村雨 / shamrock

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[※hrak二次創作/成代?憑依?/ttⅤ×hrak]

《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/ちょっと不穏な心操君(※圧倒的善属性)/尻切れトンボ/リハビリ品/

▷二重人格系心操人使
子供の頃から『自分の中に大人の人が居る』って認識してたって感じの心操くん /害は無いけど主人格を守る為に表に出て来てオートガードしてくる /中の人は別に善人ではない(ててご参照)/相澤先生のことは中の人も『良い人』として認識してる(もしも吊られたら絶対救助に行く枠)



※嫌な予感がしたら[次の投稿]をタップ推奨


[クリスタル]

作業BGM:『探i鉱i者 / M1y Th1ro1ne』


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 けほっ、ごほっ。


 頭のどこかで空咳に似た音が聞こえる。

 ──あぁ、今日はそんなに酷くないみたいだ。
 いつもは咳き込むとガラガラとざらついた音が混じって、呼吸をするのもしんどそうだったから。
 俺が目を閉じて意識を向けていると気付いたのか、その人は目を細めて『大丈夫だよ』と薄く笑みを浮かべた。



 その人は子供の頃から俺の中に存在していた。
 最初は漠然とした感覚だけで意識したことは無かったけれど、ヴィランみたいな個性だと揶揄されて泣いていたときにようやく意志がある存在なのだと認識した。


 ──別に泣く必要なんて無いでしょ。周りから聞いたことを考え無しに口にするような、頭が空っぽの子供が騒いでるだけなんだから──


 心底呆れたような声でそう言ったその人は、筋張った大きな手で俺の頭を柔く撫で、もう片方の手で頬を伝う涙を拭ってくれた。はっきりとした視界で捉えたのは、顔の左側に酷い火傷を負った男の人で、どうしてかはっきりと『俺の中に居る人だ』と当時の俺はすぐに理解していた。
 けれど俺を除く全ての人間は彼を認識することは無かった。他人から『誰もいないところに向かって話しかけている』と指摘されて初めて、俺にしか見えないのだと悟った。唯一両親だけは気味悪がること無く、寧ろある程度理解を示してくれたのが救いだった。

 幽霊、怪異、イマジナリーフレンド、『前世の自分』……調べればいろいろと出てきたが、『二重人格』というのが当時一番しっくり来た言葉だった。……今にして思えば『前世の自分』というのも、強ち間違いでもなかったけど。





 ──ヒトシ、良いものを見せてあげる──


 いつだったか、あの人はそう言って俺の目の前で"姿を変えた"。いつもの火傷のある顔ではなく、全てがまるで、"瓦礫を組み合わせて作った人形"のような異形の姿になった。
 口元には軽薄な笑みを浮かべていて、腹には穴が空いていた。温かかった手は温度の感じない無機質な物になり、原型が残っている右手とは反対に、左手は最早手ですらなく石の寄せ集めだった。左脚も、膝から断裂しているように見えた。とても顔の左半分と全身に負っていた火傷痕とは比べ物にならないほどの痛々しい姿────。
 愕然とした俺を見て彼は喉を鳴らすように笑うと、ツルハシを杖のように軽く振ってみせた。


 ──あの"狂った荘園"の話はしたよね。顔も見たことないけど、そこの主人が妙に太っ腹でさ……いろいろと衣装なんかを貰ったりしたんだよ──

 ──例えば、こんなのとか──


 古い映写機が起動する音が頭に響く。ジジッ、と断続的に響くノイズと共に黒髪は銀髪へ、服装も鉱夫の物から深い青色のコートへと変化し、石塊だった左腕は銀色に煌めく鉱石へと姿を変えた。

 ────言葉は、出なかった。
 光を浴びてキラキラと輝く鈍色がとても綺麗で、俺は目が離せなかった。



 ──確か『輝安鉱』って名前だったかな、この衣装──

『きあん、こう……?』

 ──そう。"スティブナイト"って名前の方が通りが良いかな。一応宝石だよ、毒性があるけどね──

『えっ』

 ──口に含むなんて馬鹿な真似しなきゃ大丈夫だよ。ヒトシは僕と違って"良い子"だからそんなことしないだろ?──


 そう言って彼は硬い指先で俺の頬を撫でて目を細める。微笑めいた表情を浮かべて、何を思ったか俺の耳元へと顔を近付けた。


 ──まだ、ヒーローってやつになりたい?──

『それは……っ、なりたいよ』

 ──……そっか。…………昔、荘園に居た人間から聞いた話なんだけど、"スティブナイト"ってね、『持ち主の夢を叶える』って意味があるらしいよ──








 ──君が夢を叶えるところ、最後まで見ててあげるよ──





[クリスタル]





 『スティブナイトインクウォーツ』という宝石がこの世には存在する。水晶の中にスティブナイトが混入した物だが流通量は非常に少なく、手に入れることが困難とされている。アクセサリーとして売られているものは十万は軽くするものばかりだ。

 けれど彼──『ノートン』の話を聞いてから、どうしても欲しくなった。験担ぎという訳ではないけど、"最後まで見てる"と、俺がヒーローになると信じてくれたから。



 そうしてミネラルマルシェで"一粒だけ"手に入れた『スティブナイトインクウォーツ』は、今は鎖を通して俺の胸元に仕舞われている。



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習作(怪文書/定期)
保留しといてできたのが怪文書……()
ところでこの二人、中の人同じなんですよね。
ttⅤのキャラソンMVが二度美味しい()

▷中にいる人[ノートン・キャンベル(ttⅤ)]
昔の人の幽霊というか、前世の自分というか……な存在。ちなみに後者が正解。危害は加えないけど正当防衛(殺意高め)するために主導権奪って出てくるときはある。基本的に来世の自分(心操くん)を護るため。ヴィランの思考がある程度分かる(自分も加害者側なので)

▷地の文で喋ってる人[心操人使(hrak)]
最初は分からなかったけど現在(原作開始時)は中の人のことを粗方知っている。荘園に来る前に"やってしまったこと"とか、荘園での中の人の姿とか、何が好きで何が嫌いかとか。だって『前世の自分』なので(別人格として存在しているから全く同じだとは思えないけど)

こんなイメージで書きました。

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7/3/2025, 9:59:41 AM