【何もいらない】【今日の心模様】
【もしも未来を見れるなら】
【たとえ間違いだったとしても】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
4/7 PM 2:00
「《君さえいれば、他は何もいらない》
なんて、信じられないと思わない?」
部活の休憩時間。
水分補給をしていると、
綾音(あやね)がそう言い出した。
「……また綾音は今日の心模様が
宜しくなさそうなこと言ってるわね」
「荒んでるよねー」
美羽(みわ)と心愛(ここあ)がそれに答える。
綾音は投げやりな口調で続けた。
「だって人間なんて欲の塊よ?
何か1つ手に入っても、
次を求めずにはいられないでしょ。
なんか自分に酔ってるって言うか、
のぼせ上がってるって言うか……、
イマイチ本気と思えないのよね」
「――綾音」
瑠宇依(るうい)が綾音に呼びかけて、
アタシの方をチラリと見る。
「あ。」
「あー……」
「……そうね。あたしが悪かったわ」
「なんで揃って何かに気づいたような
顔したあげく、綾音に至っては
謝ってるのよ」
「よく考えたら、宵の身近に
本気で言う人間がいるわ、って思って」
「そうだよねー、真夜(よる)くん、
すごく言いそう」
「純度100%の本気よね、きっと」
綾音も心愛も美羽も、アタシを見て
真顔で返答してくる。
……そう言われてしまうと、
返す言葉がない。
確かに真夜は本気で言いかねないから。
「宵の恋愛への興味の薄さも心配だけど、
真夜くんの宵への傾倒っぷりもだいぶ
心配よね」
「だから、なんで心配するのよ。
アタシも真夜も、誰かに迷惑かけてる
訳でもないのに」
「いやまぁ、そうだけど。そうなんだけど、
なんていうかねー……」
「えーと。……これ、もしも未来を見れる
なら、っていう仮の話ね? それで、
宵のことを騙したり泣かせたりする人が
いるって分かったとするじゃない?」
「その場合、真夜くんて、その人物に
容赦しなそうでしょ? 法律的には
たとえ間違いだったとしても、
相手を亡き者にしそうっていうか」
「そうそう。宵が大切なあまり、
犯罪も厭わなそうで心配になるのよ」
仮の話に対して、想定された真夜の
行動が物騒過ぎる。
「アンタたちは、人の兄をなんだと
思ってるのよ……」
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結局全然お題に追い付かないまま、
4月が終わろうとしています。
GW中にはなんとか……なるといいな。
4/29/2023, 2:54:05 PM