんもすっかり失念しておったのですが、
難民シェルターで一斉に、大電流-高電圧の耐久チェックだの、絶縁破損部品等の交換だの、
ともかく電気に関わるテストをしておりまして。
「難民支援課からゴーサイン、出ました」
その耐久テスト、および部品交換作業を、せっせこご安全にチャッチャカしておったのが、
環境整備部の、工事施工課でした。
「では、始めましょう。
安全第一、ゼロ災、ゼロハラ!ヨイカ!」
「安全第一ゼロ災ゼロハラ!ヨシ!」
難民シェルターでは点検や試験も難民たちの娯楽。
工事施工課が整備した観覧スペースで、現場見学の希望者が、彼等の作業を見守ります。
「対象地域より全難民の退避を確認」
「対象地域全難民の退避確認!
対象地域の電源を、試験用電源に切り替えます!
カウント10から入れ!」
10!9!8!
レバーを下ろす係の作業員が、アナログ懐中時計の秒針を見ながらマイクに向かって、
正しいテンポの秒数で、カウントダウンです。
7!6!5!
現場見学の難民たちも、十分に離れた観覧スペースから、一緒にカウントダウンです。
4!3!2!切り替え!いま!
ガチャン!作業員が一気にレバーを下ろすと、
試験用電源に切り替えられた対象区画の照明が、バン!最大光度で灯ります。
「試験用電源切り替えを確認。
投光器への最大供給を、2時間維持します」
「観察係は投光の状態を確認。修理係に報告せよ」
で、ここからがお題回収。
「監督。かんとく」
日中の居住地域に煌々光る「消えない灯り」を確認していた観察係のひとりが、
現場監督に、ポツリ、言いました。
「もしかしてですけど、電設のカモシカさん、
耐久テスト対象地域から電源引っ張ってません?」
ほら、あそこ。
観察係が指さした先は、対象地域から離れたカモシカさん専用の電気設備テスト棟(本人建造)。
その一室の窓から、バン!最大光度の照明が漏れて、非常に、それはそれは非常に、眩しそうです。
どうしましょう。
工事施工課の意図しない場所で、勝手にテスト対象の地域から電源が流用されて、
結果として流用先が、消えない灯りの暴力に、勝手に巻き込まれています。
「うん」
現場監督さん、すべてを察しました。
「テスト忘れて電源引っ張った方が悪い」
見てない、ヨイカ。 見てないヨシ。
同時刻にカモシカさんが、ルリビタキ部長に自分のジオラマを紹介して、照明スイッチ付けて、
結果、部長の目が一時的に大変なことになってたなんて、工事施工課の責任じゃないのです。
「大丈夫かな電設のカモシカさん」
「空間管理課のキリンさんから連絡です。ちょうど近くに居るから、対処してくれるそうです」
「お礼持ってけ」
「はい」
最高光度、最高光量の「消えない灯り」が、意図しない場所に灯ってしまったおはなしでした。
とばっちりを食らった法務部の、特殊即応部門のルリビタキ部長は、あーなって、こーなって。
要するに、前回投稿分の物語に、多分、繋がるのでした。 おしまい、おしまい。
12/7/2025, 3:34:03 AM