【ルール】【善悪】【生きる意味】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
4/7 PM 4:30
「あははは、おっかしい~!
綾音ちゃんたち、真夜(よる)くんを
どれだけ過激な人だと思ってるの~」
宵から部活のメンバーとしたという
会話内容を聞かされて、
暁が爆笑している。
宵は疲れた表情で、オレの淹れた
カフェオレに口を付けていた。
「そもそも、オレたちの親が
検事だって知ってるのか?」
「だから、言っといたわよ。
親が検事なのに罪を犯す訳
ないでしょ、って」
その通り。
法律というルールを単に破って
犯罪者になるのは、逆にオレが
宵を悲しませることになるし、
親にも迷惑がかかる。
――とはいえ。
「とはいえ、全くの的外れってことは
ないかもね~。綾音ちゃんたちの
言うことも」
「どういう意味よ?」
「真夜くんが、宵ちゃんを騙したり
泣かせたりして傷つける人間に
容赦しないっていうのは、
わたしもそうだと思うってこと」
結局は、そういうことだ。
オレにとって宵は生きる意味
そのもので、価値基準の全て。
法律や善悪、道徳、倫理――社会が
そうあるべきと定めたもの――より、
オレには宵の方が重要だ。
「まぁ、宵を傷つける人間を
オレは絶対に赦さないけど、
直接息の根を止めることはしないよ。
やる時は社会的に抹殺する方向で
制裁するから。
法の網の目を上手く掻い潜って、
自分が裁かれることはないようにしつつ」
「うんうん。それでこそ真夜くんだよ!」
「何がそれでこそなのよ……シャレに
なってないじゃない……」
5/4/2023, 7:02:56 AM