いしか

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9/26/2023, 11:02:34 AM

秋🍁
君からのライン。
ただそれだけ。

けれど、何だがとても愛おしくて思うのは、
僕がきっと、君の事が好きだからだ。

「昨日の、ライン。何であれだけ?」
「うん?感じたから、教えたの!秋🍁って」
「そんなのいちいち教えなくて良いよ。
ちゃんと分かってるから」
「えー、…………わかった」

君は、僕が君の事を好きだと知らない。
知られないように、僕がしているから。

だけど……………

「いつまでも、友達は、嫌だな………」
「えっ?なあに?」
「うん。何て言ったと思う?」
「良く聞こえなかったから私が聞いてるの!」

「いつまでも、友達は嫌だって言った」
「……………………えっ」

彼女の顔が急激に赤くなったのを、僕は見逃さなかった。

「好きだから。いつまでも友達は嫌だっていってんのっ!」

うわっ、僕も顔が熱くなってきた。

「えっ。う、嘘………」

「好き。
好きだよ。でも、また返事はしなくていい」

本当は今すぐにでも返事が聞きたい。だけど
それは、ずるいような気がした。
なんでか、わからないけれど。

「わ、私、私が教えたいって思ったことを直に教えるのは、私だって、好きだからだよ」

「…!いま、何て?」

「私も、好きだっていったのー!!」

向かい合った、僕と君。きっとお互いの顔は真っ赤だったに違いない。

でも、恋が実った。そんな、秋の訪れだった。

9/25/2023, 12:01:56 PM

窓から見える景色。
何も変わらない。
唯一違うのは、私の他にもう一人、私と同じ景色を見る人物が増えた事だ。

「おはよー。傑(すぐる)起きて、もう起きないと遅刻するよっ」
「うーーーん。あと5分……………」

傑の寝起きはとても悪い。
付き合って初めて朝を迎えたときにそれは判明した。そのお陰で、私は結局仕事を遅刻する羽目になった。それも初めて。

「もう、知らないからねっ!私、先に準備始めるよっ!」
そう言って洗面所に行こうとしたら、傑に腕を引っ張られる。

「!!」
「こと菜も、まだねてよ?」
寝ぼけてことを言っている傑。私は負けじと
「寝ない!ちこくするも……………つ」
言い終わる前に、次は口を塞がれた。
クソー、負けた。
それに、朝イチだぞー。

「もうっ、寝ぼけてないで早く起きてっ!」
「こと菜」
「なにっ!」


「………好き」
「…………!!」

不意に言われた言葉に私は思考停止。
こういう所が狡くて、可愛い。

「私だって、好きだよ」
お返しのつもりで言い返した。それを知ってか知らずか、えへへへ、と傑は寝ぼけ眼(まなこ)で笑う。

「好きだからっ、早く起きてー!!」
私は体をジタバタするものの、傑の力は強い。クソッ、男がっ!!

結局、傑のせいでこの日も遅刻する事になるのだが、何だが怒れない私。

傑はきっと気づいてない。
貴方の言う、好きが、どれ程の力を持っているのか。
そして、その好きという言葉に、私がどれ程絆(ほだ)されているのか、傑は知らない。

9/23/2023, 12:23:45 PM

ジャングルジムでよく遊んでいた幼馴染。
けれど、中学生から高校生に成長していくにつれ、何となく気まずくなっていくのが大多数なのかもしれないけれど、私達はそんな事ない。

そんな幼馴染と今日は一緒に勉強をする事になった。

「かなえー、のみモン何にするー?」
「私、オレンジジュースがいいっ!」
「はーい。わかったー」

何時もの勉強する時の会話だ。私は今、幼馴染こと、佑(たすく)のお家にお邪魔して、畳の部屋で勉強をしようとしている。
二人の学力は同じくらいだけれど、佑の方が、少し頭が良い。

「はい。オレンジジュース」
「ありがとう」

飲み物を受け取り、勉強開始。暫くはモクモクと勉強していたけれど、何だが疲れてきて、少し休憩する事になった。

「ねえ、佑ー」
「うん?何?」
「私達って、珍しいのかなー」
「何で?珍しいって何さ」
私は幼馴染同士でも、思春期に入ると気まずくなってくるのではないかと、佑に話した。
すると、

「………俺は、気まずくなりそうだったよ」
「えっ!?」
「かなえに、何話していいか、何を話せばいいか、急に分かんなくなって、どうしようって思ってた」

まさかの事実だ。佑がそんな事を思っていたなんて。

「けど、かなえは変わらず、普通に俺と会話してきて、全然ぎこちなさとかなくて、それにとっても救われた」

「かなえがあーやって変わらずに話しかけてきたくれたら、俺は今も、こうしてかなえと話してられるんだ」

私は、佑にこんなことを言って貰える様な事をしたのだろうか?
確かに、私だって、佑と何を話したら良いか分からなくなりそうだった。
でも、佑とこのまま気まずくなるのは嫌で、とにかく自分の話をしていただけ。
それが、良かったなんて。

「………良かった。私、頑張って」
「うん?なんて?」
「ううん!何でもない」

私と佑。
幼馴染の私達。
これからも、仲良くしていきたい。

大切な人だから。

9/22/2023, 10:46:00 PM

声が聞こえる。誰の?
私には、誰の声も聞こえない。聞きたくないから聞かないんじゃなくて、本当に私の耳は聞こえない。
生まれた頃は聞こえていたけれど、今はもう聞こえなくなってしまった。
そんな私は、中途失聴者というのだろうか。
耳は聞こえないけれど、それ以外は、他の人と何も変わらない。

トントン。
私の肩を叩いた人。
「おはよう。待った?」
口をはっきり動かして、手話を使って話しかける彼。
私の為に手話を覚えて、私の世界を感じてくれようとする人。
でも、私の世界は、彼の見ている景色と何も変わらない。変わらないの。

「おはよう、待ってないよ」
私は普通に声を出して会話する。
中には声を出さず、手話だけで会話する人もいるけれど、私は意地でも声を出す。
間違えていようが関係ない。
もし間違ってしまっても、優しく正してくれる人としか付き合っていないと思ってる。
強がりで意地張りな私のくだらないプライド。

それに、彼は気づいていない。
彼は、私の為に手話を覚えてくれたけれど、
私は口の動きで会話はわかる。
百発百中なの。
でも、彼には秘密。

彼の手の動き、綺麗な指先、大きい手のひら
ごつごつと骨ばっていて、血管の浮き出てる手。
その全てが好きで、そんな好きな手を使って手話をしている彼が好き。

だから、もう少し秘密にするの。

私ったら、性格悪いね。

9/22/2023, 1:46:48 AM

秋恋、誰の言葉か。
どんな意味なのか、私には分からない。

夏に比べれば肌寒くなってきた秋の夜長。
私は仕事帰りにコンビニ酔って缶ビールを買った帰り道。
秋の寒暖の差に、木々たちは反応し、新緑だった葉を一気に紅く染め、色鮮やかな葉へと姿を変えていく。

「自然は偉いね。ちゃんと変化を感じていて、それに適応して生きているんだから」

なんか、らしくないことを言いながら、歩みを進めていく。
すると……、


「あ、亜由美さんっ!今帰りですか?」

私の良く通う居酒屋の子が話しかけてきた。

「瑶(よう)君、今日出勤日なんだ」
「はい、俺、もう正社員ですからねっ」
「はいはい。凄い凄い」
「亜由美さんは?今日は飲んでいかれます?」
「今日は家飲み」
そういうと、私はコンビニの袋を見せた。

「なーんだ。残念」
「明日は寄らせてもらうから」
「本当ですかっ!約束ですからね」
「はいはい。必ず来ます」

そんな他愛のない話をしていた時、居酒屋の中から早く戻ってこーい、と瑶君を呼ぶ声

「それじゃあ、俺戻ります」
「うん。頑張ってね」
「亜由美さん。お疲れ様でした」


何気ない会話。
これが何かに変わるかと言われれば、それは知らない。
けれど、そんな秋の帰り道だった。

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