「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。疲れていたのか、私は机に突っ伏した状態で目を覚ました。何だか肩が重い。変な寝方をしていて、肩が凝ったのだろうか。肩に触れると、何か布が掛けられていた。毛布かと思いきや、きれいな刺繍がしてあるサラサラした重みのある布だ。これは着物だ。だが、私は着物は持っていない。気味が悪かったが、きれいに畳み部屋の隅に置いた。だが、今日だけにおさまらず、次の日も着物が肩にかけられていた。その次の日もそのまた次の日も。そうして、畳んで部屋の隅に置いた着物は十一枚になった。これは十二単なのでは?十二単と言えば、昔のお姫様が着るものだ。もっと身近なものだと、ひなまつりのお雛様…。そこで私はハ、と気づいた。これは何者かが私を雛人形に仕立てようとしているのだ。仕立ててどうするつもりなのか。飾る?いや、もっと本来の用途が…。…そうだ、流し雛だ。厄落としのために私は雛人形に仕立てられ、川へ流されるんだろう。誰かの身代わりにされて、川へ流されるなんてごめんだ。よし、身代わりを作ろう。私はベッドの掛け布団の中に、大きめの袋に服を入れ人の形にしたものを寝かせた。これでよし。私は押し入れに隠れ、夜が更けるのを待った。眠気をこらえながら、待っているとベッドに影が近寄ってきた。この影が着物をかけていたのか。私の推測通り、影は掛け布団の膨らみに着物を優しくかけた。これで最後の一枚だ、次はどうなる?影はすうっと消え、気配はなくなった。どういうことだ、単に着物を毎晩かけに来るだけだったのか。
「なんて可愛らしいことを。さあ、かくれんぼはおしまいですよ。お迎えに上がりました、姫」
耳元で囁かれ、私は飛び退いた。続けざまに押し入れが勝手に開き、巨大な手が私を掴んだ。

3/3/2026, 11:25:18 PM