「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。ふわふわと極彩色の球体たちが空を覆い尽くす。あれは風船だ。どこかで客寄せ用の風船が、飛んでいってしまったのだろうか。風船たちは空高く飛んでいくのではなく、少しずつ降下していく。眺めている内に、子どもが掴める高さまで降りてきた。
「風船だ!」
プラプラと垂れる風船のヒモを、子どもが勢いよく掴む。すると子どもの手にヒモが絡まり、風船の表面が口を開けるように裂け、子どもを一呑みした。悲鳴が上がり、町は風船から逃げる人々でごった返した。風船は生きてるかのように漂いながら近づき、人々を捕食していく。腹が満たされたのか、風船たちは今度こそ空高く飛んでいく。全て飛んでいくのかと思いきや、また別の風船が交代で降りてくる。私が捕食されるのも、時間の問題か。何かないか、と探していると、安全ピンがポケットに入っていた。近寄ってきた風船に向かって、安全ピンを刺す。風船はパンッ!と音を立て、簡単に割れた。材質は普通の風船みたいだ。
「これなら…!」
安全ピンを持ち、風船の群れに立ち向かう。針が刺さると軽い破裂音を立てながら、風船は地に落ちていく。アスファルトの地面がカラフルな風船の残骸で覆われる頃、風船は降りてこなくなった。
「やった…のか?」
一息つくと、静まり返った町の大型液晶モニターに地球が映し出された。それと同時に、雲もないのに空が薄暗くなっていく。
「一体何が…?」
モニターの中の地球に、一回り大きな赤い球体が近づいてくる。
「……嘘だろ?もしかして、あれって風船……」
気づいたときには空は真っ赤に染まり、すぐに真っ暗になったと思うと私の意識も途切れた。

5/2/2026, 7:54:56 AM