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「私とあなたじゃ住む世界が違う 三十二話」

志那は、帰って来たスモークを見かけました。だが、そこにスプライトは居ませんでした。
「スモーク、お帰りー」
「……」
スモークは、浮かない顔をしていました。
「スモーク、ノアールさんから聞いたんだけど、スプライトと一緒だったんだよね?スモーク、一人だけ?」
「志那、掃除用具運ぶの手伝って下さらない?…あれ?どうしたのよ?」
梨々華は、二人の所に来ました。
「スモーク、どうなさったのよ?浮かない顔して…」
「実は、森で材料探しをしてたら、ケブバガミって言う謎の組織の手下達に遭ったんだ。てっきり、ナイトメアが関係している組織かと思って追跡したんだ」
「け、ケブバガミ?何それ?!」
「何なんですか?その適当に文字入力しただけみたいな名前の組織って…」
スモークは、説明を続けました。
「手下の饅頭達が襲って来たから、返り討ちにしてやったんだけど、残党を追っていたら、何者かがスプライトに向けて回帰光玉を勢い良くぶつけて来たんだ」
「回帰光玉って、何ですか?」
梨々華は、スモークに聞きました。
「好奇の目にさらされている配信者などの有名人を一般人に戻す光の玉だよ。それを食らったスプライトは、一般人までは戻らなかったけど…グループの力は失った」
スモークの目には、涙が浮かんでいました。
「おーい、何話してんだ?」
三人が話していると、カインドとロードもやって来ました。
「カインド、スプライトが大変な事になってるの…!」
「そう言えば、スプライトが居ないよな…?」
ロードが、辺りを見渡しました。
「二人共、スプライトは回帰光玉を何者かにぶつけられて、グループから去ったんだ。迷惑をかけられないって言って…」
「スモーク、それ、本当か?」
「卑怯で最低な輩だな…敵討ちしてやりたいな」
カインドとロードは、険しい表情をしていました。
「ケブバガミの手下達は、古びた塔の方角に逃げたんだ。今もそこに居るはずだよ…」
「じゃあ、古びた塔に行って、手下達を懲らしめてやろうぜ!」
ロードは、鶴の一声をあげました。
「賛成だな」
「行こう!」
フロンティアウォーカー達の意見は揃いました。
「私達も行こう!」
「私も思ってました」
志那と梨々華も、フロンティアウォーカー達に付いて行く事に決めました。
「お前ら、危ないぞ?」
「カインド、私達もスプライトの仇を打ちたい」
「それに、戦力は多い方が良いのではありません?」
「…お前らが、そこまで言うのならな…足手まといになるなよ?」
カインドは、仕方無いなと思いました。
「じゃ、早速向かいましょ」

9/30/2022, 10:17:01 AM