「私とあなたじゃ住む世界が違う 第四十六話」
「カインド達に話があるんだけど…良い?」
「志那、それよりアメジストさんも呼びません?大事な話ですし…」
「あ!アメジストさんの事を忘れてた!探さなきゃ!」
志那は、アメジストを探しに行きました。
「梨々華、大事な話って何だ?」
カインドは、梨々華に聞きました。
「三次元国への移住の話ですわ。雑用から開放される天国のような所だそうよ?」
「天国?!パラダイスって事か?」
ロードは、目を輝かせていました。
「まさか、あの世に行くって事は無いよね…?」
「スモークはビビリだな。三次元国はあの世じゃねーよ」
「みんなー!アメジストさんがどこ探しても居なーい!」
志那は、慌てて戻って来ました。
「どこ探しても居なかったんか?食堂も?大浴場も?トイレも?」
「本当にどこ探しても居ないのー!」
「…まさか、ココの事をアジトって言う人達に拐われたのではないでしょうか?」
「…アジト?誰が言ってたの?」
スモークは、梨々華に聞きました。
「さっきの詐欺師らしき方々ですわ」
「詐欺師?!まさか…でも…アジトって言葉を使うのって、警察か犯罪者か子供の遊びくらいだろ?」
「あんまり考えたくは無いが…パズル達って犯罪集団か何かって事になるよな?」
ロードとカインドは考えてしまいました。
「早くアメジストさんを助けに行かないと…」
志那が森の方を振り向くと、
「皆、留守にしてすみません」
と、アメジストがアンバーを連れて戻って来る姿が見えました。
「アメジストさん!良かったー、無事で…」
「志那ちゃん、どうしました?」
「てっきり、犯罪集団に拐われたんじゃないかって心配になっちゃったよ…」
「アメジストさん、そちらの方は?」
梨々華は、アンバーの方を見ました。
「アンバーと言って俺の仲間です。彼はもう一般人ですが」
「あ、どうもアンバーと言います。アメジストって、いつの間に教師になったんだ?高校生の集団って…」
「あの…話変わるけど、アメジストさん達も三次元国に移住しない?ココは犯罪集団のアジトらしくて…」
志那は、アメジストとアンバーに三次元国への移住の話を持ちかけました。
「犯罪集団…やはり、そうですか」
「アメジスト、警察がこの辺に居るって事はその可能性が高いぞ」
林檎王子の二人は、しばらく話し合いました。
「…どの道、ここに居るのは安全とは言い切れません。君達では倒せない悪党との闘争に巻き込まれる可能性があるから、三次元国に移住した方が安全です。我々はこの話に乗ります」
アメジスト達は、志那達に同調しました。
「俺もアメジストに従うよ。何だか、犯罪集団同士の闘争が起きそうだからな」
「僕もロードと同じだよ。カインドはどうする?」
スモークは、カインドの方を見ました。
「…俺も、全員の意見に賛成だ。けど、このまま消えて大丈夫か?」
「あ、そうか…今までお世話になったからね」
スモークは考えました。
「私、手紙書くよ。事情を説明した方が良いし」
志那は、手紙を書く役を名乗り出ました。
志那は手紙を書いて、食堂に行きました。
『パズルの皆さん、急にこんな話をしてごめんなさい。友人が移住の話を持ちかけて、私達全員が移住に賛成したから、三次元国に引っ越す事になりました。私達に戦いの手ほどきを教えてくれてありがとうございました。今までお世話になりました。』
志那は、手紙をテーブルの上に置いて、食堂を出ました。
「皆さん、準備は出来ました?」
「はーい」
「じゃ、行くぞ」
志那達は、荷物をまとめて居住エリアを出ました。
「この森の風景も見納めですわね…」
志那達は森を歩いて、パズルの拠点の敷地を出ました。
「ココで暮らしてたんだね…」
志那は、森の方を見て哀愁を感じました。
11/4/2022, 10:26:03 AM