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11/15/2022, 10:33:21 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十話」

「私、憧れの斉木君とお茶が出来るなんて、とっても幸せでハッピー!」
「喜んでくれて、嬉しいよ」
四人が楽しくお茶をしていると、突然、男性二人が目の前に現れました。
「斉木優人さん、お仕事の時間です」
ベージュの肌、黒の細目、ショートヘアの銀髪、中肉中背だけどやや長身、黒のスーツ姿の冷酷でクールな男性は、優人に言いました。
「曽池由衣花さんも、お仕事の時間です」
ベージュの肌、黒の細目、ショートヘアの銀髪、中肉中背だけど長身、黒のスーツ姿で慎重なお調子者の男性も、由衣花に言いました。
「あの…今日は撮影は休みの日ですよ?」
「今日は休みだって監督から聞いています」
優人と由衣花は、男性二人に説明し始めました。
「オイ、おかしいぞ?ポール君、ちゃんと下調べしたんだろうな?」
「グラックさん、抜かりはありません。撮影の日程はちゃーんと調べて置きました」
「じゃ、何でターゲット二人が今日は休みみたいな事、言ってるん?」
「多分、ガセの日程表だったのでしょうね…」
「……」

「ま、ともかく。お楽しみの所、申し訳ありませんが、今日は撮影日なのですよ。お二人には撮影所まで向かってもらいます」
「申し訳ありませんが、監督のミスでスケジュールが間違っていたとの事です」
「そうですか…」
「マネージャーさんじゃないのが、少し気になりますが…」
「マネージャーの方は、大変忙しくて猫の手も借りたい程でしたので、我々に頼んだのですよ」
グラックとポールは、優人と由衣花にマネージャーがいかに忙しそうだったか説明しました。
「芸能人って、大変だねー。つかの間の休みですら仕事が入っちゃうんだもん」
由里は、ラスベリーティーを飲んでいました。
「二人には、映画を完成させる使命がありますからね。仕方無いですよ」
章司は、遠くの方に目をやると、宇治金時パフェを食べている老人の姿が目に入りました。
「由里、時計の側の席に居るおじいさん、監督じゃありませんか?」
「んな、まったまた…あ!九鬼監督!ホントだ…」
由里は、小声で驚きました。
「とにかく、お二人を監督が呼んでいますから、今すぐ来てもらいますよ?」
「撮影が遅れたら、映画を楽しみにしている方々に多大な迷惑がかかってしまいますからね」
「監督が呼んでいるんじゃ、仕方ありませんね…」
「用意が出来次第、向かいます」
優人と由衣花は、席を立ちました。

「…ねぇ、監督って、今は撮影所に居るはずでしょ?ココに居るのっておかしくない?」
「僕も、それ思いました。この人達、怪しいですよ」
由里と章司は、今、カフェに監督が居るのはおかしいと気付きました。
「『マネージャー』さん、監督さんはココでパフェを食べているよ?」
「あなた達は、偽物ですね?芸能人の人達に何の用ですか?」
由里と章司は、グラックとポールを問い詰めました。
「バレちゃ、仕方無いですね…」
「二人、連れて行くぞ」
グラックとポールは、芸能人二人を連れて行こうとしました。
「いや…!放して!」
「抵抗すると、どういう目に遭うか分かってるだろうな?」
グラックは、
「拷問空間!」
と唱えると、由衣花は動けなくなり、拷問器具が現れました。
「い、痛い…嫌ぁあああ!」
拷問器具は、由衣花の胸を掴み、強引に引っ張って引きちぎりました。由衣花は出血多量で気絶し、動かなくなりました。
「コイツら、何者よ…?!やる事、酷過ぎるじゃん!」
由里は、震えと涙が止まりませんでした。

「由衣花さん、大丈夫ですか?!僕は救護術の使い手です!」
章司は、由衣花を治療し始めました。
「メディカルヒール!」
章司の術で、由衣花の傷は治って行きました。
「章司君、助けて…」
由衣花は、涙を流しながら章司を抱きしめました。

11/11/2022, 10:33:00 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第四十九話」

志那達がマンションに来てから数日後、由里は章司の部屋に遊びに行こうとしていました。
「マンションの住人が一気に増えて、ますます楽しくなって来たなー」
由里がマンションの廊下を歩いていると、庭の掃除をしている志那を発見しました。
「志那は偉いねー。私はココに来てから掃除なんて自分の住居スペース以外しないもん」
「あ!由里だ。ちょっと、ちょっとー!」
「なぁーにー?」
「聞いてよー!ココの管理人、すごく意地悪で私に次々と雑用押し付けて来んのよ?あり得なくない?」
「えー、そうなんだ?でも、管理人はすごく良い人だから、そんなには押し付けては来ない筈だけど?」
由里は、志那はそんなに管理人に気に入られているのかなと思いました。
「志那ー、頑張れー!後でご褒美があるよー!」
「ご褒美なんて、もらった事無いよー!」
由里は、章司の部屋に行ってしまいました。
「章司、遊びに来たよー!」
「由里、来ましたね」
由里は、章司の部屋に入りました。
「ココに来てから、毎日遊び放題!勉強なんかしなくても、誰からも怒られない。サイコーじゃん!」
「たくさんの芸能人と同じ土地に暮らせるなんて、凄い事だし、現実世界じゃ有り得ない事ですよ!」
「推しに会えると良いんだけどな…推しが芸能人で良かったかも」
「芸能人だったら、スペックが高いってお墨付きがありますからね」
「志那は可哀想だねー。配信者なんて顔が見えないじゃん。実際はブサイクかも知れないんだし」
「由里は誰を応援していますか?」
「私は、あべの男子の斉木優人君!」
「僕は、曽池由衣花ですね」
二人は、嬉しそうに話していました。

「偶然にも、斉木君が窓の外の道を歩いていたら良いのにな…」
「そんな偶然が起きれば良いんですけどね。三次元国なんて、住人の大半は一般人ですから…」
章司は、窓の外を見ました。すると、並木道を歩いている優人と由衣花を発見しました。
「由里、大変です!斉木優人と由衣花ちゃんが歩いています!」
「ンな、まったまた……ウソー!!」
優人と由衣花は、二人並んで歩いていました。
「二人って、どう言う関係なの?!恋人?」
「実際、会って確かめないと…!」
「飛行術、使う?」
「使いましょう!ファンが居ても、飛行術の練習と言えば許してくれる筈です!」
推しに会えるかも知れないと言う状況に、二人は興奮していました。
「えーい、ココは空想の世界!ファンのしきたり守らなくても許される!」
「いざ、飛行術!」
窓を開けた二人は外へ飛び降りて、飛行術を使って芸能人二人の所へ飛んで行きました。
「…あ、あなたは…」
「由衣花ちゃん、僕はファンの田宮章司です!」
「斉木君、私はファンの星川由里です!」

「…え、えーと…ファンの子?」
「はい!そうです!いきなり現れて、すみませんでした!」
「お二人って、恋人同士なのでしょうか…?」
章司は、気になっていた事を優人と由衣花に聞きました。
「あの…違います」
「僕達、友人同士なんだ」
「良かったー!」
由里と章司は、二人が恋人関係で無い事を知り、安堵しました。
「こんな所で立ち話も難だから…カフェに行きませんか?」
「良いんですか…?!」
「ケーキが美味しい店、教えてあげるよ」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
四人は、近くにある有名なカフェに行きました。
「うわぁ…雑誌で見たパンケーキ!」
「まさに、女性の中の女性に合うお店です!由衣花さんのような!」
「女性の中の女性…」
「まさに、由衣花さんの為にある言葉です!」
「私、小さかった頃は男の子になりたかったって言ったらびっくりする?」
章司は、時が止まったかのように硬直しました。
「でもね、女子高生の人に『男の子になってはいけません』って言われて、女の子らしく生きるように心がけたの。性を変えると不幸な人生になるって念押しされちゃって…」
「その道、選んで正解ですよ!」
章司は、熱い男になっていました。

由里と章司は、それぞれの推しに会えた事で、一生分の運を使ったんじゃないかと不安になる間も無く有頂天でした。
「この世の春って、こう言う事?」

11/9/2022, 10:16:45 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第四十八話」

志那の部屋は、築年数はそんなに経ってなくても、壁は傷やシミだらけで、キッチンは水道の蛇口をひねっても、すぐには水が出て来ません。お風呂はカビだらけで、トイレは水が流れにくい状態です。全体的に傷だらけの部屋です。
「どうやって住めって言うのよー!まるで、ゴミの無いゴミ屋敷じゃーん!」
床は当然の如く、ホコリとシミで汚い状態で、土足で歩くしかありませんでした。
「チクショー!あのババァに文句言って、
修繕費請求してやる!」

志那は、寝室に行きました。
「こんな所で寝ろって言うの?オマケに壁に人みたいな大きなシミがあるし、幽霊とか出ないでしょうね…?!」
志那は、壁にあるシミの方をじーっと見ていました。すると、ピエロみたいな人魂の幽霊がヌーっとシミから出て来ました。
「うらめしや〜…あなた、誰ですか?」
「ゆ、幽霊が住んでるの…?!」
「あ、大声はあげないで下さいね。怪しい者ではありませんから…」
幽霊は、すぐさま薄いベージュの肌、緑色の目、金髪のショートヘア、細身寄りの中肉中背で紫のパーカーを着た礼儀正しい道化師の人間の姿に戻りました。
「私、ピエロと言います。この部屋、女の子が住む事になったんですね。どうしよう…」
「ピエロ…君?ちゃん?」
「普通にピエロで良いですよ。私、体は男ですが、心は女です」
「そ、そうなんだ…この部屋に先客が居るってあのバ…」
「この部屋、あと二人住人が居るんです。紹介しますね」
ピエロは、志那を連れてキッチンへ移動しました。
「確か、ここに居るはずです。おーい、住人さんが来ましたよ!」
ピエロが呼んでも、返事がありませんでした。
「…?キッチンに隠れてるの?」
志那は、キッチンを探し始めました。志那がアイランドキッチンの扉を開けると、水色の猫が飛び出しました。
「ニャー」
「この部屋、猫が住んでるの?」
「彼も仲間です。キトン、人間に戻って下さいね」
キトンは、ピエロに言われると薄いベージュの肌、くりくりした黒の猫目、水色の寝癖ヘアー、標準体型で小柄の水色のパーカーを着たフワフワした猫耳少年の人間の姿に戻りました。
「初めまして、キトンだよ。君の名前は?」
「斎藤志那です…この部屋の住人って、みんな何かに変身してるの?」
「そうだよ」
「この部屋の住人はあと一人居ますので…もうすぐ帰って来るはずです」
ピエロはそう言うと窓を開けて、遠くの方で飛んでいる一羽の黄色いカモメに向かって叫びました。
「ガバードー!部屋の持ち主さんが来ましたよー!」
「ピエロかー?すぐ行くぞー!」
ガバードは、志那の部屋に向かって勢い良く飛んで来ました。
「へー、この女の子が部屋の住人か。あ、俺はガバードって言うんだ」
ガバードは、ベージュの肌、焦げ茶の目、黄色いメッシュが入った黒髪のショートヘア、やや筋肉質で高身長、黄色いパーカーを着た貫禄のある大人っぽい少年の人間の姿に戻りました。
「コレで全員だね」
「全員そろいましたね」
ピエロは、少し悲しげな顔をしました。
「…?」
志那はピエロの方を見て、何かあったんだなと思いました。

「僕達、この部屋を基地にしてるんだ」
「基地?拠点みたいな?」
「まぁ、そんな所だ。旅するから基地は変わるけどな」
「つまり、フロンティアウォーカーみたいな旅人って事?」
「そだよ。仲間が減って心細いけど、世界各地転々としてる」
「あ…カインド達も仲間一人が回帰光玉の犠牲になったんだよね…回帰光玉ってそんなに流通してる武器なの?」
「銃程ではありません。フロンティアウォーカーも回帰光玉の犠牲になってたんですね…」
「ピエロ達も仲間を失ってたんだね…」
志那は、悲しげな表情をしました。
「あ、そうそう!あの管理人、住人が居る部屋の鍵渡しやがって…まったく、文句言ってやる!」
「志那、管理人は気を付けた方が良い。呪いが掛かってるぞ」
「呪い?あ、極地の呪いってやつ?」
「うん。正確には、極地の呪いを受けた誰かの呪いだけど」
「志那、管理人には気をつけて下さい。あと、私達は借り暮らしの様な物です。」
「…あ、内緒で住んでるんだ」

「このマンションに来てから何だか心細かったけど、ピエロとキトンとガバードに会えて良かった!心強い仲間が出来た気分!」
志那は、笑顔になりました。
「志那の仲間の正気を取り戻さないと」
「…え?みんな、変になってるの?」
「多分、豪華な内装の部屋の住人は、管理人の術に掛かり始めてるな」

11/8/2022, 10:39:57 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第四十七話」

「やっと着いたー!電車の旅、長かったー」
志那達は、三次元国のターミナル駅に居ました。
「三次元国って、現実世界と殆ど変わらないな」
カインドは、ターミナル駅に行き交う人々を見ました。
「三次元国は、芸能人と一般人の居住区の様な国だからな。現実世界と差異が無い国さ」
アンバーは、カインドに説明しました。
「それで、天国のような生活ってどう言う意味?2.5次元とあまり変わらない様な気がする…」
スモークは、首を傾げました。
「とりあえず…由里と章司は時計広場で待ってる約束だから、そこまで行こう」
志那達は、ターミナル駅の時計広場まで移動しました。
「志那ー!来てくれてありがとー!」
「由里ー!ちゃんと、みんな来たよー!」
志那と由里は、再びの再会に大はしゃぎしていました。
「凄い大所帯ですね…」
章司は、志那達を見るなり、人数の多さにただ呆然としていました。
「志那ー、スッゴいボーイフレンドの数だね」
「由里、表現がオーバーだよ…」
由里は、志那をからかいました。志那は、返答に困りました。

「僕達が住んでいるマンションは、バスに乗っての移動になります」
「いざ、我が家へレッツゴー!」
由里と章司は、志那達を連れてバス停まで案内しました。
「コレ、ドラマによく出て来る首都圏のバスですわね」
「あ、きた来た!乗ろう!」
志那達は、目的のバスが来たので乗りました。
「凄いな…現代貴族が暮らしている様だな」
ロードはバスの窓から見える景色に驚いていました。三次元国は、この世界の金持ちが暮らしているかのような国でした。
「そりゃあ、三次元国は暮らしやすさナンバーワンなんだから!」
「ココで暮らせるの?!何だかワクワクして来た!」
「志那、はしゃぎ過ぎですわよ」
「皆さん、マンションに着きました」
志那達は、目的のマンションの最寄りのバス停で降りました。
「…何だか、一般人の住むマンションにしては豪華だな」
パズルの拠点のマンションとほぼ同価値だろうと思っていたアメジストは、由里と章司が住むマンションを見るなり狐につままれた表情になりました。

「じゃ、管理人さん呼んで来るね!」
由里は、マンションの管理人を呼びに管理人室まで行きました。
「管理人さんは、どんな人かしら?」
「お決まりで言えば、魔導師の様な裕福な老婆って所か?」
梨々華とカインドは、二人で話していました。
「呼んで来たよー!」
由里の隣には、大きな宝石を身に着け、派手なメイクをした白髪のふくよかな老婆が居ました。
「管理人の諏訪井トキヨです。まぁ、皆さんこんな遠い所へ…ようこそおいで下さいました」
「諏訪井さん、初めまして。私は神崎梨々華です」
「まー!可愛らしいお嬢さん。礼儀正しくて育ちが良いのでしょうね!」
「初めまして。私は斎藤志那です」
「…あらそう。男の子達は?」
管理人は、志那を無視して男性陣に話を振りました。
「…?」
志那は、管理人の態度を不思議に思いました。
「マンションは、基本決まりとか集まりが無いから自由に過ごせるんだよー!」
「三次元国は自由の国ですから、どんな生活を送ろうとも自由なんです」
「あら、二人共。私が説明しようと思っていたのに賢い子達ねー!」
管理人はオホホと甲高い声で笑いました。
「じゃあ、一人ずつ部屋の鍵を渡すわね」
管理人は、一人ずつ順番に鍵を渡して行きました。
「ハイ、これは斎藤さんのね」
管理人は、志那に鍵を渡しました。
「管理人さん、ソレ、事故物件の部屋の鍵じゃん!」
「由里ちゃん、良いのよ。ちゃーんとお祓いしたから大丈夫よ」
「お祓い?!いつの間に…まぁ、良いけど」
志那と管理人以外は、自分の部屋に行ってしまいました。
「…あの、何で私は事故物件の部屋なんですか?」
「アンタみたいな汚らしい小娘には、お似合いの部屋だから渡したのよ。ココに住めるだけありがたいと思いなさい。何の能力も無いバカ娘が!私、馬鹿は嫌いなのよ」
管理人は、それだけ言うと管理人室に戻りました。

「ウワァー!雑用から開放されるってこう言う事か!」
「自由のありがたみって、こう言う事ですのね」
「時間に縛られないって、最高じゃん!」
「本当に天国のような生活になるな!」
志那以外は、豪華な部屋に満足していました。
「事故物件って、本当に色々修理しなきゃ行けないじゃん…」
志那は、ボロボロになった部屋を見回っていました。
「あのババァ、私に何の恨みがあるワケ?」

11/4/2022, 10:26:03 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第四十六話」

「カインド達に話があるんだけど…良い?」
「志那、それよりアメジストさんも呼びません?大事な話ですし…」
「あ!アメジストさんの事を忘れてた!探さなきゃ!」
志那は、アメジストを探しに行きました。
「梨々華、大事な話って何だ?」
カインドは、梨々華に聞きました。
「三次元国への移住の話ですわ。雑用から開放される天国のような所だそうよ?」
「天国?!パラダイスって事か?」
ロードは、目を輝かせていました。
「まさか、あの世に行くって事は無いよね…?」
「スモークはビビリだな。三次元国はあの世じゃねーよ」
「みんなー!アメジストさんがどこ探しても居なーい!」
志那は、慌てて戻って来ました。
「どこ探しても居なかったんか?食堂も?大浴場も?トイレも?」
「本当にどこ探しても居ないのー!」
「…まさか、ココの事をアジトって言う人達に拐われたのではないでしょうか?」
「…アジト?誰が言ってたの?」
スモークは、梨々華に聞きました。
「さっきの詐欺師らしき方々ですわ」
「詐欺師?!まさか…でも…アジトって言葉を使うのって、警察か犯罪者か子供の遊びくらいだろ?」
「あんまり考えたくは無いが…パズル達って犯罪集団か何かって事になるよな?」
ロードとカインドは考えてしまいました。
「早くアメジストさんを助けに行かないと…」
志那が森の方を振り向くと、
「皆、留守にしてすみません」
と、アメジストがアンバーを連れて戻って来る姿が見えました。
「アメジストさん!良かったー、無事で…」
「志那ちゃん、どうしました?」
「てっきり、犯罪集団に拐われたんじゃないかって心配になっちゃったよ…」
「アメジストさん、そちらの方は?」
梨々華は、アンバーの方を見ました。
「アンバーと言って俺の仲間です。彼はもう一般人ですが」
「あ、どうもアンバーと言います。アメジストって、いつの間に教師になったんだ?高校生の集団って…」
「あの…話変わるけど、アメジストさん達も三次元国に移住しない?ココは犯罪集団のアジトらしくて…」
志那は、アメジストとアンバーに三次元国への移住の話を持ちかけました。

「犯罪集団…やはり、そうですか」
「アメジスト、警察がこの辺に居るって事はその可能性が高いぞ」
林檎王子の二人は、しばらく話し合いました。
「…どの道、ここに居るのは安全とは言い切れません。君達では倒せない悪党との闘争に巻き込まれる可能性があるから、三次元国に移住した方が安全です。我々はこの話に乗ります」
アメジスト達は、志那達に同調しました。
「俺もアメジストに従うよ。何だか、犯罪集団同士の闘争が起きそうだからな」
「僕もロードと同じだよ。カインドはどうする?」
スモークは、カインドの方を見ました。
「…俺も、全員の意見に賛成だ。けど、このまま消えて大丈夫か?」
「あ、そうか…今までお世話になったからね」
スモークは考えました。
「私、手紙書くよ。事情を説明した方が良いし」
志那は、手紙を書く役を名乗り出ました。

志那は手紙を書いて、食堂に行きました。
『パズルの皆さん、急にこんな話をしてごめんなさい。友人が移住の話を持ちかけて、私達全員が移住に賛成したから、三次元国に引っ越す事になりました。私達に戦いの手ほどきを教えてくれてありがとうございました。今までお世話になりました。』
志那は、手紙をテーブルの上に置いて、食堂を出ました。
「皆さん、準備は出来ました?」
「はーい」
「じゃ、行くぞ」
志那達は、荷物をまとめて居住エリアを出ました。
「この森の風景も見納めですわね…」
志那達は森を歩いて、パズルの拠点の敷地を出ました。
「ココで暮らしてたんだね…」
志那は、森の方を見て哀愁を感じました。

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