寒い夜は、深海のようだ。
どこか寂しく感じて、時計の針が進む度に町から明かりが消えていく。
皆、夜は眠るものだから。
だから私は、海へと潜る。
外にいても寒くない格好だけをして、私は風を凌げる家屋から出発するのだ。
今の私は、さながらドライスーツを着た潜水士。
静かで、暗い世界が、目の前にはある。
街灯の明かりは、チョウチンアンコウだったように見えた。
たまに見かける、切れかけた電球のチカチカした様はヒカリキンメダイを彷彿とさせる。
どの子とコミュニケーションを取ろうとしている電球なんだろうな。私だったりするのか?
ざんねんながら私は魚では無いので交信は出来そうにないから、他を当たってくれよ。
深海は、まだ未知なる部分の多い世界だ。
宇宙に比べると、さすがに宇宙の方が未知は大きい気がするけれど。
夜には、町はまた違ったふうに見えてくるものだ。
いつも通うスーパーも、定期的に赤と緑を繰り返す信号機も。
この世界は、落ち着いていて、静かでやさしく、寂しいものだ。
私は定期的に寒い外へと繰り出す。この習慣は、ダイバーが酸素を補給しに海上へと上がってくるようなものだ。
無いと、私は私でいられ無くなる気がしている。
冬が一段と感じられるのだが、春だって夏だって、秋だってこれをしている。
ほかの季節ではどうなのか、それはまたいつか話そう。
そうしなくとも、実は誰だってその世界へは簡単に行ける。
静かであれば昼間だっていい。早朝だったら体感するのが早いかもしれないのはそうだけれどね。
安全な場所を確保してから、目を閉じて静かに深呼吸をするんだ。
すると耳が澄ましやすくなることだろう。
その世界を、まぶたの裏に想像するんだ。
きっと、あなたの中にも深海はあるだろう。
どんな魚がいるだろうか。もしくは、いないのかもしれない。
見たこともない奴が現れるかも。
なんたって、深海は未知なる世界なのだから。
気が向いたらやってみては如何だろうか。
「海の底」2024/01/21
僕は冬が好き。
寒〜い冬に毎朝登校しなくて良いという最高の冬休みがあるし、何よりもおじさんが帰ってくるからだ。
宿題は嫌だけど、別に勉強が嫌いな訳では無いし、おじさんが帰ってくる年末には終わらせる事にしている。
年明け前に、僕たちはおじいちゃんの家に集まるんだ。
親族みんなで、年越しそばを食べる。僕はお蕎麦がアレルギーだから、いつも一足先にお雑煮を作ってもらっている。おばあちゃんの作るものはどれも美味しいんだよね。
おじさんは、僕のお母さんのお兄ちゃんらしい。
毎年、大きくなったなあって言ってくれて、僕はいつもぐわんぐわんと揺れながら撫でられている。
これは結構好きだったりする。お母さんはあんまり、そういうスキンシップ?をしないから、ちょっと恥ずかしいけど嬉しいんだ。
他にも好きなことはある。
それはおじさんの事が好きな理由でもある。
「よし、明日は早起きするぞ!一緒に寝るか!?」
「いやもう僕五年生だよ、ひとりで寝れるよ」
「ええ〜いいだろぉ〜?な、そう言わずにさ!」
結局一緒のお布団に押し込められて寝るのがここ数年の事だった。これも、嫌じゃない。本題は次の日だ。
体を揺すられて起こされる。まだ寒いし夜じゃないか?となるが、まあ割と毎年こうだ。
おじさんは、僕を連れて早朝に出かける。
ある時は釣りに行ったし、ある時は深夜に出かけて車で見晴らしのいい所へ行き、親族に声をかけて希望者を引き連れて初日の出を見に行ったりした。僕はなぜか何も言ってないのに連れていかれた。うん、でも綺麗だったよ。移動中寝てたとはいえ眠かったけどね。
おじさんは写真家で、普段はあちこちをウロウロとしている。
「年末くらい顔を出せって皆うるさくてなあ、しゃーねえから来てんだよ、あっ!勿論お前に会いにも来てるぞ!」なんて、話していたことがあった。
冬の写真は、殆ど僕を連れて一緒に見せてくれた。
「ほら、おじいちゃん家行くよ、忘れ物無い?」
「うん、大丈夫!宿題は終わってるし、カメラも持った!」
「そう、じゃあ行こうか」
母と二人、並んで新幹線に乗りに行く。おじいちゃん家はちょっと遠いからね。
人混みの多いところでだけ、お母さんは僕と手を繋いでくれる。それが嬉しいから、毎年ちゃんとおじいちゃん家に行きたいんだ。
「お!よく来たな!」
おじいちゃん家に着くと、玄関にはニカッと笑うおじさんが居た。
「あれ!?おじさんもう居るの!?早くない!?」
思わず驚いてしまった。
「こらこら、静かにな。一軒家って響くもんだぜ〜隣の家までは割とあるからいいけど、おじいちゃんが怒っちゃうからな!」
「う、うん、気をつける……!」
「もう帰ってたんだ、珍し〜。今回は何しに行くの?わかってると思うけど危ないところは」
「おーおーわかってるとも!俺がコイツを危険なとこに連れてくわけねえって!安心しろ!……なあ?」
「うん!」
僕は即答した。いつもおじさんは、僕が楽しめるところに連れていってくれる。たまに興味がない所もあるにはあるけど、持てるようにと色んなお話を聞かせてくれるんだ。
「ねえおじさん、僕も知りたい!どこ行くかもう決まってるの?」
「ああそうだな、何ヶ所か考えちゃいるんだが……」
続く言葉も、このやり取りも、きっと毎年恒例。
「「内緒だ」ね!」
「ははっ、わかってるじゃねえか!そーだ、ナイショだ」
「楽しみ!」
「2人とも、まだ玄関いるの?さっさと中に来たら」
お母さんがリビングの部屋の扉から顔を覗かせている。
「はーい!」「ほーい!」
「あ、手洗いうがいしなよ、色々触ったんだから」
「はーーい!!」「はいはーい!俺もしよっと!」
「あれおじさん今来たところなの?」
「そーだよ、ほら行くぞ」
「冬は一緒に」2023/12/18
「今日の授業移動だっけ?」「そうそう移動」
「いやあれ変更になったらしいよ」「え?つまりどっち?教室なの?」
思い思いの言葉を口にする生徒で溢れる教室。
授業と授業の間の休みも、もう残り5分を切りかけている。
そんな中、教卓の前に立つ少女が居た。
「みんな静かにー!報告するから!今日は移動だよ、わたし先生に聞いてきた!」
引き続き、今日は移動だと繰り返している。
だが、静かにするように声をかけたのに少女の声ではあまり響いていないようだ。
仕方ないな。
「ほら皆黙れって。ちゃんと聞きに行ってくれた子がいるんだから、聞こうぜ」
途端、静まり返った空間。
視線が教室のど真ん中、つまり俺の方へと集中しているのを肌で感じる。
なんなんだ。たまには大きな声を出したって構わないだろう。
「……えっと、だから次の授業は移動!理科室だよ!」
……。
少しの沈黙の後、顔を見合せた生徒たちは軽く彼女にお礼を言うと、ガタガタと準備をし始める。
自分もそろそろ移動しなければと腰を上げ、歩き出す。
「あ、あのさ」
と、背後から声をかけられた。少女の声だ。
「ん?何?あ、ありがとうね、わざわざ先生のとこ聞きに行ってくれて。俺らあんま動かねえし助かった」
振り返ってまだ言っていなかった、言いそびれていたお礼を口にする。
「いや、いいの、私こそありがと」
「ああ、いいよあれくらい。理科室行かなきゃ先生がまーたイライラするからな、そろそろ2年だしちゃんとしないと」
「う、うん。そうね」
……?話は終わったのだろうが、まだ俺から視線が逸れない。
「あ、なにか用事あったりした?ないならそろそろ」
遅刻してしまうから向かおう、と続けようとしたが。
「あのっ!今日…その…」
少し俯き、頬を淡く桃色へ染めて、もごもごと話す少女。
おや。まさか。そんな。
流石に動揺してしまう。もしかすると、もしかする……?
「放課後、ちょっといい…?」
する……のか……??
「あっ、ああ、いいよ」
その後どんな顔をして残りの授業を受けたことか。
「便所でも我慢してんのかと思ったぞ」とは友人の言葉。
こちとら思春期だぞ、色々考えてしまうのも仕方ないだろう。言わなかったけど。
待ちに待った放課後。昨日までより長く感じるHRを終え、人通りの少ない棟での階段の踊り場。件の少女と一体一。
「あ、えっとね、話なんだけど」
「うん、何かな」
あくまで平常心につとめる。
差し出された封筒。
まさか。
「あの、あの子と君、仲良いじゃん…?渡して欲しくて」
…………ああ。
「わかった、なんて言って渡せばいいかな」
「あっええと…読んで欲しいってこと伝えてくれたらいいから!じゃ、じゃあよろしくね!」
小走りに去っていく背中をぼんやりと見つめる。
自惚れた己をとても恥じた。あいつに言わなくてよかった。ただの思いすごしだったなんて。
「で、渡したの?」
「そりゃあね。頼まれ事は完遂したさ」
「どうだった?2人はくっついたの!?」
「いや〜どうだろうな、俺の知ってる範囲だと付き合ってはなさそうだったけど」
「え〜そっか〜。でもいいな!なんか甘酸っぱくて!」
「うーん…俺としては恥ずかしい話をさせられたんだけど」
「ふふ、勘違いしてた貴方も可愛いじゃない」
「まあ、君がそう言って笑ってくれるなら、話してよかったかも」
「ええ、また色々と教えて!」
「とりとめのない話」2023/12/18
「あ〜さっむ……」
朝特有のひんやりとした空気を味わいながら、朝食の支度をする。
秋だろう季節と言うのに、もうすぐ傍まで冬が近付いていると感じる。
「腹減った」
後ろから弟に声をかけられた。前から思っていたが、彼は寒くないのだろうか?いつも半袖半ズボンという格好だ。
小学生ならではなのか、反骨精神から来るものなのか。
……わからないな。
「起きれてえらいじゃん」
軽く頭を撫でる。大人しく受け入れるこの子は可愛い。
言ってなどやらないが。言ったら調子に乗ってまた事ある毎に頭を差し出してくる事になるだろう。
他の事が手につかなくなる。可愛すぎて厄介だ。
「ほら、顔洗ったりしておいで」
「うん」
今日も素直で可愛い。いい子だ。
もうじき冬がやってくる。
クリスマス、というイベントも、待ち受けている。
育てるものとしては特に気を使う。
ああ、なにをお願いするのかな。なにを貰えるのだろうか。
「冬が来たら、何がしたい?」
気紛れに聞いてみる。
「え、うーん……雪遊び?」
なるほど。雪か。
「雪は、いいね」
この子が来た日を思い出す。
私とこの子は血の繋がりは無い。赤の他人だ。
私は真っ白な肌だが彼は黄みが強い。
瞳の色も違うし、親子だとはとても言えない。
だから彼を弟にした。
周りには母親が違うのだと言っている。
この地域は治安が良いわけでは無いから、普通に受け入れられている。
それにこんなこと、この辺じゃそんなに特異でもない。
独り凍えていたあの子を連れ帰ったのは何を思ってそうしたんだろうか。もう忘れた。
今はただ守りたいと、そう思っている。
彼が健やかに育ってくれたら、それでいいと。
「雪、降るかな?」
顔を覗き込んで聞いてくる、可愛い弟。
「ああ、きっとね」
去年はこの子と出会った、雪の降るクリスマス。
今年は彼の悲しくひもじい顔ではなく、それを喜ぶ顔へと変える雪を、どうかください。
「ああでも、暖かい格好しないと風邪ひくからね」
「え〜……うん……」
その時はアウターと、マフラーと、手袋と……。
少し嫌そうな顔をしているけれど、どれか2つは着けてくれないと困るね。
彼が冬を嫌いにならないように、生きることを諦めないでいられるよう……
無事に年が明けますように、なんて願うのは少し気が早いだろうか。
「雪を待つ」2023/12/16
「ねえ、覚えてる?あの日のアレ。
ほら、うちに泊まった日に見たやつ」
「ん?ああ!あれね!めっちゃ良かったやつ〜!」
同じバドミントン部だった彼女。
私は彼女とダブルスを組んでいた。
自他ともに認める親友である私達は、県大会までは行ったけれどやはりその先となると難しかった。
実力も、勿論理由の一つだ。
けれどそんなのは些細なことだった。
県大会1試合目をなんとか勝ち、次への練習を、と意気込んでいた所に彼女から呼び出された。
普段メッセージで気軽に話をしていたのに、「会って話したい」って。
いつもある絵文字も、顔文字もなんにもなかった。
その時点で良い話ではないのだろう、そう思った。
放課後。
クラスメイトが部活や帰宅で出払っており、2人きりの教室で伝えられたのが、転校するということ。
親が離婚したから、もう今週末には母とこの街を出て行くこと。
それを聞いた私はすぐさま脳内で計画を立てた。
「ねえ今日泊まりに来ない?」
「えっ何急じゃんね!?今アタシけっこーシリアスなこと言ったくない?」
いつもジャラジャラと色んなストラップを付けた携帯を弄ってばっかりの彼女が、手に持つことも無く本当に真剣な話をしていたものだから割と驚いてはいた。
転校も、離婚も、あまりにも急だ。
「そんなのはいーから。ほら、どう?急だし流石に許してくんないかなあ」
「うーん多分イケるでしょ、別にメッセ入れときゃ怒られないって」
だと思った。
まあ、そういう自由が過ぎてしまう所にも、少し思うところはある。でもそれは今考えることじゃない。考えたって私に出来そうなことなんてたかが知れている。それより今だ。
「おっけ、じゃあ連絡したら行こ」
「えっ部活は?」
「それどころじゃないし、今日くらいバックレても良いでしょ」
「え〜?アハハッ、そこはそんな感じなのかよ〜」
いつもの笑顔。
それを見るとなんだか、少し前までお互いの言葉しか耳に入って来なかったのに色んな音が入ってきた。
グラウンドで練習しているだろう声や、吹奏楽部の生徒の出す楽器の音。向こうの廊下からお喋りをしながら歩いていく女子生徒たちの、何やら盛り上がっている声。
不思議な感覚だった。彼女のことしか、考えられなくなっていたみたいだ。
ほんやりこの後のことを考えながら、私の一人暮らしの家へと2人で歩く。
家に着く前に軽く買い物をして、夜ご飯を一緒に作った。
相変わらず不器用な彼女。見ていてハラハラすることが多いから、簡単な事を手伝ってもらっている。
でもそういう会話すらもしていて楽しく、面白い。
食べて片付けたらテレビ見ながらまたお喋り。少ししたら私からお風呂に行く。
と、その前に。
「ねえ、どう?可愛くない?」
「いやマジかわいいー!最高じゃん!」
お揃いで色違いのもこもこパジャマ。私が森の葉っぱの薄い色で、彼女がサクランボが着いた薄い桃の色。
「写メ撮ろ〜!ほらもっとこっち寄って!いくよ〜!」
今になって、最近彼女がよく写真を撮っていたような気がしてきた。思い過ごしかもしれないけれど、思い出を残そうだなんて思っていやしないだろうか。
「わーんもうこんな時間!ほらもう寝なきゃ肌しんじゃうって!」
「あー、ちょっと待って」
寝室の方へ連れていかれそうになったけれど、それを止める。彼女は入浴後のケアを適当に済ませがちだ。
髪だって私が乾かしたし、スキンケア用品もシェアしているものもある。
まあ彼女は割と泊まる頻度が高いから、今使っている物は彼女の私物として置いているものだったり、一緒に買ったものだったりする。
「ほら、お風呂上がったんだから身体に保湿クリームでも塗っときな、私部屋の準備してくる」
「え〜今日はもう良くな〜い?ギリまで喋り倒した〜い…と思ったけどこれ新作のやつじゃん!なんかお肌にイイって聞くやつー!」
「新品だぞ、ありがた〜く使いな〜」
「ははー!たすかりまする!」
「ふふ、誰よそれ」
「あはは!終わったら私も行くからゆっくりやってて〜」
「はーい」
うん、いい感じだろう。
セッティングと試運転は終わった。後は迎え入れるだけだ。
と思ったと同時にノックの音。
「入るよ〜?」
「うん、ナイスタイミング。流石ね」
スイッチを入れる。
「もちろんアタシだしー?…っえ……」
: ・゜ ° ☆。. • .°• ✯ ゜ ★
° °· 🪐 . • 。. : ・
・ ☆ . : ° ★ • ☄ ☆ 。・゜ ・゜
__プラネタリウム。
私と彼女が仲良くなったきっかけ。
課外授業の一環で、たまたま隣の席になった。
静かに見ていたけれど、終わった時に彼女は泣いていた。
星のまたたきに。その尊さ、今まで、それからこれからの年月を想って、泣いていた。
思わず声をかけたのが、私達のはじまりだった。
「綺麗……」
「……おいで」
軽く手を引いて、2人でベッドに横になる。
1人用ベッドだからちょっと狭いけれど、もう慣れたものだ。
仰向けになって、この暗い小さな部屋に広がる、精一杯の星空を見上げる。
「ねえ、この為に呼んでくれたの?」
「うん。また2人で見たくて」
「え、わざわざ買ったの?やば、……嬉しい」
「私も、一緒に見れて良かった」
プラネタリウムに行っても良いんだけれど、移動する時間もお金も足りない。待っていられない。今週しか、ないんだから。
部活のこととか、本当はもっとこれからの事を話し合うべきだったのかもしれない。
でもこの夜だけは、2人であの時のように、ただ静かに見上げていたかったんだ。
「いや〜あたしの為にプラネタリウム買って見せてくれたの本当に健気すぎ…!!思い出して泣いちゃう…」
「えっマジ泣きじゃん…!ちょっと、いくら私の家だからってあんまり泣かないでよ、私が泣かせたって怒られちゃうでしょう」
「むりむり、泣いちゃう〜…!うう、子供産んでからほんと涙腺弱くなったかも……」
「まあそれは私もだけど」
「ほんとだ泣いてんじゃん…!」
そういって、2人で笑い泣き合う。あの時ぶりの再会だ。
お互い大人になっていて、家庭を持っていた。
今日は子どもは旦那に預け、私の家でお茶しながら久方ぶりの談笑。
でも、ちょっと不機嫌そうな声色で泣いている私の子供と、それに格闘する旦那の話し声がうっすら聞こえる。
「あ〜…あの子大丈夫かな…ごめん、うるさかったら」
「あははっ、いーのいーの!ウチなんて2人も居るもんだから最早やかましいまであるし慣れてる〜!」
快活に笑う彼女。うん、いい笑顔。
「綺麗になったね」
「なぁにいきなり。そんなのお互いでしょ〜!
てかなんかあったらいつでも聞いてよね、一応先輩だし?」
「数週間だけだけどねえ?」
そう言った途端、一際大きく泣く私の子の声が聞こえる。
「でも2人もいるんだから経験値も2倍よ〜!
あ〜てか私あんたの子会いたいー!ちょっとだけいい?」
そんな気を使えるような人になったんだな。
昔もよくしてたと思うけれど、より上手くなっている気がする。
「勿論いいよ、私もちょっと様子見たかったし、ありがとう」
「あはは!今度は育児奮闘中の仲間だからね!パパさん達ともだけど!」
「まあ、こっちの旦那はようやく自覚してくれたかな〜って感じだけど。でもやっぱ助かるよね、ちょっとでもこっちに参加してくれると」
「そうそう!ま、一緒に頑張ろ〜!」
旦那と子どもの元へと向かいながら会話する。
昔も今も、ある意味戦友で、親友の子だ。
新たに増える仲間である旦那たちとも一緒に頑張りたい。
「仲間」2023/12/11
ダークモードにするとそれっぽく味わえると思います。
こんなに長い文章、本当にちゃんと読む人なんているのかな。