村雨 / shamrock

Open App
10/20/2025, 8:34:26 AM

[君が紡ぐ歌]

保留……📝

10/8/2025, 7:09:40 PM

[愛する、それ故に]

保留……📝

9/12/2025, 9:41:12 AM

[※ggg(?)二次創作/成代/g謎×JG(+α)/BLD?]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/序盤数秒だけ登場した同僚成主/尻切れトンボ/リハビリ品/解像度激荒/……沼から這い上がれませんタスケテクダサイ(切実)


《簡易(になってない)設定》
▷主人公の右隣に座ってるアイツ(成代/若干年上)
平成令和メンタルで昭和にぶち込まれた系成主(転生自覚したのは戦後/戦時中はFPSみたいな一人称視点系ゲームの感覚だったのでいろんな意味で地に足がついていない状態だった)/外見はほぼ映画通り、目だけ切れ長で薄墨色(作画はJG寄り)/基本無表情、対他人には別人レベルで化けの皮被るけど身内には若干表情差分が増える程度(戦前はもう少し表情豊かだった)/中立・中庸属性の善人/左隣の人に対しての感情がいろいろとっ散らかってる(※無表情・未出力)/『お前……本当、さァ……(オタク特有の感情+多様性仕様の倫理観とか諸々による情緒=クソデカ溜め息)』みたいなヤツ/家系は多分特殊、親のことはよく分からないまま独りで惰性で生きてる/"鰯の頭"はハッキリ言って某人物を除いて嫌いだし『都合の良い洗脳しやがって、この【自主規制】』とかずっと思ってた、というか今も思ってる
【作中での名前:伏見隆幸】


▷成主の左隣の主人公(年下)
右隣の人が度々気にかけてくれるおかげで映画本編よりは肩の力も抜けて呼吸がしやすい、というか隣にいるとめちゃくちゃ気が楽になる(からか成主に対してのみ心做しか甘ったれ仕様かもしれない)/隣の同僚がスーツを着こなしてて煙草を吸う姿が様になってて尚且つ気遣いできる万能型()なので内心情緒狂いがち(※限界化してるとも言える) /『アンタ優し過ぎてホント駄目(※特別意訳:一人が怖くなるから止めて欲しい)』/同僚がたまに恐ろしく目の奥が暗く冷え切るときがあってしんどくなってる/クソデカ感情水木さん(キャラ崩壊)


※BLD(保険/直接描写無/推定CP:主×水)






※ここまでで嫌な予感がしたら[次の投稿]をタップ推奨



[ひとりきり]



▽作業BGM
『ナツノセ / 本当だよ(covered by Synthesizer V Feng Yi)』
『傘村トータ / 垂直落下(covered by Synthesizer V Feng Yi × Yuma)』


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


 ────『勇気を持って、この世にさよならを』。


 意識が沈むまでの僅かな間、その文言が頭に浮かんだ。
 なるほど、確かに。今まさに命を投げ捨てた訳だが、自分は確かに"勇気を持って"自分自身の人生に幕を引いた。例え、誰にも見つけて貰えずに腐り落ちたとしても、"死ぬこと"は三流以下の行いだったとしても、それよりも許せないことが確かにあったから。

 だからこれで良い。これがきっと最良の選択だった。
 ……あァ、でも。

 最期にあの綺麗な青い瞳を、もう一度だけ見たかったなァ、なんて、────。



 ※ ※ ※



 『転生したら◯◯になった件』なんて言うのは最早親の顔と同じくらい見た文章だろう。SNSは勿論だが『なろう系』なんてジャンルで爆発的に増えたような気もする。
 だがまァ、あえて自分のことを上記のように書くとしたら『転生したらゲ謎(+α)のオフィスシーンに数秒映り込んだモブになっていた件』になるだろうか。何故『+α』かと言われれば、本編よりも前──具体的に言うと"昭和13年頃"に当たる時期にとんでもない人物達が居たからだ。多分年号だけでピンと来る人間は一定数いると思うがそれについては割愛する。とりあえず平成・令和育ちのオタク()が昭和()にぶち込まれたということだけ理解して貰えれば良い。

 はっきり言って昭和のことなんざほとんど知らない。
 時々テレビ番組で『昭和名曲TOP30』だとか、『昭和平成令和で比べてみました』とか、"昭和文化に魅了された令和の少年少女たち"だとか、『戦後80年』の特集だとか、学校で日本史の授業中に生々しい資料映像を見たりだとか、そう言った物や創作物で知った以上の知識は持っていなかった。あとは『昭和レトロ』なんて言われてアデリアのグラスに注がれたクリームソーダやら、古めかしい喫茶店なんかが"映える"と流行っていた記憶しかない。情報の偏りが酷過ぎる。
 さてそんな人間が昭和に転生していると自覚したのは何と終戦後に『帝国血液銀行』へ入社したときだ。もっと正確に言うなら"『左隣の男』を認識したとき"だったりする。──は? 我ながら意味が分からんが。この脳味噌トンチキ挙動し過ぎだろ巫山戯てんのか??? さっさとデバッグしろやクソッタレ。……まァ、つまり"そういうこと(前世での推しキャラだった)"である。閑話休題。

 じゃあ戦時中は?と聞かれれば、簡単に言えば一人称視点でZ指定ゲームをプレイしている感覚で、完全に地に足が着いていない状態だった。けれど一度でも会話をした相手は覚えているのか、ひたすら墓穴を掘っては手を合わせて来世の幸福を祈ってやったりしているのだから、自分が"人で無し"なんだかそうでないんだか最早分からなくなってしまった。ただ『殺すことは駄目』で『死ぬのはもっと駄目』だという強い思いはずっと頭に有って、敵兵と遭遇した際は"致命傷には至らないものの撤退せざるを得ない箇所"を撃ち抜くことが多かった。今にして思えば、よくもまァ戦場のど真ん中でそんな器用()なことをやってのけたなァなどと我ながらドン引きしていたりするのだが。ちなみにその技術を叩き込んだのは今はどこにいるかも、何なら生きているかも分からない、"地方人"と"鰯の頭"共に呼ばれていた人達である。15、6の子供にスリの手口やら女の口説き方やらまで面白がって教えるとか何やってんだろうなあの人ら。そしてそれをクソ真面目に聞いて覚えた十数年前の自分は、はっきり言って頭がおかしかったと思う。当時連絡係としてその施設に出入りしていた中尉が『子供に何を教えているんだ!?』って困惑していたくらいだからやっぱりどこかイカれていたし、何なら救いようが無いほどに自己肯定感やらが地を這っていた。何もかも全部諦めてどうでも良くなっていたとも言う。……そんな謎技能のおかげで今の仕事は幾分か楽だけれど。

 ────まァ、『俺』の話なんて心底どうでも良いわな。



 では『左隣の同僚』が例の因習村へ出張に行ったとき『俺』は果たして何をしていたのか?
 ──答え、なァんにもしていない。
 何せ映画本編序盤で数秒映り込んだ『モブ』でしかないので、あの男──驚くことに『俺』の数個下だった──にしてやれることなんて何も無かった。

 ……『本編前』? そりゃあそれなりに交流はしていたと言うか、二次創作でよく書かれていたような噂やら展開やらが本当に起こるとは思っていなくて正直絶句した。あまりに見ていられなくて同席時は横槍を入れたし、そうでないときはできる範囲でメンタルケアをしたこともあった。……まァ、その流れで"そういう関係"になってしまったのは少し後悔している。自覚しそうになる感情を毎回縊り殺しては、アイツの"丁寧な自傷行為"に手を貸している事実にいつも吐き気が込み上げてくる。手首を剃刀で斬り付けるのとどっちが健全だろうか? 俺にはどちらも不健全に思えて、痛々しくて、苦しくなる。傍から見れば爛れているとしか言えない状態なのに、その癖年下振ってこちらに甘ったれる様子を見せる度に頭を抱えたくなったことも一度や二度じゃない。
 『お前どういうつもりなんだ』と何度問い詰めようと思ったか分からない。


 ただ、一つだけ言えるとすれば────どんな関係だろうと『俺』の存在は、アイツにとって何の影響にも"なり得はしない"って話だ。
 昔から"そういう質"だったから、今はもう何も思わない。どうせ最後は独りになるのだから、期待するだけ無駄だ。
 でもどうせ死ぬのなら、誰かの────大切な"誰か"の糧になって終わりたいと少しだけ思っている。



 ※ ※ ※



 会社に復帰したとき、ふと違和感を覚えて右隣に視線を向けると、同僚の机には何も置かれていなかった。元から整理整頓されていていつも綺麗ではあったが、まるで最初から誰も使っていなかったかのように空っぽだった。────嫌な予感が、する。
 騒つく胸をさり気なく抑えながら、近くの奴に彼の所在を聞いた。

 「あの、伏見さんは……?」
 「あ? ……あぁ、そう言えばお前知らないのか」


 ────伏見なら、亡くなったぞ。







 ※ ※ ※



 同僚──伏見さんは1週間前に遺体が見つかったそうだ。身体は何箇所も刺されていた上に左腕が斬り落とされた形跡があり、右目付近の骨が陥没していたらしい。また発見されたときの腐敗具合から死亡時期は半月ほど前だと言う。……つまり伏見さんは俺の見舞い帰りに、誰かに襲われたということだ。

 既に葬儀は終わっており遺骨は無縁仏として寺に引き取られたようだった。それがどこの寺なのか、俺は知らない。ただ聞いた話、左腕は未だ見つかっていないそうだ。……? "ひだりうで"……?

 「ぁ……」



 『──仕方ねェなァ、これやるよ』
 『何ですかこれ。……人の形に切った紙?』
 『所謂"人形(ヒトガタ)"ってヤツだよ。本気で何もかも嫌になったらソイツを持って、縁切りたいもののことを強く念じながら『もう嫌だ』って口にすれば良い。そうすりゃ"コトワリ様"って神様がスッパリ縁を斬ってくれるって話だ』
 『ははっ、神様って。伏見さん、そう言う眉唾なものを信じてる口ですか?』
 『さてね。まァ、御守り代わりに持っていても損は無いだろう』
 『それはそうですけど……ところで、"コレ"無しだとどうなるんですかね』
 『……聞いた話じゃ、自分の身体の一部が持って行かれるらしいぞ。一番多いのは"左腕"だとか』
 『えっ。…………そこまでして縁を斬りたいものですか』
 『うーん……時と場合に依るんじゃねェかな。限界まで追い詰められたら、そりゃあ縁を切りたいと思うだろうし』
 『……伏見さんも、縁を切りたいと……思うんですか……?』
 『俺? そうだなァ……────』



 「あ、ぁあ、ッ……」



 『──切るだろうな。だって俺の問題に巻き込みたくねェもん。特に身内には、俺のことなんか忘れて幸せになって貰いたいよ』





[ひとりきり]



 ────貴方は"僕"を巻き込まないために、"独り"で逝ってしまったんですか。





✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

か、解像度ォ……(頭抱え)(定期)
勢いで書いた結果BLDみたいな話になりましたお目汚しすみません(ノンブレス)

▽成主
深夜廻のユイの父親と同じことをした(護るために縁を切った/ある意味最終盤のユイ枠)

▽水木さん
それでも手を離して欲しくなかった(強いて言うなら中盤辺りのハル枠)


.

8/4/2025, 8:04:35 AM

[※ggg(?)二次創作/成代?/g謎×hrak]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/クソデカ感情水木さん/尻切れトンボ/リハビリ品/解像度最低値/……地上波で……沼りました……(自供)


▷『夜に潜む者』(成代?)
子供の頃の水木が個性事故()でタイムトラベル的なもの(強制/不本意/正確にはタイムトラベル&スライド)に巻き込まれた時に保護してくれた紫髪の大人/遥か遠い未来の人間/圧倒的善属性/仄かに漂う型月感/水木に『桔梗みたいな人』って思われてる/原作終了後に( ゚д゚)ハッ!って顔をしたっぽい()

▷ゲ謎の主人公(人間)
忘れるべきなのに忘れたくなくて何度も思い出しては『そういえばそんなことあったっけな(棒)』って澄ました顔ですっとぼけかましつつずっと拠り所にしてるって感じの水木(妄言)
確かな星(ゲゲ郎)に出会ったのに、一瞬過ぎった流れ星(桔梗)に未練タラタラ





※ここまでで嫌な予感がしたら[次の投稿]をタップ推奨



[ぬるい炭酸と無口な君]



▽作業BGM
『Hana Hope / flowers』
『朝木ゆう / 繭籠り』
『朝木ゆう / you』


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



 ────俺は未だ、その髪色を、瞳の色を忘れることができない。
 まるで桔梗のような、美しい紫色だった。





 『……俺は未来を教えることはできないけど、これだけは覚えていて欲しい。君が、君たちが命を懸けて走ってくれたから、俺たち今を生きる人間は諦めずにここまで来れたんだってことを』



 ────低く掠れたような声が好きだった。
 その声が容易く相手の意識を奪うことができるのだとしても、俺にとっては優しくて安心できるものだったから。



 『きっと君にはこの先辛いことが待っているけれど、どうか自分のことだけは呪わないで欲しい。どんな結果になろうとも、どんなに苦しくても、"生き残れた"のなら、それは誇れることだから』



 ────上背ある身体が好きだった。
 その手足が容赦無く悪人を叩きのめすのだとしても、俺にとってはこの世の何処よりも彼の腕の中が落ち着ける場所だったから。



 貴方からすれば、奇妙な現象で過去から連れて来られた子供の相手をしていただけなのかもしれない。けれど俺は確かに救われて、数日とはいえ貴方に守られて生きていた。貴方の優しさで"生かされていた"。


 口数は多くなかったけれど、その静かさが好きだった。
 ────今にして思えば、混乱している俺を気遣ってくれたのだと思う。

 首の後ろに手を当てる仕草を見るのが好きだった。
 ────きっと子供の相手なんてそんなにしたことなかったのだろうなと今なら分かる。少し困ったように笑いながら、それでも向き合おうとしてくれることが嬉しかった。

 せめて"俺の時代にもある物を"と、ラムネ瓶を数本買ってくれたことを今でも覚えている。
 ────でも未来の夏は酷く暑くて、あっという間に温くなってしまったけれど。貴方はそれを見てグラスに砕いた氷菓子を入れると、その上からなみなみとラムネを注いで『多分めちゃくちゃ甘いけど、まァたまには良いだろ』なんてにやりと笑っていた。
 『残りは別の日な』と言いながら、やや雑に頭を撫でてくれたその手が好きだった。


 ────自分でも不思議に思うくらい、貴方のことが大好きだった。







 『どんなに遠くても、どんなに汚れても、────君は"星"を探すだろう』





 ────貴方の言葉があったから、ギリギリ壊れずに済んだ。罅割れて、ひしゃげて、ずたずたになって、歪んでしまったけれど、まだどうにか人のままでいれた。

 大人になって、野心を持って走り続けるようになってはいたけれど、それでも時々、ふとした瞬間に貴方のことを思い出す。





[ぬるい炭酸と無口な君]



 ────叶うのならもう一度、貴方に会いたい。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

解像度激荒……怪文書……短い……(頭抱え)(定期)

BLDのつもりは無かったんです本当ですすみません薄目で流し見くらいの感覚でオネガイシマス(震え声)(早口)

.

7/6/2025, 3:12:59 AM

[※grbl二次創作/賢者(塔)成代/twst×grbl /BLD?]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/空の世界から本家の概念(サイコキラー)を押し売りされた《塔》の賢者成主(冤罪/中立・善/元奮励寮3年)/尻切れトンボ/リハビリ品/

※BLD……?(保険)
強いて挙げるとしたらなCP要素:成主(→)(←←←)7



※嫌な予感がしたら[次の投稿]をタップ推奨


[波音に耳を澄ませて]


▽作業BGM
『未i来i古i代i楽i団 / 吸iっiて、吐iく』
『 〃  / 忘iれiじiのi言iのi葉』


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


 ぷかりぷかりと、泡が上へと浮かんでは消える。
 冷たく薄暗い水の中、抗うこと無くゆったりと底へ引き摺られながら、また一つ泡を見送った。



『──それじゃあ行ってくるよ、ロヴィ』


 おねがい、まって


『帰って来たら、また皆で旅行にでも行きましょうね』


 おいていかないで


『うん。お父さん、お母さん、行ってらっしゃい!』


 どうして、オレはとめなかったんだろう





 ────そうして両親は豪華客船と共に沈み、二度と帰って来ることは無かった。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 ────あぁ、なんて酷い夢なのだろう。

 いつぞや見たものよりも余程タチの悪い夢だった。まだ朝には程遠いのに。見たのは今は亡き、"前世"の両親の夢だった。

 かつての俺は『歓喜の港』の出身で、音楽家の父と歌手の母の間に生まれた。その頃はまだ"前々世"を思い出しておらず、割と年相応の子供だったと思う。なぜ頭に"割と"と付くかと言うと、家族曰く『ぐずりも夜泣きもしない、全く手の掛からない子供』だったのだとか。港町だったこともあり波の音が子守唄代わりになったのかもしれないと言われたが、強ち間違いではないと思う。今でこそ弄ってボイスレコーダー代わりにしているが、貝殻に耳を当てて音を聴くのは前世からの習慣だった。特に気分が落ち込んだり、眠れない夜によくやっていたし、今も時々そうしている。


 父はNRCの卒業生で、母は人魚とのハーフだった。両親の所属していた楽団はよくコンサートなどに呼ばれていて、幼い俺は両親に連れられていろんな場所に連れて行ってもらった。団員もみんな音楽が好きな良い人たちだったし、割と可愛がってもらっていた自覚がある。だからこそあの"事故"から、今世に至っても抜け出せないでいるのだけど。

 ──あの日、楽団は豪華客船で演奏することが決まっていた。俺は前日に体調を崩していて、熱は下がっていたものの大事をとって陸で安静にしているようにと言われていた。


『それじゃあ行ってくるよ、ロヴィ。良い子にしてるんだぞ?』
『帰って来たら、また皆で旅行にでも行きましょうね。でもその前に、お父さんにご褒美のタルトを作ってもらわなきゃ』
『おいおい、気が早くないか?』
『あら、ロヴィが良い子にしてなかったことなんてあったかしら。もっと我儘言ってくれても良いくらいなのに』
『……それもそうか。それじゃあ、帰って来たら父さんがタルトを焼いてあげよう。"なんでもない日のパーティ"ではよく焼いてたからね。リクエストはある?』
『リクエスト……? えっと、オレ、タルト・タタンが食べたいな。お父さんがいつも作る、リンゴいっぱい入ってるやつ』
『アレで良いのか? イチゴタルトもマロンタルトも作れるぞ?』
『アレがいいの』
『分かった分かった、タルト・タタンな。──っと、そろそろ行かないと。じゃあロヴィ、行ってきます』
『ふふふ……ロヴィ、お母さんも行ってくるわね』
『うん。お父さん、お母さん、行ってらっしゃい!』


 ────それが両親との最後の会話だった。


 次の日の天気は大荒れで、海は大きく波打っていた。港に泊まっていた船のほとんどは転覆し、海辺に近い場所では洪水になっていたという。俺の家は幸い高めの土地に建っていたから被害を免れたけれど、嵐が去ったあとの港町は酷い有様だったことを覚えている。
 そして────。





『──"ロベリア"君、落ち着いて聞いてほしい。君の、お父さんとお母さんが、楽団が乗っていた船が……沖の方で、沈んだらしいんだ』



『は──?』





 その後のことは、あまりよく覚えていない。ただ一つ分かったのは、あの嵐は"妖精族が悪戯で起こしたもの"だったらしい。
 ────ふざけるなと、本気で思った。
 妖精から見れば小さい悪戯でも人間からしたら大災害でしかないと、何故あの"羽虫共"は理解できないのか。……この時ほど激怒したことは無く、殺意を抱いたのもその時が初めてだった。
 周りは痛ましそうに様子を伺うばかりで助けてもくれないし、"彼奴等"がしでかしたことを"仕方ない"と片付けた。俺の両親と、俺に優しくしてくれた楽団の皆の死が、"仕方ない"だって?
 臓腑が煮えくりかえって、気が狂いそうだった。

 ……実際は、助けてくれていたのだと思う。当時の俺に余裕が無く、全てが敵に見えてしまっていただけで。両親が死んでからの俺は妖精族への怒りでおかしくなっていたし、幼い子供が奴らを殺す算段を立てている姿は恐ろしく見えたに違いないのだから。
 ────そこから紆余曲折あって、学園長が俺を養子にしてあの町から連れ出してくれたのだけど。

 俺が未だ"妖精"を嫌っているのは、この出来事から抜け出せないからだ。だから夢から醒めて、全部片付いたあとのドラコニアからの招待にも応じなかった。一人の人間として最低の対応だろうに、学園長──『父さん』は咎めること無く宥めるように、爪を外した手で優しく頭を撫でるだけだった。

 ────『真実の愛』とやらでヴァンルージュが息を吹き返したのなら、どうして俺の両親は助からなかったのだろう。

 一瞬でもその考えが過ぎってようやく、俺は妖精族を一生許すことはできないのだと自覚した。
 とはいえ、"義妹"──『監督生』の友人で妖精族とのハーフである『セベク・ジグボルト』のことまで目の敵にする気は無かったから、本人が気まずそうに話し掛けて来たときは純粋に驚いた。何せ普段から相手を『人間』と呼び、高圧的な話し方をするような男だったから特に。でもそのおかげで妥協点を見つけることができたのだと思う。
 ────最期まで、ドラコニアとだけは相容れることは無かったけれど。




 ────コン、コン、コンと、ノックされる音で意識が戻される。気怠い身体を起こして扉を開くと、癖のある金糸と青い瞳が目に入った。
 はて、この男が深夜に俺のところに来るなんて何かやらかしただろうか。寝起きの鈍い頭で振り返ってみても、特に思い当たることは無かった。

「……シエテ? こんな夜更けにどうかしたのかい?」
「いや……何かお前、今日様子おかしかったからさ。気になっちゃって」
「……心配しなくても、団長との約束は守っているぜ?」
「そうだけどそうじゃなくて、……?」

 そこまで言ってシエテは俺の顔をまじまじと見た。……あぁ、寝汗を拭い忘れた。これじゃ何か異常があると思われてしまう。この男に内側まで踏み込まれるのははっきり言って嫌だった。作り上げて貼り付けたサイコキラーの側面よりも、おどろおどろしく濁り切った中身を見られることの方が耐えられない。あの頃からもう、どうしようもなく歪んで、元に戻れなくなっているから。

「ロベリア……お前凄い顔色悪いけど、どうしたの」
「……夢見が悪かっただけだよ。夢の内容は、覚えてないけどね」

 嘘だ、はっきり覚えている。あの時の怒りも、寂しさも、虚しさも、恨みも、全部、全部全部全部ゼンブぜんぶ、たしかに、はっきりと、おぼえている。わすれるわけがない、わすれられるわけがない、どうして、どうしておればかりがこんな────。
 ……、……あまりよろしくない精神状態だ、早いところ切り上げたい。

「……もう、いいかな。君も早く眠ったほうが──」
「ロベリア」

 名前を呼ばれて、耳を塞がれた。不可解そうに顔を歪めれば、くぐもった声で『聴いて』と一言だけ言われた。訳が分からないまま目を閉じて聴くことに集中すると、ごうごうと血の流れる音が頭に響く。──何だっけ、音が火山に似ているんだとか、昔何かで聞いたことがある気がする。

「生きてるよ」
「……」
「だからそんな……"置いて逝かれた"みたいな顔しないでよ」






[波音に耳を澄ませて]





 『頼むから』、なんて────。
 どうして彼は俺に対してそんなに悲痛そうな顔をするのだろう。どうして切実そうな声を出すのだろう。何かあれば首を刎ねなくてはならない、手を煩わせるだけの厄ネタだろうに。

 ……あぁでも、その表情が君に似合わないことだけは今の俺でも分かるよ。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

長い上にどうやっても怪文書じみた何かにしかならない件(タスケテ)
当初書こうとした話から大分逸れてて困惑

成主だからここまで病む時があるのであって、本家がこうなることはまず無いでしょう。何ならやらかして団長や天星剣王達に刃先向けられる姿の方が想像しやすいような……(失礼)
余談として、入れれなかったですが作中はアウギュステのどっかの宿屋想定です。夏だといつもゾンビと鮫に溢れてる気がしますが。

あと船云々の辺りは、書いてる途中でタイ■ニックが過ぎったので……←

.

Next