Ryu

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12/23/2024, 12:50:46 PM

さて、これが私からのプレゼントだがね、君はこれを受け取るつもりはあるのかい?
中身は何か?って、プレゼントの中身をプレゼンターに聞くのはルール違反だろう。
でもまあ、ずっと君が欲しがっていたものだよ。
それくらいは言っておく。
さて、どうする?

駅のホーム。
おかしな男に声をかけられ、足止めを食らっている。
今はそれどころじゃないってのに。
すべてを奪われた。
信じていた恋人が、信じていた友達と浮気していた。
いや、もはや浮気ではないらしい。
二人で私から逃げる計画を練っているらしい。
許せない。

プレゼントはふたつあるんだ。
君が好きな方を選ぶといい。
…そうか、確かに、中身を知らなくちゃ選ぶことも出来ないな。
じゃあ、教えよう。
ひとつは、「誰かを殺す勇気」だ。
もうひとつは、「自分を殺す勇気」。
さあ、どっちにする?

彼は何を言っているのだろう?
どちらの勇気も、私はすでに持っている。
目の前で、私に気付かず幸せそうに話す二人。
もうすぐホームには電車がやって来る。
誰にも邪魔されたくない。
そんなプレゼントはいらないから、私の前から消え去って欲しい。

そうか。実は、有料なんだが、「二人を許す勇気」なんてのもあるんだが…まあ、買わんだろうね。
あ、いや、何でもない。邪魔したね。
私はもう帰るけど、電車が止まると困るから、他のルートで帰ることにするよ。
どうでもいいことだがね、世界には80億の人間がいるということを忘れないでくれ。
その中で、君という人間はたった一人だということも。

…ん?この手は何?
何故私の手を掴んでいるんだい?
もうすぐ電車が来てしまうよ。
え?最後の勇気が気になる?
そうか。まだそんな心が残っているんだね。
じゃあ、これは私からのクリスマスプレゼントということで。
いやいや、私はサンタではないよ。
どっちかっていうと、サタンかな。

悪魔だって、誰かに贈り物をしたい時も、あるんだよ。

12/22/2024, 1:24:34 PM

二周目の「ゆずの香り」は何も浮かばんな。
ゆずなんて、一周目で書いた「ゆず湯」ぐらいでしかお目にかからない。
あとは、ゆずぽんとかゆず茶とか栄光の架橋とか。
すべて、原型を留めないものばかり。
まあでも、香りと言うならゆずぽんやゆず茶だって…これで何かを書けるとは思わないが。

とゆー訳で、栄光の架橋。
素晴らしい歌だ。
ただ、改めて歌詞を見てみると、非常にベタな応援ソング。
こんなにどストレートで、背中を押してくれる歌も、最近は少ないんじゃないだろうか。
とゆーか、最近の歌には、じっくり読んでも意味が理解できない歌詞が多々あるような気がする。

背中を押してくれる歌といえば、ケツメイシ。
こちらはラップが入るので、歌詞の内容も盛り沢山だ。
心に響いたり、心から笑ったり。
時にまっすぐ過ぎて、素直に受け入れられないこともあるが、心が弱っていたり何かに悩んでいる時、優しく勇気づけてくれる。
おっさんがおっさん達に励まされ、明日を生きる勇気をもらえてるなんて、なんて素晴らしい世界なんだろう。

うん、ゆずから遠ざかったな。
やっぱり二周目は無理だった。
まあいいや、二周目だからこそ、気負わずにいこう。
体裁なんか気にせず、好きなように書こう。
書きたいことは、まだまだたくさんあるはずだ。
こんなことに言っていいのか分からないけど、もう、次のお題も分かってる。
これは、二年目の強みってやつだな。
併せて、文才も向上してくれればいいんだけど。

12/21/2024, 11:25:10 AM

大空を、青や赤や黒に塗り替える。
ダイナミックでやりがいのある仕事だ。
でも、ジレンマは、この季節の青が一番好きな色なのに、その色でいる時間が短いこと。
すぐに赤くなり、黒くなってしまう。

澄み渡る青。
これを私は、空色と呼びたい。
大空いっぱいに、一番大きな刷毛で塗りつぶしたい。
豪快に、余すところなく。
幸せに色を付けるとしたら、きっとこんな色なんじゃないだろうか。

12/20/2024, 1:47:28 PM

最終列車のベルの音。
今年ももうすぐ終わる。
この列車に乗り遅れてしまったら、年を越えて新しい一年に出会うことが出来ない。

ベンチに一人座る男。
最終が行ってしまいますよ、と声をかけるが、その場を動かない。
うつむいて、何かを口ずさんでいるようだ。

そっと男の顔を覗き込むと、穏やかな笑顔で、クリスマスソングを歌っていた。
「年を越えることは、難しいのですね」
彼は歌いながら、コクリと頷いた。

列車のドアが閉まり、ゆっくりと動き出した。
男は顔を上げ、列車の窓を凝視する。
いつしか歌うことをやめ、その目には涙を浮かべていた。
そして、窓の向こうに妻と娘の姿を認め、彼は泣き笑いの表情で、二人に手を振った。

「クリスマスは、楽しかったですか」
答える代わりに、男はまたクリスマスソングを口ずさむ。
「それなら、素敵な人生だったじゃないですか」
彼は頷き、私に右手を差し出した。

私はその手を取り、彼をゆっくりと立ち上がらせた。
そのまま、改札へと向かう。
駅構内のスピーカーから、ベートーヴェンの「交響曲第9番ニ短調作品125」が流れてくる。

「第九」、駅長の趣味だったな。
昭和の名残りは、この駅にも根強く残っている。
私達が変えていくか、これからも守り続けるか。
振り返ると、男が目を細め、曲に聴き入っているのを見て、まあしばらくこれでいいか、と心に思った。

改札の向こうで、二人の老夫婦が待っている。
男の両親だろうか。
彼は二人の姿を認めると、一瞬目を丸くして、その後すぐに満面の笑顔となった。
この瞬間が、この仕事の醍醐味だ。

男は老夫婦と再会を喜び合い、私に礼を言うと、三人肩を並べて駅を離れてゆく。
その背中に、「第九」のメロディは妙にマッチしていた。
駅長の趣味も、なかなか悪くない。

ホームに戻ると、すでに最終列車は走り去っていた。
次の停車駅は「令和7年」駅。
今私がいるこの駅は消え去り、人々は新しい駅で降りて、新しい一年を始める。
来年も、イイ年でありますように。

12/20/2024, 3:07:13 AM

もうすぐ、書き続けて一年。
ここまで来たことに、達成感とともに一抹の寂しさを感じる。
私は相変わらずの病院通い。
確か、一年前のあの日も、病院帰りの電車の中で、最初の一本を書いた。
私の計算が確かなら、明日のお題は、一年前のそれと同じはず。

時は過ぎる。
またひとつ、年を取る。
自分は何も変わっていないつもりでも、明らかにあの頃と今では、一年もの隔たりがある訳だ。
これをあと何年、過ごしてゆくことが出来るのだろう。
たとえば、30年後の自分。
腰の曲がったおじいさんか?
病院通いは今以上に増えるのか?
そもそも、この世界に存在してるのか?

生きるもの、誰もが辿る道。
生まれ、育ち、老いて、消えてゆく。
その過程で、何かに挑戦し達成できるなら、この時間も無駄じゃなかったことになる。
大したことじゃなくても、自分がそれで満足できているのなら。
たとえば、一年間、日々何かしらの文章を書き上げるとか。
もうすぐ、達成できる。

達成とともにある、寂しさ。
それはきっと、達成したら終わってしまうから、なのかもしれない。
永遠に続くものなどこの世にないけれど、自分が死ぬまで続けたら、自分にとってそれは永遠だ。
だけど、永遠に続けたら、それは最後まで達成できずに終わることになる。
どちらを選ぶのか。

うん。達成して、次へ進もう。
ほんの少しでもいいから、変わってゆく自分を誇りにして、また新しい挑戦を続けよう。

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