秋恋、誰の言葉か。
どんな意味なのか、私には分からない。
夏に比べれば肌寒くなってきた秋の夜長。
私は仕事帰りにコンビニ酔って缶ビールを買った帰り道。
秋の寒暖の差に、木々たちは反応し、新緑だった葉を一気に紅く染め、色鮮やかな葉へと姿を変えていく。
「自然は偉いね。ちゃんと変化を感じていて、それに適応して生きているんだから」
なんか、らしくないことを言いながら、歩みを進めていく。
すると……、
「あ、亜由美さんっ!今帰りですか?」
私の良く通う居酒屋の子が話しかけてきた。
「瑶(よう)君、今日出勤日なんだ」
「はい、俺、もう正社員ですからねっ」
「はいはい。凄い凄い」
「亜由美さんは?今日は飲んでいかれます?」
「今日は家飲み」
そういうと、私はコンビニの袋を見せた。
「なーんだ。残念」
「明日は寄らせてもらうから」
「本当ですかっ!約束ですからね」
「はいはい。必ず来ます」
そんな他愛のない話をしていた時、居酒屋の中から早く戻ってこーい、と瑶君を呼ぶ声
「それじゃあ、俺戻ります」
「うん。頑張ってね」
「亜由美さん。お疲れ様でした」
何気ない会話。
これが何かに変わるかと言われれば、それは知らない。
けれど、そんな秋の帰り道だった。
9/22/2023, 1:46:48 AM