さて、これが私からのプレゼントだがね、君はこれを受け取るつもりはあるのかい?
中身は何か?って、プレゼントの中身をプレゼンターに聞くのはルール違反だろう。
でもまあ、ずっと君が欲しがっていたものだよ。
それくらいは言っておく。
さて、どうする?
駅のホーム。
おかしな男に声をかけられ、足止めを食らっている。
今はそれどころじゃないってのに。
すべてを奪われた。
信じていた恋人が、信じていた友達と浮気していた。
いや、もはや浮気ではないらしい。
二人で私から逃げる計画を練っているらしい。
許せない。
プレゼントはふたつあるんだ。
君が好きな方を選ぶといい。
…そうか、確かに、中身を知らなくちゃ選ぶことも出来ないな。
じゃあ、教えよう。
ひとつは、「誰かを殺す勇気」だ。
もうひとつは、「自分を殺す勇気」。
さあ、どっちにする?
彼は何を言っているのだろう?
どちらの勇気も、私はすでに持っている。
目の前で、私に気付かず幸せそうに話す二人。
もうすぐホームには電車がやって来る。
誰にも邪魔されたくない。
そんなプレゼントはいらないから、私の前から消え去って欲しい。
そうか。実は、有料なんだが、「二人を許す勇気」なんてのもあるんだが…まあ、買わんだろうね。
あ、いや、何でもない。邪魔したね。
私はもう帰るけど、電車が止まると困るから、他のルートで帰ることにするよ。
どうでもいいことだがね、世界には80億の人間がいるということを忘れないでくれ。
その中で、君という人間はたった一人だということも。
…ん?この手は何?
何故私の手を掴んでいるんだい?
もうすぐ電車が来てしまうよ。
え?最後の勇気が気になる?
そうか。まだそんな心が残っているんだね。
じゃあ、これは私からのクリスマスプレゼントということで。
いやいや、私はサンタではないよ。
どっちかっていうと、サタンかな。
悪魔だって、誰かに贈り物をしたい時も、あるんだよ。
12/23/2024, 12:50:46 PM