紗夢(シャム)

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5/7/2023, 8:39:02 AM

【流れ星に願いを】【刹那】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/7 PM 11:15

「何がいい?」

 泊まっていくことになった暁に、
 真夜(よる)が寝る前に弾くピアノの曲の
 リクエストを聞いている。

「えーとね……今夜は『星に願いを』の
 気分かな」

 暁が答えると、真夜は直ぐに
 『ピノキオ』の主題歌を弾き始める。
 ゆったりしたテンポと美しいメロディー、
 真夜の指が奏でる柔らかな音色。
 眠りに就くには、良い選曲に思えた。

「ありがとう~、真夜くん。
 何度聴いても綺麗な曲だねぇ」
「そうだな。オレも好きな曲だよ」
「もうね、すごく良く眠れそう」

 弾き終わった真夜に、
 暁が囁くような声で言う。
 それは何より、と微かに笑いながら
 真夜も静かな声で答えた。

「お星様に願い事っていえば、
 流れ星が流れきるまでに3回願いを
 唱えられたら叶うっていうのは、
 やっぱり迷信なのかな?」
「また唐突な……」
「だってぇ、宵ちゃん。3回だよ?
 流れ星が流れるのなんて、シュンッ!
 ――って感じで一瞬でしょ?
 そんな刹那の間に3回もお願いするなんて
 無理ゲーじゃない?」
「……まぁ、ほぼ不可能かもね」
「難易度ベリーハードどころじゃないよね。
 カオスとかルナティックの域だよ」
「――何か叶えて欲しい願いがあるのか?」

 愚痴をこぼす暁に、真夜は穏やかに
 問いかける。

「うん。宵ちゃんと真夜くんが
 いつでも幸せでありますように」

 暁は間髪いれず、そう返答した。

「……なるほど。それは3回唱えるには
 文字数が多過ぎるな」
「その前に、するなら自分のための
 願い事にしなさいよね」

 アタシたちのために、難易度MAXな
 流れ星への願い事をする必要はない。

「宵の言う通りだよ。オレも宵も、
 暁がそうやってオレたちのことを
 思ってくれてるだけで幸せだから」
「えー……? ……じゃあ、春休みが
 終わる前に、天明(てんめい)くんも
 誘って4人で遊びたい、とか」
「更に文字数増えてるじゃない」
「それは星に願うまでもなく、天明次第で
 叶うだろうから、明日聞いてみよう」
「そうする~」

5/4/2023, 7:02:56 AM

【ルール】【善悪】【生きる意味】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/7 PM 4:30

「あははは、おっかしい~!
 綾音ちゃんたち、真夜(よる)くんを
 どれだけ過激な人だと思ってるの~」

 宵から部活のメンバーとしたという
 会話内容を聞かされて、
 暁が爆笑している。
 宵は疲れた表情で、オレの淹れた
 カフェオレに口を付けていた。

「そもそも、オレたちの親が
 検事だって知ってるのか?」
「だから、言っといたわよ。
 親が検事なのに罪を犯す訳
 ないでしょ、って」

 その通り。
 法律というルールを単に破って
 犯罪者になるのは、逆にオレが
 宵を悲しませることになるし、
 親にも迷惑がかかる。
 ――とはいえ。

「とはいえ、全くの的外れってことは
 ないかもね~。綾音ちゃんたちの
 言うことも」
「どういう意味よ?」
「真夜くんが、宵ちゃんを騙したり
 泣かせたりして傷つける人間に
 容赦しないっていうのは、
 わたしもそうだと思うってこと」

 結局は、そういうことだ。
 オレにとって宵は生きる意味
 そのもので、価値基準の全て。
 法律や善悪、道徳、倫理――社会が
 そうあるべきと定めたもの――より、
 オレには宵の方が重要だ。

「まぁ、宵を傷つける人間を
 オレは絶対に赦さないけど、
 直接息の根を止めることはしないよ。
 やる時は社会的に抹殺する方向で
 制裁するから。
 法の網の目を上手く掻い潜って、
 自分が裁かれることはないようにしつつ」
「うんうん。それでこそ真夜くんだよ!」
「何がそれでこそなのよ……シャレに
 なってないじゃない……」

4/29/2023, 2:54:05 PM

【何もいらない】【今日の心模様】
【もしも未来を見れるなら】
【たとえ間違いだったとしても】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/7 PM 2:00

「《君さえいれば、他は何もいらない》
 なんて、信じられないと思わない?」

 部活の休憩時間。
 水分補給をしていると、
 綾音(あやね)がそう言い出した。

「……また綾音は今日の心模様が
 宜しくなさそうなこと言ってるわね」
「荒んでるよねー」

 美羽(みわ)と心愛(ここあ)がそれに答える。
 綾音は投げやりな口調で続けた。

「だって人間なんて欲の塊よ?
 何か1つ手に入っても、
 次を求めずにはいられないでしょ。
 なんか自分に酔ってるって言うか、
 のぼせ上がってるって言うか……、
 イマイチ本気と思えないのよね」
「――綾音」

 瑠宇依(るうい)が綾音に呼びかけて、
 アタシの方をチラリと見る。

「あ。」
「あー……」
「……そうね。あたしが悪かったわ」
「なんで揃って何かに気づいたような
 顔したあげく、綾音に至っては
 謝ってるのよ」
「よく考えたら、宵の身近に
 本気で言う人間がいるわ、って思って」
「そうだよねー、真夜(よる)くん、
 すごく言いそう」
「純度100%の本気よね、きっと」

 綾音も心愛も美羽も、アタシを見て
 真顔で返答してくる。
 ……そう言われてしまうと、
 返す言葉がない。
 確かに真夜は本気で言いかねないから。

「宵の恋愛への興味の薄さも心配だけど、
 真夜くんの宵への傾倒っぷりもだいぶ
 心配よね」
「だから、なんで心配するのよ。
 アタシも真夜も、誰かに迷惑かけてる
 訳でもないのに」
「いやまぁ、そうだけど。そうなんだけど、
 なんていうかねー……」
「えーと。……これ、もしも未来を見れる
 なら、っていう仮の話ね? それで、
 宵のことを騙したり泣かせたりする人が
 いるって分かったとするじゃない?」
「その場合、真夜くんて、その人物に
 容赦しなそうでしょ? 法律的には
 たとえ間違いだったとしても、
 相手を亡き者にしそうっていうか」
「そうそう。宵が大切なあまり、
 犯罪も厭わなそうで心配になるのよ」

 仮の話に対して、想定された真夜の
 行動が物騒過ぎる。
 
「アンタたちは、人の兄をなんだと
 思ってるのよ……」

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 結局全然お題に追い付かないまま、
 4月が終わろうとしています。
 GW中にはなんとか……なるといいな。

4/25/2023, 3:10:18 PM

【桜散る】【無色の世界】【雫】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/6 AM 10:30

「桜がもうだいぶ散っちゃってたねぇ」

 ショッピングモールへ向かう道の途中で
 見た桜並木を思い出したのか、
 暁が残念そうに呟いた。

「そうね」
「他のお花も咲いたら散るのは一緒なのに、
 なんでか桜が散るのってすごく寂しい
 気がしない?」
「……そうかもね」

 小さな花びらが降るように散る様子が、
 まるで淡く消えてゆくようで、
 美しさと同時に、物悲しさを感じさせる
 せいかもしれない。

「ショッピングモール内のお店は、
 まだ桜フェアっぽいけどね!
 あ、見て見て宵ちゃん、可愛いのが
 いっぱいあるよ!」

 そう言って、暁がプチプラアクセの
 ショップの方へ歩いていく。
 桜フェアを謳っているだけあって
 桜モチーフのピアスやイヤーカフ、
 ネックレスやリングが並んでいて、
 春色にキラキラ輝いていた。

「桜の形もモチロン可愛いんだけど、
 個人的にティアドロップもすごく
 可愛いって思うんだよね。これとか」

 暁が指差したのは、ヴィンテージピンク
 とでも言えばいいのか、仄かなピンク色の
 小さめの雫型イヤリングだった。
 桜の花びらのように見えなくもない。

「似合うわよ」
「えっ、そう? ……ん~、でも、
 こっちも気になるかなぁ」

 暁が次に指差したのは、同じ雫型の
 イヤリングで、無色透明のもの。

「これって、水晶? ……こんなに
 色彩豊かなアクセが揃ってるのに、
 無色なものが気になるの?」
「だってほら。無色だからこそ、
 光のあたり方でいろんな色が
 写り込んで綺麗じゃない?」

 ね? と小首を傾げながら
 イヤリングをアタシに見せて
 楽しそうに笑う暁を見て、
 無色の世界なんて、暁の瞳には
 存在しないんだと思った。


【ここではない、どこかで】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/3 PM 3:00

「ねぇ、宵ちゃん。
 宵ちゃんは、ここじゃないどこかで
 わたしたちが生きてるとしたら、
 それってどこだったら楽しいと思う?」

 ゲームに集中していると思ったのに、
 暁が不意にそんなことを聞いてきた。
 大きく伸びをしている辺り、
 集中し過ぎて疲れたのかもしれない。

「どこだったらって言われても」
「ほら、こないだわたし、大正浪漫感が
 溢れる夢を見たって話をしたでしょ?
 真夜(よる)くんも、わたしたちが
 ホグワーツに通ってる夢を見たことが
 あるって言ってたの。
 だから、宵ちゃんにも聞いてみたく
 なっちゃって。どんな世界観だったら
 宵ちゃんは楽しいって思うかなって」

 ニコニコ笑う暁の顔を見返しながら、
 仕方なく考えてみる。

 ここではない、どこかで。
 アタシたちが生きているとしたら――。

「……どこだっていいんじゃないの。
 アンタと真夜がいれば」

 ――そう。
 重要なのは《どこなのか》じゃない。
 2人が側にいるかどうか。
 そうじゃなければ、どこだったとしても
 楽しくないし、意味がない。

「……宵ちゃんも、時々さらっと殺し文句
 言うよね。一撃で心撃ち抜くような」
「そんな大層なこと言ったつもりはないけど」
「いいの。わたしは嬉しさを
 噛みしめてるから」

4/16/2023, 3:15:39 PM

【誰よりも、ずっと】【遠くの空へ】
【神様へ】【届かぬ想い】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/2 AM 8:45

「……朝なのに何を黄昏てるのよ」
「……よーす、寳(たから)」

 音楽室の窓の外の青空を見上げていた
 十詩希(としき)が、振り返って
 暗いトーンで朝の挨拶をしてくる。

「具合でも悪いの?」
「絶好調」

 誰よりも、ずっと、絶不調にしか見えない
 どんよりさで、何を言ってるのか。

「1週間ぶりの部活が億劫な訳?
 せっかく――」

 久しぶりに暁に会えるのに、と
 続けそうになった言葉は飲み込んだ。
 それでも、言わんとしたことが
 なんとなく伝わったみたいで。

「……半々なんだよな。
 会えるのが嬉しいって気持ちと、
 色々感情揺さぶられんのがしんどいって
 気持ちと。いっそ忘れさせてくれって
 願いたくなる時もある」

 遠くの空へ向けて――もしかしたら
 神様へ向けてなのかもしれない――
 十詩希が呟いた。

 どうせ届かぬ想いなら、忘れさせて。

 (……歌詞のワンフレーズじゃないんだから)

 そんなこと、願うだけ無駄なのに。
 だってきっと、一度忘れたところで、
 また同じように恋に落ちるだけ。
 嫌いになりたいと願えない時点で、
 十詩希は暁に甘く苦しめられる日々から
 逃れたくないと無意識では思っている。

 (やっぱり、不憫だわ)


【エイプリルフール】
【快晴】【春爛漫】【言葉にできない】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】

4/1 AM 10:30

「大変! 宵ちゃん!
 お寿司と魅惑のラブゲームを繰り広げる
 恋愛シミュレーションゲームがリリース
 されるよ!」
「……はぁ?」
「わたしとしては、メインヒロインっぽい
 同級生の中トロちゃんと、
 クールビューティーなイカ先輩が
 気になるところ! ――あ、年下
 幼馴染みの玉子ちゃんもいいね」
「ちょっと何言ってるのか分からない」

 宵が本気で困惑した表情を見せると、
 暁は笑いながら自分のスマホを
 差し出した。

「これ見て。4月1日って色んな企業が
 エイプリルフール用の面白嘘サイト
 作ってくれて楽しいよね」
「ああ……そういうこと」

 そういえば今日から4月か、と思う。
 オレも宵も、季節の変化に暁の言動で
 気づくことが多い。
 
「嘘って言えば、子供の頃読んだ本で、
 日記にぶたが降ってくるって嘘を書いた
 つもりがほんとになっちゃった!
 みたいなお話なかった?」
「あったわね。はっきりは覚えてないけど」
「ぶたはさすがに大きいし危険だよねぇ。
 降ってくるなら、SPY×FAMILYの
 第2期オープニングみたいに、
 たくさんのお花だったりしたら
 素敵じゃない?」

 暁が言っているのは、楓が色とりどりの
 コスモスに変わって降ってくるシーンの
 ことだろう。

「……そうね。あんな風に花が降ってきたら
 確かに素敵かもしれないわ」
「でしょでしょ~? 今の時期で
 色が豊富なお花だと――」
「アネモネとかガーベラ辺りかしらね」
「いいね! 快晴の空から、お日様の
 光に照らされたアネモネとかが
 降り注いできたら、まさしく春爛漫!
 って感じで。
 ね、真夜(よる)くんはどう思う?」

 暁が言ったとおりの情景を想像してみる。
 降りしきる春の花を不思議そうに
 見上げる宵と、その隣で嬉しそうに
 はしゃいでいるだろう暁は――。

「言葉にできないくらい、綺麗だよ」

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 そろそろお題に追い付けそうかも。

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