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10/3/2022, 6:18:34 PM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十五話」

「皆、外は戦闘状態だ。戦うぞ」
カインドは、志那達に言いました。
「もうそろそろ、城の中に敵陣が入って来るな。皆の者、戦闘準備だ!」
城主は、家来達に戦闘状態に入る様に指示をしました。
「皆の者、掛かれー!」
敵陣達は、城の中に入って来ました。
「行くよー!メタルセンスショット!」
志那は、鉄の楔で相手の侵入を防ぎました。
「志那、やりますわね。ファイアリングアロー!」
梨々華は、光を放つ炎の雨で遠方の敵達を攻撃しました。
「丁度良い武器が山程有るな。教わった術、使ってみるか!」
カインドは、闇フィールドを部屋全体に展開させて、ポルターガイストを発動させました。
「コレなら、一度に大人数と戦えるから、早く片付けられるな」
「な、何だ?!」
「部屋の武器が勝手に動いてるぞ!」
敵陣は、混乱していました。
「一旦、逃げるぞ!」
「逃げる奴が居るみたいだ」
敵陣の一人が撤退しようとした時、すかさずロードは
「マリンフロア!」
と叫んで、術を発動させました。
「床が水?!」
敵陣達は、マリンフロアに溺れて行きました。
「成功したな」
一方、外の草むらの影では、
「作戦、成功だな!」
ケブバガミの手下達が祝杯を挙げていました。
「追手は塔の中に入ると思ったよ」
「塔の中に霊復活剤を仕込んで置けば、後は自動的にその場に居る霊達が戦ってくれるからな!」
「ココに極地の入り口は無かったから、このまま帰りますか!」
「そうだな!」
「…?!戦国時代か?ココだけ?」
スカーレットを始めとするパズル達は、いきなり現れた戦国時代の日本城に目が点になっていました。
「ド派手な城やなー」
「オーシャン、見とれてる場合じゃ無いでしょ」
「スカイ、俺、別に見惚れてる訳ちゃうねん。こんな場違いな建物現れたら誰だってド派手やなーみたいな事言うやろ?」
「二人共、言い争いはココまでな」
スノーは、二人を止めました。
「あの子ら、多分中に居るやろうから、外の敵倒しつつ中に入ってく作戦や」
マゼンタは、メンバー達に指示しました。
「よっしゃー!行ったるで!」
「ノアールは意気込みは凄いんやけど、敵に囲まれとるで?」
オーシャンは、メンバー達に敵陣に囲まれている事を伝えました。
「ファイアリングバースト!」
スカーレットは、すかさず技を繰り出しました。敵陣は、炎の衝撃波みたいな爆発に巻き込まれました。
「スカーレット、カッコ良いやないか…」
「マゼンタ、見惚れてる場合じゃないでしょ!」
スカイは、マゼンタを注意しました。
「そうやったな!それぞれ散らばって片付けて行くで」
「オッシャあ!そう行うへんとな!」
パズル達は、四方八方に散らばって外の敵陣と戦って行きました。
「おとう、おかあ…」
小さな女の子は、両親の傍で震えていました。
「大丈夫だ。おとうが悪い敵全部やっつけるからな」
父親は、娘を励ましていました。
「城主は何処だ?!成敗してやる!」
敵の大将が大広間に乗り込んで来ました。

10/2/2022, 10:35:11 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十四話」

「犯人、どこだろ?」
志那は、建物内を探していました。
「幽霊とか出ませんでしょうね…?!」
梨々華は、少し怯えていました。
「ワッ!」
「キャッ!…カインド、脅かさないで下さる?」
すると、誰も居るはずのない遠くの方から、物音が聞こえて来ました。
「本当に居るの?幽霊が…」
スモークは、固まってしまいました。
「おにーちゃん、おねーちゃん。コッチコッチ!」
豪華な着物を来た小さな女の子が志那達の前に現れました。
「子供か?」
「あの子、道案内してくれるのかな?」
志那とカインドは、小さな女の子の方を見つめました。
「ねぇ、君は遊びに来たの?それとも、この家の子?」
「志那、呑気なのも大概にしろ。この家の子って…」
カインドは志那にツッコんでいると、小さな女の子は階段の方に向かって走って行きました。
「みんな、跡を追って見るぞ」
ロードは、小さな女の子を追跡し始めました。
「行くしか無いか…」
カインドは、観念したかの様でした。
「コッチ、コッチー!」
小さな女の子は、志那達を案内し始めました。
「階段って、結構急ですわね…」
「梨々華、大丈夫?」
スモークは、梨々華を気に掛けました。
「みんな、階段を上がったか?」
ロードは、人数確認をしていました。
「いちいち確認しなくても良いんじゃないか…?階段上がるくらいで…」
カインドは、ロードにツッコミました。
「コッチ、コッチー!」
「また、あの子だ」
小さな女の子は、階段まで案内すると消えましたが、別の上りの階段まで来ると現れました。
「あの子、幽霊よ…」
「着いて行って大丈夫かな…?」
梨々華とスモークは、体を震わせていました。
「犯人は、一向に現れ無いな…」
「あの子も、ケブバガミの一員かもな」
「カインド、冗談は止めてくれ…」
ロードは、冷や汗をかきました。

「コッチ、コッチー!」
「随分、登ったね…」
志那達は、大広間みたいな所に辿り着きました。
「位置的に言えば、ココは建物の中央部だな」
ロードは、辺りを見渡しました。
「そう言えば、女の子が消えてませんわよ?」
小さな女の子は、部屋の中央でピョンピョン跳ねていました。
「おにーちゃん、おねーちゃん。あそぼー」
小さな女の子がそう言うと、部屋の中央から眩しい閃光が放ちました。
「ま、眩しい…」
志那達は、眩しさのあまり目を塞いで再び開けた時には、建物は綺羅びやかな豪華な城に変貌していました。
「城?凄い豪華だね…」
スモークは、いきなり変わった世界に圧倒されていました。
「おとう、おかあ!」
小さな女の子は、両親らしき人物の所へ駆け寄りました。
「両親って、城の城主みたいな人だけど…」
志那は小さな女の子達の方を見ていると、外から大勢の人が騒ぐ声が聞こえて来ました。
「戦だ!」
「戦えー!」
「ココ、戦国時代かよ…」
カインドは、自分達はタイムスリップしたのではないと疑っていました。

「建物が変貌したのは良いのですが…まさか、ケブバガミの仕業では無いでしょうね?」
梨々華は、疑りを掛けていました。
「梨々華、建物が変貌する事自体、良くないよ?」
志那は、梨々華にツッコミました。
「でも、昔は豪華な建物だったんだね!」
スモークは、目を輝かせていました。
「そう言えば、犯人は何処へ行ったんだ?」
ロードは、鶴の一声を上げるように言いました。
「あ!そうだった!」
「犯人は、全く見かけませんでしたけど…」
「このお城には居ないんじゃない?」
志那と梨々華とスモークは、雑談をし始めました。
「撤退するにも、戦闘は避けられないな…」
カインドは、外を見ていました。

10/1/2022, 10:23:33 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十三話」

志那と梨々華とフロンティアウォーカー達は、戦う準備をしました。
「お待たせ…って、男子達はスゴイ衣装着てるじゃん!」
志那は、フロンティアウォーカー達が着ている冒険服を見て驚きました。
「ま、歌い手の特権だな」
「カインド、自慢気に言うの止めて下さらない?」
梨々華は、少しムッとしました。
「ところで、パズルの人達に言わなくて大丈夫かな?」
志那は、少し不安になりました。
「今回は仕方無いよ。敵は饅頭だけだし、僕達だけでやっつけよう」
スモークは、仲間の敵討ちにパズルの人達を巻き込みたくありませんでした。
「皆、武器を持ったかな?行くぞ」
ロードを先頭に、志那達は出発しました。
「…?!オイ、お前らどうしたんや?夜やぞ」
森に向かおうとする志那達を、夜回りをしていたマゼンタは見つけて止めました。
「マゼンタさん!」
志那は、突然、マゼンタが現れたので驚きました。
「あの…私達は、スプライトを脱退させた犯人を探しているのです」
梨々華は、マゼンタに事情を説明しました。
「饅頭達か…かまへんけど、気ィ付けや」
「行ってきまーす!」
志那達は、森へ向かいました。
「皆、こっちの方角に逃げて行ったんだ」
スモークは、皆を饅頭達が逃げて行った方角へ案内しました。
「饅頭が引きずられた様な跡がある…」
志那は、地面を見て饅頭が逃げて行った跡を追跡しました。
「スモーク、アレじゃないか?」
ロードは、古びた塔を見つけました。
「じゃあ、ソコに向かうぞ」

志那達は、古びた塔に辿り着きました。
「何か、肝試しで入りそうな不気味な建物だね…廃屋か何かかな…?」
志那は、若干恐怖でした。
「饅頭達は、ココに逃げて行ったんだ」
「スモーク、案内サンキュ。本当にココに犯人が居るのか分かんねぇけど、入って見るぜ?」
カインドは、肝試し感覚で古びた塔の中へ入って行きました。
「犯人が既に逃げてるって事も有りうるよね…?でも、中に隠れてるって事もあるし、怖いけど入ってみよう」
スモークも入って行きました。
「…俺達も入って見るか」
残りの三人も入って行きました。
「何か、怖いなぁ…」
志那は、恐怖でいっぱいでした。
「く、暗いなぁ…」
建物の中はほぼ真っ暗で、薄明かりで中の物の輪郭が分かる程度でした。
「ねぇ、一応ランタンを一個だけ持ってきたんだけど、他にランタン持って来た人、居ない?」
志那は、カバンからランタンを取り出しました。
「そう言えば、私、ランタンを持ってませんわ」
「ランタン…僕も持ってないよ」
「あ…俺も…持ってない」
「俺も、ランタンなんて持ってねぇぞ」
一同は、固まってしまいました。
「…二手に分かれる時、どうするのよ…」
「志那、スマホの光でも構わねぇか?」
カインドはスマホを取り出して、ライトを付けました。
「じゃ、探そう」
一方、拠点では、マゼンタがメンバーを集めて話し合いをしていました。
「…と、言う訳や。アイツらだけではちょーっと不安でな」
「確かに、回帰光玉を一撃でぶつけて来る位だから、相手は相当強い可能性があるよね?」
スカイは、マゼンタの話を分析しました。
「あの子らやフロンティアウォーカーの実力じゃ倒せんから、助けは必要っつー訳やな」
オーシャンを始めとするパズル達は、戦う気満々でした。
「さぁ、行くぞー!俺は気合い充分だ!」
「ノアール、スゲーやる気だな!」
「ノアールとスカーレット、スゲーやる気やな…付いてけへんわ」
スノーは、異常なやる気の二人を見てシラケていました。
「じゃあ、皆!行くで」

9/30/2022, 10:17:01 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 三十二話」

志那は、帰って来たスモークを見かけました。だが、そこにスプライトは居ませんでした。
「スモーク、お帰りー」
「……」
スモークは、浮かない顔をしていました。
「スモーク、ノアールさんから聞いたんだけど、スプライトと一緒だったんだよね?スモーク、一人だけ?」
「志那、掃除用具運ぶの手伝って下さらない?…あれ?どうしたのよ?」
梨々華は、二人の所に来ました。
「スモーク、どうなさったのよ?浮かない顔して…」
「実は、森で材料探しをしてたら、ケブバガミって言う謎の組織の手下達に遭ったんだ。てっきり、ナイトメアが関係している組織かと思って追跡したんだ」
「け、ケブバガミ?何それ?!」
「何なんですか?その適当に文字入力しただけみたいな名前の組織って…」
スモークは、説明を続けました。
「手下の饅頭達が襲って来たから、返り討ちにしてやったんだけど、残党を追っていたら、何者かがスプライトに向けて回帰光玉を勢い良くぶつけて来たんだ」
「回帰光玉って、何ですか?」
梨々華は、スモークに聞きました。
「好奇の目にさらされている配信者などの有名人を一般人に戻す光の玉だよ。それを食らったスプライトは、一般人までは戻らなかったけど…グループの力は失った」
スモークの目には、涙が浮かんでいました。
「おーい、何話してんだ?」
三人が話していると、カインドとロードもやって来ました。
「カインド、スプライトが大変な事になってるの…!」
「そう言えば、スプライトが居ないよな…?」
ロードが、辺りを見渡しました。
「二人共、スプライトは回帰光玉を何者かにぶつけられて、グループから去ったんだ。迷惑をかけられないって言って…」
「スモーク、それ、本当か?」
「卑怯で最低な輩だな…敵討ちしてやりたいな」
カインドとロードは、険しい表情をしていました。
「ケブバガミの手下達は、古びた塔の方角に逃げたんだ。今もそこに居るはずだよ…」
「じゃあ、古びた塔に行って、手下達を懲らしめてやろうぜ!」
ロードは、鶴の一声をあげました。
「賛成だな」
「行こう!」
フロンティアウォーカー達の意見は揃いました。
「私達も行こう!」
「私も思ってました」
志那と梨々華も、フロンティアウォーカー達に付いて行く事に決めました。
「お前ら、危ないぞ?」
「カインド、私達もスプライトの仇を打ちたい」
「それに、戦力は多い方が良いのではありません?」
「…お前らが、そこまで言うのならな…足手まといになるなよ?」
カインドは、仕方無いなと思いました。
「じゃ、早速向かいましょ」

9/29/2022, 10:33:06 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 三十一話」

スモークとスプライトの二人は、残党の饅頭を追っていました。
「オイ、あの二人追って来るぞ」
「逃げろォー」
饅頭達は、追って来る歌い手達から、必死に逃げようとしました。
「饅頭だから、追いかけるの楽だねー」
「饅頭は、この世界じゃ一番弱いモンな」
「数は一番多いけどね」
スモークとスプライトの二人は、興味本位で饅頭達を追っていました。
「巻くぞ」
饅頭の一人がそう言うと、饅頭達は多岐に分かれて逃げ出しました。
「あれ?」
スモークは、分かれて逃げ出した饅頭達を見てきょとんとなりました。
「どうしたんだろう?」
「スモーク、攻撃とか仕掛けて来るぞ!」
スプライトはスモークに注意すると、
「食らえ、煙玉!」
饅頭達は、煙玉を二人に目掛けて投げつけました。
「うわっ!」
「前が見えない…」
煙が周りに立ち込めて、饅頭達を見失ってしまいました。

「くっそー、逃げられたか…」
「大丈夫、足跡があるから」
地面には、饅頭の通り道がくっきりと残っていました。
「石化した饅頭を引きずった跡だね」
「スモーク、やるな!」
「追ってみよう」
「…追ってみるか?面白そうだけどな」
「饅頭達が何探してるのか気になるしね」
スモークとスプライトは饅頭達がどこに行くのか気になったので、好奇心で追う事にしました。
「俺達、まるで探偵みたいだな!」
「探偵ごっこってやつ?」
「スモークが、一番探偵って言葉似合うぞ!」
「褒めても、何か出る訳じゃないけどね」

スモークとスプライトの背後に、木の上で二人を見ている、薄いベージュの肌、茶色い大きな目、金髪のウェーブ掛かったロングヘアで、両側をツインテールにしている髪型、中肉中背でグラマー体型のガーリーファッションの愛らしいお姫様の様な女性がいました。
「私、セラフィちゃんの試作品、試してみようかなー…?」
スモークは背後の気配を感じ取り、とっさに後ろを見ました。
「…誰か居たのかな?」
スモークが見る限り、誰も居ません。
「気のせいかな?」
「…うーん、灰色の子は気づかれそうだなぁ…金髪の方にしーよーおっと」
セラフィは、試作品の回帰光玉をスプライトの方に投げつけました。
「何だ?光か?」
スプライトは後ろを振り向くと、回帰光玉が自分目掛けて飛んで来ました。
「危ない!でも、眩しすぎて見れない…」
回帰光玉は、庇おうとしたスモークにぶつかりそうになったので、スプライトは、わざと自分に当たるようにスモークを庇いました。
「だ、大丈夫?」
「俺は、ドッチボールの玉、食らっただけで大丈夫だぞ?」
スプライトの姿は、冒険服から私服の姿に戻っていました。
「スプライト、ソレ…グループ結成前の姿じゃん…」
スモークは、青ざめていました。
「俺が食らったのって、回帰光玉か…?」
スプライトは呆然としていました。
「…でも、この姿って、個人のみで活動してた時の姿だから、完全に一般人に戻った訳じゃないよね?」
スモークは、スプライトをフォローしました。

「…何とか逃げ切ったな」
「一時はどうなるかと思ったぜ」
饅頭達は、アジア建築の古びた塔へ逃げました。
「傷付いた仲間達を手当だ!」
「…この方角だと、あの建物がある場所に逃げたっぽいね」
「ああ、そうだな…」
二人は、饅頭達が逃げた塔の方を見ていました。
「多分、敵の本拠地の様な場所だから、応援は呼んだ方が良いと思うんだけど…スプライト、どう思う?」
「その方が良いかもな…」
スプライトは、元気が無い状態でした。

「…スモーク、一度、サンダーウイップ使うけど、良いか?」
「良いけど、どうしたの?いきなり」
スプライトは、木に向かってサンダーウイップの電気を放ちました。
「やっぱりな…威力が大幅に下がってるな」
「……」
スモークは、沈黙してしまいました。
「スモーク、グループの皆に伝えてくれ。俺は、これじゃあ足手まといになるだけだ。皆には、迷惑がかけられない…」
「つまり…フロンティアウォーカーから去るって事…だよね?」
スモークは、涙目になっていました。
「俺だって、こんな去り方は納得出来ないぞ?…でもな、俺はグループの力を失ったんだ…後は、健闘を祈るぞ」
涙を流しながらスプライトはそう言うと、スモークの前から姿を消しました。

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