村雨 / shamrock

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7/6/2025, 3:12:59 AM

[※grbl二次創作/賢者(塔)成代/twst×grbl /BLD?]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/空の世界から本家の概念(サイコキラー)を押し売りされた《塔》の賢者成主(冤罪/中立・善/元奮励寮3年)/尻切れトンボ/リハビリ品/

※BLD……?(保険)
強いて挙げるとしたらなCP要素:成主(→)(←←←)7



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[波音に耳を澄ませて]


▽作業BGM
『未i来i古i代i楽i団 / 吸iっiて、吐iく』
『 〃  / 忘iれiじiのi言iのi葉』


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


 ぷかりぷかりと、泡が上へと浮かんでは消える。
 冷たく薄暗い水の中、抗うこと無くゆったりと底へ引き摺られながら、また一つ泡を見送った。



『──それじゃあ行ってくるよ、ロヴィ』


 おねがい、まって


『帰って来たら、また皆で旅行にでも行きましょうね』


 おいていかないで


『うん。お父さん、お母さん、行ってらっしゃい!』


 どうして、オレはとめなかったんだろう





 ────そうして両親は豪華客船と共に沈み、二度と帰って来ることは無かった。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 ────あぁ、なんて酷い夢なのだろう。

 いつぞや見たものよりも余程タチの悪い夢だった。まだ朝には程遠いのに。見たのは今は亡き、"前世"の両親の夢だった。

 かつての俺は『歓喜の港』の出身で、音楽家の父と歌手の母の間に生まれた。その頃はまだ"前々世"を思い出しておらず、割と年相応の子供だったと思う。なぜ頭に"割と"と付くかと言うと、家族曰く『ぐずりも夜泣きもしない、全く手の掛からない子供』だったのだとか。港町だったこともあり波の音が子守唄代わりになったのかもしれないと言われたが、強ち間違いではないと思う。今でこそ弄ってボイスレコーダー代わりにしているが、貝殻に耳を当てて音を聴くのは前世からの習慣だった。特に気分が落ち込んだり、眠れない夜によくやっていたし、今も時々そうしている。


 父はNRCの卒業生で、母は人魚とのハーフだった。両親の所属していた楽団はよくコンサートなどに呼ばれていて、幼い俺は両親に連れられていろんな場所に連れて行ってもらった。団員もみんな音楽が好きな良い人たちだったし、割と可愛がってもらっていた自覚がある。だからこそあの"事故"から、今世に至っても抜け出せないでいるのだけど。

 ──あの日、楽団は豪華客船で演奏することが決まっていた。俺は前日に体調を崩していて、熱は下がっていたものの大事をとって陸で安静にしているようにと言われていた。


『それじゃあ行ってくるよ、ロヴィ。良い子にしてるんだぞ?』
『帰って来たら、また皆で旅行にでも行きましょうね。でもその前に、お父さんにご褒美のタルトを作ってもらわなきゃ』
『おいおい、気が早くないか?』
『あら、ロヴィが良い子にしてなかったことなんてあったかしら。もっと我儘言ってくれても良いくらいなのに』
『……それもそうか。それじゃあ、帰って来たら父さんがタルトを焼いてあげよう。"なんでもない日のパーティ"ではよく焼いてたからね。リクエストはある?』
『リクエスト……? えっと、オレ、タルト・タタンが食べたいな。お父さんがいつも作る、リンゴいっぱい入ってるやつ』
『アレで良いのか? イチゴタルトもマロンタルトも作れるぞ?』
『アレがいいの』
『分かった分かった、タルト・タタンな。──っと、そろそろ行かないと。じゃあロヴィ、行ってきます』
『ふふふ……ロヴィ、お母さんも行ってくるわね』
『うん。お父さん、お母さん、行ってらっしゃい!』


 ────それが両親との最後の会話だった。


 次の日の天気は大荒れで、海は大きく波打っていた。港に泊まっていた船のほとんどは転覆し、海辺に近い場所では洪水になっていたという。俺の家は幸い高めの土地に建っていたから被害を免れたけれど、嵐が去ったあとの港町は酷い有様だったことを覚えている。
 そして────。





『──"ロベリア"君、落ち着いて聞いてほしい。君の、お父さんとお母さんが、楽団が乗っていた船が……沖の方で、沈んだらしいんだ』



『は──?』





 その後のことは、あまりよく覚えていない。ただ一つ分かったのは、あの嵐は"妖精族が悪戯で起こしたもの"だったらしい。
 ────ふざけるなと、本気で思った。
 妖精から見れば小さい悪戯でも人間からしたら大災害でしかないと、何故あの"羽虫共"は理解できないのか。……この時ほど激怒したことは無く、殺意を抱いたのもその時が初めてだった。
 周りは痛ましそうに様子を伺うばかりで助けてもくれないし、"彼奴等"がしでかしたことを"仕方ない"と片付けた。俺の両親と、俺に優しくしてくれた楽団の皆の死が、"仕方ない"だって?
 臓腑が煮えくりかえって、気が狂いそうだった。

 ……実際は、助けてくれていたのだと思う。当時の俺に余裕が無く、全てが敵に見えてしまっていただけで。両親が死んでからの俺は妖精族への怒りでおかしくなっていたし、幼い子供が奴らを殺す算段を立てている姿は恐ろしく見えたに違いないのだから。
 ────そこから紆余曲折あって、学園長が俺を養子にしてあの町から連れ出してくれたのだけど。

 俺が未だ"妖精"を嫌っているのは、この出来事から抜け出せないからだ。だから夢から醒めて、全部片付いたあとのドラコニアからの招待にも応じなかった。一人の人間として最低の対応だろうに、学園長──『父さん』は咎めること無く宥めるように、爪を外した手で優しく頭を撫でるだけだった。

 ────『真実の愛』とやらでヴァンルージュが息を吹き返したのなら、どうして俺の両親は助からなかったのだろう。

 一瞬でもその考えが過ぎってようやく、俺は妖精族を一生許すことはできないのだと自覚した。
 とはいえ、"義妹"──『監督生』の友人で妖精族とのハーフである『セベク・ジグボルト』のことまで目の敵にする気は無かったから、本人が気まずそうに話し掛けて来たときは純粋に驚いた。何せ普段から相手を『人間』と呼び、高圧的な話し方をするような男だったから特に。でもそのおかげで妥協点を見つけることができたのだと思う。
 ────最期まで、ドラコニアとだけは相容れることは無かったけれど。




 ────コン、コン、コンと、ノックされる音で意識が戻される。気怠い身体を起こして扉を開くと、癖のある金糸と青い瞳が目に入った。
 はて、この男が深夜に俺のところに来るなんて何かやらかしただろうか。寝起きの鈍い頭で振り返ってみても、特に思い当たることは無かった。

「……シエテ? こんな夜更けにどうかしたのかい?」
「いや……何かお前、今日様子おかしかったからさ。気になっちゃって」
「……心配しなくても、団長との約束は守っているぜ?」
「そうだけどそうじゃなくて、……?」

 そこまで言ってシエテは俺の顔をまじまじと見た。……あぁ、寝汗を拭い忘れた。これじゃ何か異常があると思われてしまう。この男に内側まで踏み込まれるのははっきり言って嫌だった。作り上げて貼り付けたサイコキラーの側面よりも、おどろおどろしく濁り切った中身を見られることの方が耐えられない。あの頃からもう、どうしようもなく歪んで、元に戻れなくなっているから。

「ロベリア……お前凄い顔色悪いけど、どうしたの」
「……夢見が悪かっただけだよ。夢の内容は、覚えてないけどね」

 嘘だ、はっきり覚えている。あの時の怒りも、寂しさも、虚しさも、恨みも、全部、全部全部全部ゼンブぜんぶ、たしかに、はっきりと、おぼえている。わすれるわけがない、わすれられるわけがない、どうして、どうしておればかりがこんな────。
 ……、……あまりよろしくない精神状態だ、早いところ切り上げたい。

「……もう、いいかな。君も早く眠ったほうが──」
「ロベリア」

 名前を呼ばれて、耳を塞がれた。不可解そうに顔を歪めれば、くぐもった声で『聴いて』と一言だけ言われた。訳が分からないまま目を閉じて聴くことに集中すると、ごうごうと血の流れる音が頭に響く。──何だっけ、音が火山に似ているんだとか、昔何かで聞いたことがある気がする。

「生きてるよ」
「……」
「だからそんな……"置いて逝かれた"みたいな顔しないでよ」






[波音に耳を澄ませて]





 『頼むから』、なんて────。
 どうして彼は俺に対してそんなに悲痛そうな顔をするのだろう。どうして切実そうな声を出すのだろう。何かあれば首を刎ねなくてはならない、手を煩わせるだけの厄ネタだろうに。

 ……あぁでも、その表情が君に似合わないことだけは今の俺でも分かるよ。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

長い上にどうやっても怪文書じみた何かにしかならない件(タスケテ)
当初書こうとした話から大分逸れてて困惑

成主だからここまで病む時があるのであって、本家がこうなることはまず無いでしょう。何ならやらかして団長や天星剣王達に刃先向けられる姿の方が想像しやすいような……(失礼)
余談として、入れれなかったですが作中はアウギュステのどっかの宿屋想定です。夏だといつもゾンビと鮫に溢れてる気がしますが。

あと船云々の辺りは、書いてる途中でタイ■ニックが過ぎったので……←

.

7/3/2025, 9:59:41 AM

[※hrak二次創作/成代?憑依?/ttⅤ×hrak]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/ちょっと不穏な心操君(※圧倒的善属性)/尻切れトンボ/リハビリ品/

▷二重人格系心操人使
子供の頃から『自分の中に大人の人が居る』って認識してたって感じの心操くん /害は無いけど主人格を守る為に表に出て来てオートガードしてくる /中の人は別に善人ではない(ててご参照)/相澤先生のことは中の人も『良い人』として認識してる(もしも吊られたら絶対救助に行く枠)



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[クリスタル]

作業BGM:『探i鉱i者 / M1y Th1ro1ne』


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


 けほっ、ごほっ。


 頭のどこかで空咳に似た音が聞こえる。

 ──あぁ、今日はそんなに酷くないみたいだ。
 いつもは咳き込むとガラガラとざらついた音が混じって、呼吸をするのもしんどそうだったから。
 俺が目を閉じて意識を向けていると気付いたのか、その人は目を細めて『大丈夫だよ』と薄く笑みを浮かべた。



 その人は子供の頃から俺の中に存在していた。
 最初は漠然とした感覚だけで意識したことは無かったけれど、ヴィランみたいな個性だと揶揄されて泣いていたときにようやく意志がある存在なのだと認識した。


 ──別に泣く必要なんて無いでしょ。周りから聞いたことを考え無しに口にするような、頭が空っぽの子供が騒いでるだけなんだから──


 心底呆れたような声でそう言ったその人は、筋張った大きな手で俺の頭を柔く撫で、もう片方の手で頬を伝う涙を拭ってくれた。はっきりとした視界で捉えたのは、顔の左側に酷い火傷を負った男の人で、どうしてかはっきりと『俺の中に居る人だ』と当時の俺はすぐに理解していた。
 けれど俺を除く全ての人間は彼を認識することは無かった。他人から『誰もいないところに向かって話しかけている』と指摘されて初めて、俺にしか見えないのだと悟った。唯一両親だけは気味悪がること無く、寧ろある程度理解を示してくれたのが救いだった。

 幽霊、怪異、イマジナリーフレンド、『前世の自分』……調べればいろいろと出てきたが、『二重人格』というのが当時一番しっくり来た言葉だった。……今にして思えば『前世の自分』というのも、強ち間違いでもなかったけど。





 ──ヒトシ、良いものを見せてあげる──


 いつだったか、あの人はそう言って俺の目の前で"姿を変えた"。いつもの火傷のある顔ではなく、全てがまるで、"瓦礫を組み合わせて作った人形"のような異形の姿になった。
 口元には軽薄な笑みを浮かべていて、腹には穴が空いていた。温かかった手は温度の感じない無機質な物になり、原型が残っている右手とは反対に、左手は最早手ですらなく石の寄せ集めだった。左脚も、膝から断裂しているように見えた。とても顔の左半分と全身に負っていた火傷痕とは比べ物にならないほどの痛々しい姿────。
 愕然とした俺を見て彼は喉を鳴らすように笑うと、ツルハシを杖のように軽く振ってみせた。


 ──あの"狂った荘園"の話はしたよね。顔も見たことないけど、そこの主人が妙に太っ腹でさ……いろいろと衣装なんかを貰ったりしたんだよ──

 ──例えば、こんなのとか──


 古い映写機が起動する音が頭に響く。ジジッ、と断続的に響くノイズと共に黒髪は銀髪へ、服装も鉱夫の物から深い青色のコートへと変化し、石塊だった左腕は銀色に煌めく鉱石へと姿を変えた。

 ────言葉は、出なかった。
 光を浴びてキラキラと輝く鈍色がとても綺麗で、俺は目が離せなかった。



 ──確か『輝安鉱』って名前だったかな、この衣装──

『きあん、こう……?』

 ──そう。"スティブナイト"って名前の方が通りが良いかな。一応宝石だよ、毒性があるけどね──

『えっ』

 ──口に含むなんて馬鹿な真似しなきゃ大丈夫だよ。ヒトシは僕と違って"良い子"だからそんなことしないだろ?──


 そう言って彼は硬い指先で俺の頬を撫でて目を細める。微笑めいた表情を浮かべて、何を思ったか俺の耳元へと顔を近付けた。


 ──まだ、ヒーローってやつになりたい?──

『それは……っ、なりたいよ』

 ──……そっか。…………昔、荘園に居た人間から聞いた話なんだけど、"スティブナイト"ってね、『持ち主の夢を叶える』って意味があるらしいよ──








 ──君が夢を叶えるところ、最後まで見ててあげるよ──





[クリスタル]





 『スティブナイトインクウォーツ』という宝石がこの世には存在する。水晶の中にスティブナイトが混入した物だが流通量は非常に少なく、手に入れることが困難とされている。アクセサリーとして売られているものは十万は軽くするものばかりだ。

 けれど彼──『ノートン』の話を聞いてから、どうしても欲しくなった。験担ぎという訳ではないけど、"最後まで見てる"と、俺がヒーローになると信じてくれたから。



 そうしてミネラルマルシェで"一粒だけ"手に入れた『スティブナイトインクウォーツ』は、今は鎖を通して俺の胸元に仕舞われている。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

習作(怪文書/定期)
保留しといてできたのが怪文書……()
ところでこの二人、中の人同じなんですよね。
ttⅤのキャラソンMVが二度美味しい()

▷中にいる人[ノートン・キャンベル(ttⅤ)]
昔の人の幽霊というか、前世の自分というか……な存在。ちなみに後者が正解。危害は加えないけど正当防衛(殺意高め)するために主導権奪って出てくるときはある。基本的に来世の自分(心操くん)を護るため。ヴィランの思考がある程度分かる(自分も加害者側なので)

▷地の文で喋ってる人[心操人使(hrak)]
最初は分からなかったけど現在(原作開始時)は中の人のことを粗方知っている。荘園に来る前に"やってしまったこと"とか、荘園での中の人の姿とか、何が好きで何が嫌いかとか。だって『前世の自分』なので(別人格として存在しているから全く同じだとは思えないけど)

こんなイメージで書きました。

.

6/5/2025, 6:19:37 AM

[※hrak二次創作/A成代/FGO×hrak.3/BLD]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/型月産A(中立・中庸)/尻切れトンボ/リハビリ品/

▷型月産A【CV:神■浩■】
185㎝(槍ニキと似た体格/逆三角形)/肉が付きにくくて若干肋骨浮いてるのにそこそこ力が強い/薄っぺらい癖に無駄に頑丈/バスターよりクイック・アーツ型、星を出して殴るタイプ/AFO時の自分の声(CV:大■明■)が嫌い(特別意訳:征服王を貶しているみたいで物凄く嫌)/瞳はオルタ系鯖と似た系統(ハイライト無、瞳孔有、鈍色)



※BLD(念押し/CP要素:成主×ホ?)



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[恋か、愛か、それとも]


▽作業BGM
『A1i1m1e1r / 春iはiゆiく』
『残i酷iなi天i使iのiテiーiゼ(ar/li/e R/ay Ver)』


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



 ────『刷り込み』、が妥当だろうか。


 前世のSNSで稀に見かけた『■■しないと出られない部屋』と言うネタとほぼ同義の"頭の悪い"部屋に閉じ込められた際、同じく閉じ込められた相手が自分よりも一回り以上年下の子供────しかも亡き同僚の愛息と酷似した少年だとは誰も思わないだろう。背中に赤い羽根が生えていたことと、その愛息と比べて表情が異様に乏しかったことから別人だと判断できたが、よくよく話を聞いて整理してみれば『並行世界の鷹見啓吾』本人だったというオチだった。しかも犯罪者の息子で虐待児、その上公安に拾われて絶賛洗n……"ヒーローになるための勉強中"だとかなんだとか。恐ろしいほどに周りの大人に恵まれていない子供だった。……俺も他人のことは言えないが。あまり覚えていないが周りの人間曰く、俺自身も身体に夥しい傷痕が残っていたことから虐待児だと推測されていたらしいので。閑話休題。

 さて、そんな子供────以下『ホークス』と表記するが、ホークスとその部屋に閉じ込められることが結構な頻度で起こっていた訳だが、そんな中でホークスに懐かれていることに気が付いた。曰く『こんな俺に優しくしてくれて、俺自身を見てくれるから』だとか。一番信じてはいけない相手に懐いている自覚はあるのだろうかと思わず心配になったのは言うまでも無い。口八丁で丸め込まれている可能性を考えろと窘めれば、それにも嬉しそうにくすくすと笑う始末。……この程度で喜ぶとは世も末と言うべきか。俺は愛とかそう言ったものは殆ど分からないが、それでも子供を道具として仕立てることが悍ましい所業だということくらいは理解している。マシュ・キリエライトが正にその典型例だったからだ。
 だから、まぁ、どこぞの誰かの真似ではないが、自分なりに気は遣っていたつもりだった。部屋からの脱出条件が過激になって行った辺りからは特に。……それが、嫌な噛み合い方をしている気がする。

 ホークスは何を思ったか、大戦が終わって間も無くにサーヴァントとして『俺』を召喚するという、気が触れたようなことを仕出かした。詠唱も、召喚陣も、何一つ知らないはずの人間が何故サーヴァントを呼べるのか。しかも何の逸話も持たない存在を呼ぶなんて人理修復中のカルデアだからできた反則技のようなものを、何故ホークスが──?
 ……誰かに唆された以外に無い。それこそマーリンか、それとも別の何かか。何にせよその存在から聞いたことをそのまま、周囲の反対を押し切って実行した辺り狂ってるとしか言いようが無い。……後から聞いた話だが、唆したのはまさかの『シトナイ』────この世に居ないはずの『イリヤスフィール』だった。いつの間に召喚されたのかは知らないが、どうも嬉々としてホークスに魔術の手解きをしたらしい。アインツベルンの魔術師がそれで良いのか。過去に世話になった手前、あまり強く言えないが。
 それにしても、敵対し、個性を奪い、全てを壊そうとした相手にすることではないだろう。



「──理由、教えましょうか?」

 ホークスは楽しそうにこちらを見ながら、仰向けに横たわった俺の上で寝そべっている。他のヒーローやあの大戦で戦っていた人間が見たら卒倒するような距離感だが、どうやら改めるつもりは無いらしい。服を着ているからまだ良いようなものの、情人かのように振る舞うのはどうなのか。確かに止むを得ず一線は越えたが、お前の弟子やサイドキックが見たら絶句するどころじゃ済まないだろう。全く気にする素振りを見せないのは大問題でしかないと思う。

「あー、またそうやって別のこと考えてる」
「"僕"に対する君の言動が不可解過ぎて──」
「一人称と話し方」
「──、……ハァ、君なぁ……俺にこの態度じゃ、ちょっと他の人間に示しが付かないんじゃないかい? 仮にも殺し合いをした相手にさ。しかも今の俺は "サーヴァント"だ。個性なんて使わなくとも、君のその細首くらい簡単に圧し折れるんだぜ?」

 言いながら目の前の首に指を這わせる。勿論本気でやる気は無いが、いい加減危機感を持って欲しい。サーヴァントは極端に言えば普通の人間よりも遥かに強い兵器だ。軽く力を入れただけで────何なら指先一つで仕留めることも簡単にできてしまうのだから。

「でも、やらないでしょ。────貴方、優しい人だから」
「…………初めて言われたなァ、そんなこと」
「んふふ。……で、理由ですけど」





「貴方のことが、好きだからに決まってるでしょ」







[恋か、愛か、それとも]



「あ、ちなみに刷り込みとかじゃないんで勘違いしないで下さいね」
「ホークス……君、趣味悪いなァ。こんな"亡霊"のどこが良いんだい」
「今を生きる俺達のために"怪物"になることを躊躇わなかった"人類の先輩"ですよ? 覚悟決まり過ぎてて情緒ぐちゃぐちゃになったし、そんなのもう好きになるしかないじゃないですか」
「そんなことで……? ちょっとさすがにチョロ過ぎないか、変な壺買わされたりしそうで心配なんだが」
「そんなことの基準バグってません? 世界の為に殺されることを選ぶって相当な覚悟でしょ。普通の感性だったら絶対にできませんよ」
「そういうものなのか」
「そういうものです。……今度は俺も連れて逝って下さいね」
「…………考えておくよ」


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

勢いだけの習作(怪文書/定期)
正直書いた本人もこのホークスどっかおかしくなってると思ってます()
というか何か続いてて我ながら謎……

余談ですが、
第一再臨:AFO(頭潰される前/スーツ)
第二再臨:10代半ばの姿(ワイシャツ+スラックス+赤い首飾り)
第三、最終再臨:カルデアスタッフの制服(30代後半)
簡易礼装:カソック←イマココ
ってイメージで書いてました
ちなみにクラスは『プリテンダー(詐称者)』です

6/1/2025, 9:59:32 AM

[※hrak二次創作/A成代/FGO×hrak.2.5/BLD]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/型月産A(中立・中庸)/尻切れトンボ/リハビリ品/



※BLD(念押し/CP要素:成主×鷹)
※濁しているけど軽度の"そういう表現"有り


▷鷹視点



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[勝ち負けなんて]

作業BGM:『Aidio / エiルiフ』


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 ──その人物のことを知ったのは、本当はもっと前だった。
 いつの間にか忘れていた……"忘れさせられていた"記憶の中に、確かに"貴方"は存在していた。


 出会ったのは多分公安に拾われて少し経った頃。個性事故か何かで全く知らない白い部屋に飛ばされ、そこに置かれていたキングサイズのベッドの上で彼は静かに眠っていた。
 少しして目を覚ました彼は眠気で蕩けている鈍色の目を瞬かせると、俺の姿を捉えて不可解そうな顔をしていたように思う。そのとき音にはなっていなかったけど口は確かに『けいご』と動いていて、どうしてこの人は捨てたはずの俺の名前を知っているのだろうかと内心首を傾げた。でもすぐに視線は俺の背中に向けられ、酷く驚いた様子で『君は、誰だ』と聞かれた。……寝起きの掠れた声に多少意識が持っていかれたのは許して欲しい。今なら言語化できるが、あんな艶やかな声なんて初めて聞いたのだ。警戒しなきゃいけない状況なのに、不覚にも目の前の大人に少しだけドキドキしてしまって言葉に詰まったのは正直忘れたままでいたかった。今思い出しても恥ずかしい。当時もし羽根が大きかったら、多分自分の体を覆い隠していたと思う。
 彼は『言峰零治』と名乗った。とある天文台で働いている技術スタッフらしく、自室で仮眠を取っていたのに目が覚めたら知らない部屋だったという話だった。しかもどうやら個性を知らないようで、俺の羽根を凝視していたのは単に驚いていただけらしい。『大人でも個性を知らない人もいるんだなぁ』なんて思っていた俺は本当に呑気だったと思う。まさか生きている世界──もっと言うと時代すらも違うだなんて夢にも思っていなかったのだから。

 その部屋は条件をクリアしない限り出ることのできない部屋だった。『SNSとかでよく見かけたネタじゃないか……』と彼──零治さんは頭を抱えていたが、そのときは『一時間二人で話をしないと出られない』と言った軽い内容だったため、俺としては『それだけ?』などとはっきり言って油断していた。条件をクリアすれば外に出られるし、きっともう会うことは無いだろうと互いに思っていたのに、その部屋へ飛ばされる現象はそこで終わることは無かった。二人揃って『またか』とげんなりした顔をしたが、実のところ、いつの間にか俺は彼に会えるこの現象を密かに楽しみにしていたのだ。褒められたことではないけど、『ヴィランの息子』だとか『ホークス』としてじゃなく、『俺』を見てくれる人だったから。

 ──だから罰が当たったのかもしれない。
 俺が十五を過ぎた頃から部屋の条件は過激になっていった。最初は時間まで話すか軽い接触だけだったそれはいつの間にか性的なものを含むようになり、俺がヒーローとして世に出るようになった頃には、当たり前のように一線を越えることが条件になっていた。勿論困惑はしたけど、でも、俺の中に恐怖心も嫌悪感もほとんど無かった。
 『言峰零治』という人は『良識ある大人』だった。条件が過激になるにつれ舌打ちをしながら眉間に皺を寄せ、見ているかも分からない部屋の主に暴言めいた言葉を吐くことはあったけれど、それを俺に向けることは一切しなかった。触れてくる手は苦痛も恐怖も与えて来ず、彼はただ最後まで俺を気遣ってくれた。

『そもそも自分よりも一回り以上も下の若者に無体を強いなきゃいけない条件なのがおかしいんだよ。……だから全部、俺のせいだと思った方が良い。君は被害者なんだから、それを糾弾したって誰も君を責めたりしないさ』

 彼は優しい声でそう言うと、ひんやりと冷たい手で、訳も分からず涙を溢す俺の背を撫でてくれた。
 ────只々、やさしいひとだった。







 そのことを、俺は青い小鳥に急襲されるまで忘れていた。



 ──"駒鳥"は『事象キャンセル兼"個性"返却サービス』などと喧しく囀りながら現れ、その言葉通りAFOに奪われた筈の俺の個性を元に戻してみせた。後に聞いた話だが、イレイザーヘッドの損失した右目と右足すらも『事象のキャンセル』だと言って元に戻してみせたらしい。
 そして飛び立とうとする駒鳥の口から発せられた"ご主人"という言葉に痛む身体を無視して慌てて捕まえると、その人物について問い質して────後悔した。



『ご主人っスか? ────世界中のムクドリどもが【AFO】って呼んでた人っスよ? 本人そう呼ばれるのメッチャ嫌そうにしてたっスけど』

『そもそもご主人が"化け物"として"負けてくれた"から『英雄』は生まれたし、世界は『剪定』されずに済んだんスよ。────勝ってたらムクドリ共もこの世界も"無かったこと"になってたっス、文字通りに』

『というか"人生二周目"にこんなクソみたいな宿命背負わされるなんて、あの人も災難っスよね』



 『じゃあ今度こそ自壊するっス。良い夢見ろヨッ!』と言って、俺の手の中で完全停止した駒鳥を茫然と見ながら、思い出した記憶に頽れそうになった。

 ────それってつまり、俺の知ってる貴方は、この世に産まれてからずっと、OFAに殺してもらうために、今まで生きてたってこと?







[勝ち負けなんて──]





 最初から無かった。
 貴方の負けは決められていて、今世の生きる意味すら死ぬためだったなんて、そんなの────。





 ────そんなの認められる訳無いだろ。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

習作という名の怪文書()

実は昨日全カットした部分です……(お題に沿ってるとは言ってない)

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5/31/2025, 9:43:24 AM

[※hrak二次創作/A成代/FGO×hrak.2/BLD?]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/型月産A(中立・中庸)/尻切れトンボ/リハビリ品/

※BLD……?(保険)


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[まだ続く物語]


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


 突然だが、自分は常から悲観的なことを考えている訳では無かった。どちらかと言えば、普段は感情の揺れがあまり大きくない方だと認識している。ただ時折り酷く気分が落ち込み思考が深く沈みきってなかなか戻らないことがあるだけで。
 『それってアレっスよね、"鬱"ってヤツっスよね?』と余計なことしか言わない贋作の"青い駒鳥"をはたき落としたことは一度や二度じゃない。医者にかかれる立場でも無ければ、医者は医者でも自分の近くに居るのは、嬉々として身寄りの無い生きた人間や死体を弄くり回して人造人間を量産していた闇医者だけである。しかもこちらに異様な信仰心染みたぐちゃぐちゃな感情を向けているタイプだ。下手に弱みを見せていたらこちらが無事では済まなかっただろう。何を言いたいかと言うと、まともな医者の診断無しに『鬱病』とは言い切ってはいけないという話である。何分、自分は後天的にではあるが『精神破綻者』と呼ばれる側の人間なので『正常』からは程遠いと自覚はしている。しかも一度死んだくらいでは治らないらしく、意図せず"二度目の人生"が始まっても便宜上『鬱』と称するこの症状が消えることは無かった。

 長い長い、本当に"永い"タスクをようやく消化して、自分を打倒した相手へ消えるまでの僅か数秒に、最期の賞賛を贈って自分────"俺"の幕は閉じたのである。『並行世界の自分』であればきっと往生際が悪いどころの話では無いだろう。さすがの俺でも"アレ"には何とも言えないが、強いて言うなら『情緒が育ってなさ過ぎでは???』だろうか。寂しがり屋だの愛だの何だの自覚が遅過ぎて臍で茶が沸きそうである。……まぁ、実際にできる人間が居るだろう世界では通じない慣用句かもしれないが。
 俺が必ず消化しなくてはならなかったタスクとは『自分が巨悪として死ぬこと』だ。要は『並行世界の自分』と同じ結末を迎えなければならなかったのだ。やりたくもなかったし普通に生きて普通に死にたかったが、『世界』はその役を同一存在の俺を"他所"から引っ張って来て押し付けた訳である。しかも万が一にも『巨悪』が勝った場合、『並行世界』の結果に上書きした上でまとめて『剪定』されるというクソみたいな敗北条件付きだった。だと言うのに自分の周りに集まってくる人間はどいつもこいつも『巨悪』を勝たせようとするいろいろトチ狂ったヤツしか居ないという、心底要らないおまけまで付いてくる始末。


 ────いやもう俺にどうしろと。
 当然最初は抵抗し続けたが、何をしても修正力が働き強制的に同じ、もしくは似たような結果に集束するのだ。さすがにそれが何回、何十回、何百回も続き、精神的に限界だった自分の心は、ある日呆気なく折れた。そして抵抗を諦めた俺は非常に業腹だが、仕方無しに『並行世界の自分』を出来る限りエミュレートする方向へと切り替えたのである。ただまぁ割と判定は緩かったようで、ターニングポイントで"似た事象"さえ引き起こせば掻い潜れると気付いてからは、どこぞの"人形師"や"前世"の職場で技術顧問を務めていた人物の真似事をして、自分の本体は二度と開かない地下深くにコールドスリープ状態で放置した。ちなみに仮に誰かが行き着いたとして、正しい手順で解除しないと肉体が急速に腐り落ちる仕様だ。そうした理由としては、いろいろと厄ネタが過ぎる身体且つ周りが信用ならないのと、シンプルに生身の肉体一つではタスク全てに手が回らなかったからである。寝ている間に何かされる可能性とタスク消費中に行動不能になる危険性を考えたら、低スペックでも行動できる"子機"が複数あった方が良いと思ったのだ。まぁ、早く消化できるならそれに越したことは無かったので、オールマイトから致命傷を貰ったときは『やったぜ俺は寝る(永眠)!!!』などと四徹明けに似たテンションで内心舞い上がっていたのだが。なので意識が浮上したときの絶望感が凄まじかった。『何で延命しやがったんだコイツ』と呪詛を吐きかけたのは言うまでも無い。慌てて接続を切っていたもう一体の"子機"を再起動させ、タスク処理を再開させた訳である。ちなみに俺を延命したのは件の闇医者なのだが、顔が潰れてても気にしないのか、……手つきが、大分……怪し、かった、とだけ言っておこうと思う。正直このときほど視界が無くて良かったと思ったことは無い。未経験では無いが好きでもない他人にそうやって触られるのは苦痛でしかなく、直でそんなものを見ていたら多分もっと精神が駄目になっていただろう。閑話休題。

 そうして、まぁ、『並行世界』よりは多少マシな形で『同じ結末』を迎えた訳である。『(必要だと理解しているけど)修正力って本当にクソだな』と何度思っただろうか……もう終わったことだが。



「いやぁ、まだ終わるには早いんじゃないかな?」



 ────は?

 閉じたはずの意識が浮上し、"目を開けば"視界には淡紅色の花が一面に広がっていた。……目を開くって何だ、身体はもう無い筈なのに。鈍い思考のままに"両手"を見てみると、掌の中心にあった穴は影も形も無かった。というか、この身体────。

 ふと背後の気配に気付く。振り返ると、そこに立っていたのは身の丈程もある杖を手にした白いローブの男────『花の魔術師』マーリン。

「やぁ、久し振りだね"レイジ"。いや、今は"ゼン"と呼ぶべきかな?」
「……どちらでも。好きに呼べば良いじゃないか」
「なら呼び慣れたレイジにしよう。──ところでレイジ。君また"諦めた"のかい? いけないなぁ、その諦め癖はいい加減に直さないと大目玉を食らってしまうよ」
「……君の大好きな"ハッピーエンド"じゃないか。それに死んだ人間に大目玉も何も無いだろう」
「でもそのエンディングに"君"は居ないじゃないか。──それに、何も無いなんてことは無いさ」
「何……」



「"零治/レイジ"────いや、"然/ゼン"。"ありのままの君"は、君が思っている以上に他人に好かれる人間だよ。だからこそ、君の"友人"はその名前を贈ってくれたのさ」

「それに……どうも君とは違って諦めの悪い子が居るみたいだ。いやァ、君って前から思ってたけど罪深い質だよねえ」


「待ってくれ、どういう────』


「僕はハッピーエンドが好きだからね、このくらい強引じゃないと君はまた諦めて妥協しちゃうだろう? だから便乗させてもらったのさ! ────さぁ、もう一度。今度は"自分だけの人生"を歩むと良い。君の幸運を祈っているよ」







[まだ続く物語]




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習作(定期/いつも通り勢い)

思い付いたものを全部書いてたら怪文書になった挙句、終盤で地の文が書けなくなって着地点を見失いました()
実はこの後にも書いてましたが時間が足りなかったのとお題から逸れている気がしたので全カット(機会があったら書き切りたい)


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