Ryu

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9/16/2024, 2:23:35 PM

「空が泣く」か。
なんか好きな言葉だな。
空を擬人化するのは壮大な試みな気がする。
空が泣いたら街は雨降りなのだろうか。
それとも、泣き声を轟かせて雷かな。
さめざめと泣いたら梅雨の季節を思うし、人知れず泣くのなら、深夜にしんしんと降り積もる雪のように。
夏になれば、まるで号泣のように荒れ狂う台風がやって来る。
悲しみが去れば、温帯低気圧となって、嵐過ぎ去りし後の穏やかさを取り戻す。
空って感情豊かだな。

だけど、本当に空が泣くようなことがあれば、それは地球の一大事なのかもしれない。
いつだってちっぽけな私達を包みこんで、どこまでも青く広がる大空が泣き出すような事態は、何か取り返しのつかない惨事を引き起こすんじゃないだろうか。
泣くのは悲しいからだと思うし、あんなに大きな存在の悲しみたるや、それこそ地球規模な気がする。
いや、具体的にどうなるのかは想像できないが、例えば、悔し涙が塩辛くなるように、空が機嫌を損ねて酸っぱい酸性雨なんかを世界中に降らし続けたら、これは怖いことになる。
「ACIDE」みたいに。

観てもいないので番宣をするつもりはないが、なんか世界的にエライことが起きる映画らしい。
こんなのは勘弁して欲しいな。

大空よ、泣かないで。
元気出して。明日はまたイイことがあるよ、きっと。
会社帰りの歩道で空を見上げ、少しオレンジが残る吸い込まれそうな空間に想いを投げる。
「空が泣く」…か。
夜が来て、この空に星が瞬けば、それはまたキラリと光る涙のように、なんだかカッコイイ演出となるだろう。
空って役者だな。
泣きの演技が上手い役者は売れるって、誰か言ってなかったっけ。
脈絡も筋もなく、突然号泣が始まるゲリラ豪雨なんかはやめて欲しいけど。

あ、脈絡も筋もないのはこの文章だった。
まとまらないので、無理矢理の俳句でシメ。
「空が泣く それは私の 涙雨」

9/15/2024, 12:27:24 PM

君からの LINE は、泣き言ばかり。
やれ、友達に約束をすっぽかされただの、やれ、母親から仕送りを増やしてくれと脅されただの、やれ、腕にペイントのあるオッサンに肩が触れただけで慰謝料請求されただの。
読んでるこっちの気が滅入るような出来事のオンパレード。
なんでわざわざ、逐一報告してくれるのか。
君の人生は君が立て直すしかないんだよ。

SNS の普及により、戯言を伝えやすくなった。
だからどーした?それ今いる?なメッセージが、虚空を飛び交っている。
それはより普段の会話に近く、気さくでテキトーなやり取りだ。
だからこそ、君の泣き言がすべて僕のもとに届く。
ズラズラと並べられた弱音がスマホの画面を埋めて、この呪われた端末を放り投げたくなる。

ちゃんと会って話せたらな。
無機質な文字でなく、温度を感じる言葉で伝えてくれたら、泣き言を言いながらも頑張っている君の姿が見えてくる。
君の人生は君が立て直すしかないから、面と向かって余計なことは言わないけど、後で君が帰ったら、LINE で僕からのアドバイスを送っておくよ。
直接言うのは何だか気恥ずかしいし、心に残る名言は文字として記録しときたいだろ、なんてね。

こーゆー時の LINE の使い道はさ、弱音や泣き言を送るんじゃなくて、ただ「会いたい」や「会おうよ」でいいんじゃないかな。
そりゃこっちの都合もあるけど、救いたいと思える友達からのメッセージなら、その一言ですべて伝わるよ。
君が本当に頑張っていることが。
だけど挫けそうになっていることが。
僕の助けを必要としてくれていることが。

君からの LINE。
「昨夜はありがとう」
そんな他愛ない言葉はわざわざ送らなくてもいいって。
…でも、大切に受け取っておくよ。
僕が君の力になれたことの証だから。
ちゃんとスクショして、鍵付けて保存して。
たまにそっと取り出して、君と僕がこの「線」でつながっていることを感じて、安心するんだ。

9/14/2024, 12:45:21 PM

命が燃え尽きるまで、あと 37 分。
さて、どーしよう。
美味しいものを食べに行く時間はないな。
作る時間としても微妙だ。
それなら、推しの動画でも見まくるか?
いや、それは未練が強くなって葛藤を生むだけかも。
穏やかに終りを迎えるための 36 分にしたい。

大好きな飼い猫と戯れるか?
穏やかではいられそうだが、飼い主無き後のこの子達を思うと、そこに不安が芽生えそうな気がする。
このまま、触れ合わずにサヨナラした方がお互いのためかも。
…とか言って、5 分ほど撫でまくってしまった。
残り 31 分。

ゲームは 30 分じゃ短いし、映画もエンディングまで観られない。
YouTube 動画でもつまむか?
それはそれであまりに生産性のない…まもなく消えるのに生産性って。
友達に電話する? 落ち着いて話が出来るだろうか。
昔話に花なんか咲いちゃったら、別れが辛くなりそーな。
別れずに済むならそれもいいけど。

でも、あと 22 分で俺の命は終わる。
これだけは確実。命が燃え尽きて生きていられる訳がない。
…待てよ?本当にそうか?
命が燃え尽きるのと、命を失うことは同義なのか?
何かに打ち込んで、一生懸命生きることも、命を燃やすって言うよな。
煉獄さんも「命を燃やせ」って教えてくれた。
…いやでも、燃やし尽くしたら、命を失うことと同義だよな、きっと。

とか考えてたら、残り 15 分。
15 分で出来ること…遺書でも書き残そうか。
好きなことたくさん書いて、あのアプリに投稿したら、皆が読んでくれるだろうか。
でもきっと、単なるフィクションだと思われるだろうな。
自分がこんなに切羽詰まっていることを、伝えられないまま終わるだろう。
…いや、それでもいい。書こう。
思いの丈をぶちまけよう。

書き続けて、タイムリミットを迎えた。
19:00。
お題は「命が燃え尽きるまで」
燃え尽きるまでの 37 分を描いてみた。テキトーに。

…あ、いや、別に、今日も明日も元気な私ですが。

9/13/2024, 1:44:39 PM

深夜、配車アプリで職場にタクシーを呼んだ。
ものの数分で到着したタクシーのドアを開け乗り込む。
「どちらまで?」
運転手がバックミラー越しに訊いてきた。
「そうだな。あなたが東京で一番好きな場所へ連れて行ってくれないか?」
「…はい?」
「あるだろ?お気に入りの場所。そこへ行ってくれ」
「いや、でも…こんな時間じゃどこもやってませんよ」
「閉店があるようなお店とかじゃなくてさ、この時間でもいつものように過ごせるところ、ない?」
「そりゃないことはないですが…ホントにいいんですか?」
「ああ、向かってくれ」

到着したのは、青山墓地だった。
「ここが…お気に入り?」
「ええ、夜は特に人気がないんでね。車を止めて休憩するにはもってこいなんですよ」
「へえー、タクシー運転手ならでは、か」
「いや、他にも、好んで来てる人はいるみたいですよ。ほら、この緑に囲まれた暗がりの中の墓地と、その向こうに見える高層ビルの明かり。この不思議な調和が何だか心地良くてね」
「なるほど。永遠の眠りにつく場所と、眠らない街が連なっている訳だ。なのにぶつからず、調和し合っている」
「ええ、悪くないでしょ、夜のこんな場所も」
「うん。もう少し、あの遠くのビルで頑張ってみようかと思うよ」
「それは良かった。まだ若いんですから、この暗がりに埋もれちゃいけない。いずれ、落ち着ける日は必ず来るんですから」
そう言うと、運転手は私を見て微笑んだ。

職場で大きなミスをやらかして、もうここにはいられないと思った。
逃げ出したくて、すべてを投げ出してタクシーを呼んだ。
そのまま車を走らせて、終わらせる場所を探そうと思った。
運転手のお気に入りの場所を訪れてからにしようと思ったのは、単なる気まぐれだった。

「あ、ここでいいよ。家、すぐそこなんで」
お金を払い、車から出ようとした時、運転手が私の方を振り返って、言った。

「お客さん、もうすぐ夜明けですよ」

9/12/2024, 12:54:55 PM

本気の恋なんて、執着と変わらないんじゃないかと思う。
聞こえはいいけど、相手があることにのめり込むのは、必ず危うさを生む。
だって相手の気持ちはコントロール出来ないんだから、一方的に切られたらどーする? いや、どーなる?
次の日からスパッと忘れられるのか?
忘れられるとしたら、それは本気の恋だったのか?

じゃあ、偽りの恋をするしかないのか、なんて元も子もないことを言うつもりはないし、遊びの恋なんて、それこそ相手があることならもってのほかだ。
なので、恋は楽しく、カジュアルな気持ちでするもんじゃないかなと、おじさんは思うんよ。
趣味を楽しむように、一生懸命だけど楽しんで、辛くて仕方ないならいつでもやめちゃって、とはいえその場合はちゃんと相手と話し合って、こじれるようなら第三者にも入ってもらって、そんな感じで波乗りするみたいにやっていけたらいいんじゃないのかなって。

男と女が本気になり過ぎるとモメるって、映画やドラマの見過ぎだろうか。
ほとんどの犯罪は、お金や恋愛沙汰が原因となるような…いや、他に思いつかん。
だから、何事も真剣に真面目に取り組むのは良しとして、本気過ぎるのはあんまり良くないかな、と。
少しトーンダウンしたけど、考えてみれば、恋路は人それぞれで、邪魔する奴は馬に蹴られて死んじゃうかもしれないから、どーこー言うのはこれくらいにしとこう。

本気の度合いだって人それぞれだから、行き過ぎて執着にならなければ、そんな恋愛もイイ思い出になるんだろうな。
だけどひとつだけ、今だから言えることは、結婚して子供が出来て家族になって、そうこうするうちにそんな感情は間違いなく変化していくってこと。
変化しなきゃ人の子の親になれない。
夫婦の仲が良いのは素晴らしいことだけど、それはもはや本気の恋であっちゃいけない状況だろうと。

…まあ、余計なお世話ですね。
ホント、人の恋路に口出ししちゃいけないな。
だけどせめて、自分の娘にくらいは共感してもらいたいもんだ。
一番、反感を持たれるお年頃ではあるが、ここでコジらせると、父親がフォローしきれない修羅場を迎えるかもしれないしな。
…いや、まあ、余計なお世話ですね。

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