「こんな夢を見た」から始まる小説

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4/23/2026, 9:53:23 AM

こんな夢を見た。
「そうか、この世界は偽物なんだ!」
私がそう叫ぶと、半分寝ぼけていた親友は驚いたのかイスから転がり落ちそうになった。
「な、何?急にどうした?」
「今更、白を切らないで。この世界はあんたが作ったんでしょ?それで本物の世界はあんたが壊したんだ!」
「…大丈夫か?疲れてるんじゃないのか?」
親友は疲労で私が狂ったと思ったのか、哀れみの目を向けている。そんな目をしても、もう騙されないぞ。
「私は疲れていないし、狂ってもいないよ」
「ちょっと待てよ、俺はただの人間だって。分かってるだろ、生まれたときからずっと一緒なんだから」
彼は慌てて弁解し始めた。そう言うと思って、私は彼の口元を指差した。
「だったら、あんたの口元のほくろはどうして左についてるの?生まれたときから右の口元についてるのに」
すると、彼はアッと声を上げ口元を隠した。
「しまった、反対に真似しちゃった…」
ぐにゃぐにゃと粘土のように彼の体が伸び縮み丸まったかと思うと、大きな黒い影になった。
「えへへ…もうバレちゃった。そんなに睨まないでよ。何で気づいたの?」
「一年経つのに、カレンダーやテレビの西暦が去年のままだったから」
「あ、そうか。四季が一周したら一年か。調整しとくね。…ところで、何か言いたそうだね」
影はこちらに近寄ってきた。私の鼻先に影の爪がツンツンと当たる。
「あれでしょ?どうして偽物の世界なんか作ったのかって聞きたいんでしょ?」
言い当てられて、目を丸くする。
「どうして、知って…」
「もう何度目か分からない質問だもの。長い付き合いだからね、君とも。ねえ、今回も知りたい?」
質問の意図が分からず、口ごもる。今回も、ってどういうこと。もしかして、今まで影に同じ質問をしている…?
「どうせ、結果は変わらないから教えてあげるね。世界を壊したのは、ぼくじゃなくて君の選択。壊れた世界に君だけは可哀想だから、偽物の世界を作ってあげたんだ」
「え」
「でも、人間って一人じゃ生きてけないでしょ?だから、ぼくの複製体が君の周りの人たちを真似してるの」
こーんな風に、と影は先ほどと同じように親友の姿を真似してみせた。今度は、ほくろの位置が合っている。説明が頭に入ってこない。
「私の選択が世界を壊した…?」
「うん。まあ、元気出しなよ。住めば都って言うじゃない。君の選択がたとえ間違いだったとしても、ぼくは全く気にしないよ」
影からの慰めも心に響かない。ただ自責の念がぐるぐると頭を回り続け、ぐらぐらと意識が遠くなってくる。
「あ、眠い?寝ていいよ。寝たら何もかも元通りだから。寝かしつけてあげよっか?」
影に無理やり寝かしつけられた。頭を撫でられ、ポンポンと背中を叩かれる。こういうおままごとも良いね、と影が呟くと同時に意識が途切れた。

4/22/2026, 9:02:01 AM

こんな夢を見た。最近、うなじにポタッと冷たいものが落ちてくる。何だろうと手をやれば、無色透明の無臭の水だ。上を見上げるが、特に水が漏れたりしている場所はない。気味が悪いし、水がうなじに当たるとゾワゾワするので、水が上から垂れてくる場所は避けるようになった。それでも、一日に一回はうなじに水が当たる。うんざりしてきて、スカーフを巻いた。鏡の前でちゃんと結べているか、じっと見つめる。
「うん、大丈夫そう。スカーフ、意外と私似合うかも…」
「駄目だ。お前は、うなじを出している方が似合っている。せっかくの美味そうなうなじを隠すな」
頭上から低い声が聞こえた。ここは自分の部屋で、私しかいないはずなのに。鏡越しに見るが、声の持ち主の姿は見えない。首の布を外せ、と動けない私の両肩に巨大な猛禽類のような鉤爪がそっと置かれた。きっと、犯人はこいつだ。そして、うなじに当たる水はこいつの…。
「早く、その布を外せ」
両肩の鉤爪が少し肉に食い込んできた。無視したら両肩が血塗れになりそうだ。言われた通りにスカーフを外すと、露わになったうなじにベロリと長い舌が這い、ハァ…と熱い吐息がかかる。
「うむ、やはり無い方が良い。お前の美味そうなうなじは曝け出されるべきだ」
舌がうなじを這う度に、ゾワゾワと嫌悪感が湧き上がってくる。今から捕食される小動物のような気分だ。
「今は食べないぞ。今はな」
表情を見たのか心を読み取ったのか、声は半笑いで答えた。
「うなじなんて、誰でも一緒…」
「いや、違うな。他の人間とお前のは全く違う。お前のは、見るだけで噛みつきたくなる」
こいつなりのこだわりがあるのか、きっぱりと切り捨てた。
「まあ、運が悪かったと嘆くしかないな。噛み殺される時が出来るだけ遅く来るのを祈ってろ」
舌が這っていたかと思えば、いきなりうなじを甘噛みされた。

4/21/2026, 8:53:06 AM

こんな夢を見た。散歩に出かけようと玄関で靴を履く。出ようとした途端、分厚いカタログギフトがポストに投げ込まれた。差出人は、悪魔とある。ろくなものじゃなそうだ。警戒しながら、重たいカタログを観察する。すると、後ろに手紙が貼り付いていた。今年は悪魔の誕生記念で、今だけ魂の受け渡しなしで一つ何でも叶えると書かれている。
「へえ〜…ますます怪しいな。悪魔からのものなんて何もいらないけど、ちょっと見てみるか」
カタログを開くと、普通の商品のページだ。少し拍子抜けしたが読み進めていくと、突然誰かの目元を接写したものがずらりと出てきた。
「うわ!何これ…?」
唇、鼻、手、足…。色んな人間の部位が接写された画像が出てくる。読めば、どうやら注文すればこの部位を自分の部位に変えてくれるらしい。画像の人間から取ってくっつけるので自己責任、と小さく書いてある。
「人間のパーツでキメラでも作る気なのか?」
何となく、普通の商品のページも隅々まで読むと、小さく注意書きがしてあった。他人の所有物やお店から持ってくるので自己責任だと。それは、窃盗ではないのか。やはり、悪魔からのものはろくなものがない。捨てようか迷ったが、分厚いカタログは破り捨てるにも労力がいる。そうだ、冬に鍋をする時の鍋敷きにでもしよう。頷きながら私は部屋の押し入れにカタログを投げ込むと、散歩に出かけた。

4/20/2026, 9:45:36 AM

こんな夢を見た。
「もしも未来が見れるなら、どうする?」
最近、仲良くなった異性の友人が楽しそうに尋ねてきた。彼は、私のクラスでも他のクラスでも人気のある男子だ。そんな人が、私のようなモブを構うなんて何のつもりだろう?
「どうするって?」
「未来、見てみたくない?自分がどんな大人になってるか、とか」
「んー見てみたいような、見たくないような…」
「俺は見たいな。どんな大人になって、どんな風に社会貢献してるのか。あ、あと結婚してるか!」
「それなら心配ないと思うよ。絶対に素敵な大人になって、きれいなお嫁さんもらってると思う」
正直な気持ちを伝えると、彼はポカンと口を開けた。もしかして、的外れなことでも言ったかな?そう思っていると、机に頭を打ち付けるように急に突っ伏した。
「わっ!大丈夫?」
「大丈夫…大丈夫」
彼は顔をぶつけたのか、両手で顔を抑えている。しばらくすると、彼は顔を上げた。全体的に赤みが残っている。すごく痛そう。
「うん。素敵な大人で、きれいなお嫁さんか。悪くないけど、俺は君と一緒にいる未来の方が良いな」
彼は、今まで何人もの女子を落とした笑顔で私に微笑みかける。目を逸らしたいほどかっこよくて、胸がときめくのを感じた。だが他の女子にもしているのを思い出し、冷静になれと頭を振った。
「そ、そう?ありがとう」
苦笑しながら、お礼を言うと彼は無表情になった。
「おかしいな…パラメータも好感度も足りてるはずなのに…」
彼はスマホを取り出すと、ぶつぶつと呟きながら操作し始めた。
「やっぱり元々非攻略対象だから、イベント進行に問題が…」
彼の顔は見たことがないほど、怖い顔をしていた。独り言を呟きながら操作を続ける彼に恐怖を覚え、席を立とうか迷った。
「無理やり、没キャラのイベントを実行したからか…?」
彼は舌打ちし、スマホを置く。その時、スマホの画面が見えてしまった。画面には、私の顔写真と私のプロフィールらしき文字化けが表示されていた。彼の独り言とこの画面…。もしかして、私はいわゆる恋愛ゲームの攻略対象?いや、非攻略って言ってたし。それじゃあ彼は…。肩を突かれ、ハッとすると彼が私に笑いかけていた。
「ぼんやりしてるけど、大丈夫?ところで今週の土曜日さ、遊びに行かない?」
態度がころころと変わる彼に戸惑っていると、強引に約束を取り付けられた。
「今週の土曜日だからね。忘れないで」
楽しみだね、と彼は爽やかに笑った。

4/19/2026, 7:36:02 AM

こんな夢を見た。目を覚ますと、部屋の中が真っ白だった。私の部屋は、こんな病室のような内装じゃなかったはずだ。自分の腕を見ると輪郭はあるが、皮膚の色はなく真っ白に発光している。
「…もしかして、色がなくなっている?」
発された自分の言葉に納得する。そうか、色が無いからこうなっているんだ。どうやら無色の世界は、白で統一されるようだ。部屋の中を歩き回ると、いつもの場所に家具や物が置いてあった。ちゃんと自分の部屋だ。もしかして私だけではなく、外も真っ白なんだろうか。好奇心に突き動かされ、手探りで玄関まで歩く。ドアノブを捻ろうとすると、手が止まった。頭の中で開けてはいけない、と警告されている気がするのだ。
「何で開けちゃいけないんだっけ…」
嫌な予感は消えず玄関から引き返し、居間に戻った。暇だから、テレビでも見ようか。テレビを点けたところで、真っ白な画面しか見えないが。電源を点けると、真っ白な画面にニュースの音声だけが流れた。
「…が、只今地球の目前に迫っています。我々にはただ安らかに眠れることだけを祈るしか出来ません。皆さん、どうか安らかにおやすみなさい…」
「どういうこと、何が迫ってるの…?」
ニュースの音声は、その部分だけがリピートされているかのように同じ調子で繰り返されている。
「ループしてる…?」
ふと、死ぬ瞬間は体感時間が引き延ばされることを思い出した。死ぬ瞬間、脳内物質が一気に分泌されて長く苦しみを味わうことになるとか。
「臨死体験…」
ぽろっと出た単語で理解した。これは何かが地球に迫り、私や他の人たちの死ぬ間際の猶予期間なんだろう。ならばこの無色の世界は、消滅する前の光の色…?
「せめて走馬灯が見えたら、退屈しなかったのにな…」
ため息をついても、まだまだ死は訪れそうになかった。

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