※習作、ある曲の二次創作です
眠りにつく前に
⸺ゴーン
“良い子は寝る時間”
「だよね」
「うん」
⸺ゴーン
「っていうか、なんで寝なきゃいけないの?」
立とうと力を入れた手が肩が緩む。そして、やれやれとでも言うように肩をわざとらしく竦めて。
「おばけに襲われないためじゃない?」
⸺ゴーン
ボフッ
「…った、なにす…」
開けた視界には縮こまり鼻を鳴らすその人。
口を開けることも、そっと手を伸ばすことも叶わない。
⸺ゴーン
最後の鐘が鳴り終わる。そうしたら…
「ねえ、おまじないかけてあげる」
「どんな?」
“ずっと2人でいれるように”
カチッ
ビュゥと風が吹き、カーテンが大きな音を立てる。
全開の窓の外には一つの影。
いつも届かなかった。伸ばせなかった。その手を⸺
◇
◇
◇
12時をとうに過ぎた夜中には似合わない、バタバタとした音が響き渡る。
彼らをよそに一つだけ仄かな明かりがもれた部屋。キィ…と開ければ、ちょうど整った寝具にまあるく光がさす。
その奥ではカーテンがそよそよと揺られるままに揺れていた。
⸺ I'm not adolescence anymore
※習作、一次創作です
月夜
「月が綺麗だね」
隣の彼がそう呟いた。
そういうことだよね…?
ただ、変に意識してると思われるのも…。
どうしよう。
「い、一緒に見てるからそう感じるのかな…?」
「……」
彼はこちらを向くが返答は無い。
あれ、変だったかな。
「…寒い?中入る?」
彼は心配そうな顔をする。
元からそんな気も無いとでも言うような心底心配した顔が、今は胸をチクリと刺した。
そう、だよね。
「いや、もう少しいるよ。」
顔を月に移す。
何も変わらず静かに、煌々と。
ザッと足音がする。部屋に入るのか、少し後ろで聞こえる。
自然と月から目を離す。その先の景色も星が散りばめられていて綺麗だ。
ただ、なぜかあまり入ってこない。
月の光が目端に移るばかり。
すぐ、カララとベランダの窓が開く。
「中入ろ?」
「…うん。じゃあ。」
寒いっ…と体を縮こませる彼に少し癒やされる。
そして流れてくる暖かい空気に触れ、気持ちも和らいでいく気がする。
最後に月を一瞥してから入ろうと足の向きを変える。
その時、後ろから彼に抱きしめられた。
「ねえ」
耳元で声をかけられ、ビクリとはねる。
「僕は死んでもいいよ。」
白田先輩と少しの焦燥
⚠caution
・CP小説です mtks
・白√ネタバレを含む可能性があります
・白√後のいつか
・名前表記あり(ゲーム内準拠)
・妄想、捏造なんでも大丈夫な方のみ
やわらかな光
「なあ、⸺」
目の前にいる彼女が、太陽から差し込む光に照らされている。
まるで、舞台の上の彼のように。
スポットライトに照らされ、いつだって堂々と誰かになる彼のように。
当たっているのは僕じゃないのに、眩しい。
でも、立花。
何に照らされてるんだよ。
彼女に向かって駆けていく。
そして、手を取る。
「立花」
名前を呼ぶ。
彼女が振り向くと、差していた光はもう動いていた。
「えっ、白田先輩どう…」
「好きだ。」
ほら、あんな光なんかより僕に照らされていた方がよっぽど輝く。
舞台の上以外では僕が…
「白田先輩、好きです。」
手を取り、両手で優しく包み込む。
行きませんよ、と言わんばかりの目で僕を見つめる。
「はあ…立花には叶わないな、」
彼女をそのまま包み込む。
なにもかも、赦されてばかりでは困るが…今だけは。
◇
「…弱いな、僕は。」
「人間ですから、そういう部分もありますよ。それでも、私は白田先輩となら歩いていけると思ったんです。」
頭を一撫でする。
「止まったっていい。ただ、僕の隣にいてくれればそれでいいんだ。」
「はい。」
「というか、定期的に休め。もう…お前ほど突っ走る後輩を持つと楽じゃない…」
彼女は少し申し訳なさそうにすみません…と謝罪をする。
それでもやめることはないんだろうけど。
「…じゃあさ、お茶付き合ってよ。」
彼女がぱっと明るくなる。
「はい!その、私も誘いたくて…」
「ああ、そう…」
「白田先輩、照れてます…?」
「…行くぞ。」
少し先に歩みを進める。
それに彼女も付いてくる。
そして、いつのまにか自然に歩調を合わせ、並んで歩く。
今はきっとそれだけで良い。
二人にやわらかな光が差す。
その中で、二人は誰よりも幸せそうに笑った。
習作
あるゲームの夢小説です。
(特記事項ネタバレを含みます)
※修正、加筆済
∅*。
別れ際に
ねぇ、なんでそんな顔をしてるの
嘘は…嫌
そう言うと、少し戸惑ったように見えたが、ゆっくり少しずつ話してくれる。
その言葉一つ一つに会議では見せないような気遣いが伺えた。
嘘に敏感な私にどうしたら傷つけないで伝えられるのか。
自惚れかもしれないけど、そう感じた。
そして、聞く限り、貴方の口から出る話はありえないようなことばかり。
でも、真剣に、暖かく、時折寂しそうな顔をしながら話す貴方を見ていると、本当なんだと自分まで悲しくなる。
そっ…か
でもまた、貴方は会えるんだね、私に
貴方は何度でも
でも…
“私”はもう会えない
“私”はこれ1回きり
そう思うと、嘘は嫌なはずなのに、嘘をついて欲しかったなんて思ってしまう。
それくらい何故か大きくなりすぎていた。
『私、貴方のこと…嫌い…』
だから私は嘘をつく
貴方がこれ以上傷付かないように。
次も、私と、良い関係でいられるように。
そう願わずにはいられなかった。
笑顔でまたねを言う。
きっと、貴方からも……
⸺さよなら
そう、泣きそうで辛そうに笑う貴方の声が聞こえた。
「…うん、さよなら」
がらんとした部屋にそんな自分の声が響いた。
習作
あるゲームの夢小説です
(ネタバレを含む可能性があります。)
※捏造注意
∅*。
時間よ止まれ
“時が止まればいいのに”
そう思いだしたのは何時からだっけ
でもずっと、ずっと前から思ってたこと
今はもう止まってるも同然なんだけど、そうじゃない気がする
もうとっくに忘れちゃった
何が欲しかったんだろう
でも楽しいからいっか
あなたにいつでも会えるしね
退屈しない
どんな残酷な最期も、どんな幸せな最後も
私は見てきたよ
でも、
なんとなくあなたにはあなたなりの選択をして欲しいな
時が止まれば良いと望んだ私に感謝しなきゃ
そうじゃないと、あなたにこんな気持ち沸かなかった
沸くはずもなかった、なんて思うんだよね
あなたにこの事を言うことはないと思うけど
それでいい
そうじゃなくちゃ楽しくないじゃない?
少しくらい生意気じゃないと
面白くないでしょ?
ふふ
(彼女は無邪気に微笑んだ)