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10/29/2022, 10:45:26 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第四十話」

「結局、回帰光玉の犯人、分からずじまいだったね」
「何だか、スプライトが可哀想ですわね…」
志那と梨々華は、この前の古びた塔の事件について話していました。
「きっと、まったり達を統括している親玉がいるんだよ、きっと!」
「スプライトは元気で居る事を祈るばかりですわ」
「…何か、話が噛み合ってなくない?」
「ですわね」
志那と梨々華が話していると、突然、二人の背後から、
「志那ー!会いたかったよー!」
と、由里の声が聞こえて来ました。
「由里!どうしたの?!」
由里の隣には、章司と言うベージュの肌、細めで濃い焦げ茶色の目、寝癖っぽいショートヘア、黒っぽい焦げ茶色の髪色、長身だけど、少し小太りで、シンプルに近いカジュアルファッションで穏やかで優しいクラスメートの男子がいました。
「こんにちは。斎藤さん、神崎さん」
「田宮じゃん!良いよ、志那で」
「僕も章司で良いですよ」
「私も梨々華で良いですわ。ところで、何故由里は章司と一緒なのですの?」
「えーと、斉木君に会えたら良いなーって思いながら寝てたら、斉木君が現れた訳よ?スゴくない?斉木君よ?あの斉木君。んで、『良かったら僕が住む世界に来ませんか』って、言って来たから、喜んで来ちゃった訳よ!」
「僕も、似たような理由なんだけど…曽池由衣花が突然、目の前に現れて『私の住む世界に来ませんか?』って言ったから、興味本位で来たんだ」
「それで、二人はどうやってこの世界で会ったの?」
志那は、由里と章司に聞きました。
「三次元国でコンサートエリアを彷徨っていたら、偶然にも章司に会った訳よ」
「あべの男子と曽池由衣花のコンサートが同じ日じゃ無かったら、僕達二人会えなかったかも知れなかったね」
由里と章司は力説していました。

「あ、そうそう。風の噂で志那が2.5次元国に居るって聞いたから、ひょっとしたら会えるんじゃないかなー?って、思って会いに来た訳よ!」
由里は、楽しそうに話していました。梨々華は、怪訝そうに由里を見ていました。
「(おかしいですわね…何故、隠れ家みたいな場所を由里は知っているのかしら?)」
梨々華は、由里を疑っていました。
「ところでさー、由里はどこの国から来たの?この国の事を2.5次元国とか言ってるけど」
「ハァ?勿論、三次元国からに決まってるじゃん!志那って本当に鈍感だねー!」
志那と由里は、楽しそうに笑いながら話していました。だけど、梨々華は疑ったままでした。
「……」
「梨々華、安心して下さい。僕達は敵ではありませんよ?」
「…なら、私の考え過ぎでしたわね」
「じゃあ、三次元国ってどんな所?」
志那は、由里達に聞きました。
「三次元国は、芸能人がいっぱい住んでいるよ!2.5次元国は配信者の国っぽいけど」
「具体的には、芸能人と一般人が共生して住んでいるかな?でも、芸能人だけじゃなくて、他の国の移住者もたくさん居るよ」
章司は、考えながら二人に説明しました。
「あ、でもね…みーんな仲良しで治安も良いし、天国で暮らしてるみたいって移住者の人も言ってるから、暮らしやすさについてはお墨付き!」
由里は、終始楽しそうに話しました。

「へー、三次元国ってそんなに良い所なんだ」
「志那も梨々華も相談があるんだけどさ…私達と一緒に暮らさない?」
由里は、志那と梨々華に三次元国への移住の招待を持ちかけました。
「三次元国だったら、どう暮らそうが自由!規則とか決まり事とかは全く無し!」
「…でしたら、三次元国の方がメリットが大きいですわね。ココでしたら、毎日雑用をやらされますもの」
梨々華は、由里の誘いに乗ろうとしました。
「え、でも、アメジストやカインド達はどうすんのよ?男性陣の意見も聞かないといけないよ?」
「いけない、そうでしたわね…」
梨々華は、危うく誘いに乗る所だったと自分を戒めました。
「そこは、二人に任せるよー!二人で説得すれば、男性陣も納得するって」
由里は、調子良くどんと構えていました。

「(私は正直、由里とはあまり話さないから、信用はし辛い相手ですわね。でも、志那と共に行動している以上、志那の友人には協力せざるを得ません。由里とは仲良くするしかありませんわね…)」
梨々華は、腹を括りました。

10/7/2022, 10:36:51 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十九話」

「アメジストさん、それ、本当ですか…?」
シトリンは、恐る恐るアメジストに聞きました。
「本当ですよ」
「うわー、すっげー羨ましー…」
ラピスは、アメジストを睨みつけていました。
「相当恵まれた人生を歩んで来たんですね」
ローズは、軽蔑した目でアメジストを見ました。
「こんなにも絵に書いた様な人生送ってる奴、本当に居るんだな。しかも、目の前に」
アンバーは、怒りを抑えている感じでした。
「僕は、子供の頃からずっと家から出して貰えなくて、自分の部屋に軟禁状態だったんですよ。そんなに僕が大事かどうか知らないけど、好きな事なんてやらせてもらえませんでしたね」
ラピスは、自分の半生を語りました。
「俺は、家が貧しくて子供の頃から風俗の店の手伝いさせられてたな。中学卒業する頃にはバイト漬けの毎日だったし。誰かさんみたいに裕福な家に生まれれば良かったな」
アンバーは、自分の半生を語りました。
「僕は、友達一人も出来なくてイジメられる毎日だったよ。僕一人女子からモテまくるってよく分かんない理由でさ。そのせいで転校の連続だったんだ。僕だって友達に恵まれたかったな」
シトリンは、自分の半生を語りました。
「俺は、皮膚病が酷くて手術の連続だったんだ。入退院の繰り返しで勉強なんてまともに出来なかったな。同じ学年を二回繰り返した事もあった。成績が良い奴が羨ましいな」
ローズは、自分の半生を語りました。
「…皆、悲惨な人生送って来たんですね」
「アンタに言われる筋合いはねーよ」
アンバーは、アメジストを睨みつけました。
「幸せで有頂天になってる奴見ると、本当に腹が立つね」
ラピスは、憎悪の表情をしていました。
「グループに女のメンバーが居れば良かったな。そいつを取り巻いて、平和ボケしてる奴に嫌な思いさせられたのに」
シトリンは、顔に影を落としながら冗談を言いました。
「問題は、こんな奴をリーダーとして見れるかどうかだな」
ローズは、アメジストの方を見ました。

「アレから、メンバー達から嫌がらせを受ける様になりましたね。そのせいで、ミスが連発して迷惑かけ続ける羽目になって…でも、仕方ありません。親友を極地の魔の手から守る為ですから…」
アメジストは、涙を流しました。
「そんな時に、セラフィが来ましたね。何を思ってか知りませんが、その時は彼女が救いでしたから。彼女は女性らしくて、その時の俺は彼女にしか目が無い状態でした…」
アメジストは、哀愁を漂わせていました。
「セラフィが近付いて来てからは、自分が自分で無くなるかの様でした。気が付けば、既婚女性と関係を持っていました。セラフィと喧嘩になって回帰光玉をぶつけられて、一般人に戻り…現在に至る訳です」
「ただいまー!」
「おや、皆さん帰って来ましたね」
アメジストは、雑用に戻りました。
「所詮、あんなのは昔の話です」

10/6/2022, 11:06:54 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十八話」

アメジストは、志那達が古びた塔に行っている間、雑用をしていました。
「ここの暮らしに慣れたとは言え、雑用ばかりは体に応えますね…」
アメジストは、食堂の片付けをしていると、バスケットに置いてあるりんごが視界に入りました。
「りんごですか…あの時を思い出しますね」
アメジストは、アイドル時代の事を思い出していました。

アメジストがまだ林檎王子のリーダーだった頃のある日、仕事の集まりでメンバー全員が事務所に集まっていました。
「アメジストさん!おはようございます」
薄いベージュの肌、茶色い大きな目、肩までの金髪のストレートヘア、中肉中背でシンプルに近いブリティッシュファッションの子供っぽい青年のメンバーは、アメジストに挨拶しました。
「おはよう、シトリン。君、いつものように遅刻すると思ったよ」
「遅刻するんなら、ラピスじゃないですか?いつものんびりしてるし」
シトリンはラピスと言う、薄いベージュの肌、青い大きな目、薄青のストレートロングヘアを後ろで束ねている髪型、痩せ型の中肉中背でブリティッシュファッションの気弱だけど爽やかな青年のメンバーに話を振りました。
「シトリン、酷いなー。遅刻の回数は君の方が多いでしょ!」
「年少二人、喧嘩するなよ…回数競っても仕方無いじゃん」
薄いベージュの肌、ピンクの目、ピンクのパーマ掛かったロングヘアの髪型、中肉中背のブリティッシュファッションの人当たりの良い青年のメンバーは、シトリンとラピスにツッコミました。
「ローズ、無駄だ。あの二人馬鹿だから諦めろ」
ベージュの肌、オレンジの目、オレンジのセミロングのウルフヘア、痩せ型のプチマッチョでカジュアルなスーツ姿のギャル男っぽいプレイボーイなメンバーは、ローズに一言言いました。
「アンバー、コレ、止めなかったら、誰が止めるん?」
「あはは、俺達は、いつもこんな感じだな!」
「あーあ、ラピスのせいでアメジストさんに笑われた…」
「シトリンが喧嘩吹っ掛けるからだ!」
「さぁ、もうすぐ仕事の時間だ。皆、準備出来たかな?」
「皆さん、準備出来ましたか?」
「スタッフさん、もうすぐ行きます」
アメジストは、スタッフに応対しました。
「…気のせいかな?ちゃんと全員そろってるのかそろって無いのか…」
林檎王子のメンバー達は、スタッフに呼ばれて別室に案内されました。
「今日は、何の仕事だろ?」
「ローズ、仕事始まってからの告知はいつもの事だろ」
ローズとアンバーは小声で話していました。
「えーと、皆さんには自分の半生を語ってもらいます」
スタッフは、メンバー全員に仕事内容を説明しました。
「半生…ですか?」
メンバー達は沈黙してしまいました。
「(半生…ですか。アイドルである以上、本当の事を語ると大事な人に大きな被害が及ぶ可能性があるな…)」
「まずは、アメジストさんからお願いします」
スタッフは、アメジストに振りました。
「(親友を守る為だ。仕方無い…)」
アメジストは、嘘の自分の半生を話し始めました。
「子供時代は、何不自由無く人生を送れていたと思います。成績も良かったし、友人にも恵まれて、家も裕福だから周りの憧れの的でしたね。親には、何でも好きな事をやらせてもらえていたと思います。青春時代もとにかく異性にモテた記憶があります。多分、俺の人生は幸せな方だと思います。」

10/5/2022, 10:26:15 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十七話」

「城主だな?あの時の対決に決着を着ける時が来たな」
「あの時は、城が燃えて二人共焼け死んだからな」
城主と敵の大将は、刀を構えていました。
「おとう!がんばって!」
「あなた、頑張って!」
大広間の隅の方で、城主の家族は見守っていました。
「家族か…良いもんだな。俺の家族も戦に巻き込まれなかったら、今頃…」
敵の大将は、そう言うと龍を召喚しました。
「無用な戦いせずに済んだのによ!龍の反乱!」
敵の大将は、そう言うと召喚した龍を暴れさせました。
「キャアー!」
「こわいよー!」
龍の尻尾が城主の家族目掛けて当たろうとしました。
「コッチも使わせてもらう!虎の守り!」
城主は、とっさに虎を召喚しました。虎は、城主の家族の前に構えました。
「白虎よ、噛み付け!」
「青龍よ、暴れろ!」
戦況は、双方共に拮抗状態でした。
「おかあ、りゅうってなにがじゃくてんなの?」
「逆鱗って言って、鱗が若干違う所があるでしょ?そこが弱点よ」
「げきりんに、コレつきさしてみるね」
小さな女の子は、お母さんに鋼吹雪の大きな一欠片を見せました。
「危ないから止めた方が良いわよ!それにおとうの大事な戦いの最中だから…」
「でも、このままだったら、おとうがまけちゃうよ?」
二人が話していると、龍が襲いかかって来ました。
「危ない!」
「ちがううろこは…アレ!いまはゆうれいだからとべる!」
小さな女の子は、龍の逆鱗に鋼吹雪の欠片を突き刺しました。龍は苦しそうに暴れ始めました。
「トドメだ!首を噛み付け!」
虎は、龍の首元を噛みつきました。龍は敵の大将にのしかかった後、姿を消しました。
「クソっ、負けたか…」
敵の大将は、姿を消しました。

「おにーちゃん、おねーちゃん!わるいやつやっつけたよ!」
小さな女の子は、志那の側に現れました。
「良かったね!」
「おねーちゃんのおかげでやっつけることできたよ!」
小さな女の子はそう言うと、血まみれの鋼吹雪の欠片を見せました。
「おにーちゃん、おねーちゃん!ありがとう…」
城主一家は、そう言うと成仏しました。
「消えちゃった…」
志那は、消えた小さな女の子の方を見ました。
「?!城が動いてるぞ…」
カインドは、天井を見ました。そして、豪華な城は元の古びた塔に戻りました。
「うわっ、こんな所に居たんだな…」
ロードは、塔が崩れないか不安でした。
「犯人は居なかったし、出ようか」
志那達は、外に出ました。

「あの子、成仏出来て良かったね」
「結局、犯人は見つからなかったよな…」
ロードは、気がかりそうでした。
「おーい、みんなー!」
「スカーレットさん!それに、他の方まで…」
梨々華は、いきなりの展開に驚きました。
「皆、水臭いぞ。コッソリと抜け駆けして敵討ちするやなんてな」
「オーシャンさん、何で俺達がココに居ると知ってたんですか?」
「俺が説明したんや。スプライトに回帰光玉を一撃でぶつける程の相手やから、お前らだけやったら苦戦すると思ってな」
「マゼンタさん、それがですね…犯人は、まだ見つかって無いんですよ…」
カインドは、しょんぼりした顔をしました。
「安心し。犯人は俺が取っちめた!後はスカイに任せてある」
「取っちめた?!」
志那達は、目を丸くして驚きました。
「マゼンタ、手下達の所持品調べたけど…回帰光玉は持ってなかったよ…」
スカイは、マゼンタに報告しました。
「持ってないやと?!」
「念の為に設計図や材料も持ってるか調べたけど…」
「じゃあ、一体誰が犯人や…?」

10/4/2022, 10:30:35 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十六話」

志那達は、階段を降りながらその階に居る敵陣を倒して行きました。
「倒せー!」
「危ない!鋼吹雪!」
志那は、とっさに鋼吹雪を繰り出しました。
「やった!成功した!」
「志那、ナイス!固めちゃえ」
スモークは、すかさず凝固術を繰り出しました。
「危ないマリモみたいですわね」
梨々華は、凝固術で固まった敵を見るなり言いました。
「…!良い事を思い付きましたわ。皆さん、話がありますの」
梨々華は、四人を呼びました。
「何?話って」
「城に居る敵陣を、鋼吹雪と凝固術を使ってトゲトゲのマリモみたいにして外に転がす作戦ですわよ?」
「外か…!成程ね!一気に外の敵もやっつける作戦って事?」
スモークは、楽しそうに話に乗りました。
「梨々華、外に転がすのは誰がやるのよ?」
「志那、さっきの一人でに武器が戦う術は、誰がやってました?」
「俺の術を使えって事だな。だけどな、そんな事したら壁に穴が開くぞ」
「そこは、壁を水みたいに出来る人が居るでしょう?」
「大丈夫だ。マリンフロアは壁にも転用可能だからな」
「梨々華、天才じゃん!早速やってみよ」
志那達は、嬉しそうに作戦を開始しました。
「倒せー!」
「やかましい武士だな、全く。ダークワームホール!」
ノアールは、黒い異空間の入り口を出現させて、黒い電磁波で敵を消して行きました。
「危ないで?えらいモンが転がって来よったよ?」
スノーは、ノアールに注意しました。
「えらいモン?…何やアリャ!?」
城の方から、鋼吹雪に刺さり、凝固術で固まった敵陣達が転がって来ました。そして、転がって来た敵陣達は、見事に味方にぶつかって行きました。
「あの子ら、力を合わせたらこうなるんやな…」
マゼンタは、感銘を受けていました。
「マッズ。早く逃げるぞ」
「オイ、饅頭。何か知っとるみたいやな」
マゼンタは、手下の一人を掴みました。
「アイツ、捕まったか…」
「ワイに構わず逃げてくれー!」
「おーっと、仲間は全員捕まえんとな」
マゼンタは、手下全員を宙に浮かせて、自分の元に引き寄せました。
「?!どうなってるんだ?」
「俺の術、サイコワールドや。冥土の土産に教えたってもエエで」
マゼンタはそう言うと、念力で饅頭達を捻り始めました。
「い、痛い!」
「俺の可愛い弟子に回帰光玉ブツケたん誰や!?」
マゼンタは、低い声の調子で饅頭達を尋問し始めました。
「回帰光玉?そんなの知らないな…」

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