「こんな夢を見た」から始まる小説

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3/18/2026, 11:28:44 PM

こんな夢を見た。寝坊し急いで玄関から出ると、外ではなくトイレだった。ついでに用を済ませ、トイレから出る。だが玄関ではなく、自室だった。忘れ物がないかチェックする。あ、これ忘れてた。忘れ物をカバンに突っ込み、部屋を出た。次は居間。つけっぱなしのテレビから流れる天気予報を見る。午後から雨が降るらしい。カバンに折りたたみ傘入れっぱなしで良かった。テレビの電源を切り、居間から出る。今度は洗面所。
「そろそろ、外に行きたいんだけどな」
鏡の中の私は不満げな顔をしている。取り敢えず身だしなみをチェックする。あ、寝癖と頬によだれの跡がついてる。ついでにボタンをかけ違えていたのでかけ直す。これでよし。もう一度鏡を確認する。大丈夫そうだ。洗面所から出ると、玄関に出た。先ほどまで自分が座っていた場所にお弁当が置かれていた。
「お弁当!」
私はどうやらお弁当を忘れて出ようとしていたらしい。いつもは苛つく不条理なドアに感謝をし、外へ出る。やっと外に出ることが出来た。
「忘れ物多くて身だしなみがきちんとしてないやつを外に出したら、近所のドアに笑われちゃうよ。普通のドアになってほしいなら、もう少しきちんとしてよね。それに…」
背後のドアがぶつぶつと説教してきた。だが、急いでいたので無視して学校に向かった。

3/18/2026, 9:23:09 AM

こんな夢を見た。半魚人の友人たちが追いかけ回されているというので家に匿った。理由を聞けば、人魚の涙を求めて人間が痛めつけてこようとするらしい。
「だから逃げていた、と」
「そう」
「そうだな」
人魚のような見た目の少女マリンはしょんぼりと答える。その横で、上が魚で下が人間のアクアはため息を漏らす。
「ボク人魚みたいだけど、人魚の涙なんて知らないよ。人間たちが言ってるのって宝石のことでしょ?」
「魚が眼から宝石なんか出せるか。オレたち半魚人は人間と一緒で塩辛い液体しか出せねえよ」
「え?ボク、出ないし泣かないよ?」
「え、そんな人間みたいな見た目してるのにか?」
「うん。あ、もしかして陸に上がったかどうかじゃない?ほら、アクアは陸上で過ごしてるじゃん」
「そりゃ人間の足じゃ常に泳げないからな。足つるし。…いや、マリンの方が陸に上がるべきじゃないのか。人間は水中で息できないだろ」
「人間の上半身だけど、エラは退化してないから。ほら、ちゃんとあるでしょ」
たしかにマリンの首に三本赤い横線が入っている。
「それ言うなら、アクアの方が…」
話が脱線してきた気がする。
「ええっと、アクアとマリンはこれからどうするつもり?」
声を掛けると、アクアとマリンはお互い顔を見合わせた。
「どうしよっか…」
「そのうち、人間たちも諦めて帰るだろ。それまでオレは寝る。散々追い回されたんだ」
アクアは勝手に私のベッドに横たわり、目を開けたまますぐにいびきをかき始めた。嗚呼、干したばかりのシーツにぬめりと鱗が…。真っ白のシーツにアクアが寝ていると、まな板の鯉と言う単語がチラつく。
「うーん…ボクも体乾いてきたし、お風呂場借りてもいい?」
「いいよ」
私の横を通るマリンの耳にキラリと何かが光った。
「あれ、マリン。何か光ったよ?」
「ああ、これ?」
マリンは私に近づくと、耳飾りを見せてくれた。小さな真珠とドロップ型の大きな水色の宝石が、マリンの耳で揺れている。
「ママがボクのために作ってくれたの。ボクの名前と同じ石と真珠でね。ボクがどこかにお嫁に行くときに着けなさいって」
マリンは照れくさそうに話す。
「ママはすごく有名なデザイナーでね、こういうアクセサリーを作る仕事をしてたの。いつも忙しそうでボクは心配してた。案の定、病気になって死んじゃったんだけどね。でも、後からボク宛の手紙とこの耳飾りが見つかって」
愛おしそうに耳飾りを触る。
「不謹慎だけど、ボク嬉しかった。ママはボクのこと忘れてなかったんだって」
初めて聞くマリンの母の話に口ごもっていると、マリンはにっこりと微笑みかけた。
「…なんて、しんみりさせちゃった。ボク、もう大丈夫だから。お風呂場行ってくるね」
「う、うん」
マリンがお風呂場に引っ込むと、途端に静かになった。ベッドの方からアクアのいびきが聞こえるくらいだ。
「…テレビでもつけよう」
テレビをつけると、ニュースが流れ始めた。
「…美術館に寄贈された『人魚の涙』が盗まれ、犯人は未だ逃走中…」
人魚の涙…。アクアとマリンが言っていたが、まさかこれのことではないだろう。あの二人が盗みなんかするわけない。それでも気になって、ニュースの続きを見る。『人魚の涙』は有名デザイナーの遺作であり、家一軒が建つほどの値がつくらしい。画面の『人魚の涙』は、マリンが着けていた耳飾りにそっくりだった。
「見たな」
背後から低い声が聞こえた。振り向くと、アクアが立っていた。
「どうして盗みなんか…」
「盗んだんじゃない。あれは元々マリンの物だ。手紙には娘への贈り物だと書かれていた。にも関わらず、勝手に美術館に寄贈されていたんだ。『人魚の涙』としてな」
「だから、取り返したの…?」
アクアは頷く。
「オレもマリンもお前のことを友だちだと思っている。お前もそうだろ。オレたちに協力することなんてわけないことだよな?」
私は頷くしかなかった。

3/16/2026, 11:25:53 PM

こんな夢を見た。幼い頃の私が昔住んでいた家を探索している。昔の私は怖がりで、母親の後ろにひっついて離れなかった。薄暗い廊下を歩きながら、何故怖がりになったかを考える。昔の記憶があいまいなのでよく覚えていない。だが多分、常に薄暗いこの家自体が不気味だっただけだ。特に照明がなく昼でも薄暗い廊下は、子ども心にお化け屋敷のように思えたんだろう。歩くたびにギィ、ギィと音を立てる廊下を進む。廊下の突き当たりに妙に古い引き戸を見つけた。
「…?こんな場所あったっけ…」
ガタガタ動かしていると、指が一本入るかどうかの隙間が出来た。流石に開かないか。隙間からのぞくと、一対の目があった。ビクリと肩が上がったが、親がのぞいてるだけと言い聞かせる。すぐにそれは違うと気づいた。幼い私の目の高さに一対の目が縦に並んでいたから。そして思い出した。引き戸の部屋は物置でロッカーのように縦に長く、横に寝転がれるスペースなどないと。

3/16/2026, 9:30:25 AM

こんな夢を見た。棚の中からリボンのついた瓶を取り出し、ふたを開ける。瓶を軽く振ると、手の上には一粒だけ金平糖が転がり出てきた。金平糖がもうない。そう理解すると、私は雷に打たれたような衝撃を受けた。この瓶入りの金平糖は、去年の星祭りの際に貰ったものだ。初めて口に入れた時の感動は今も覚えている。だから、毎日一粒ずつだけ食べていたのだが。私はため息をついた。今年の星祭りはまだまだ先だ。それまで一日の終わりの楽しみなく過ごせと言うのか。そんなの耐えられない。
「何とか、金平糖を手に入れる方法は…」
そもそも、私は去年この星に来たばかりで通貨やどこで手に入れるとかは知らない。去年配っていた人に尋ねるか?いや、「貴重だから大事に食べてね」と言っていた。きっと、この星でも貴重な食べ物なんだろう。
「自己流で作るしか…」
私は窓から輝く星空を見つめる。星の光を固めれば、それっぽい形にはなるだろう。ただ、星の光は宇宙船の燃料で食えないことはないが、とても苦い。
「……最後の一粒を成分分析にでもかけるしか…」
食べられないのは辛いが、明日から星祭りまで金平糖がない日々よりはマシだ。食べたい気持ちを抑え、成分分析の機械に投入した。五分もしない内に結果が出た。スクロースの結晶らしい。スクロースは船内の機械で作れるはずだ。拍子抜けだが簡単に作れることを知り、ホッとした。星の光を食べているわけじゃないらしい。金平糖の作り方を調べたが、かなり時間がかかる。今すぐ食べたいのに。
「…そうだ!星の光を取ってきて、スクロースで固めれば!」
私は星取り網とバケツを掴み、外へ出た。空はキラキラと星の光が輝いている。高い丘の方へ走り、星取り網をぶんぶんと振る。すると、キラキラと小さな光の粒が取れた。やっぱり金平糖の大きさと同じ。ウキウキで星取り網を夢中で振る。持参したバケツ一杯になると、私は宇宙船に駆け込んだ。機械にバケツの中のものを投入し、パネルを操作した。
「スクロースのデータも入れて…」
開始ボタンを押すとすぐにザラザラと音を立て、甘そうな星が取り出し口から溢れてきた。見た目はトゲのない金平糖だ。
「出来た!それじゃ…いただきまーす!」
口に放り込むと、待ち望んでいた甘さが広がった。しばらく口の中で転がしていると、急に苦さが出てきた。
「んぐっ…!?」
ペッと手の中に吐き出す。スクロースのコーティングがなくなった光の粒が転がった。やっぱり、スクロースの結晶だけで作らないといけないらしい。美味しいものを食べるために近道はできないということか。私は肩を落とした。

3/15/2026, 8:35:09 AM

こんな夢を見た。心霊スポットに行こうと友人に誘われ、私は廃墟にやって来た。友人いわく、入った人間が必ず変死体で見つかる呪われた場所らしい。
「それを分かってて、何で連れてきた。まだ私は死にたくないんだが」
「そりゃ、肝試しだよ。気になるじゃん、変死の原因」
「そりゃ霊の仕業…」
「そんなわけないよ。霊は人間に触れないのに、どうやって人間を変死させるのさ」
オカルトが好きな割に、妙に現実的なやつだ。
「霊の仕業じゃないなら、何だと思うんだ?」
「んー、この廃墟自体に有毒性の塗料が使われているとか?あ、吸ったらまずい成分が含まれた建材を壁に使ってるのかも!ねえ、君はどう思う?」
「だったら、尚更行かない方がいいだろ。今すぐ帰ろう」
「えー、ガスマスクとゴーグル持ってきたのにー。だったら、僕だけでも行く」
彼はむくれた顔をして、スタスタと廃墟に向かっていく。流石に一人で行かせるのは危険だ。私は慌てて彼を追いかけた。
「結局、来るじゃん。何だかんだ、気になってるんでしょ?」
彼はニヤニヤしながら、ガスマスクとゴーグルを渡した。着用すると、ゴーグル越しに彼を睨む。
「そりゃそうだろ。一人で行かせて死なれたら、寝覚めが悪い」
「はいはい」
彼はスマホのライトを起動し、先へ進む。しばらく廃墟を探検したが、特に目ぼしいものは見つからなかった。
「見つからないねえ…」
「ただの廃墟探検だな…」
「あとは…」
彼は『立入禁止』の札がぶら下がったトラロープの先の階段に視線を向けた。
「あそこだけど…」
「立入禁止だな」
「でも、原因が分からないじゃん。噂通りなら、僕たち変死するらしいし。何も分からず死ぬくらいなら行ってみようよ」
呪われた場所だからって、流石に悲観しすぎな気もするが。どうして彼は死に急ごうとするのか。
「まだ死ぬって決まってないだろ。もしかすると、変死体になる原因にまだ遭ってないだけで」
とにかく帰りたかった。まだ死ぬ気なんかない、彼を説得して帰ろう。
「君は、ここで見つかった変死体ってどんなのか知ってる?」
彼は立入禁止の向こうを見つめながら、質問してきた。
「…いや?」
「死因は老衰なんだってさ。じゃあ変死体なわけじゃないよね。でも、見つかった人たちは十、二十代の若者ばかり。簡単に言えば、体の内部だけが老化して寿命を迎えたって感じ」
「見た目は若いままってことか?」
「そう。だから、僕は有害物質でも出てるんだろうと思ってた。それだったら苦しげな顔をしてそうなんだけど…」
「けど?」
彼は不安げにこちらを見た。スマホに何か文字を打ち込んでいる。
「表情がおかしいんだ。安らかな瞳をしているのに、口は叫ぼうと大きく開いている」
「何だそれ」
「僕が思うに…」
彼は続きを言わずスマホを見せた。
『見てはいけないものを見た。しかも今、階段下から何かが上がってくる音がする。逃げよう』
私が読んで理解する前に彼は私の腕を掴み、走り出した。そのまま振り返らず逃げ帰り、ファミレスで夜明けを待った。その後解散したが、まだ私も彼も死ぬ気配はない。

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