「こっちに恋」「愛にきて」
合わせて「恋愛」なのに、かなり自己中な二人。
こりゃうまくいかんよね。
お互いがお互いの主張ばっか通してちゃ。
たまには、
「自転車恋で、今すぐ君に愛に行くよ」
ぐらいの行動で想いを伝えなきゃ。
ダジャレ。
何となく恥ずかしい。
オヤジギャグくらい恥ずかしい。
まあ、よう言わんが。
ところで、気付けば超短編な物語をいくつも書いてきた。
良し悪しは別として、自分の中にこんな発想があったとは、と驚かされることもしばしば。。
書いてみないと気付かなかったことでもある。
書くことが楽しいと気付いたのも書いてみたからで、人間、ともかくやってみることは大事なんだなと改めて思った。
そのうち、自分が書いた作品をひとつにまとめて、自分だけの作品集なんかを作ってみたい。
もちろん、自己満足のために。
まさにそれは、書く習慣が身に付いたなってこと。
今回のような若干苦手なお題にも、何とか対応しようとする姿勢。
もはや、生活の一部になってる。
だから、苦手なことにも挑戦してみよう。
「こっちに恋」
「愛にきて」
「そろそろ僕達二人、終わりかもし恋愛ね」
…ダメだ。一時間考えてこんなんしか…苦手は苦手として、静かにしまっとこう。
めぐりあい宇宙。
知ってる人は、ここにどれくらいいるんだろう。
案外知られてるのかな。
もう、40年も前の作品だけど。
宇宙と書いて「そら」と読む。
機動戦士ガンダム三部作の最終章。
それの、サブタイトルっていうのかな。
おじさんにとっては青春そのもの。
40年経った今でも色褪せない名作だ。
最近、GQuuuuuuXが始まったから、また人気が再燃していることもあって、娘達までファーストガンダムに興味を持っている。
こんな作品が他にあるかな。
親子でガンダムを語れるとは思わなかった。しかも父娘で。
サザエさんやドラえもんも長いけど、家族で語る内容でもないしな。
ガンダムで描かれているのは、戦争。
しかも、若者が巻き込まれ、多くの人達が死んでゆく。
きっと自分は、あの作品を見て、初めて戦争の恐ろしさや理不尽さに触れたんだと思う。
カッコいいモビルスーツにワクワクしながらも、その戦いの中で散ってゆく戦士達の姿がリアルに描かれていたから。
日本が誇るジャパニメーション。
これからもどんどん新しい作品が作られ、発展してゆくのだろう。
その礎となり、これからもずっと語り継がれてゆく作品を、リアルタイムで見られたことに喜びを感じる。
そう思えば、年を取ることもそう悪くない。
たくさんの名作との巡り逢い。
もっともっと、新しい世代の人達とも分かち合いたい。
退院の日。
長い入院生活を終えて、やっと家に帰れる。
ずっとこの日を待っていた。
辛い治療や手術にも耐えて。
病室のベッドの上からほぼ動けずに、この病院から一歩も外に出ずに。
毎日同じ天井を眺めながら過ごした。
そんな日々もやっと終わる。
家族が皆で迎えに来てくれた。
コロナの影響で見舞いも許されず、しばらく会えなかった子供達も来てくれた。
やっと会えた。
涙がこぼれそうになる。
お父さん、頑張ったんだよ。
お前達にまた会うために、辛い入院生活を乗り越えたんだ。
待っててくれて、ありがとう。
もう、自由だからね。
さあ、これからどこへ行こう。
どこへだって行けるんだ。
だって、こんなに身も心も軽くなって。
…いや、体は別か。あんなところにある。
出来ることなら、元気になって退院したかったな。
皆の笑顔に迎えられて、会えない時間に起きたことを話して。
それすらも出来ない。
こうして、少し高いところから見下ろしているだけ。
皆を、そして、自分を。
人類が大きな愛を持てば、きっとこの地球を楽園に変えていくことが出来る。
あなたは信じますか?
安っぽい精神論。
夢物語。
その愛が、その愛の対象を守るために、他人を傷付けるかもしれない。
例えば、愛国心。
愛すべき我が国のために、命を懸ける兵士達。
例えば、略奪愛。
心奪われた女性のために、犯罪にすら手を染める。
愛は本当に美しいものなのだろうか。
人を惑わせ、争わせ、世界を衰退させるものである可能性は?
ならば、もっと大きな愛を持て。
敵国の兵士までも愛すほどに。
見も知らぬ他人への思いやりで溢れるほどに。
世界を、自分の見える範囲で線引きしてはいけない。
どこまでも広がってゆく、大きな愛を持て。
それは Big Love. 地球規模の愛情。
しかし、これも夢物語でしかなく、世界に蔓延するのは憎しみの類い。
国と国が争い、国の中で争い、職場で争い、学校で争い、家族で争う。
争わなければ、欲しいものが手に入らないから。
争わなければ、相手に奪われてしまうから。
時には、争いに打ち勝って手に入れたものが、本当の幸せに繋がる場合だってある。
ならば、どう生きる。
答えはひとつだろう。
自分を愛せばいい。
愛せる自分でいればいい。
他人を思いやる自分が好きなら、とことん他人に尽くす自分でいればいい。
そして、他人も自分を愛していることを尊重しよう。
そこには干渉せずに。お互いに。
大いなる愛を自分に。
植物への水やりのように毎日注ぎ込んで。
それはきっと成長して、自分が目を向けるすべてのことに、愛情を持って接するようになる。
それが Big Love. 自分史上最大の愛情。
お昼に食べたラーメン屋で、店の外に出た後、お釣りが多いことに気付いた。
どうやら店員が、千円札と一万円札を間違えたらしい。
かなり多く受け取ったことになる。
さて、どうする?
店に戻って事情を説明し、会計をやり直してもらうのが一番イイのは分かっている。
お店にとって、そして、僕の良心にとっても。
だが、そこで顔を出すのが、僕の中の悪魔のささやきだ。
「こんなもん、店員も気付いちゃいないんだよ。お前に非はないんだから、このまま気付かないフリで帰っちまえばいい。その金で、もっと美味いもんでも食いなよ」
悪魔が出れば天使も、と思うが、天使の立場は僕そのもののようで、「いや、でも…」程度の反論しか出来ない。
悪魔は続ける。
「いいか、世の中にはさ、詐欺師とか転売ヤーとか、他人の迷惑や損失なんかお構い無しで身勝手に振る舞う奴らがたくさんいるんだ。それに比べたら、お前がここでネコババするのなんか、大したこっちゃない」
「悪いことは悪いことだよ。気が付かなかったんならともかく、気付いちゃったんだから…」
「気付かないフリなんて簡単じゃないか。誰が見破れる?このまま歩いて駅に向かうんだ。そして電車に乗ってしまえば、あとはもう悩むこともない。この店には二度と来なくたっていいじゃないか」
僕は、ゆっくりと歩き出した。
駅に向かって。
頭の中で、このお金で何を買おう、なんてことを考えながら。
その時、
「…でもな、よーく考えてみると、そんなことしたら、寝覚めが悪くなるのは自分なんだよな。気にせずに平気でいられるキャラならともかく、お前はそんな奴じゃない。どうせ電車に乗った後も、くよくよ悩むんだろうな。俺はお前だからさ、それはそれで勘弁して欲しいんだよな」
悪魔が言う。
もはや、ささやきというよりボヤきに近かった。
「そんなお金ネコババしたって、どうせ罪悪感で気持ち良く使えないんだろうし、別にお金に困ってる訳でもないし。お金を返してお店の人に感謝される方が、寝付きも良くなって俺も救われるんだろうな」
足が止まった。
もう、駅前だ。
ここまで来てしまったら、たとえ間違いに気付いても、もう店員さんも追いかけてはこないだろう。
だけど…。
「僕に、どうしろっていうんだよ」
「知らんよ。好きにしたらいい。俺に、イヤな役回りばっか押し付けんなよ。俺だってお前なんだから」
僕は踵を返し、ゆっくりと今来た道を戻り始めた。
「そもそもさ、お前の中に、悪魔なんていないじゃん。俺のささやきなんて、お前にとっちゃ『好奇心』みたいなもんなんだろ?」
長い葛藤が終わった。
いや、単なる一人芝居か。
いずれにせよ、駅までの道のりと、店へと戻る道のりの心の軽さの違いといったら、そりゃ悪魔もオススメしたくなるよなってほどだった。
…そりゃまあ、心の片隅に、
「せっかくあれが買えたのにな…」みたいな気持ちがあったのも事実だが。