「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。目を覚ますと、部屋の中が真っ白だった。私の部屋は、こんな病室のような内装じゃなかったはずだ。自分の腕を見ると輪郭はあるが、皮膚の色はなく真っ白に発光している。
「…もしかして、色がなくなっている?」
発された自分の言葉に納得する。そうか、色が無いからこうなっているんだ。どうやら無色の世界は、白で統一されるようだ。部屋の中を歩き回ると、いつもの場所に家具や物が置いてあった。ちゃんと自分の部屋だ。もしかして私だけではなく、外も真っ白なんだろうか。好奇心に突き動かされ、手探りで玄関まで歩く。ドアノブを捻ろうとすると、手が止まった。頭の中で開けてはいけない、と警告されている気がするのだ。
「何で開けちゃいけないんだっけ…」
嫌な予感は消えず玄関から引き返し、居間に戻った。暇だから、テレビでも見ようか。テレビを点けたところで、真っ白な画面しか見えないが。電源を点けると、真っ白な画面にニュースの音声だけが流れた。
「…が、只今地球の目前に迫っています。我々にはただ安らかに眠れることだけを祈るしか出来ません。皆さん、どうか安らかにおやすみなさい…」
「どういうこと、何が迫ってるの…?」
ニュースの音声は、その部分だけがリピートされているかのように同じ調子で繰り返されている。
「ループしてる…?」
ふと、死ぬ瞬間は体感時間が引き延ばされることを思い出した。死ぬ瞬間、脳内物質が一気に分泌されて長く苦しみを味わうことになるとか。
「臨死体験…」
ぽろっと出た単語で理解した。これは何かが地球に迫り、私や他の人たちの死ぬ間際の猶予期間なんだろう。ならばこの無色の世界は、消滅する前の光の色…?
「せめて走馬灯が見えたら、退屈しなかったのにな…」
ため息をついても、まだまだ死は訪れそうになかった。

4/19/2026, 7:36:02 AM