「こんな夢を見た」から始まる小説

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5/3/2026, 9:57:39 AM

こんな夢を見た。半年前に付き合い始めた無愛想な彼のことについて、共通の友人に相談をすることにした。
「ええっと…それは、あいつとあんたが本当に付き合ってるか分からなくなったと言いたいわけ?」
彼女は困惑しながら、相談事をまとめてくれた。私は頷いた。半年前にこちらから告白し、数日後にオーケーをもらった。しかし、恋人のようなことが未だに出来ていない。
「大丈夫だって。あいつも、ちゃんとあんたのこと好きだって。無愛想なだけで」
「だったら、どうして彼は手を繋いでくれないの」
「恥ずかしいだけでしょ。ただでさえあんたからの告白の後、あたしのとこに来て…」
彼女はあ、やべと自分の口を抑えた。
「告白の後、彼が来たの?」
「来たよ。でも、心配するほどのことでもないから」
彼女は誤魔化すように笑った。何だか怪しい。もしかすると私から告白されて、彼は困って彼女に相談しにきたのかもしれない。
「心配するほどのことでもないなら、教えてよ。彼は、何を相談しに来たの?」
詰め寄ると、彼女は苦笑した。
「あはは…教えるから、そう怖い顔しないでよ。あいつは、あんたからの告白をすっごく喜んでたよ。ただ…」
「ただ…?」
「その分、すっごく悩んでてね。無愛想で自分の容姿を気にしてるから、あんたに嫌われたらどうしようってずっとうじうじ言ってた」
そういうとこは似た者同士だね、と彼女は笑う。
「無愛想や容姿なんか関係なく惚れたのはあいつの優しさだけで、きっとあんたに嫌われる要素なんか無いのにさ」
ね、と同意を求められたので頷いた。当たり前だ、私は彼の不器用な優しさに惚れて告白したんだから。
「早めにオーケーすればって言ったらさ、あいつもう顔真っ赤。面白かったなあ。『付き合ったら手を繋いだり、それ以上のこともするだろ。スキンシップなんてしたら死ぬ』だって!」
やっぱり迷惑だったんだ。私の顔が暗くなったのに気づいて、彼女は慌てて付け足した。
「あ!あいつが嫌って言った訳じゃないから!単にあいつが初心なだけだから。それじゃ断ったらって言ったら、それは嫌だって。で、数日押し問答した後、あんたと付き合うってあいつ決めたんだ。あいつに、情けないから黙っておいてって言われたんだけど…口が滑っちゃった」
「そうだったんだ」
「それで、確認なんだけど。あんたは、あいつのこと好き?」
「うん」
「なら、待っててやってよ。あいつ、初心だけどあんたのこと本気で好きだからさ。不安になって、あいつのことフるなんてのはやめてね」
彼をフるなんて、有り得ない。
「でさ、これは今日の話なんだけど、あんたの前にあいつ来たんだよ」
「え?彼が来た?」
「うん。あんたのことについて、相談しに来た」
「私のこと?」
頭の中の嫌な想像を振り払い、話の続きを聞く。
「好きすぎてスキンシップが出来ないってさ。手を握るのも、心臓が壊れそうだって」
私は、安堵のため息をついた。それから、話の内容を理解し赤面した。
「今日のあんたの顔、百面相で面白いね。で、助言が欲しいって言うから…」
ガラッと音がして振り向くと、彼が立っていた。
「お、噂をすれば。どうした?」
彼女が彼に話しかけると、彼はズンズンと近寄り私の手を取ると早歩きで歩き出した。手を引っ張られながら彼女の方を振り返ると、ひらひらと手を振られた。廊下に出た彼は周りを見回し、誰もいないことを確認するとこちらに向き直った。
「……」
彼は思い詰めたような顔で、口を真一文字に結んでいる。どうしたんだろう。不安になったが先ほどの話を思い出し、彼が話すのを待つことにした。
「…………あのさ」
「何?」
「……ごめん。……俺、無愛想だしあまり格好良くないし…スキンシップも出来なくて…不安にさせたかもしれないんだけど…。その……」
そこから彼は口ごもってしまった。何も言わずに彼の言葉を待っていると、彼は意を決したように私の両手を握ってきた。
「……ちゃんと、お前のことが本気で好きなんだ!し、信じてくれ!」
彼がこんな風に直球で言ってくれるなんて。彼からの言葉を噛み締めていると、彼は不安そうに私の目を覗き込んできた。
「も、もう…嫌いになったのか…?」
うるうるとした彼の目と目が合い、胸の奥がぎゅうと締めつけられた。
「ううん、好きだよ。君の容姿も無愛想なとこも、私の告白をちゃんと受け止めて悩んでくれる優しさも、恥ずかしくてスキンシップが出来ないとこも大好き」
そう言うと、彼は動揺し赤面した。
「な、何で知って…!」
「何でだろうね?」
あいつ話しやがった、と彼はか細い声で呟く。
「ねえ、今スキンシップ出来てるよ」
呪詛を吐く彼の手を握り返すと、ビクンッと彼の肩が跳ね上がった。
「……本当だ…俺、必死だったからつい…」
「やっと、手を繋げたね」
「……そ、そうだな……」
彼も恐る恐る私の手を触る。なんだか、可愛い。
「私さ、君のペースに合わせようと思うんだ。スキンシップも関係も」
「え…?で、でも…」
「大丈夫。私も、恋人同士なんだからって少し思い詰めてたみたい。ゆっくりでいいよ」
困る彼の指に指を絡めると、またビクンッと彼の肩が跳ねた。

5/2/2026, 7:54:56 AM

こんな夢を見た。ふわふわと極彩色の球体たちが空を覆い尽くす。あれは風船だ。どこかで客寄せ用の風船が、飛んでいってしまったのだろうか。風船たちは空高く飛んでいくのではなく、少しずつ降下していく。眺めている内に、子どもが掴める高さまで降りてきた。
「風船だ!」
プラプラと垂れる風船のヒモを、子どもが勢いよく掴む。すると子どもの手にヒモが絡まり、風船の表面が口を開けるように裂け、子どもを一呑みした。悲鳴が上がり、町は風船から逃げる人々でごった返した。風船は生きてるかのように漂いながら近づき、人々を捕食していく。腹が満たされたのか、風船たちは今度こそ空高く飛んでいく。全て飛んでいくのかと思いきや、また別の風船が交代で降りてくる。私が捕食されるのも、時間の問題か。何かないか、と探していると、安全ピンがポケットに入っていた。近寄ってきた風船に向かって、安全ピンを刺す。風船はパンッ!と音を立て、簡単に割れた。材質は普通の風船みたいだ。
「これなら…!」
安全ピンを持ち、風船の群れに立ち向かう。針が刺さると軽い破裂音を立てながら、風船は地に落ちていく。アスファルトの地面がカラフルな風船の残骸で覆われる頃、風船は降りてこなくなった。
「やった…のか?」
一息つくと、静まり返った町の大型液晶モニターに地球が映し出された。それと同時に、雲もないのに空が薄暗くなっていく。
「一体何が…?」
モニターの中の地球に、一回り大きな赤い球体が近づいてくる。
「……嘘だろ?もしかして、あれって風船……」
気づいたときには空は真っ赤に染まり、すぐに真っ暗になったと思うと私の意識も途切れた。

5/1/2026, 7:54:47 AM

こんな夢を見た。最近仲良くなった友人が、見せたいものがあると家に誘ってきた。
「ほら、これだよ」
彼女は、棚から丸い小瓶を持ってきた。中には、ミニチュアサイズの植物と砂利が敷いてある。
「可愛いでしょ?テラリウムって言うんだけど。あたし、これに最近ハマってて」
小瓶の中の世界に見入っていると、彼女はまた棚から瓶を持ってきた。
「まだ、いっぱいあるんだ。特別に見ていいよ」
彼女は、笑顔でテーブルにテラリウムの瓶を置いていく。一つ一つ手に取り、眺める。どれもこれも世界観があり、眺めるだけでも楽しい。
「気に入ったなら、あなたもテラリウムやらない?同じ趣味の人、中々いなくてさ。良いでしょ?あたしが教えてあげるから」
私が返事する前に彼女は滔々とテラリウムの良さを語り始めた。彼女はテラリウムの小瓶の一つを摘み、うっとりと見つめながら話している。相槌を打ちながら、テラリウムの瓶が飾られていた棚に私は目を惹かれていた。棚にポツンと飾られた大きな水槽。重かったのか、彼女は持ってこなかった。植物が見えるので、あれもテラリウムなんだろう。あの大きな水槽の中には、どんな世界が広がっているんだろう。気になって仕方ない。気も漫ろで相槌が適当になった私に、彼女は首を傾げた。
「ねえ、何か気になることでもあるの?」
「え?まあ、うん。あのさ、あの大きな水槽もテラリウムなの?」
指差すと彼女は棚の方に振り返り、渋い顔になった。
「あー、そうだよ。でも、あれはテラリウム始めたての時に大きく作りすぎて失敗したんだ。あたしは、小さい方が好みだから」
「へえー。大きいって言っても、テラリウムなんでしょ?私は見たいな。見てもいい?」
すると、ますます彼女の顔は曇った。
「えー?恥ずかしいから、見なくていいよ」
彼女の作品を見る限り、彼女のセンスはとても良い。失敗したといっても、きっと良さはあるはずだ。彼女が止めるのも聞かず、私は棚の大きな水槽を覗き込む。瞬間、私は息を呑んだ。水槽の中には、楽園が広がっていた。青空に映える一面に広がる白い小花の花畑、大きなリンゴの木、白を基調にしたテーブルとイス、それから…。
「……人間?」
ミニチュアサイズの少年少女たちが真っ白な服を着て、追いかけっこをしていた。
「これね、最初は花が咲くタイプのコケだけ入れてたんだ。水槽の背景が青空だったから、青空に一面の花畑ってコンセプトでね。でもあまりにも殺風景だったから、失敗だって思って水やりだけして放置してたの。そしたら、いつの間にかこうなってた」
彼女はため息をついた。それから、いつの間にか持っていた霧吹きで水槽の中に水を吹きかけた。すると、きゃあ、と声を上げ少年少女たちは慌てて建物の中に駆け込んで行く。
「あたしが創り上げたかった世界を、よく分からない奴らに完成させられるとは思ってなかったよ」
彼女は屈辱だと言わんばかりに、底に水溜まりが出来るほど水を吹きかけ続けていた。

4/30/2026, 8:16:04 AM

こんな夢を見た。私が先生として授業をしていると、生徒たちの目線が気になった。目線を追うと教室の天井近くに、女生徒がふわふわと浮かびながら居眠りをしていた。生徒たちが、目で私に訴えかけているのが分かった。本当に彼女は困った生徒だ。息を吸い、大きな声で彼女の名前を呼ぶ。すると彼女はビクリと肩を震わせ、そのまま落ちてきた。痛そうに腰をさする彼女の前に立ちはだかると、彼女は見上げ苦笑しながら頬をかいた。
「浮きながら、居眠りしてるんじゃないよ」
「えへへ…ごめんね、先生?」
私は彼女の手を取り、席に座らせると授業を再開した。彼女は、クラスで浮いている存在だ。人間関係的にも、物理的にも。二者面談で馴染めないから、浮いているのかと尋ねたことがある。
「違うよ、先生。わたし、生まれた時から浮いているんだよ」
生まれた時から浮いている?
「気が抜けると、ふわふわしてあんな風に浮いちゃうの」
気が抜けると浮く?ヘリウムガスを入れた風船みたいだ。
「じゃあもし外で気を抜いたら、風船みたいにどこまでも飛んでいくの?」
「うん。外でうっかりお昼寝したら、帰ってこれないかも」
信じられないが、彼女が浮いてるのを何度か見ているため否定できない。彼女は、理解に苦しむ私を不思議そうに見つめる。
「先生だって、子どもの頃は空中浮遊して遊んだでしょ?何で、難しい顔してるの」
子どもの頃、空を飛びたいと思ったことはあっても、空中浮遊をした覚えはない。その時の二者面談は私が彼女の話に頭を抱えたまま終わり、進路の話は出来なかった。今度の進路相談こそはと思っていたが、それは叶わなかった。ある日昼休みが終わっても、彼女が教室に戻ってこなかったからだ。嫌な予感がして、教室の窓から空を見上げた。案の定、彼女がふわふわと空へ上昇していくのが見えた。大きな声で彼女を呼ぶと、彼女は私に気づいて笑顔で手を振る。降りてきて、と声をかけても降りてくる気配はなく、そのまま風に乗って青空に消えていった。

4/29/2026, 6:49:38 AM

こんな夢を見た。父親に、お古のカメラを譲ってもらった。新しいカメラを買ったので、使って良いらしい。インスタントカメラやスマホのカメラ機能しか使ったことのない私は、大興奮で色々な物を撮影した。最初は、手ブレの酷いものやピンボケの写真が多く落ち込んだ。だが慣れてきたのか、少しずつ綺麗に撮れるものが増えていった。被写体の一番素晴らしい瞬間を切り取る、刹那の美しさを自分のものに出来るのだ。それから私はどこに行くにもカメラを首からぶら下げ、出先で写真を撮りまくった。
「うん、いい感じ。今回もいい写真が撮れたな」
満足し帰って現像すると、変なものを見つけた。
「あれ…?何だろ、この光…」
出来上がった写真を見ると、風景に重なるように白い光が写真の左上を覆っていた。
「光の反射かな…」
次の写真を見ると、また同じ場所に白い光が写っている。その次も、そのまた次も。
「近くに何かあったっけ…」
いや、そんなはずはない。撮影時に、邪魔になるような物はなかったはずだ。白い物なら尚更目立つので、気付かない訳が無い。
「…?何これ、ちょっと動いてる…?」
写真が後になるほど、白い光が少しずつ中心に移動している。ちょうど、学生時代に教科書やノートの隅に描いていたパラパラマンガのようだ。そして、白い部分に黒が混じり始めた。それはまるで、人間の…。
私はそれ以上写真は見ずに、霊感のある友人の家に写真を持っていった。友人は写真を見ると、眉をひそめた。
「これ、幽霊とかじゃないね。何も感じないし」

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