「こんな夢を見た」から始まる小説

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3/3/2026, 11:25:18 PM

こんな夢を見た。疲れていたのか、私は机に突っ伏した状態で目を覚ました。何だか肩が重い。変な寝方をしていて、肩が凝ったのだろうか。肩に触れると、何か布が掛けられていた。毛布かと思いきや、きれいな刺繍がしてあるサラサラした重みのある布だ。これは着物だ。だが、私は着物は持っていない。気味が悪かったが、きれいに畳み部屋の隅に置いた。だが、今日だけにおさまらず、次の日も着物が肩にかけられていた。その次の日もそのまた次の日も。そうして、畳んで部屋の隅に置いた着物は十一枚になった。これは十二単なのでは?十二単と言えば、昔のお姫様が着るものだ。もっと身近なものだと、ひなまつりのお雛様…。そこで私はハ、と気づいた。これは何者かが私を雛人形に仕立てようとしているのだ。仕立ててどうするつもりなのか。飾る?いや、もっと本来の用途が…。…そうだ、流し雛だ。厄落としのために私は雛人形に仕立てられ、川へ流されるんだろう。誰かの身代わりにされて、川へ流されるなんてごめんだ。よし、身代わりを作ろう。私はベッドの掛け布団の中に、大きめの袋に服を入れ人の形にしたものを寝かせた。これでよし。私は押し入れに隠れ、夜が更けるのを待った。眠気をこらえながら、待っているとベッドに影が近寄ってきた。この影が着物をかけていたのか。私の推測通り、影は掛け布団の膨らみに着物を優しくかけた。これで最後の一枚だ、次はどうなる?影はすうっと消え、気配はなくなった。どういうことだ、単に着物を毎晩かけに来るだけだったのか。
「なんて可愛らしいことを。さあ、かくれんぼはおしまいですよ。お迎えに上がりました、姫」
耳元で囁かれ、私は飛び退いた。続けざまに押し入れが勝手に開き、巨大な手が私を掴んだ。

3/2/2026, 2:58:36 PM

こんな夢を見た。宇宙服を着た私は何かを持って荒れ果てた土地を歩いている。その何かとは大きな瓶であり、中に白の大きな花弁がついた花が入っている。これは、ガーベラだろう。何故持ち歩いているのかは分からないが、とても大事なものな気がする。その時、耳元でノイズが聞こえた。私は無意識に耳元のツマミを回し、周波数を合わせた。
『…おい、見つけられたか?』
通信の向こうの男がぶっきらぼうに言う。見つけたというのはガーベラのことだろう。
「ええ、はい。ガーベラは見つけました」
報告すると、スピーカーから安堵のため息が聞こえた。やっぱり大事なものだったらしい。
『…良かった。やはり姉さんの日記の通りだ』
通信をしていく内に、今の状況を何となく理解できた。私が降り立った場所は生前彼の姉が営んでいた植物園で、日記にあった植物園の植物を回収しに来たこと。ここは地球で、大気汚染やら酸性雨やらが重なって人が住めなくなったこと。このガーベラは地球を救うかもしれないこと。
『枯れていない花を見つけられたのは大手柄だ。今の地球の環境に適応してるガーベラを研究すれば何か分かるかもしれない。俺たちは一歩前進したんだ』
もちろん、これ一本だけでは無理だ。私たちの船に持ち帰り、研究する必要があるらしい。
『何年かかっても絶対に地球に帰ってやる。だから、お前も最後まで手伝えよな』
それでも、たった一本のガーベラは彼にとってたった一つの希望なのだ。
「もちろん。地球を花いっぱいにしましょうね」

3/2/2026, 9:57:19 AM

こんな夢を見た。昼食をとり、ソファでテレビを眺めながら微睡んでいるとチャイムが鳴った。ドアを開けると、ステレオタイプの天使の姿をした子どもがいた。
「はじめまして!天使です!あなたは神様を信じますか!?」
親の代わりに子どもが宗教の勧誘か、世も末だな。
「うち、無宗教なんで帰ってください」
私がそう言い捨てドアを閉めようとすると、ガシッと天使が扉をつかみ無理やりこじ開けようとしてきた。
「待ってください!無宗教なら尚更ぼくの話を聞いてください!話を聞けばきっと興味がわきますよ!」
子どもの見た目に反して力が強い。ミシミシと悲鳴を上げ始めたドアに恐怖を覚え、話だけ聞くことにした。
「分かった、話だけ聞くよ。聞くからドアから手を離して」
「本当ですか!?よかった~!じゃあ、これパンフレットです。説明するので読みながら聞いてくださいね!」
コホンと子どもは咳払いをすると説明を始めた。
「単刀直入に言いますと、今の人間たちは等しく全員地獄へと堕ちます」
あ、これよくある宗教の勧誘だ。
「欲望にまみれているから、天国へといけないのです」
そういう宗教、どっかで聞いたことあるぞ。
「あと一週間で最も善良な人間の魂を持ってこないと、神様があなた達の世界を地獄へと変えるとお怒りなのです」
おや、何か急ハンドル切ってきたな。
「神様の一日はこちらの世界でちょうど百年。百年以内に魂を持ってこないとぼくたちは仕事が無くなるんですよ」
百年か、まだまだ余裕がある。でも入信させるにしては話が過激すぎるな。
「でももう仕事の心配をしなくていいんです!」
「どうして?」
「実は今日ぼくが来たのは、あなたが最も善良な魂に近いことが分かったからなんです!」
「は?」
怪しすぎる。突然そんな事言われて「やったー」となる奴はいないだろう。
「最も善良な魂に近いと言っても、やはりまだまだです。そこでぼくたちがあなたの魂の浄化のためにご用意した施設へ入居して欲しいのです。パンフレットに申し込み書があるので今書いてもらえませんか!」
子どもは興奮しているのか早口で申し込みを迫ってきた。
「最も善良な魂に近いってね…私、君に帰れって門前払いしようとしてたじゃない」
「でも、今ぼくの話を聞いてくれているじゃないですか!」
ドアを壊されそうだったからとは言えない。アパートの一室を借りている身として、大家には頭が上がらない。壊されてとんでもない額を請求されると思うと、身震いが止まらないのだ。
「さあ早く!申し込み書に名前を書くだけで良いんです!」
断りたい。でも、この子は私の手をつかんで無理矢理にでも名前を書かせるかもしれない。
「あれー?どうしたの?」
呑気な声とともに誰かが近づいてくる。白Tと黒のハーフパンツを履いた小柄な女性が私と天使の横に立った。コンビニ帰りなのか、ビニール袋を持っている。
「あ!こんにちは!」
子どもが元気よく女性に挨拶する。彼女はニコニコと会釈し挨拶を返す。
「それ何?」
彼女は私からパンフレットを取ると、熟読し始めた。それから眉を寄せた。
「あー…これかあ。やめておいた方が良いよ」
「え?」
「これね、質素な生活しなきゃいけないの。美味しいものも食べれないし、楽しいことも全部出来ないの」
「それはそうですよ!善良な魂のために、欲望を消さないといけないんですから!」
「だってさ。ね、出来る?」
「出来ますよ!だってあなたは善良な魂であり、世界を救えるのはあなただけなんですから!」
少し考え込む。天使の言っていることが本当なら例え自分が苦しむことになってもやるべきなのでは。でも、楽しみのない余生を送ることが正しいのか。葛藤していると、彼女が口を開いた。
「そうだね…例えば、自分の好きな食べ物は絶対に食べられないのは?」
「嫌かも…」
「じゃあ、ご飯の後に微睡むの禁止は?」
「嫌」
「今晩タコパするからあなたを誘うつもりだったんだけど、施設行ったら食べられないけどいい?」
「それは嫌!」
彼女は満足そうに微笑み、天使の方に向き直った。
「嫌だってさ。だから、諦めてくれない?」
「…仕方ありません。今回は引きましょう。でもそちらの方の魂は諦めませんから」
「お前は何を言っているんだ。我が主の下僕の姿を借りておきながら、我が主を侮辱する不届き者めが。二度と現れるな、この悪魔め」
彼女は早口でそう言うと、指パッチンをした。すると天使の姿は消え、これまたステレオタイプの悪魔が現れた。悪魔は私には理解できない言葉を叫びながら消えていった。
「それじゃ夕方に買い出し行くから、ちゃんと起きててね」
「ねえ、あの天使もどきが言ってたことは」
「どれのこと?」
「善良な魂を持ってこないと地獄に…」
「ああ。あれね、あたしのような奴を赦した慈悲深い我が主がそんな事するわけ無いよ」
ニッコリと微笑む彼女は天使のように美しかった。

2/28/2026, 1:44:56 PM

こんな夢を見た。私は旅人で街々を巡り、自分の旅での見聞を広めている。今日も一日歩き回って暗くなってきたので、街を探すと幸いにも近くに街があったのでそこへ向かった。街の入口には門番が立っていて、鋭い目でこちらを見てきた。だが私の胸元を見ると、目を丸くした。
「失礼しました、旅人様でしたか。中へどうぞ」
急に態度が変わり、すぐに街へ入れてくれた。胸元には琥珀のような色の宝石がはめられたブローチしかない。ただのアクセサリーにしか見えないが、これだろうか。まあいい、中で食料の調達と今晩の宿を探そう。食料と水を買い出し、市場を後にしようとすると誰かが背後から話しかけてきた。振り向くと、おどおどとした女性がキレイな布に包まれた何かを差し出してきた。
「えっと、何か…」
「あ、あの、あなた旅人様ですよね?」
「え?どうして分かるんですか?」
「へ?そのブローチ、『通行証』ですよね。旅人様の証の石がついてますし」
彼女は怪訝そうに私を見た。このブローチ、通行証だったのか。通りで門番がすぐに中に入れてくれたわけだ。
「それで何か用ですか?」
「あ、あの旅人様、…何も聞かずにこれを受け取ってください!」
彼女はキレイな布に包まれた何かを私に押し付け、走り去っていった。呆然と彼女が走り去っていくのを眺めていたが、すぐに布に包まれた何かに興味が移った。それは私の両手を広げたくらいの大きさでずっしりと重かった。そこまで大きくないのにこんなに重いなんて何が入っているんだろう。ジッとキレイな布を観察する。他の街では見たことのない布だ。ベルベットのような触り心地の良い布に何やら細かい刺繍がしてある。刺繍は幾何学的な模様にも植物や花、もしくは鳥にも見える。素人目から見てもかなり高価なものだ。彼女が私にこれを預けた理由は分からないが、こんな良いものに包まれている物はさぞかし素晴らしいものに違いない。周囲を見回すが、私の行動に注目している者はいない。皆、今晩の夕食の買い出しやら何やらで忙しいのだ。誰も見ていないなら、少し開けて中を見ても良いだろう。私は中を見るために布をめくろうとした。
「遠くの街へ」
突然しわがれた声が聞こえて、思わず布ごと取り落としそうになった。気のせいかと思いもう一度布をめくろうとすると、
「遠くの街へ」
今度はしっかりと布の中から聞こえた。気のせいじゃない。中身を見るな、と牽制しているみたいだ。つまり、旅人として役目を果たせ、と。そういうことか。私は頷くと布をしっかりと巻き直し、今晩の宿を探し始めた。

2/28/2026, 7:05:09 AM

こんな夢を見た。真っ暗な部屋で私はブラウン管テレビに家庭用ゲーム機を繋いでゲームをしている。それが自分のやることだと疑うことなく一心不乱に。ゲームの中の操作キャラも真っ暗な世界で光から逃げるようにパズルを解きながら走り回っている。光から逃げながらパズルを解くのがこのゲームの目的らしい。だが少しずつパズルの難易度が上がっていき、詰まることが増えた。苦戦している間にも光は操作キャラへ手を伸ばしてくる。そうして、ついに光が操作キャラを包み込むと同時に私の目の前も光に包まれた。と思うと、部屋の中が明るくなった。明るくなったおかげで散らかった部屋の中がよく見える。急な明るさに目を細めながら部屋を見回すと、誰かが窓の前に立って外を眺めている。この人がカーテンを開けたようだ。
「おはよう、前より上達したんじゃない?でも、もう起きる時間だよ」
テレビ画面を指差され、そちらに視線を向けるとゲームの中のキャラはスーツを着て会社へ向かっていた。そうか、もう起きなきゃいけないのか。

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