「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。棚の中からリボンのついた瓶を取り出し、ふたを開ける。瓶を軽く振ると、手の上には一粒だけ金平糖が転がり出てきた。金平糖がもうない。そう理解すると、私は雷に打たれたような衝撃を受けた。この瓶入りの金平糖は、去年の星祭りの際に貰ったものだ。初めて口に入れた時の感動は今も覚えている。だから、毎日一粒ずつだけ食べていたのだが。私はため息をついた。今年の星祭りはまだまだ先だ。それまで一日の終わりの楽しみなく過ごせと言うのか。そんなの耐えられない。
「何とか、金平糖を手に入れる方法は…」
そもそも、私は去年この星に来たばかりで通貨やどこで手に入れるとかは知らない。去年配っていた人に尋ねるか?いや、「貴重だから大事に食べてね」と言っていた。きっと、この星でも貴重な食べ物なんだろう。
「自己流で作るしか…」
私は窓から輝く星空を見つめる。星の光を固めれば、それっぽい形にはなるだろう。ただ、星の光は宇宙船の燃料で食えないことはないが、とても苦い。
「……最後の一粒を成分分析にでもかけるしか…」
食べられないのは辛いが、明日から星祭りまで金平糖がない日々よりはマシだ。食べたい気持ちを抑え、成分分析の機械に投入した。五分もしない内に結果が出た。スクロースの結晶らしい。スクロースは船内の機械で作れるはずだ。拍子抜けだが簡単に作れることを知り、ホッとした。星の光を食べているわけじゃないらしい。金平糖の作り方を調べたが、かなり時間がかかる。今すぐ食べたいのに。
「…そうだ!星の光を取ってきて、スクロースで固めれば!」
私は星取り網とバケツを掴み、外へ出た。空はキラキラと星の光が輝いている。高い丘の方へ走り、星取り網をぶんぶんと振る。すると、キラキラと小さな光の粒が取れた。やっぱり金平糖の大きさと同じ。ウキウキで星取り網を夢中で振る。持参したバケツ一杯になると、私は宇宙船に駆け込んだ。機械にバケツの中のものを投入し、パネルを操作した。
「スクロースのデータも入れて…」
開始ボタンを押すとすぐにザラザラと音を立て、甘そうな星が取り出し口から溢れてきた。見た目はトゲのない金平糖だ。
「出来た!それじゃ…いただきまーす!」
口に放り込むと、待ち望んでいた甘さが広がった。しばらく口の中で転がしていると、急に苦さが出てきた。
「んぐっ…!?」
ペッと手の中に吐き出す。スクロースのコーティングがなくなった光の粒が転がった。やっぱり、スクロースの結晶だけで作らないといけないらしい。美味しいものを食べるために近道はできないということか。私は肩を落とした。

3/16/2026, 9:30:25 AM