こんな夢を見た。最近、うなじにポタッと冷たいものが落ちてくる。何だろうと手をやれば、無色透明の無臭の水だ。上を見上げるが、特に水が漏れたりしている場所はない。気味が悪いし、水がうなじに当たるとゾワゾワするので、水が上から垂れてくる場所は避けるようになった。それでも、一日に一回はうなじに水が当たる。うんざりしてきて、スカーフを巻いた。鏡の前でちゃんと結べているか、じっと見つめる。
「うん、大丈夫そう。スカーフ、意外と私似合うかも…」
「駄目だ。お前は、うなじを出している方が似合っている。せっかくの美味そうなうなじを隠すな」
頭上から低い声が聞こえた。ここは自分の部屋で、私しかいないはずなのに。鏡越しに見るが、声の持ち主の姿は見えない。首の布を外せ、と動けない私の両肩に巨大な猛禽類のような鉤爪がそっと置かれた。きっと、犯人はこいつだ。そして、うなじに当たる水はこいつの…。
「早く、その布を外せ」
両肩の鉤爪が少し肉に食い込んできた。無視したら両肩が血塗れになりそうだ。言われた通りにスカーフを外すと、露わになったうなじにベロリと長い舌が這い、ハァ…と熱い吐息がかかる。
「うむ、やはり無い方が良い。お前の美味そうなうなじは曝け出されるべきだ」
舌がうなじを這う度に、ゾワゾワと嫌悪感が湧き上がってくる。今から捕食される小動物のような気分だ。
「今は食べないぞ。今はな」
表情を見たのか心を読み取ったのか、声は半笑いで答えた。
「うなじなんて、誰でも一緒…」
「いや、違うな。他の人間とお前のは全く違う。お前のは、見るだけで噛みつきたくなる」
こいつなりのこだわりがあるのか、きっぱりと切り捨てた。
「まあ、運が悪かったと嘆くしかないな。噛み殺される時が出来るだけ遅く来るのを祈ってろ」
舌が這っていたかと思えば、いきなりうなじを甘噛みされた。
4/22/2026, 9:02:01 AM