「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十話」
スモークとスプライトは、饅頭達を追っていました。
「見つからないように気をつけないと…」
「そもそも、饅頭達は何探してんだ?」
スプライトは、疑問に思いました。
「落とし物かな…?それとも、何かの入り口とか?」
「スモークの推理が始まった!」
「スプライト、声大きい!」
スモークは、小声で注意しました。
「オイ、誰かに追われてるぞ」
饅頭達は、二人の方を見ました。
「うわ…見つかっちゃった…」
「戦うしか無いな!」
二人は、戦闘態勢に入りました。
「コイツら、歌い手共か?」
「面倒な事になる前にやっつけるぞ」
饅頭達は、襲い掛かって来ました。
「早速、習った術を使って見るぞ!機械召喚!」
スプライトは、宙に浮く機械をいくつか呼び出しました。
「雷電放射!」
宙に浮く機械は、ピンポイントで電気を放射しましたが、饅頭達は動き回る為、なかなか全部には当たりません。
「全滅は免れそうだな」
「こんなの、当たらなければ怖くないさ!」
「マズいな…コイツら全部には当たんねぇ…!」
「それだったら…凝固術!」
スモークは、饅頭達を石化させました。
「スモーク、ナイス!」
「コレで動きは封じたから、電気が当たるはず」
スプライトは、体勢を立て直しました。
「もう一度…雷電放射!」
スプライトは、石化した饅頭達に電気を放って行きました。
「石化したらマズいな…無事なやつは一旦退散だ!」
「手ぶらで帰ってどうする?ハマラマンジャ様に顔向け出来んぞ」
「あの二人、歌い手でも無名っぽいし、全員で掛かれば倒せる筈だ」
饅頭達は、再び戦闘態勢に入りました。
「そこのみんな、どうしたの?凝固術!」
「うわあああ!」
「逃げた方が良かったんじゃないか?」
スモークは、喋っていた饅頭達を石化させました。
「行くぜー!!雷電放射!」
スプライトは、最後の集団をやっつけました。
「…何とか、全員やっつけたね」
「途中で逃走した奴も何人か居たけどな…」
スモークとスプライトは、息を切らせていました。
「…スモーク、残党追うの手伝ってくれないか?」
「残党…確かに、コッチの情報を敵サイドに漏らされても困るよね?でも、僕達だけで大丈夫?」
「戦わなければ、大丈夫だ。それに、誰か呼んでたら、饅頭達逃げるぞ」
「…分かった。後を追ってみよう」
「そうとなれば…追跡開始だ!」
二人は、残党を追う事にしました。
「アイツら、ハマラマンジャとか言ってたけど、本当にナイトメアの手下か?」
「更に別の悪の組織登場ってやつ?ちょ、意味分かんなーい…」
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第二十九話」
スモークとスプライトは、食堂にいました。
「ドリームレースみたいな敵って、僕一人でも倒せるかな?」
「そりゃあ、強くなったら倒せるさ!」
「…ソレ、いつの話になるのかな?」
スモークは、スプライトにツッコミました。
「少年!諦めない事が肝心だ!日々の積み重ねで人間は強くなれる!」
「ノアールさん、感動したッス!」
ノアールとスプライトの周りには、キラキラとしたオーラが輝いていました。
「…二人共、同キャラなんだ」
「それはそうと、二人に頼みたい事があるから、よく聞いておいてくれよ?」
「なんスか?!ノアール師匠!」
スプライトは、目を輝かせていました。
「夕食の食材で足りないのがあってな、森まで行って取って来て欲しいのさ!」
「森?」
スモークは、目が点になっていました。
「師匠の頼みなら、いくらでも取って来ますよ!!」
「じゃあ、メモを渡すから、取って来てくれ!」
ノアールは、スプライトにメモを渡しました。
「行くぞ!スモーク!」
「も、森で取れる食材?スーパーとかじゃないの?」
スモークは、不安でした。
「準備OKだな?!さぁ、行っくぞー!」
二人は、冒険服に着替えていました。
「そう言えば、女の子達って一般人だから、ずっと私服のままだよね?」
「こう言った衣装みたいな服は、歌い手の特権てヤツか?」
二人は、会話しながら森に向かっていました。
「着いたねー」
「さぁ、ノアールさんの為にも、食材探すぞー!!」
スプライトは、張り切っていました。
「スプライト、メモには何て書いてあるの?」
「えーと、ワサワサ草と唐墨木の根っことクスクス草と…」
スプライトは、メモを読んで行きました。
「…どんな料理、作るつもりなんだろうね?」
スモークは、青ざめていました。
「きっと、旨い料理に決まってんだろ…って、アレ、饅頭じゃね?」
スプライトは、遠くの方に居る饅頭を発見しました。
「饅頭だ。何してるんだろ?」
「スモーク、追ってみよーぜ!」
「食材探し、どうすんの?」
「同時進行だ!」
「出来るかな?キミに…」
饅頭達は、死んだ目で何かを探している様子でした。
「我らはケブバガミの職員。ボスの為にもアレを探さなくてはならない」
「一刻も早く探さないと…」
「ケブバガミ?」
「何かの会社名かな?」
二人は、遠くの方で饅頭達を見ていました。
「……あ!ひょっとしたら、ナイトメアがCEOか何かの会社のことじゃない?」
「つまり、饅頭達はナイトメアの手下って事か!」
「スプライト、饅頭達を追ってみよう。この森、マンションから近いし、襲撃して来る可能性もあるかもよ?」
「そうと決まれば、追跡だ!」
スモークとスプライトは、隠れて饅頭達の後を追いました。
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第二十八話」
「梨々華ちゃん、このマンションは色々ルールがあるから説明して行くよ」
「あ、ありがとうございます」
スカーレットは、梨々華にマンションの説明をして行きました。
「風呂やトイレは共同なんだ。みんなで使うものだから、みんなで掃除しなきゃいけないんだ」
「……」
梨々華は、ほぼ無言の状態でした。
「どうしたの?!俺の説明、そんなに下手?!」
スカーレットは、慌てふためきました。
「…言って良いですか?ガーネットさん」
「…へ?ガーネット?!」
スカーレットは硬直しました。
「俺、ガーネット?言われてみれば…スカーレットとガーネットって名前似てるな!」
「私、ガーネットさんが好きでした。でも、ガーネットさんは好きになってはいけない相手で、私の世界では、その人を好きになると酷い仕打ちを受けます」
スカーレットは、梨々華は自分の名前を勘違いしているのではないかと思いました。
「あ、成程な…」
「梨々華、俺、ガーネットじゃないぞ?ちゃんとスカーレットって名前があるからな」
「す、スカーレットさん?」
梨々華は、動揺しました。
「確かに俺はガーネットって言い間違われる事がよくあるけど、俺はスカーレットって名前があってオリジナルだからな!」
梨々華は、スカーレットの怒り様を見て、可愛いと思いました。
「……!」
梨々華は、ある事に気付いたかのような表情をしました。
「(ひょっとして、私が好きだった人って、この人だったんじゃないかしら…?)」
梨々華は、自分が恋していた相手は目の前に居る男性なのではないかと思いました。
「私、貴方が好きです。それは今でも変わりません。私は貴方への想いを消そうと思って他の男性の事を必死で好きになろうとしていました。でも、貴方の事は忘れられません」
梨々華の目には、薄っすらと涙が浮かんでいました。
「俺のことが好き…?!」
スカーレットはいきなりの告白に驚きました。
「ごめんなさい…迷惑でしたよね?一般人の私が歌い手の方に愛の告白だなんて…それに、名前を間違えるだなんて…」
梨々華は頬を紅く染めていました。
「梨々華ちゃん、俺を好きになってくれてありがとう」
スカーレットは、梨々華に優しく語りかけました。
「安心して下さい。私の貴方に対する恋愛感情は一ファンとしてですから…」
梨々華は、涙が止まりませんでした。
「泣かないで、梨々華ちゃん」
スカーレットは、泣いている梨々華をそっと抱きしめてあげました。
「梨々華ちゃん、俺、誰も担当してないから技とか術を教えてあげるよ」
「技とか術ですか?」
「梨々華ちゃんが武器持ってたらの話だけどね」
「武器って、コレの事でしょうか?私をさらった人が持ってましたが…」
梨々華は、スカーレットにドリームレースが持っていたワルキューレアローを見せました。
「どうやら、忘れて行ったみたいです」
「ソレ、使いなよ!落とし主は取りに来ないみたいだし」
梨々華とスカーレットは、笑顔で談笑しました。
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第二十七話」
志那は、人質に取られている梨々華と攻撃出来ずに困っているスノーを見て、自分で何とかしなきゃと思いました。
「私が梨々華を助けなきゃ…!」
しかし、志那はどうやって梨々華を救出するのか良い案が思い付きませんでした。
「ドリームレースの後ろに回って、背後から行こうかな…?」
志那は野次馬から離れて、ドリームレースの後ろに回ろうとしました。
「志那ちゃん、君一人では危ないよ」
梨々華が救出しようとしていた志那を、スカイは引き留めました。
「早く梨々華を助けないと、スノーさんに迷惑が掛かっちゃう!」
「安心して、僕達に良い案があるよ。スカーレットも協力してくれるかな?」
「ん?何なに?呼んだ?」
スカーレットは、スカイの所に来ました。
「作戦に協力して?僕が囮になってドリームレースを攻撃するから、その隙にスカーレットが梨々華ちゃんを救出するんだよ」
「何か面白そうじゃん!やろーやろー!」
スカイとスカーレットは小声で作戦会議をしました。
「志那、安心しろ!俺とスカイが梨々華ちゃんを助けるからな」
スカーレットは、志那を励ましました。志那は、ココは二人に任せようと思いました。
「二人共、頑張って下さい!」
「あれ?攻撃しなくなった。今のうちに反撃開始!!」
ドリームレースは、スノーに猛攻撃を仕掛けようとしました。
「ま、マズイ…!」
「行っけえぇ!クリムゾンサンダー…」
ドリームレースは、攻撃を放とうとした途端、凄まじい突風に巻き込まれました。
「うわー!」
「スカイ、悪いな!おおきに!」
「親友の危機だからね。助けなきゃ」
「二人とは、卑怯よ!」
「勝手に襲撃に来たお前さんが悪い。一対一でやるだなんて言うてへんで?」
スノーは、ドリームレースに見下す様に言いました。
「よし!今のうちだ!」
スカーレットは、梨々華の傍まで来ました。ドリームレースは、二人相手に戦う事になったので、梨々華まで注意が向かなくなりました。
「梨々華!助けに来たぞ」
スカーレットはそう言うと、梨々華の口に貼られていたテープを剥がしました。
「あ、貴方ひょっとして…」
「説明はあと!俺に着いて来て」
スカーレットは、梨々華を抱き抱えて、ドリームレースの傍から離れました。
「おや?お前さんにトドメが刺せる様になったな…」
「何抜かす?コッチには人質が…」
ドリームレースが袋の方を見ると、もぬけの殻になっていました。
「い、居ない?!」
「それじゃ、絶対零度行きますか…」
スノーは影を落とした表情で、ドリームレースに超低温の冷気の風をこれでもかと吹き掛けました。
「うわぁぁあ!寒すぎて痛ーい!」
「……こ、この辺で退散!」
ドリームレースは、どこかへと行ってしまいました。
「お、行ってもうたな。レスキューありがとな。流石、親友やな」
スノーはスカイの方を見ました。
「いつもの事だよ」
「志那…!」
梨々華は、志那の所に駆け寄りました。
「梨々華、大丈夫だった?」
「大丈夫よ。皆さん、本当に助けて頂き有難う御座います…」
「そんなにかしこまらんでエエのに…」
オーシャンは、丁寧にお辞儀する梨々華にツッコミました。
「そう言えば、梨々華って何でこの世界に来たの?」
志那は、梨々華に質問しました。
「ちょっと、聞いてー?私、零也の友達ってだけでSNSにプライベートな事を流されたのよ?!犯人は一体誰かしら…?」
梨々華は怒り半分で状況説明をしました。
「そしたら、さっきの変な人がやって来て、私を掻っさらったのよ!酷く無い?」
「まぁ、私も誰かに個人情報をSNSに流されて、色々あってココに来たんだけど…」
「志那、この世界に頼れるのは貴方と零也しか居ないわ!私達、仲間になりましょ!」
梨々華は志那の手を取り、固く握りしめました。
「うん、私達仲間だね!」
「あ、悪い。俺の名前はカインドで、現実の零也とは関係がないんだよな…」
「私とあなたじゃ住む世界が違う 第二十六話」
子供のゲームプレイヤーの騒動から数週間、しばらくは平穏な日々が続きました。
「この前は、子供がエライ大騒ぎして大変やったな…何やってんやろな?」
「子供達に技使おうかかなり迷ったけど…結局、使っちゃった」
スノーとスカイは森の中で談笑していました。
「だろうと思ったわ。あの竜巻見て確信したし…(コイツ怒らすとあと怖いからな…)」
「物が大量に破壊される前で良かったー」
スノーは苦笑いでした。スカイは笑顔でした。
「ちょっと、あの子達蹴散らしたのアンタ達でしょ?」
薄いベージュの肌、黒い大きな目、黒髪のロングのポニーテール、中肉中背のフェミニンスタイルの清楚なお嬢さんの女性は木の上に立っていました。
「うわっ、誰や?!」
「私はドリームレース。ナイトメア様の手下よ!」
「何か、弱そうな敵やな…」
「弱そうとか言わないで。私だって、好きで格上と戦いたい訳じゃないのよ!」
スノーのツッコミに対してドリームレースは涙目でした。
「ナイトメア様の命令なのよ!子供達をゲームの動画で釣って、この世界に集めるの大変だったんだから…」
「あの…すごい迷惑だから、卑怯な手は使わないでね」
「スカイ、敵に対して優し過ぎやぞ…」
「水色の髪の方は、馬鹿強いのは分かったから…白い髪の方と勝負よ!」
ドリームレースは、スカイには勝てないと思い、スノーに戦いを挑みました。
「…エエんか?オレ、水色より強いで?」
スノーは、表情に影を落としました。
「(マズイのと戦う事になった…でも、コッチには奥の手がある!)」
ドリームレースは、袋の方を見ました。
「良いわよ。白い髪と勝負よ!」
「じゃあ、ドリーム何とかとやら…勝負や」
スノーは、ドリームレースとの勝負に応じました。
「でも、ちょっと待って。こんな所で戦うよりは道場の方で戦った方が、良いんじゃない?」
スカイは、スノーの方を見て提案しました。
「それも、そうやな。見物人もぎょーさん集められるわな」
スノーは、イタズラっ子の顔をしていました。
「さっきから、何コソコソ話してるのよ?」
「ドリーム何とか、悪い!道場まで来てくれんか?」
スノーは、ドリームレースを道場まで誘いました。
「何か分からないけど、望む所よ!」
スノーは、ドリームレースを道場まで連れて来て、スカイは、事情を説明してマンションの住人達を集めました。
「何やソレ?!面白そうじゃーん?」
「やろーぜ!みんな!」
ノアールとスカーレットはノリノリでした。
「祭りか、エエやん!」
「オーシャンさん、ノリノリですね!」
スプライトはハイテンションでした。
「何か、スゴイ人が集まって来てるけど…ソレに皆、武器持ってない?」
ドリームレースは、青ざめていました。
「じゃ、勝負やな」
スノーとドリームレースとの戦いが始まりました。
「いざ、レッドサンダーボルト…」
ドリームレースは技を放とうとすると、スノーは物凄い勢いで反撃を仕掛けて来ました。
「アイスピックブリザード」
「うわぁぁああ!強すぎだろ、コイツ」
ドリームレースは、スノーの攻撃に圧倒されていました。
「アイスピックブリザードは、敵を大量の太い氷の針で突き刺す技や。周りの人間も武器を突き刺しとるし、大変やな」
「フン、コレで駆け引きは上手だと思ってる訳?コッチも駆け引きを使わしてもらうわよ?」
ドリームレースは、そう言うと袋から、薄いベージュの肌、茶色い大きな目、薄い茶色のロングのウェーブヘア、痩せ型でロリータファッションの華奢なお嬢様の高校生くらいの少女を出しました。
「んん〜…」
「この女は、私が倒れたと同時に爆発するわよ?」
「何や?どうせ、その子もナイトメアの手下か何かやろ」
スノーは、ドリームレースにトドメを刺そうとしました。
「スノーさん!その子は梨々華って言って、私の友達なんです!助けてあげて!」
志那は、とっさにスノーを止めました。
「ドリーム何とかとやら、卑怯な手、使いやがって…」