「普段言えないことを書けばいいと思うわよ!」
オペコの言葉が頭の中に響く。
「普段言えないこと…」
みんなに手紙を書くことになった私がぽつりと呟く。
なんだろう?アミダがテストでとった赤点を漫画に挟んで隠した、とかそういうことじゃないらしい。
なんだかんだ私はみんなに思った事は言っているので普段言えないこと、というのがわからなかった。
「もし悩んでるのならばこれはどう?大好き〜という気持ちを書くの!」
筆が止まってる私を見かけたオペコが話しかけてきた。
「大好きって…気持ち?」
「うん、ネオだってさよグラのみんな、大好きでしょう?」
「大好き」
「なら、それをみんなの手紙に書けばいいのよ!」
そう言ってオペコはニヤニヤしながらこちらを見ていた。
大好きなみんなへ、手紙、喜んでくれたら嬉しいな。
そう思い私は手紙を書き進めていった。
外を見るとふわふわな白いものーーーーー雪が降っている。
アミダは楽しそうに「雪だー!積もるの楽しみだね!」と言っていた。
私は空から永遠と降る雪を窓側で見つめていた。
「この調子だと沢山積もりそうだね」
そう話しかけてきたのはハレルヤだった。
手にはマグカップが二つ、一つは私に。
私はココアが入ったマグカップを受け取る。
じんわりと温かくこの寒さにはぴったりだった。
私はポツリと呟く
「積もったらアミダが喜ぶね」
「ふふふ、そうだね」
「雪合戦…っていうの、やってみたい」
「ネオ、強そうだな〜」
「負けないよ」
ふんすっと勢いよく鼻で息を出して言うと、ハレルヤはクスクス笑いながら言う。
「雪合戦、楽しみだね」
「うん」
静かに落ちていく雪を見ながら、私たちはたわいのない話をしていった。
スヤスヤと寝息をたててハレルヤはソファで寝ている。
私はそんなハレルヤの顔を覗き込む。
「ハレルヤ…」
名前を呼んでみるが、ハレルヤは深い眠りにはいってるようで起きない。
「………」
ハレルヤの顔をまじまじと見ると普段の頼りない感じより美しく綺麗な顔立ちをしていた。
(綺麗…)
こんな綺麗な物を私のモノにしてしまいたい…そんな気持ちが込み上げてきた。
気づいたら私はそっとハレルヤの頬に自分の唇をおとしていた。
ハレルヤは私のこの気持ちに気づいていないだろう。
せめて、今だけは…
私は溢れそうになった気持ちを、頬にキスをおとしてしまっていった。
紙のめくるいい音がする。
「ハレルヤ何読んでるの?」
ソファーに座るハレルヤの横に私は座り訊く。
「ん?これはね、心優しい男の子が仲間の動物達と一緒に悪者と戦うお話」
ハレルヤは読む手を止めてこちらを見て優しい笑顔を見せながら言った。
「そうなんだ」
ハレルヤは読書が好きみたいで暇があれば本を読んでいる。本に目線を落とすハレルヤの綺麗な瞳、長いまつ毛、女の子かと見違える程だ。
(その視線…私に向けてたら良いのに)
なんて思ってしまった。
「?ネオどうしたの?」
私が目線を送ってるのに気づいたのかハレルヤは声を掛かる。
「ううん、なんでもない」
「そう?」
そう言ってまた本を読むハレルヤを私はただ見つめる。
(私も本、読んでみようかな…)
秋は始まったばかり。
そうやって夜は更けてく
「あ〜学校疲れたーーー!!!」
ばたり、とアミダはリビングのソファに倒れるように飛び込む。
「夏休み終わっちゃったら一気に夏が終わった〜って感じ!」
「まだ暑いよ」
私はソファに寝そべるアミダを床に座りながら見て言う。
「暑くても気分!気分が夏が終わっちゃったの!」
「そうなんだ」
アミダはソファで仰向けで寝て足をぱたぱたさせている。
「そう言えば、今年の夏はそうめんやらなかったなぁ」
「一昨年は流しそうめんってやつやったよね、部屋びしょびしょにしてXに怒られた…」
「そうそう!次は庭でやれ!ってね!ネオは流しそうめん初めてだっけ?」
身体を起こしたアミダはこちらを見て言う。
「うん、初めて」
「なら、またやりたいよね!!!今度Xとハレルヤに内緒でやっちゃお!Xに言うと怒られそうだし…」
と最後はごにょごにょとアミダは言う。
「そうだね、私たちで出来るかな?」
「出来るんじゃない?組み立てて水流すだけだし!」
そわそわするアミダを見て私もだんだん楽しみになっていく。
「じゃぁ、今からやろうか」
「うん!」
上手く流しそうめんの土台を組み立てられなくて2人が庭をびしょびしょにしてXに怒られたのはまた別の話。