習作
あるゲームの夢小説です。
(特記事項ネタバレを含みます)
※修正、加筆済
∅*。
別れ際に
ねぇ、なんでそんな顔をしてるの
嘘は…嫌
そう言うと、少し戸惑ったように見えたが、ゆっくり少しずつ話してくれる。
その言葉一つ一つに会議では見せないような気遣いが伺えた。
嘘に敏感な私にどうしたら傷つけないで伝えられるのか。
自惚れかもしれないけど、そう感じた。
そして、聞く限り、貴方の口から出る話はありえないようなことばかり。
でも、真剣に、暖かく、時折寂しそうな顔をしながら話す貴方を見ていると、本当なんだと自分まで悲しくなる。
そっ…か
でもまた、貴方は会えるんだね、私に
貴方は何度でも
でも…
“私”はもう会えない
“私”はこれ1回きり
そう思うと、嘘は嫌なはずなのに、嘘をついて欲しかったなんて思ってしまう。
それくらい何故か大きくなりすぎていた。
『私、貴方のこと…嫌い…』
だから私は嘘をつく
貴方がこれ以上傷付かないように。
次も、私と、良い関係でいられるように。
そう願わずにはいられなかった。
笑顔でまたねを言う。
きっと、貴方からも……
⸺さよなら
そう、泣きそうで辛そうに笑う貴方の声が聞こえた。
「…うん、さよなら」
がらんとした部屋にそんな自分の声が響いた。
9/28/2023, 10:36:05 AM