「私とあなたじゃ住む世界が違う 第二十八話」
「梨々華ちゃん、このマンションは色々ルールがあるから説明して行くよ」
「あ、ありがとうございます」
スカーレットは、梨々華にマンションの説明をして行きました。
「風呂やトイレは共同なんだ。みんなで使うものだから、みんなで掃除しなきゃいけないんだ」
「……」
梨々華は、ほぼ無言の状態でした。
「どうしたの?!俺の説明、そんなに下手?!」
スカーレットは、慌てふためきました。
「…言って良いですか?ガーネットさん」
「…へ?ガーネット?!」
スカーレットは硬直しました。
「俺、ガーネット?言われてみれば…スカーレットとガーネットって名前似てるな!」
「私、ガーネットさんが好きでした。でも、ガーネットさんは好きになってはいけない相手で、私の世界では、その人を好きになると酷い仕打ちを受けます」
スカーレットは、梨々華は自分の名前を勘違いしているのではないかと思いました。
「あ、成程な…」
「梨々華、俺、ガーネットじゃないぞ?ちゃんとスカーレットって名前があるからな」
「す、スカーレットさん?」
梨々華は、動揺しました。
「確かに俺はガーネットって言い間違われる事がよくあるけど、俺はスカーレットって名前があってオリジナルだからな!」
梨々華は、スカーレットの怒り様を見て、可愛いと思いました。
「……!」
梨々華は、ある事に気付いたかのような表情をしました。
「(ひょっとして、私が好きだった人って、この人だったんじゃないかしら…?)」
梨々華は、自分が恋していた相手は目の前に居る男性なのではないかと思いました。
「私、貴方が好きです。それは今でも変わりません。私は貴方への想いを消そうと思って他の男性の事を必死で好きになろうとしていました。でも、貴方の事は忘れられません」
梨々華の目には、薄っすらと涙が浮かんでいました。
「俺のことが好き…?!」
スカーレットはいきなりの告白に驚きました。
「ごめんなさい…迷惑でしたよね?一般人の私が歌い手の方に愛の告白だなんて…それに、名前を間違えるだなんて…」
梨々華は頬を紅く染めていました。
「梨々華ちゃん、俺を好きになってくれてありがとう」
スカーレットは、梨々華に優しく語りかけました。
「安心して下さい。私の貴方に対する恋愛感情は一ファンとしてですから…」
梨々華は、涙が止まりませんでした。
「泣かないで、梨々華ちゃん」
スカーレットは、泣いている梨々華をそっと抱きしめてあげました。
「梨々華ちゃん、俺、誰も担当してないから技とか術を教えてあげるよ」
「技とか術ですか?」
「梨々華ちゃんが武器持ってたらの話だけどね」
「武器って、コレの事でしょうか?私をさらった人が持ってましたが…」
梨々華は、スカーレットにドリームレースが持っていたワルキューレアローを見せました。
「どうやら、忘れて行ったみたいです」
「ソレ、使いなよ!落とし主は取りに来ないみたいだし」
梨々華とスカーレットは、笑顔で談笑しました。
9/26/2022, 10:39:48 AM