「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十話」
「私、憧れの斉木君とお茶が出来るなんて、とっても幸せでハッピー!」
「喜んでくれて、嬉しいよ」
四人が楽しくお茶をしていると、突然、男性二人が目の前に現れました。
「斉木優人さん、お仕事の時間です」
ベージュの肌、黒の細目、ショートヘアの銀髪、中肉中背だけどやや長身、黒のスーツ姿の冷酷でクールな男性は、優人に言いました。
「曽池由衣花さんも、お仕事の時間です」
ベージュの肌、黒の細目、ショートヘアの銀髪、中肉中背だけど長身、黒のスーツ姿で慎重なお調子者の男性も、由衣花に言いました。
「あの…今日は撮影は休みの日ですよ?」
「今日は休みだって監督から聞いています」
優人と由衣花は、男性二人に説明し始めました。
「オイ、おかしいぞ?ポール君、ちゃんと下調べしたんだろうな?」
「グラックさん、抜かりはありません。撮影の日程はちゃーんと調べて置きました」
「じゃ、何でターゲット二人が今日は休みみたいな事、言ってるん?」
「多分、ガセの日程表だったのでしょうね…」
「……」
「ま、ともかく。お楽しみの所、申し訳ありませんが、今日は撮影日なのですよ。お二人には撮影所まで向かってもらいます」
「申し訳ありませんが、監督のミスでスケジュールが間違っていたとの事です」
「そうですか…」
「マネージャーさんじゃないのが、少し気になりますが…」
「マネージャーの方は、大変忙しくて猫の手も借りたい程でしたので、我々に頼んだのですよ」
グラックとポールは、優人と由衣花にマネージャーがいかに忙しそうだったか説明しました。
「芸能人って、大変だねー。つかの間の休みですら仕事が入っちゃうんだもん」
由里は、ラスベリーティーを飲んでいました。
「二人には、映画を完成させる使命がありますからね。仕方無いですよ」
章司は、遠くの方に目をやると、宇治金時パフェを食べている老人の姿が目に入りました。
「由里、時計の側の席に居るおじいさん、監督じゃありませんか?」
「んな、まったまた…あ!九鬼監督!ホントだ…」
由里は、小声で驚きました。
「とにかく、お二人を監督が呼んでいますから、今すぐ来てもらいますよ?」
「撮影が遅れたら、映画を楽しみにしている方々に多大な迷惑がかかってしまいますからね」
「監督が呼んでいるんじゃ、仕方ありませんね…」
「用意が出来次第、向かいます」
優人と由衣花は、席を立ちました。
「…ねぇ、監督って、今は撮影所に居るはずでしょ?ココに居るのっておかしくない?」
「僕も、それ思いました。この人達、怪しいですよ」
由里と章司は、今、カフェに監督が居るのはおかしいと気付きました。
「『マネージャー』さん、監督さんはココでパフェを食べているよ?」
「あなた達は、偽物ですね?芸能人の人達に何の用ですか?」
由里と章司は、グラックとポールを問い詰めました。
「バレちゃ、仕方無いですね…」
「二人、連れて行くぞ」
グラックとポールは、芸能人二人を連れて行こうとしました。
「いや…!放して!」
「抵抗すると、どういう目に遭うか分かってるだろうな?」
グラックは、
「拷問空間!」
と唱えると、由衣花は動けなくなり、拷問器具が現れました。
「い、痛い…嫌ぁあああ!」
拷問器具は、由衣花の胸を掴み、強引に引っ張って引きちぎりました。由衣花は出血多量で気絶し、動かなくなりました。
「コイツら、何者よ…?!やる事、酷過ぎるじゃん!」
由里は、震えと涙が止まりませんでした。
「由衣花さん、大丈夫ですか?!僕は救護術の使い手です!」
章司は、由衣花を治療し始めました。
「メディカルヒール!」
章司の術で、由衣花の傷は治って行きました。
「章司君、助けて…」
由衣花は、涙を流しながら章司を抱きしめました。
11/15/2022, 10:33:21 AM