[※hrak二次創作/A成代/FGO×hrak.2/BLD?]
《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/型月産A(中立・中庸)/尻切れトンボ/リハビリ品/
※BLD……?(保険)
※嫌な予感がしたら[次の投稿]をタップ推奨
[まだ続く物語]
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
突然だが、自分は常から悲観的なことを考えている訳では無かった。どちらかと言えば、普段は感情の揺れがあまり大きくない方だと認識している。ただ時折り酷く気分が落ち込み思考が深く沈みきってなかなか戻らないことがあるだけで。
『それってアレっスよね、"鬱"ってヤツっスよね?』と余計なことしか言わない贋作の"青い駒鳥"をはたき落としたことは一度や二度じゃない。医者にかかれる立場でも無ければ、医者は医者でも自分の近くに居るのは、嬉々として身寄りの無い生きた人間や死体を弄くり回して人造人間を量産していた闇医者だけである。しかもこちらに異様な信仰心染みたぐちゃぐちゃな感情を向けているタイプだ。下手に弱みを見せていたらこちらが無事では済まなかっただろう。何を言いたいかと言うと、まともな医者の診断無しに『鬱病』とは言い切ってはいけないという話である。何分、自分は後天的にではあるが『精神破綻者』と呼ばれる側の人間なので『正常』からは程遠いと自覚はしている。しかも一度死んだくらいでは治らないらしく、意図せず"二度目の人生"が始まっても便宜上『鬱』と称するこの症状が消えることは無かった。
長い長い、本当に"永い"タスクをようやく消化して、自分を打倒した相手へ消えるまでの僅か数秒に、最期の賞賛を贈って自分────"俺"の幕は閉じたのである。『並行世界の自分』であればきっと往生際が悪いどころの話では無いだろう。さすがの俺でも"アレ"には何とも言えないが、強いて言うなら『情緒が育ってなさ過ぎでは???』だろうか。寂しがり屋だの愛だの何だの自覚が遅過ぎて臍で茶が沸きそうである。……まぁ、実際にできる人間が居るだろう世界では通じない慣用句かもしれないが。
俺が必ず消化しなくてはならなかったタスクとは『自分が巨悪として死ぬこと』だ。要は『並行世界の自分』と同じ結末を迎えなければならなかったのだ。やりたくもなかったし普通に生きて普通に死にたかったが、『世界』はその役を同一存在の俺を"他所"から引っ張って来て押し付けた訳である。しかも万が一にも『巨悪』が勝った場合、『並行世界』の結果に上書きした上でまとめて『剪定』されるというクソみたいな敗北条件付きだった。だと言うのに自分の周りに集まってくる人間はどいつもこいつも『巨悪』を勝たせようとするいろいろトチ狂ったヤツしか居ないという、心底要らないおまけまで付いてくる始末。
────いやもう俺にどうしろと。
当然最初は抵抗し続けたが、何をしても修正力が働き強制的に同じ、もしくは似たような結果に集束するのだ。さすがにそれが何回、何十回、何百回も続き、精神的に限界だった自分の心は、ある日呆気なく折れた。そして抵抗を諦めた俺は非常に業腹だが、仕方無しに『並行世界の自分』を出来る限りエミュレートする方向へと切り替えたのである。ただまぁ割と判定は緩かったようで、ターニングポイントで"似た事象"さえ引き起こせば掻い潜れると気付いてからは、どこぞの"人形師"や"前世"の職場で技術顧問を務めていた人物の真似事をして、自分の本体は二度と開かない地下深くにコールドスリープ状態で放置した。ちなみに仮に誰かが行き着いたとして、正しい手順で解除しないと肉体が急速に腐り落ちる仕様だ。そうした理由としては、いろいろと厄ネタが過ぎる身体且つ周りが信用ならないのと、シンプルに生身の肉体一つではタスク全てに手が回らなかったからである。寝ている間に何かされる可能性とタスク消費中に行動不能になる危険性を考えたら、低スペックでも行動できる"子機"が複数あった方が良いと思ったのだ。まぁ、早く消化できるならそれに越したことは無かったので、オールマイトから致命傷を貰ったときは『やったぜ俺は寝る(永眠)!!!』などと四徹明けに似たテンションで内心舞い上がっていたのだが。なので意識が浮上したときの絶望感が凄まじかった。『何で延命しやがったんだコイツ』と呪詛を吐きかけたのは言うまでも無い。慌てて接続を切っていたもう一体の"子機"を再起動させ、タスク処理を再開させた訳である。ちなみに俺を延命したのは件の闇医者なのだが、顔が潰れてても気にしないのか、……手つきが、大分……怪し、かった、とだけ言っておこうと思う。正直このときほど視界が無くて良かったと思ったことは無い。未経験では無いが好きでもない他人にそうやって触られるのは苦痛でしかなく、直でそんなものを見ていたら多分もっと精神が駄目になっていただろう。閑話休題。
そうして、まぁ、『並行世界』よりは多少マシな形で『同じ結末』を迎えた訳である。『(必要だと理解しているけど)修正力って本当にクソだな』と何度思っただろうか……もう終わったことだが。
「いやぁ、まだ終わるには早いんじゃないかな?」
────は?
閉じたはずの意識が浮上し、"目を開けば"視界には淡紅色の花が一面に広がっていた。……目を開くって何だ、身体はもう無い筈なのに。鈍い思考のままに"両手"を見てみると、掌の中心にあった穴は影も形も無かった。というか、この身体────。
ふと背後の気配に気付く。振り返ると、そこに立っていたのは身の丈程もある杖を手にした白いローブの男────『花の魔術師』マーリン。
「やぁ、久し振りだね"レイジ"。いや、今は"ゼン"と呼ぶべきかな?」
「……どちらでも。好きに呼べば良いじゃないか」
「なら呼び慣れたレイジにしよう。──ところでレイジ。君また"諦めた"のかい? いけないなぁ、その諦め癖はいい加減に直さないと大目玉を食らってしまうよ」
「……君の大好きな"ハッピーエンド"じゃないか。それに死んだ人間に大目玉も何も無いだろう」
「でもそのエンディングに"君"は居ないじゃないか。──それに、何も無いなんてことは無いさ」
「何……」
「"零治/レイジ"────いや、"然/ゼン"。"ありのままの君"は、君が思っている以上に他人に好かれる人間だよ。だからこそ、君の"友人"はその名前を贈ってくれたのさ」
「それに……どうも君とは違って諦めの悪い子が居るみたいだ。いやァ、君って前から思ってたけど罪深い質だよねえ」
「待ってくれ、どういう────』
「僕はハッピーエンドが好きだからね、このくらい強引じゃないと君はまた諦めて妥協しちゃうだろう? だから便乗させてもらったのさ! ────さぁ、もう一度。今度は"自分だけの人生"を歩むと良い。君の幸運を祈っているよ」
[まだ続く物語]
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
習作(定期/いつも通り勢い)
思い付いたものを全部書いてたら怪文書になった挙句、終盤で地の文が書けなくなって着地点を見失いました()
実はこの後にも書いてましたが時間が足りなかったのとお題から逸れている気がしたので全カット(機会があったら書き切りたい)
.
[※hrak二次創作/Mr.成代/FGO×hrak]
《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/型月産Mr.(秩序・中庸)/原作には無い特殊設定有り/尻切れトンボ/リハビリ品/
※嫌な予感がしたら[次の作品]をタップ推奨
作業BGM:『C.r.u.s.h.e.r.-P/E.C.H.O』
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
──いつからこうなったんだっけ?
幼少期から漠然とした違和感を抱いていた。
世界人口の約八割が当たり前に"異能"を使えるという"異常"。そして隠すこともせずに大っぴらに見せびらかす姿。極め付けは誰もが"ヒーロー"とやらに憧れる精神性。まるで洗脳教育でもしているかのような有様で薄気味悪かった。
──気持ち悪い。
"ヒーロー"と"ヴィラン"に向ける民衆の目が気持ち悪い。実際に目の前で起こっている騒動を見世物として楽しんでいる姿が悍ましい。
どうして笑っていられるんだ。
見えないのか、すぐ近くでぐったりと血を流して倒れている人間が。戦闘の只中に取り残されて恐怖に染まった誰かの目が。
分からないのか、蛆虫のように群がる野次馬のせいで"ヒーロー"が全力を出せなくなっているのが。"ヴィラン"が精神的に追い詰められて後戻りできなくなっているのが。
──気持ち悪い。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いッ!
『────アレ、いらなくない?』
まるでその姿が、
『ふう。やっと止まった。最期までしつこかったな、コイツ』
"妖精"、み、たい、で────。
「────圧紘くん?」
近くで聞こえた可愛らしい声にはっと目が覚めた。酷い夢を見た。汗がひどい。心臓がうるさい。一瞬自分がどこにいるのか分からなくて目線を彷徨わせると、金糸の少女に顔を覗き込まれる。
「…………トガちゃん? 何で、ここに……」
「はぁい、トガなのです。圧紘くんが魘されてたので起こしちゃいました。大丈夫?」
「あぁ、うん……起こしてくれてありがとうね。大丈夫。変な夢、見ただけだから」
「本当ですか? ウソじゃない?」
「ホントホント。ごめんなぁ、煩かっただろ」
まだいつものヘアスタイルにセットされていない頭を撫で、そのまま手櫛で軽く髪を梳いてやる。手袋をしないまま触るのはもしかしたら初めてかもしれない。引っ掛かりのない柔らかな金糸を梳き続けていると目の前の少女──トガヒミコは口元に笑みを浮かべた。
「それこそ大丈夫なのです。でも仁くんと荼毘くんがちょっと心配してました。起こして良いか分からないって言ってたのです。なので私が来ちゃいました」
「そっかぁ。……トゥワイスは分かるけど、荼毘が心配するのはイメージできねェなぁ」
「飼い主さんの足元をウロウロする猫ちゃんみたいでした」
「ふはっ、何ソレ。一気に想像しやすくなったんだけど」
ソワソワと真顔のまま落ち着かずに彷徨く荼毘を想像してみる。なるほど、言い得て妙だ。逆にトゥワイスに関してはあの姿のままで想像できた。きっと目尻を下げて、泡を食ったように心配する。あの男はヴィランでいることが不思議なくらいにその性質は善人だから。本当に、あの男は環境に恵まれず、運も悪過ぎた。
寝起きで鈍いままの頭で思考を巡らせていると、トガは何を思ったのか静かにこちらの上に乗り掛かり、左胸の辺りに耳をつけて抱き付いてきた。側から見たら事案案件だが、本人にその手の思考は一切無いことは今までの行動を見れば分かる。だからこそ、どうして引っ付いて来たのか分からない。
「……眠くなってきたのでこのまま寝るのです」
「んんっ……ちょ、こらっ、部屋戻りなさいって」
「イヤです」
「イヤかぁ……もう。後でちゃんとアイツ等に説明しろよ?」
「はぁい。でもみんな勘違いしないのです」
「えぇ、そうかぁ……?」
「はい」
トガに引っ付かれた箇所から体温が混じり、うとうとと眠気が戻って来る。子供体温って凄い。さっきまで眠ることすら億劫だったのに、今は薄寒さが遠退いて指先まで温い。
──あぁ、だめだ。ねむい。
「……おやすみ、トガちゃん」
「おやすみなさぁい、あつひろくん」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
その呼吸が寝息に変わったことを確認してそっと顔を覗き込む。普段は目出し帽と仮面で隠れている顔は青白く、閉じられた目の下には隈ができていた。
Mr.コンプレスは全国指名手配の怪盗であり、連合のメンバーも彼を紹介した義蘭もその認識だった。────神野から離脱して、ある程度落ち着くまでは。
ヒーローがコンプレスの名前を言ったとき、仮面を付けて顔が見えないはずの彼の様子が気になった。そのときは理由なんて分からなかったが、後に引っ掛かりを覚えていた荼毘が調べてみたところ、コンプレスがアングラヒーローとして活動していたことが判明した。つまりヴィラン連合へはスパイとして潜り込んだ訳である。そのヒーローがヴィランとして名前を呼ばれたということは────捨て駒にされた、ということだ。
ヴィランである自分たちですら同情する程度には酷い話だと思う。真面目に任務を遂行しようとしていたコンプレスを、碌な情報を持って来ないからとヒーロー側──この場合は『公安』だろうか──は早々に斬り捨てた。自分たちの話を聞いて、本当に欲しかった言葉を本心から口にしてくれた優しい人を、簡単に、呆気なく捨てた。コンプレスはあのとき、どんな気持ちでオールマイト達を見ていたのだろう。
そっと頬に触れてみる。ひんやりと冷たくて、その奥にある僅かな熱が無ければ死体かと見紛うほど温度が無かった。
──静かに扉が開く気配がする。起こさないようにか極力音を立てずにベッドまで来た男は、こちらの様子には特に触れずに眠るコンプレスの顔を覗き込んだ。
「……今眠ったので起こしちゃダメですよ」
「分かってる。……にしても酷ェ顔色だな。隈もあるじゃねえか」
「さっきは指先まで氷みたいでした。魘されてたときは汗も酷かった気がするのです」
「それでも引っ付いてるのはなかなかだと思うぜ。……何か言ってたか」
「圧紘くんはイヤな臭いしないので気にならないのです。……『気持ち悪い』とか、『クソ妖精』とか言ってました。あと『頭オーロラかよ』とも言ってたのです」
「どんな夢だよ」
「分からないのです」
男──荼毘は継ぎ接ぎの手をコンプレスの首に当てた。そのまま指をかけて力を込める……なんてことはなく、ただ当てただけ。他人よりも体温が高いらしい彼の手のおかげか、先ほどよりも僅かに表情が緩んだ。
「ねぇねぇ、荼毘くん」
「……何だよ」
「──圧紘くん、私達が貰っちゃって良いよね?」
「……」
「あの人達、圧紘くんのことを捨てました。だからもう良いよね、私達"だけの"『ミスター』で良いんですよね?」
「──あぁ。俺達『ヴィラン連合』の『仲間』だ」
「んふふ、やったぁ。じゃあ圧紘くんは"私達"の"ヒーロー"なのです」
「……そうだな」
[瞳をとじて]
──もう絶対、返してあげない。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
習作(例の如く勢い)
最近またアニメ追い始めた身ではあるのですが実は登場回までまだ追い付いておらず、二次創作知識とネット情報で書いているため解像度めちゃくちゃ低いです……
(※トガちゃんの呼び方についても原作で使われていない場合はこの話の中だけの設定として下さい)
.
[※hrak二次創作/A成代/FGO×hrak]
《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/型月産A(中立・中庸)/尻切れトンボ/リハビリ品/
※嫌な予感がしたら[次の作品]をタップ推奨
[ただひとりの君へ]
作業BGM:『D.E.C.O.*.2.7/罪iとi罰(リメイクVer)』
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
──お前が生きていたのなら、どんな大人になったのだろう。
今は遠い冬の夜。焦土と化した街でお前は他の人間と同じように、目の前で骨も残さずに息絶えた。
伸ばした指先に自分と同じ白く細い髪の感触は無く、触れた瞬間に灰となって崩れ落ちた。病弱故に青白い頬も、温度を伝えるよりも先にはらはらと撫でた通りに輪郭を無くしていった。自分とは違う翡翠の瞳は濁りきり、片方が溶けて眼孔から零れ落ちて原型を留めていなかった。双子なのに、自分よりも少しだけ小さい身体だった。
──享年五歳。
片割れは、弟は、たった五歳で命を落とした。苦しくはなかっただろうか。熱くはなかっただろうか。痛くはなかっただろうか。せめて痛みを感じずに済んでいたら良い、などと、"災害"で焼け落ちて無くなった記憶から、僅かに残った片割れのことを掘り返す。
……あれから何年、何十年経っても、そう思わずにはいられなかった。
世界が焼却されて、必死に取り戻して。そうしてまた、漂白されて。
血反吐を吐きつつ、悪夢に魘されながらも走り切った人生を思い出す。
──赤錆色の髪に金の瞳の少女と、黒髪に碧い瞳の少年。
遠い日に、一方的に別れてしまった人達と同じ色を持つ、よく分からないまま連れてこられただけの、魔術なんて知らない"双子"の高校生。
そして施設で育ち外の世界を全く知らない、"そうあるべくして作られた"薄紫色の髪の少女。
多少戦闘経験があった自分が同行していたとはいえ、血生臭いものとは縁遠い生活を送っていた彼等を戦場へ行かせなくてはいけなかったことが酷く心苦しかった。繰り返すたびに嫌な順応をしていく姿に、かつて慕っていたどこぞの誰かを重ねて心臓が軋む心地になったことは一度や二度じゃない。
──『世界を取り戻す』なんて酷く重い役目を、あの場に彼等しかいなかったとはいえ自分よりも歳の若い子供に背負わせたことが、未だに、どうにも、心残りだった。
──お前が生きていたのなら、どんな大人になったのかな。
お前も大概お人好しだから、『正義の味方』なんてものに憧れて、その道を目指すのかな。別にそれでも良いけど、目指した人の成れの果てを見た側からすると、心配する気持ちの方が強くなるのは許して欲しいよ。だって唯一の肉親だから、誰かのために自分の心を切り売りするよりも幸せになって自分の人生を歩んでる姿が見たいって思うじゃないか。
でも、おまえはもう、どこにもいないんだね。
二度目の生を受けて、隣を見たときにお前にそっくりな子供がいたんだよ。最初はお前だと思ったんだ。でも何でかな、すぐに違うって思って思わず蹴り飛ばしてしまったんだよ。そんなつもりは、一切なかったのに。
慌ててその片割れを抱え上げて、ようやく自分がおかしいことに気が付いたんだ。腕の中の子供は恐ろしく細くて小さいのに、自分はその子供よりも不自然なほどに大きかったから。まるで片割れの分の栄養まで横取りしたような有様で、自分でも気味が悪くて仕方なかった。
普通に生きれるようになるまでいろいろ、本当にいろいろしたよ。きっと側から見たら後ろ指をさされるような悪事だってやってみせた。そうしないと生きてはいけなかったし、片割れを生かすことはできなかったから。時々お前と重ねてしまったせいか、お前の名前を自分の名前だと片割れが認識してしまって途方に暮れたし……正直、虚しかったよ。生きていたのだって惰性で、片割れがある程度自分で生きていけるようになったら密かに自害しようと思っていたのだから。
……けれど、多分最初から、生まれたときから間違えていたんだろうね。
いつの間にか"俺"は世間から魔王なんて呼ばれていて、周りをシンパという名の"化け物"達が群がっていた。その中にはかつて"異能"を取り除いて欲しいと懇願してきた人間や過去に俺を"買った"狂人も複数人混じっていて、逃げ道はとうの昔に、丁寧に潰されていた。両手は既に夥しい血と罪で穢れていて、元に戻れる筈も無く。
そうして気付けば数百年。誰かの異能──"個性"を騙し討ちの如く奪わされたせいで、今日の今日まで変わらぬ姿まま生かされている。
老いて寿命で死ぬこともできず、護衛という名目で側を離れない狂人共のせいで自害もできず。頼みの綱は変質したらしい片割れの個性──"OFA"で幕を引いてもらうことだったが、それも狂人共の横槍で尽くOFAの継承者達は命を落としていった。……唯一俺の頭を潰し、横っ腹に個性を撃ち込まれながらも生存してみせたオールマイトも、いつその命が刈り取られてしまうか分からなかった。
意識を取り戻したときの絶望感は凄まじかった。やっと幕を引けると、攻撃を喰らう寸前までオールマイトに拍手喝采を贈りたいくらいに内心舞い上がっていたものだから、余計に。
いつになったら終われるのだろうか、などと意味の無い自問自答を繰り返しながら、遥か遠い過去に思いを馳せる。
お前や、お前の仲間達はお前のことだと思っていたかもしれないけれど、俺が『自分の弟』だと思っているのはお前じゃないんだ。
今も昔も、あの冬の日に、焼けた冬木で命を落とした片割れだけが────『ヨイチ』だけが、おれのおとうとなんだよ。
──お前が生きていたのなら、どんな大人になったのかな。
ここまで堕ちた俺を、[殺して/救けて]くれたかな。
それとも見捨てて離れて行くかな。
今となっては答えは分からないし、どちらでも良いけど。
どうしてかな、すごくおまえにあいたいよ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
凄い久々の習作(※勢いだけで書きました)
余談として、この型月軸のA成主の名前は『言峰零治』としています。(ゼロに"おさめる"/ゼロに"なおす")
ついでにですが、
型月軸の弟→兄のことが大好き。両親からの暴力を覆い被さって庇ってくれたり、名前をくれたり、寂しいときや辛いときには手を握ってくれたから。兄にも名前を贈りたかったけどその前に聖杯の泥を被って燃え尽きて灰になってしまった。でももしかしたら肉体が無くなった今でも[星/兄]に追い付こうと足掻いているかもしれない。
という裏設定があったり無かったりしますが書ける気がしないので供養としてここに書いときますね()
いつか支部に投げる、かも(予定は未定)
.
[※hrak二次創作/オリ主/Sky×hrak]
《諸注意》
※最早別人(キャラ崩壊)/ネームドキャラの親戚位置に居る設定のオリ主(に辿り着かなかった)/尻切れトンボ/リハビリ品/
※嫌な予感がしたら[次の投稿]をタップ推奨
side:抹消(のつもり)
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
──子供の頃の話だ。
今思えば、夢でも見ていたんだろうなと思う。ただそれでも、あのクリムゾンレッドの蝋燭に灯る淡い炎が忘れられなかった。
『──おや? 珍しいな、ニンゲンなんて』
『迷子か?』と小首を傾げながら、先の見えない暗がりからカンテラを片手にソレは現れた。
混じり気の無い白い髪と暗い褐色肌のソイツは、顔を覆う仮面の向こうから黄金色の目を覗かせていた。民族衣装に似た身形をしていたせいか、見た目は中性的で声を聞くまで男だと認識できなかった。そのときの俺はと言えば、自分の手も見えないくらいの闇に怯えて身動きが取れなくなっていたんだったか。事実カンテラと共に男が現れるまで心細くて泣きそうになっていたのだし。当時7歳未満の子供だったにしては、まぁ我慢強い方だったと思う。
『うん? ──あぁ、なるほど、"引っ張られた"のか。にしても"裏世界"の方に落ちるなんてお前も災難だったな』
『……うらせかい、ってなに?』
『裏世界は…………ソファの裏とか、束ねたカーテンの中とか、そんな感じの場所……っていうのかな、あれ。……説明ムズイな。──あ、ルイス・キャロルの『不思議の国アリス』とか読んだことはある?』
『ウサギをおいかけて、あなにおちるやつ?』
『そうそう。今のお前は"アリス"みたいになってるってこと。ただ彼女と違って穴の中で迷子になってたみたいだけど。……とりあえず、ここは真っ暗で何も無いし、表に連れて行くよ』
そう言って俺の手を優しく、けれどしっかりと掴んだ男は、明かりを消したカンテラを背負うと外套を"羽撃かせた"。
驚いて思わず目を瞑った俺を見て、男はやわらかい声で『目を開けてみな』と言った。言われるがまま目を開けると、一面の星空と月明かりに照らされた青紫色の砂漠が広がっていた。
『運が良いな。最初に見るのが《星月夜の砂漠》なんて』
『"王子様"の導きかもな』と、男はゆっくりと地面に降りると俺の手を緩く引きながら、砂漠の奥にひっそりと佇むバラの庭園へと足を進めた。
【暗がりの中で】
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【定期】着地点見失いました(タイムアップ)
いつか書き直したい(切実)
星の子の容姿は現時点では特に決めてないです。
[※hrak二次創作/成代?/twst×hrak]
『ねぇねぇ、ホホジロザメせんぱぁい』
背後から伸し掛かってきたデカい図体の後輩は、相変わらず何の基準で付けたか分からない渾名で俺を呼んだ。聞く人が聞けば恐怖に震えるだろう猫撫で声で、何でかは知らないが腕を前に回してこちらに抱き付く他寮の人魚は、これまた猫の真似事でもするように頭を僅かに擦り付けてくる。頭撫でろってか。視線は手元の端末に向けながら反対の手でターコイズ色のサラサラとした髪を梳いてやると、背中に張り付いている後輩は満足そうな声を出した。
『毎回思うけど何でホホジロザメ?』
『んーと……小エビちゃんが『サメも臆病な性格だ』って言ってたんだよね。オレらからしたら天敵って印象しか無いから結構びっくりしたんだけど、イグニハイド寮生のセンパイもそういうところあるじゃん。だからホホジロザメ』
『……分かるような、分からないような』
『あとねぇ』
『まだあんの?』
『ホホジロザメセンパイって、いっつもオレらの考えてること大体察してるでしょ? ──サメってさ、第六感があるんだって』
────ほら、センパイにぴったりじゃん。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
──何で今、思い出すかな。
目の前にあるのは沢山の貝殻で作られた風鈴。夏休みの自由研究で、クラスの"誰か"が作った"拙い作品"だった。……いや、『拙い』は言い過ぎか。エレメンタリースクール──小学生の作る作品にしては、かなり出来が良くて手の込んだ代物ではあるのだし。我ながら何様だとは思うが、なまじ『前の人生』でいろんな意味でレベルが高い連中と連んでいたせいもあってどうも自然と求める基準が高くなりやすい。良くないことだな。
ふぅ、と息を吐いて作者を確認した。『誰か』なんて惚けてみたけれど、本当は誰の作品かなんて分かっている。
名前の欄には、まだ慣れていない筆跡で『爆豪勝己』と書かれていた。
.
.
.
あっちはどう思っているか知らないが、俺達は世間一般で言う所謂『幼馴染』というやつで、アイツは『個性』も派手で何でもできる『才能マン』というやつだ。その代わり口も悪ければ性格も残念……というか、みみっちい。別に悪いヤツではないしヒーローに憧れるような可愛げはあるけれど。ただまぁ誰にだって生理的に受け付けない人間ってのは居るもので、カツキ──『爆豪勝己』──は同じく幼馴染の『緑谷出久』に対してはかなり暴力的だった。お前らチビのときは一緒に遊ぶくらい仲が良かったのにな、何でだろうな。まぁ斯く言う俺も緑谷のことは苦手だけど。『良い子』ではあるんだろうけれど、一挙一動から漂う『RSA』臭が、もう、なんか…………俺には無理だった。閑話休題。
何が言いたいって、"多少"思春期とか反抗期のアレソレで暴力的ではあるものの親から一心に愛情を注がれて育ったそんなヤツが、漫画の一話で出番が終わるモブキャラみたいな俺と何で10年も連んでいるんだって話で。
……何を考えているんだろうな、本当に。
同じような声で、同じような獰猛さで、同じようにときどき甘えを見せてくるカツキは、容姿は全く似ていない癖にどこかあのウツボの人魚を思い起こさせた。
あぁでも、超が付くほどの気分屋な後輩と違って、カツキは割と静かな方かもしれない。付き合いが長いからかは知らないが、俺やもう一人に対してはそんなに声を荒げたり威嚇したりはしなかった。
緑谷に関しては論外です、関係修復は自分でガンバレ。イカれてる自覚も無ければ、幼馴染を色眼鏡で見続けている今のお前には無理だろうけど。
.
.
.
「"ケイ"、お前ピアス開けたんか」
「ん? ──あぁ、うん。でも開けてから学校で付けれねぇってこと思い出したわ」
「ハッ、バカかよ」
「ホントそれな」
何となく、本当に何となくで開けた。多分後輩が付けていたものとよく似たピアスを露店で見たからかもしれない。ターコイズブルーでコーティングされた、鱗型に加工されている貝殻と銀の金具の三連ピアス。ここまで来ると呪いみたいだな、あのクソ論外。どうしてくれる。
「……そのデザイン似合わねぇな」
「あー、やっぱり? たまたま目に付いて衝動買いしたけどコレジャナイ感が凄くてさ」
「んなジャラジャラしたもんよりシンプルな方がテメェに合ってるわ」
「あら、お前意外と俺のこと見てんのね」
「やるなっつっても平気で未成年喫煙する癖にツラだけは無駄に良いからな」
「ゔ、っ、うーん…………ソウ、ネ。煙草に関してはごもっとも」
本人は貶してるつもりなんだか何なんだかよく分からないが、カツキから見ても俺の顔は比較的整っている方だと認識していることは分かった。突然ぶち込まれたせいで変な返しをしてしまうくらいには驚いたが。お前それどういう感情で言ってんだ、聞きようによっては『ツラが良いから見てる』ってことになるぞ。言ったら高確率で喚き出すから黙っているけど。耳元でしゃらしゃらと鳴るピアスを外して制服のポケットに突っ込む。指先にライターが当たったが、素知らぬふりをした。
「おい、行くぞ」
「あ? どこに?」
「テメェのセンスじゃ、また似たようなの買いかねねぇだろ」
「あはは……仰る通りで」
【貝殻】
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
リハビリ品。(訳:タイムアップ&着地点見失いました)
成り代わったのは巷で『刈り上げくん』って呼ばれてるあのモブです←