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「私とあなたじゃ住む世界が違う 第三十九話」

「アメジストさん、それ、本当ですか…?」
シトリンは、恐る恐るアメジストに聞きました。
「本当ですよ」
「うわー、すっげー羨ましー…」
ラピスは、アメジストを睨みつけていました。
「相当恵まれた人生を歩んで来たんですね」
ローズは、軽蔑した目でアメジストを見ました。
「こんなにも絵に書いた様な人生送ってる奴、本当に居るんだな。しかも、目の前に」
アンバーは、怒りを抑えている感じでした。
「僕は、子供の頃からずっと家から出して貰えなくて、自分の部屋に軟禁状態だったんですよ。そんなに僕が大事かどうか知らないけど、好きな事なんてやらせてもらえませんでしたね」
ラピスは、自分の半生を語りました。
「俺は、家が貧しくて子供の頃から風俗の店の手伝いさせられてたな。中学卒業する頃にはバイト漬けの毎日だったし。誰かさんみたいに裕福な家に生まれれば良かったな」
アンバーは、自分の半生を語りました。
「僕は、友達一人も出来なくてイジメられる毎日だったよ。僕一人女子からモテまくるってよく分かんない理由でさ。そのせいで転校の連続だったんだ。僕だって友達に恵まれたかったな」
シトリンは、自分の半生を語りました。
「俺は、皮膚病が酷くて手術の連続だったんだ。入退院の繰り返しで勉強なんてまともに出来なかったな。同じ学年を二回繰り返した事もあった。成績が良い奴が羨ましいな」
ローズは、自分の半生を語りました。
「…皆、悲惨な人生送って来たんですね」
「アンタに言われる筋合いはねーよ」
アンバーは、アメジストを睨みつけました。
「幸せで有頂天になってる奴見ると、本当に腹が立つね」
ラピスは、憎悪の表情をしていました。
「グループに女のメンバーが居れば良かったな。そいつを取り巻いて、平和ボケしてる奴に嫌な思いさせられたのに」
シトリンは、顔に影を落としながら冗談を言いました。
「問題は、こんな奴をリーダーとして見れるかどうかだな」
ローズは、アメジストの方を見ました。

「アレから、メンバー達から嫌がらせを受ける様になりましたね。そのせいで、ミスが連発して迷惑かけ続ける羽目になって…でも、仕方ありません。親友を極地の魔の手から守る為ですから…」
アメジストは、涙を流しました。
「そんな時に、セラフィが来ましたね。何を思ってか知りませんが、その時は彼女が救いでしたから。彼女は女性らしくて、その時の俺は彼女にしか目が無い状態でした…」
アメジストは、哀愁を漂わせていました。
「セラフィが近付いて来てからは、自分が自分で無くなるかの様でした。気が付けば、既婚女性と関係を持っていました。セラフィと喧嘩になって回帰光玉をぶつけられて、一般人に戻り…現在に至る訳です」
「ただいまー!」
「おや、皆さん帰って来ましたね」
アメジストは、雑用に戻りました。
「所詮、あんなのは昔の話です」

10/7/2022, 10:36:51 AM