「七色のともだち」 黒編 作 余白
※前回出した「七色のともだち」瀬川編とは違う世界線の、けれど同じ構成で描かれた色違い作品
「七瀬、帰ろう」
振り返った彼女の髪が揺れる、その黒黒とした艶に僕は見惚れている。
「うん、帰ろう」
幼馴染、それ以上でも以下でもない関係性。
変わることのない関係性。
誰も踏み込むことのない関係性。
決してその先には行けない関係性。
恋人になりたいなんて望みはしない、だけど七瀬に恋人ができません様にと心の底から願っている。
七瀬の幸せを純粋に願えない僕は、本当の意味で彼女を愛せてはいないのだろう。詰まるところ、彼女を好きでいる自分自身の方が、よっぽど好きに違いないのだ。
「溶けてるね」
水色のアイスバーを頬張る彼女が言う。僕は彼女の頬に垂れたソーダ味の水滴を見つめていた。僕の手元にある白色のアイスバーは、どうやらドロドロに溶けているらしかった。
どうでもいい。彼女が僕を好きになります様に、彼女が僕を好きになります様に、彼女が僕を好きになります様に。付き合う事を望まないなんて、嘘だ。彼女が僕に抱きついて愛を囁けばいいのに、彼女が僕だけのものになればいいのに。素知らぬ顔でそう望んでいる僕は卑怯で、その心地の悪い罪悪感を持ちながら七瀬の隣平然と歩く。幼馴染の皮を被った化け物である。
「そういえば洸くんがね、私の肖像画を描きたいんだって。それを、次の絵画のコンクールに出展してもいいかって聞かれたんだよね」
眉間に皺が寄る。この世で最も不快な言葉は彼女が口にする「洸くん」である。
彼女の一番は僕なのに、一番近い友達は僕なのに、一番近くにいたのは僕なのに。それでも天邪鬼の僕は微笑みながらありもしない余裕を見せる。
「いいね、きっと素敵に描いてくれるよ」
七瀬は僕の言葉を無視して、アイスの棒を舐め始める。ドロドロに溶けた僕の白色のアイスバーはもはや食べるところがなくなっていた。彼女の呼ぶ「洸くん」を思い出し何度もイラつく。バキッと音を立てて右手にあったか細いアイス棒が折れた。
「機嫌、悪いの?」
もう味がしないであろうアイス棒を咥えながら、七瀬が僕を覗き込む。僕は少しだけ微笑んで、彼女を無視して歩くスピードを少し早めた。
「七瀬帰ろう」
振り返った彼女の髪が揺れる、それだけで彼女をまた好きになる。
僕は彼女の幼馴染である。
「うん、帰ろう」
隣で七瀬が体操服を忘れた話をしている。「どうでもいい、」というと「それで〜」と被せてくる彼女は子供みたいに笑っている。口の端だけをきゅっとあげて笑うその表情は、子供がいたずらをする時のそれに似ている。本当におかしな奴。僕はまた、彼女を好きになる。
コンビニでアイスを買いたいと言うと、ふーんいいよと言いながらついてくる。七瀬が「ジャンケンで買った方が奢りにしよう」と訳のわからないことを言い出したので、仕方なく付き合う。獲物を狙う猫のような目つきで構える彼女を、本当のアホなのではないか?と思った。七瀬ほど楽しげにジャンケンをする人も珍しい。僕はまた、彼女を好きになる。
「溶けてるね」
男気ジャンケンにちゃっかりと負けた(この場合の負けは即ち勝利である)七瀬が、隣でクッキーサンドを頬張っている。手の体温が高いからか、僕のチョコミントバーはドロドロに溶けていく。既に食べるところが少ない。
「そういえば洸くんがね、私の肖像画を描きたいんだって。それを、次の絵画のコンクールに出展してもいいか?って聞かれたんだよね」
「‥ そう。」
答えて、ドロドロのチョコミントバーを舐める。七瀬は洸くんと上手くいってるようだ。「洸君とこの夏、どこに出かけようかな?」という相談を、昨日もされたばかりだった。無難に花火とかテーマパークとかは?と提案したものの、「いやぁそれはもうちょっとしてからかな〜」と考える余地すらないようだった。(あれはおそらく相談ではなく惚気だったのだろう)浮かれきる彼女を、まるで子供だな〜とおかしく思い少し笑った。僕はまた、彼女を好きになる。
ところで洸くんの前世は、とんでもない功績で溢れているに違いない。七瀬と恋人になれる可能性があるなんて、相当の徳を積んでいるはずだからだ。僕の様な奴は、どうせ前世で大した徳を積んでいない。むしろ罪を犯していないかが心配だ。今世はひたすら徳積みの段階という気さえしてくるので、七瀬と付き合えるかもしれないなんて希望を持ったことすらまるでない。羨ましくはあるけれど、仕方ない。七瀬が好きになった洸くんが、どうかいい奴でありますように。
「いいね、きっと素敵に描いてくれるよ」
「ね〜」
七瀬が気の抜けた返事をする。その雑さに僕は再び笑う。僕はこの七瀬のいかにもてきとうな相槌がすきだった。「こいつは一体何に笑ったんだ?」と隣の七瀬に一瞥される。僕の笑いはというと大抵七瀬から生み出されているのに、当の本人はそれに気づいていない。それどころか僕の笑いの感性に隣でいちゃもんをつけている。僕はまた、彼女を好きになる。
夏休みは七瀬にあまり会えなくなるだろうか?花火大会に一緒に行きたかったけれど、洸君が現れた今、誘うのもはばかるべきなのかもしれない。想像上でしか描けない洸くんの恋愛価値観について考えていると、手遊びが過ぎて右手の中にあるアイス棒をバキっと折ってしまった。
「あ‥」
「も〜、そういうところだよ。怖いからやめなよ」
七瀬が折れたアイス棒に過剰反応を示す。彼女曰く、僕は何を考えているかわからない瞬間があるようで、それについての説教を食らう。わかったよもう、突然捲し立てて喋ることでもないだろう?興奮した様子で話す彼女がおかしくて僕が笑うと、またもや不思議な顔をして首を傾げる。いつだって君は本気なんだな。僕はまた、彼女を好きになる。
もし七瀬とテーマパークに行くことがあったなら、お揃いの耳とかつけるのだろうか?二人で、浮かれて写真を撮ったりするのだろうか。そこにいるのが僕だったら、七瀬とどんなふうに過ごすだろうだろうか。まぁおそらくは、とにかくずっと笑ってるだろう。七瀬が何をしたとしても、僕にとってはその全てが面白おかしく、愛おしいのだから。
「機嫌、悪いの?」
「え?いや全然。妄想に浸ってた」
「なんだ〜、険しい顔してたよ」
僕はきっと自分が思う以上に、七瀬の横にいることが叶う洸くんが羨ましいのだろう。僕の叶えたいこと全てを叶えていくであろう彼が、羨ましくて仕方がない。
「なんか楽しい話あったら聞かせてね、休み中でも」
「洸くんとの?」
「そう」
「了解っ!」
弾んだ返事をする彼女は明らかに機嫌が良さそうで、本当にわかりやすい子だなと再び笑う。
僕はまた、彼女を好きになる。
星が
綺麗だったあの夜に
あなたの隣にいられたことが
本当に嬉しかった
幸せでいてね
どうか
幸せで
「あなたは誰ですか?会いたくない人」
柄にもなく、口籠る。
どうでもいい言葉を選べば良かったのに、それすら見透かされるような気がした。
「仲が良かったんです、ずっと。
だけど、彼女は刺激を求め続けてる。
人生において、刺激を求める人なんです。
僕は真逆だ。今あるこの生活がずっと続けばいい、そう思って生きている。
なるべく刺激も何も起きず、些細な幸せを噛み締めていたい。
彼女を嫌いになった訳じゃない。
ただ、僕は彼女といると僕でいられないんです」
こんなにも熱量をいれて話すものかと、止まらない様子の自分自身に驚いた。
彼女との交際は、今年で六年間目であった。
離れるはずがない、おそらく永遠だろうと思っていたそれは、僕の心境の変化によって崩れ始めていた。
自分に嘘をつくのは、もう限界であった。
「離れるべきですよ、あなたが今すぐに。
結局、会ったり連絡を取ったりするからいけないんだ。あなたって、人の悪いところを認められないですよね。この人は悪い人間だ、そう決めつけちゃえばらくなのに、あなたはそれができない。
その人の良いところを必ず見つけようとする。
実際、見つけちゃうから困るんです。
だからずっと侵食される、利用される。
あなたはあなた自身で壁を作らないと。
壊されますよ、あなたもあなたの人生も。」
返す言葉を持ち合わせていなかった。
僕は彼女に別れを告げなければならない、そう確信した。僕の幸せの為、僕自身の為。
いつでも自分のことより優先してきた君に、「嫌だ」ということを何より難しく感じた。
普段は「no」とはっきり言える人間だということが信じられない。やはりなにかが違うのだ、僕らしい僕ではないと実感する。
さよならをしよう。
返信のきていない君からのラインをみて少し安心し、君に会う覚悟を決めた。
-ぼくの心臓の鼓動の速さ 2-
「不安なことはありますか?」
やけに黄色い診察室でそう聞かれ、思わず
「原因はなんだろう‥と、それだけが不安です」
看護師さんにそう伝えた。
時計は八時半を指している。
今日は病院に、二十四時間心電図を付けにきた。
開院前の病室で、ボサボサ頭のままベッドへ案内される。寒さのせいでなかなか起きれず、実は五分遅刻をした。
心臓に問題があると判明したのはつい数日前の事で、詳細を調べるためにはこの検査が必要らしかった。
異常なリズムを刻む鼓動の経過を、二四時間体制で見るそうだ。(もはやリズムを刻んでいるとも言えぬ不安定ぶりだが)食事や運動の制限は特に無く、普段通りの生活でどのように心臓が動くのか経過を見たいらしい。
ペタペタ、と管が繋がったシールを体の至る所に貼り付けられる。その管は、手のひらより小さな機械に繋がっていた。その小さな機械こそが、'心電図'らしい。
こんなにも小さいのかと、今の医療の進歩に驚く。動いても落ちないよう、心電図をベルトで腰に固定した。
「激しい動悸や胸の痛みがあったら、このボタンを押してください。こちらに記録として届きます」
そう言い看護師さんが渡してきたのは、これまた小さな機械だった。ナースコールでよく見かけるボタンを押すやつに似ている。大きさはまたしても小さい。これも、腰にある心電図と管で繋がっているようだ。腰からおへその上を通り、ワイシャツの襟から管を引っ張り出された。
「痛みがあればいつでもボタンを押せるように!」と、襟から出た管をブラブラと服の上に垂らしていなければいけないらしい。ゆらゆら揺れるそれを見て、こんなにも恥ずかしいものを1日我慢するなんて‥と少し不快な気分になった。
最後に記録シートを渡された。
食事をした時、用を足した時、階段を登った時等、生活してれば当たり前にするであろう全ての動作を、ここに記録して欲しいとの事だった。(これが想像以上に大変だった)面倒臭いな‥と思いつつも、二四時間の辛抱だと言い聞かせ、診察室を出た。
以前は「おだいじに」と笑顔で声をかけてくれた会計の事務さんも、「‥また、お待ちしてます」とどこかよそよそしい。僕の病状を知ったからだろうか。日常の細かな当たり前が、僕の見える範囲でも既に少しずつ変化していた。
病院を出ると、二月はこんなにも寒かったかと驚いた。風は刺すように冷たい。見上げると、空は雲ひとつない快晴だ。澄んだ空気を思いっきり吸い込む、新鮮な空気が僕の体を巡っていくのが分かった。
母は今頃職場だろうか、大変な仕事を任されてないといいが。病気が分かってからというもの、なにげない瞬間に家族のことを考える時間が増えた。
今の僕にとっての一番は、どうやら家族らしい。
返信をしないと有名だった僕は、家族と毎日連絡を取るようになった。命に終わりがあるかもしれないと思う事で、何気ない一挙手一投足が変わっていく。大切なものとそうでないものがはっきりとわかるようになったのだ、人も、ものも、出来事も全て。
自分の心に正直な取捨選択だけをして生きる。それが毎日をこんなに楽しくする事を、僕は今まで知らなかった。
「大丈夫?」
スマホに、母からのライン。
病気が判明してからというもの、この言葉を毎日見るようになった。今では日課の一つである。
「なにが?笑」
何を心配しているかなんて事は、分かっている。
もちろん僕の体調の事だろう。けれども強がりでとぼけたラインを返信した。
負担に、なっていないだろうか。
余計な心配をかけてしまっている自分自身が、とても情けなくなる。ところで家族の前で強がる僕の癖は、どうやら病気が判明してからも変われないらしい。
「子供だな」
そんな自分に呆れ笑いをし、ゆっくりと歩きだす。
「ごめん、遅刻するわ」
既に学校に到着しているであろう親友にラインを入れ、小走りで駅に向かった。
✂︎ーーーーーーーーーーーーーー
こんにちは、余白です
寒い日が続いてますね‥
皆様体調は大丈夫でしょうか
私は最近食べることが大好きで(突然関係のない話笑)
昨日、食べる辣油(人生で初めて買いました!ニンニク抜きだけど‥本当はニンニク好き!)
と韓国海苔を買い、サラダを作って食べました。
これが絶品で、サラダをいくらでも食べられちゃいそうです。
みなさん好きな組み合わせ料理はありますか?
(これは料理と言わないかな笑)
また色々食べたことないものを食べてみようと思います。
今週もお仕事、学校、生活、お疲れ様です🪷
今日も皆様にとって素敵な1日になりますように‥
余白
僕の心臓の鼓動の速さ 三
学校に着くとすでに一限は終わっており、ちょうど二限が始まる前の休み時間だった。
「うぃ〜」
このふざけた挨拶をしてきた男は、僕の親友の今泉秀矢(いまいずみ しゅうや)だ。
今泉は180センチもあるので、僕と並ぶとその差は25センチになる。いつもセットで歩いているが、僕らは兄弟のように見えるかもしれない。けれども僕の身長は伸び代しかないので、これから驚くほどの成長を迎えて(もう高校ニ年生だが僕は少しも諦めていない)この大男に並ぶ日が来るかもしれない。
今泉はだいぶ華奢だ。ガリガリという訳ではないが、筋肉はあれども骨が細いのだと思う。だから180センチもあるのに、巨体、と言う感じではない。(圧がない大男だ)そして顔が異常に小さい。足も長く、モデルのバイトでもできそうな程のスタイルだ。隣にいるとなんとなく釣り合っていない気がして、気が引ける瞬間が多々ある。
「おはよ。昨日、大丈夫だった?」
椅子に腰掛けながら僕が聞くと、前の席に座った今泉がニヤっと笑いながら振り向いた。
「もう、死ぬよ。あれ」
バスケの強豪校であるうちの高校は、インターハイ出場者がとても多い。もちろん今泉もバスケをするためにうちの高校へやってきた。卒業生にはスカウトで大学に行った様な人たちがたくさんおり、OBとしてたまに練習に来てくれたりするらしかった。
昨日は丁度その日だったようで、なかなか家に帰れなかったとラインが来ていた。
朝から疲れ切った様子の180センチ男は、立ち上がってひょいと自分の机に腰掛かけた。
その長い長い足を、ぶらぶら揺らしはじめる。
「てかなにそれ?」
今泉が、僕の胸の辺りを指差した。
「あぁ、これか。
なんか、24時間心電図っていうのをつけなきゃいけなくてさ」
揺れていた今泉の長い足が動きを止める。
「‥大丈夫なの?学校来て」
「いや、むしろいつも通りの生活をしてほしいんだって。だから体育もやるし、むしろ運動とかして欲しいって言われたんだよね」
「ならいいけど」
ブラブラと、今泉が長い足を再び揺らし始めた。
普段からあまり動揺しない様に見える彼の表情が、心電図の話をした時に一瞬固まったので驚いた。
この大男も、動揺とかしたりするんだな。僕はなぜだか少し、申し訳ない気持ちになった。
窓の外を見る、綺麗な快晴が広がっている。こんな日は授業なんか抜け出して、散歩にでも行きたい。このまま抜け出して、学校なんかサボってしまおうか。
「もうすぐ桜の季節か」
外を眺めながらそう呟くと、
「あー、たしかにな」
明らかにてきとうな相槌が返ってくる。なにやら今泉はスマホゲームを始めたようで、片手間で相手をされていることに少しむかついた。それでも僕は会話を続ける。
「桜って好きなんだよな。
なんでか、やけに好きなんだよな」
「へぇ〜」
「でも年々春が短くなってるし、桜の寿命も短くなったりするのかな」
「あ〜ね」
‥。
RPGゲームのキャラボイスが聞こえてくる、なんててきとうな男なんだ。
「行く?花見」
僕の方なんて見向きもせずに今泉が言った、ゲームをしながら。
「行くか、咲いたら」
‥RPGの爆撃音が聞こえる。
こいつなりの心配の仕方なのだろう、全く素直じゃないやつだ。
僕は嬉しくて少し吹き出してから、
「いいね、いこう。誘えよちゃんと」
と答えた。
何も考えていない様に見えて誰よりも周りを見ているこいつは、強く大雑把な大男に見えるけど、本当は繊細で優しい奴だ。
二年間同じクラスだったことで、いろんな場面での今泉を見てきた。学校という長時間に渡る生活を共にしていると、当然人に見せたくない部分も見えてくる。嫌なことがあった時、焦った時、その人がどんな行動を取り、どんな言葉を放つのか。つまるところ、人間性が分かる。
僕たちは今、互いの人間性を充分理解した上で一緒にいるので、気心の知れた居心地の良さがある。
それにこの二年でよく分かった。
こいつ、とんでもなくいい奴なんだ。
そして今泉の良いところはそれだけではない。こいつはとにかく面白い。なんでも笑いに変える力がある。
今泉のそんな性質が、今の僕を救っている。ポジティブで楽観的な方だとはいえ、正直不安な気持ちが無いわけではない。瞬間瞬間では大したことがなくても、積み重なればかなりのストレスになる。けれども学校にくるたびに、今泉が僕を笑わせるので、嫌なことなんて吹き飛んでしまう。僕の毎日が笑いに溢れているのは、今泉のおかげでもあると言っても過言ではないのだ。ここまで褒めると僕が今泉に恋をしているのでは?と思われそうなので言っておく。僕の好きな人は、決して今泉ではない。(何度でも言おう、断じて違うのだ)
「っし、着替えるかーーーー!」
ゲームがキリのいいところまで終わったのか、ひょいと机の上からジャンプした今泉が言った。二限は体育か。面倒臭いが、今日はバトミントンの日なのでまだマシか。重い腰を上げジャージを取りにロッカーへ向かう。
「‥っ、。」
‥またか。
胸の機械のボタンを押す。
これで今日、何回目だろう‥。
こんなにも痛みを感じている状態で運動なんてしていいのだろうか?
「‥これで死んだら恨むぞ、医者。」
医者に文句を言っていると
「おいいくぞ」
ジャージ姿の今泉に背中を叩かれた。
僕は慌てて机に戻り、制服を脱いだ。