かたいなか

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9/8/2025, 9:07:16 AM

雨降る朝と、始業前の職場で書類等々を配達する配膳ロボット、もとい、配達ロボットのおはなし。

最近最近、「ここ」ではないどこか、別の世界で、
「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織が、
あんなこと、こんなこと、それぞれの世界の独立性や独自性のための仕事をしておって、
総務部ならば、たとえば総合案内課、
関係整備部ならば、難民支援課に空間管理課、
法務部であれば執行課の実動班、等々、等々。
様々な部署、様々な部門が存在しておりました。

その部署間・部門間の書類や伝票、現金等貴重品を管理局員の代わりに運んでくれるのが、
ベラbげほげほ、もとい、超個体的な連携を可能としている黒塗りの機械生物。

管理局はビジネスネーム制を採用しており、それぞれの部署ごとにそれぞれの種類の動物の名前を、本名の代わりに用いるルールでしたので、
経理部所属のルールにならい、配達黒塗りロボットたちは、「クロネコ」と名付けられていました。

え?「一歩前」なのか「どいてにゃ」なのか不明?
細かいことを気にしてはなりません。

さて。
機械生物クロネコは、元々、過剰な開発競争によって自滅した世界から拾われてきた、生き残り。
拾ってもらった恩として、管理局の局員となり、
人間や獣人、宇宙タコや魔法生物の仲間と一緒に、
せっせこ、せっせこ。働いています。

物資運搬を目的として故郷の世界で開発されたクロネコの、管理局での仕事も、物資運搬。
特に、管理局の始業時刻前に、前日預かった伝票だの書類だのを各方面、お届け先の部門・部署に配達するのは、とっても大事な仕事です。

機械生物クロネコの早朝勤務部隊は、この大事な仕事を優先的に成し遂げられるように、
始業時刻3時間前に職場に来て、3時間みっちり働いて、3時間ですべてを配達してしまって、
それから後は、ずっと、ずーっと、休憩時間で居ることを、許されておったのでした。

そして、その日の早朝も、勿論始業時刻3時間前から、機械生物クロネコの早朝部隊が、
10台20台、いえ30台40台、
管理局の窓を雨が叩くのも気にせず、あっちの書類をこっちの部署へ、こっちの物をそっちの部門へ。
それはそれは忙しく、稼働しておりました。

「急げにゃ!急ぐのにゃ!」
「急ぐにゃ!お届けにゃー!」
「おいおまえ、その荷物を持ってってやるから、ボクのコレとトレードするにゃ!」
「お、おなか、へって、動けな……にゃあ」

雨と君と君、雨とクロネコとクロネコ。
配達用機械生物が縦横無尽。
雨と君と君、雨とクロネコとクロネコ。
管理局の外で降る雨の中を、
防水タイプのクロネコが3匹、もとい3機ほど、
小型のジェットエンジンで、移動しています。
きっと、難民シェルターから難民支援課へのお手紙か何かを運んでおるのでしょう。

「着艦!着艦にゃー!」
「お前は艦じゃないにゃ」
「発 艦 にゃ!」
「だから。艦じゃないにゃ。カッコつけてるヒマがあったら仕事しろにゃ」
「だれ……か、ごはん、ちょーだい……にゃ」

雨と君と君、雨とクロネコとクロネコ。
あっちで機械生物、こっちで機械生物。
前日の管理局員の仕事が、今日の管理局員の部署に、ちゃんと届くように、ちゃんと渡るように。
配達ロボットのクロネコ、早朝勤務部隊は、3時間かけて全部の仕事を、完璧に、毎日、成し遂げておったのでした。

「ところで、勤務内容に追加が入るって噂にゃ」
「聞いたにゃ。書類や物品の他に、購買部に頼んだ備品や日用品も届けてほしい、って噂にゃ」
「ご……はん……」

「日用品配達してほしいなら、待遇改善と俺達のバージョンアップ、しろにゃ!」
「そーだそーだ!俺達はクロネコであって、アマーゾンでもネーコーイーツでもないにゃあ!」
「【エネルギー残量が5%になりました】」

にゃーにゃー、にゃーにゃー。
管理局の早朝は猫の大配達会。
皆みんな、早朝勤務部隊は一生懸命、働いておったとさ。 おしまい、おしまい。

9/7/2025, 6:41:23 AM

9月とは名ばかり、数字ばかり。
真夏日と猛暑日を何度も叩き出す昨今です。
お題が「誰もいない教室」とのことなので、
ホラーをひとつまみだけ、ほんの少しだけ加えたおはなしで、涼しさをご用意しました。

最近最近のおはなしです。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
たくさん存在する仕事の中に、難民シェルターの整備と運営、それから治安維持が、ありました。

世界線管理局が運営するシェルターは、管理局内にありまして、面積も収容人数も規格外。
というのも管理局、滅んだ世界から生き延びて、こぼれ落ちてしまった難民を、何千人、何万人と、そのシェルターに収容しておりまして、
彼等が彼等の生涯を最後まで終えられるように、
彼等が彼等の歴史をどこかに残しておけるように、
なにより、彼等が最期まで尊重され、独立した「彼等」として存在できるように、
あらゆるサービスを、提供しておりました。

ところでそんな難民シェルターに、このたび1個、
少々妙な噂が流れまして。

『某区画の某学校は、来月建て替え予定だが、
誰もいないハズのその校舎で妙な音がするらしい』

『音のする教室は、誰もいない教室。
音のする場所を見ようとすると、
何かに/誰かに/■■■によって、
「向こう側」に、引きずり込まれてしまう』

『その教室に行ってはいけない。
誰もいない教室で、【何か】を、見てはいけない』

だいたいこういう噂の裏には「何か」あるのです。
たとえばその廃校が、管理局を敵視している「世界多様性機構」の隠れ家になっているとか。
その多様性機構のスパイが潜伏しているとか。
ゆえに、難民たちの安全が脅かされているとか……

…――「と、いうことで、だ」
管理局を敵視している団体の関与を想定して、管理局の法務部執行課、特殊即応部門が動きました。
「お前に、確認してきてほしい」

管理局には、機構から来た「アテビ」というビジネスネームの女性構成員がおりました。
即応部門の部門長は、彼女を管理局のどこかの部署に入れるべきか、難民シェルターで保護するべきか、丁度考えておる最中だったので、
今回の仕事の成果で、決めようとしたのでした。
「異常の解決までは求めていない。
確認だけで良い。無理はするな。 頼んだぞ」

で、何が困ったかというと。
アテビ、怖いものが怖いのです。
でも仕方が無い!
今回のお題は「誰もいない教室」なのです――…

「無理!むりむり!これ以上ムリぃぃぃ!!」
さて、今回のお題に従って、難民シェルターの「某来月建て替えの学校」に到着したアテビです。
日中とはいえ、建て替えにともない、電気は来ていないし照明用のランタン水晶もありません。

薄暗い通路を自分の手持ち照明だけで、ひとりで、
カン!! カタンタンタン……
と遠くで響く何かの落下音を聞きながら、
一歩、一歩、目的の場所へ向かっては、
どだだどだだどだだ!とことことこ……
と何か小さな四足歩行が走る音に怯えます。

「妙な音って!『妙な音』ってッ!!
あっちこっち音だらけじゃないですかー!!」

アテビは本当に、本っッ当に、怖いものが怖い!
光量の制限された薄暗さは疑心を呼び、
遠くで飛んだ鳥が影に映れば大絶叫。
アテビのすぐ横で、みょんみょん草が鳴いて……
「草が」「鳴いて」?「みょんみょん」?

「だめ、だめ。心が疲れてるんだ。そうだ」
ああ、機構ではこんなこと、しなかったのに!
機構は管理局と違ってお金がカツカツだったけど、
こんな、怖いこと、しなかったのに!
「うぅ、助けて館長、アスナロさん、ヒバさん!」

怖いよこわいよ、誰もいない教室!
アテビは身を小ちゃく小ちゃくちぢこませて、指定された場所、指定された教室を、
見に行ってひょっこり顔出して、中に入ろうとドアに手をかけたところで

ガタンガタンガタンガタン!!
ちゅー、ちゅー!!ギーギー!!

「いーーーーやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ドアに手をかけたところで、アテビは耐えられなくなりました。教室から大きな音がしました。
「ごめんなさいごめんなさい!ごめんなさぁい!」
アテビは外へ、一直線!
誰もいない教室から逃げ出して、明るく安全で平和な外へ、全力で、逃げてゆきました。

結局「何」が、誰もいない教室に存在したのか、
みょんみょん鳴く草は本当に居たのか、
その辺は、アテビは知らないままだったとさ。

9/6/2025, 7:16:01 AM

前回投稿分からの続き物。
二足歩行で赤いスカーフ巻いた狐が経営してるレストランがありまして、
その日は美味を愛する可愛らしい女性の管理局員と、その同志の稲荷子狐が、
とても幸福に、とても大量に、赤いスカーフ狐たちが作る料理を、堪能しておりました。

当然厨房は大騒動の祭り状態でして。

「おまえらぁー!気張るコン!!」
厨房は、今日が休みだったハズのバイト狐も、
昨日で辞めるハズだったシェフ狐も、
勿論店長も出張ってきて、オールスター大奮闘。
「明日と、明後日の食材も、こっちに回せコン!」
レストランの裏口では店長が、自分から鍋を振り、調理スタッフを鼓舞します。
「コレ乗り切ったら、明後日まで皆で宴会だコン、俺が料理を振る舞うコン!こやぁぁぁ!!」

うおぉぉぉぉ!!

大量にオーダーが為された注文を、赤いスカーフ狐の20匹が、ジャンジャン、じゃかじゃか!
お鍋を振って、蒸し器を増設して、低温油と高温油を行ったり来たり、云々。
料理完成のボタンが押されると、
電気信号がピッ!ディスプレイの信号がピピッ!

料理完成をホールスタッフのフォックスに、
信号でもって、伝えるのでした。

「お待たせしました!」
ホールフォックスはワゴンをガラガラ。
できた料理を片っ端から運んで運んで、
そしてまた、料理完成の報告信号を、尻尾ぶんぶん振り倒しつつ、待つのでした。

これがお題「信号」の、ひとつのおはなし。
そして、このおはなしの間に、
もうひとつ、「信号」のおはなしが。

管理局員と稲荷子狐が料理を堪能している奥で、
ひとり、別の男性局員が、クルミ味噌ダレのざるそばを食っておったのでした。

「相変わらず、よく食うなぁ」
丁度、くるみが旬を迎え始める時期でした。
よくクラッシュして練り込まれたクルミの味噌ダレに、彼はひと振り、ふた振り。
少しだけ、一味を入れました。
「うん。 美味い」

クルミの油脂的な甘さを内包した味噌ダレに、一味唐辛子の文字通りスパイスが、ピリッ!
アクセントの信号として、伝わります。
このスパイス信号とともに、男性局員は十割そばを、スッ、と含み、咀嚼します。
「やはり大盛りを注文すべきだったか?」

おやおや。彼が食べてる味噌ダレのざるそばを、
前述の稲荷子狐が、ロックオンしたようです。
女性職員の袖を引っ張って、味噌ダレを指差し、
そして、ホールスタッフォックスが呼ばれます。
どうやら新規で注文したようです。

「あいつ、唐辛子、大丈夫だったかな」
まぁ、俺の関与するところじゃない。
男性職員はオーダーを、見なかったことにします。
多分、大丈夫なのです。
「ごちそうさま。会計を頼む」

同部署別部門のお土産に、殻付きクルミを1袋購入して、男性局員は帰ります。
それがお題「信号」の、もうひとつのおはなし。
もうひとつの料理物語でしたとさ。
おしまい、おしまい。

9/5/2025, 4:21:08 AM

言い出せないことの代表格といえば、「怒らないから正直に名乗り出なさい」だと思う物書きです。
信用ならぬことの代表格でもあると思います。
今回はその、言い出せないことがお題とのこと。
こんなおはなしをご用意しました。

最近最近のおはなしです。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
たとえば多々存在する業務の中に、
滅んだ世界からこぼれ落ちた難民を収容して、第二の生涯を安全に、満足のもとに過ごしてもらうための、難民シェルターの運営などがありました。

難民シェルターの広さは規格外。多くの難民を受け入れて、すべての難民に住居が貸与され、
なにより、すべての難民が満足できる、1日3食おやつ付きとフカフカお昼寝ベッド完備!
滅んだ世界、まだ在る世界、いろんな世界の料理屋さんで、赤いスカーフ巻いた二足歩行狐が、自慢の料理の腕を披露するのです。

ところでそこから『言い出せなかった「」』に繋がるかといいますと。
その日、難民シェルターの中の某レストランで、
すなわち、ホールスタッフ狐がごにょごにょ。
ご飯を食べに来た管理局員の前で、一生懸命に注文のメモを、カリカリカリ!書いておりまして。

注文を並べる女性の管理局員は、ビジネスネームをドワーフホトといいました。
ドワーフホトは、大親友のスフィンクスと、美味追求仲間の稲荷子狐を、連れてきておりました。

「ボイドクラゲの甘油炒めを3個とー、
カリカリポンパのビーヒトを5個、
それからぁ日本稲荷寿司の食べ比べセット〜5個、
宇宙ポークの焼き豚も10個くださぁい」

ドワーフホトは、美味しいものが大好き!
メニューブックに掲載されている、丁寧に下準備された炒め物、絶妙な温度管理の為された揚げ物、
それから稲荷子狐への配慮も忘れません、
あらゆる美味を、注文しています。

「あ!それからコレぇ!」
ドワーフホトはメニューブック5ページ目の、右端の料理に気が付きました。
「星柚子と水晶ミカンのソースを添えたポークステーキ、1kgを3個〜」
それは、貴重な柑橘ソースをたっぷり使った、甘じょっぱくてスッキリなステーキでした。

「おにく、おにく!」
稲荷子狐、次々と注文される不思議な料理の数々に、お目々がキラキラ!輝きます。
「おまえら、ホントに食い物が好きだなぁ」
ポークステーキとサンドイッチセットだけ頼む予定のスフィンクスは、通常運転のドワーフホトに、微笑して話しかけました。

遠くで法務部のルリビタキが、くるみ味噌のタレに一味を振って、ざる蕎麦など食べています。
随分な量を頼んでるな。
ルリビタキは思いましたが、言い出せないというか、別に言い出す必要もありませんでした。

お題回収役はドワーフホトの、注文を聞いてメモをしておった、ホールスタッフ狐でした。

「はい、はい。 ……はい……」
赤いスカーフ巻いたスタッフ狐の、
言い出せなかったこと「注文し過ぎ!」は、
怒涛の注文ラッシュと、それからドワーフホトがドチャクソに利益率の高い料理ばっかり頼んでくれる大フィーバーとで、
完全に、封殺されておりました。

「はい、 はい。 は……い」
黒い手袋に黒い靴下、アカギツネなスタッフ狐の、
言い出せなかったこと「時間かかっちゃう!」は、
その日の売上と純利益が、開店史上最高記録をダブルスコア、いいえ、トリプルスコアで追い越す高揚感のバク上がりで、
完全に、封殺されておりました。

言い出せなかったこと、言い出せないこと。
「調理だけで多分2時間かかる」「調理スタッフが足りてるかすら怪しい」。
ホールスタッフコンコンが会計コンコンを見ると、
既に会計コヤンは今日お休みのスタッフやバイトに、緊急招集をかけておりました。

そうです。総力戦です。
今こそキッチンフォックスのプライドを、意地を、矜持を、高く掲げるときなのです!

……にしたって注文量が多いのです
(言い出せなかったこと「貸切予約してくれ」)

ぞろぞろぞろ、とてとてとて。
ドワーフホトが注文してる間、戦闘態勢の調理係狐が、休憩時間や休日を蹴って、大集結です。
くるみ味噌ダレのざる蕎麦を食ってるルリビタキのテーブルの前を通って、キッチンに向かいます。

「……では、ご注文を、確認しますコン!」

ホールスタッフフォックスが、声高らかに、まっすぐな声で、開戦を宣言します。
これから厨房が戦場となることは、お客様には、言い出せないことであったでしょう。
それでも狐は、耐え抜くのでした。
それでも狐は、成し遂げるのでした。
おしまい、おしまい。

9/4/2025, 6:56:28 AM

私、永遠の後輩こと高葉井の推しゲーには、
その世界間と一部のキャラクターを流用した、いくつかの非公式二次創作ゲーが存在する。
公式が一定のルールを設定して、パトロールもして、黙認してくれてるおかげだ。

18禁描写禁止、15禁描写は注意と明記必須、
政治利用、詐欺利用、実在する宗教への勧誘禁止、
特定のカップリングを過度に推すのは良いけど
特定のカップリングを過剰にディスるのは禁止、
そして、公式から原則3回注意されたら、削除。
要するに「モラルの範囲内で楽しむこと」。

プログラムとかサーバー運営とかできるファンの一部は、それぞれの推しやシチュに応じて、
それぞれのsecret loveを、ゲームで表現してる、
ハズなんだけど。

何故か最近私のスマホはその新作secret loveアプリがアプリストアに出てこない。
なんでだろ(多分いわゆる「おま環」)
だいたい今年の4月5月頃までは、検索すればちゃんと、ストアに全部出てきてたのに。
なんでだろ(だから、いわゆるおま環)

ということで、せっかくだし、ゲーム用に持ってるサブスマホを化石スマホから旧型スマホに新調。
メインのより古いそれで検索すると、
あら不思議、二次創作ゲームが出てくる出てくる。
……なんでだろ(以下略)

ってハナシを、せっかくだから昼休憩中に、
新しく入れた二次創作ゲーをポチポチ巡回して、広告削除課金とアンストで仕分けながら、
先輩になんとなく、意味もなく、意図もなく、
とりあえず、話した。
「不思議だよねー。今まで使ってた最新スマホと化石スマホで出てこないのに、買ったばっかりの旧式スマホでは出てくるの。なんなんだろ」

「『なんなんだろ』、と言われてもな」
私がなんとなくで話してるのを理解してて、
先輩も、あまり本気で聞いてないし、答えてない。
「スマホやゲームは、それほど詳しくない」
ただ私と形式的な会話をしながら、
午前中に終わらなかった仕事を、ちょこちょこ。
終わらせて、片付けて、お弁当を広げ始めた。
「で、最終的に、お前の疑問は未解決として、お前の問題の方は、解決したのか?」

「問題は解決したー」
「そうか」

「あのね。スホカプ教の信者さんが作ったやつがね、スホカプ教徒さん制作なのに何故かホスカプ界隈とツルカプ界隈でドチャクソにバズったの」
「はぁ」
「異教徒が作った異教徒シチュだよ。なのに解釈完全一致なの。ヤバいの。尊みが溢れてるの」
「はぁ」

「他カプ信者が書いた自カプからしか得られない栄養って、多分、あるの。あるの……」
「昼休憩が残り10分だぞ。メシは食わないのか」
「たべる」

不思議だよね。他カプ信者だよ。
私は新しく入れた二次創作ゲーのイン&アウト仕分けを中断して、お弁当箱を出して、広げた。
入れた二次創作アプリの総数は忘れたけど、まだ仕分けが完了してない今の時点で、
だいたい、8個くらいがサブスマホに残ってた。

そのうち2個の非公式、二次創作、secret loveは、
あきらかに、私のヘキを完全に掴んだし、
それらの作者は、まさかの自カプ教徒の同志じゃなく、逆カプ教徒でもなく、他カプ信者だった。

「他カプ、逆カプ、不思議、まさかの解釈一致」
「はいはい」
「異なる視点からのアプローチが傑作を云々……」
「はいはい」

不思議だね。 不思議だなぁ。
私は頭の中で思考をグルグルさせながら、冷食のミートボールをつまんで食べて、
最終的に、他カプも自カプもどうでもよくなった。

良い作品は、誰が作ったものでも、良いんだなぁ
(多分ミツヲ)

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