『20歳』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
二十歳
海が見える街の片隅で
彼が選んだ花束と共に
今日一日を彩る、百合の花
1/10「20歳」8
『20歳』
「おめでとうございます。今日で二十歳ですね」
そう言いながら市の職員が差し出したのは、分厚い請求書だった。
二十年分の医療費、教育費、食費、光熱水費、住居費、日用品費、被服費、交通費、そして存在維持費。
端数まで細かく刻まれた数字の羅列が、僕の喉を締め上げる。
ふと窓の外を見ると、同じスーツ姿の若者たちが、市役所のロータリーに停められたトラックに次々と詰め込まれるところだった。
支払えない者は、アレに乗ってどこかへと運ばれるのだ。
少子化を極めた我が国は、子育てにかかる費用を全額国費で賄うことにした。国民はそれを喜んで受け入れた。
ただし、それは成人するまでの話。
二十歳になった瞬間に、それは本人負担の負債へと変わる。
さて、と目の前の職員が微笑んだ。
「あなたの返済プランを伺いましょうか」
『20歳』
ひさしぶりに会う
口が上手くなった
愛想笑いが上手くなった
ゴマすりが上手くなった
ひさしぶりに会う
タバコを吸い慣れた
お酒も飲み慣れた
騒がしい街にも慣れた
ひさしぶりに会う
嘘が下手になった
取り繕うのが下手になった
人付き合いが下手になった
華やかに着飾った日
いつまでも垢抜けなくて
いつまでも不器用で
いまどうしてる?なんて
お互いに気まずいことを
聞いている
ひさしぶりに会った
昔と変わらないね
そう言われて安心した
そうさ変わらないさ
私たちは
飲んだこと無いなんて、嘘でしょ?
会話が途切れた隙にすっかり赤くなった顔へ尋ねたら、半個室の薄暗い明かりの下でジョッキ片手にきみが笑った。
『20歳』
1月12日(月祝)午前 11:00~
東京都立産業貿易センター浜松町館2階南で開催の「第3回もじのイチ」に出展します。
こちらで書いてきた短編を再編し本にまとめました。無料配布もあります。入場無料です。
参加される方いらしたら、ご一緒に楽しみましょー!
【イ18】如月堂 日下めぐる名義
翌朝。
目が覚めた睦月《むつき》は、自身が燈里《あかり》たちの部屋にいることに一瞬驚きをみせたものの、すぐに笑顔で朝の挨拶をした。
「おはよう、燈里お姉さん。冬玄《かずとら》おじさん。夢の中ではありがとうね」
「う、うん。おはよう……大丈夫、なの?」
「のんきな奴だな。もう少しで、連れていかれる所だったんだろうが」
取り乱す様子のない睦月に、冬玄は僅かに眉を顰める。だが睦月は冬玄の言葉に不思議そうに首を傾げ、何度か目を瞬いた後、あぁ、と納得の声を上げた。
「だって、前に夢で見たもん。お姉さんが引き留めてくれる所……でも、おかしいなぁ?」
「何がおかしいの?」
「ヒガタはね、小正月の晩に山から下りてくるんだよ。いくら夢の中だからっていったって、小正月前に来るはずはないんだけど」
眉を寄せ、睦月は考え込む。燈里もそんな睦月を見ながら、違和感に眉を寄せた。
昨日初めて出会った時から、睦月はヒガタに似た何かをヒガタだと呼んでいる。久子《ひさこ》のようにモドキとは、一度も口にしてはいなかった。
「睦月ちゃん」
「なぁに?お姉さん」
無邪気な目が燈里を見つめる。その真っすぐさに燈里は小さく息を呑みながらも視線を逸らさず、浮かぶ疑問を問いかけた。
「睦月ちゃんは久子さんが言うモドキを、本物のヒガタだって思っているの?」
きょとん、と睦月は目を瞬いた。問われた内容を理解するように視線が宙を彷徨い、首を傾げる。
「ヒガタはヒガタだよ?本物とか違うとか、そういうのじゃなくて、ヒガタなんだよ」
答えにならない答えに、燈里は困惑して眉を寄せる。話を聞いていた冬玄がさらに問いかけようと口を開くが、言葉になる前に障子戸が静かに開かれた。
「話の途中で悪いんだけど、朝食できたよ。続きは食事が終わってからにしようか」
翁の面を片手に楓《かえで》が声をかける。
その言葉に、自身が朝食の準備を忘れていたに気づいたらしい。声にならない悲鳴を上げながら、慌てて部屋を出ていく睦月の背を見ながら、楓は小さく肩を竦めた。
「ありがとう、楓」
「どういたしまして。でもあの子、混乱するんじゃないかな。客人に準備をさせたと思ったら、自分が準備をしていたって言われるんだろうからね」
手の中の面を弄びながら、楓は苦笑する。戯れに面をつけると、その姿が揺らぎ、面を除く全身が影に解けていく。ぐにゃりと歪んだ影は誰かの形を取り、再び小さな揺らぎの後、その姿は楓ではなく睦月のものとなっていた。
「起きたのなら、布団を畳まないとね」
睦月の姿をとった楓は慣れた手つきで布団を畳み、ひとつ遅れて燈里もまた自身の布団を畳んだ。
畳んだ布団を部屋の隅に寄せ、楓は面を外して元の姿に戻る。あまりの流れ作業に、見ていることしかできなかった冬玄を横目に燈里の手を取り歩き出した。
「さぁ、まずはしっかりご飯を食べて、聞き込みはそれからだよ。必要なら、山の入口にも行ってみよう」
「うん。そうだね……小正月までに調べておかないと」
楓の言葉に頷き、燈里は僅かに表情を強張らせた。
小正月。改めて残された時間を思い返し、繋いだ手に力が籠る。
「そんなに構えるな。そんなんだと、見えるものも見えなくなるぞ」
燈里の様子に気づいた冬玄が、安心させるように笑い頭を撫でる。大丈夫だと告げられて、燈里の表情が僅かに綻んだ。
「うん。ありがとう、冬玄」
微笑んで背後にいる冬玄に軽く凭れれば、楓は苦笑して燈里と手を離した。少し先を歩けば、冬玄が燈里の横に並び手を繋ぐ。
冬玄と楓の優しさに、燈里の中の不安が消えていく。小さく吐息を溢し、軽くなった足取りで居間へと向かった。
「睦月ちゃん」
朝食後。
片付けを終えた睦月が玄関先で雪かきをしているのを見つけ、燈里は声をかけた。
「なぁに?」
振り向いた睦月の目が、燈里の隣にいる楓に向けられる。途端に眉を下げ、深く頭を下げた。
「楓お姉ちゃん、今朝はごめんなさい。それとわたしの代わりに朝ごはんの準備をしてくれてありがとう」
「どういたしまして。ならそのお礼代わりに色々教えてくれないかな」
「うん、いいよ。わたしが知ってる村のこととか、夢のこととか、何でも教えてあげる!」
笑顔で頷く睦月に、楓も笑みを浮かべながら問いかけた。
「その夢のことだけど、どこまで本当なのかな」
穏やかな口調だが、その視線はどこか鋭い。燈里と夢を共有したとはいえ、それを頭から信じるに足る情報を有してはいなかった。
楓の問いに、睦月は首を傾げる。眉を寄せ考えるように視線を彷徨わせながら、ゆっくりと口を開いた。
「たぶんね、ヒガタに関することは本当なんだと思うよ。うまく言えないんだけど、他の夢とは違うもの。音とか匂いとかがね、強いっていうか、はっきりしてるっていうか……そんな感じ」
「君はヒガタと近いから夢を見るのかもしれないね。巫女かなんかの血筋なのかな」
「巫女?違うよ!」
首を振って、睦月は笑う。くすくす声を上げ、こっちと手招きながら歩き出す。
「わたしが夢を見るのは、きっとご先祖様がすごい人だったからだよ」
そう言って睦月は十字路まで来ると、道の脇にある小さな祠を指さした。
燈里が中を覗くと、中には地蔵菩薩の石像が祀られていた。
「わたしの家は、元々石工をしていたんだって。それでね、ご先祖様にすごいご利益を持った仏像とか作れる人がいたんだってさ」
「確かに……これはすごいな」
目を細め、冬玄が感嘆の息を漏らす。
静かに佇む地蔵は、長くこの村を守ってきたのだろう。冬の空気よりも澄んだ気配に、冬玄は無意識に手を合わせた。同じように燈里と楓も手を合わせる。
「この地蔵様はね、ご先祖様が二十歳の時に作ったんだって。二十歳になったその時に、本物が作れるようになって、村にご利益を与えてくれたんだってばあちゃんが言ってたよ」
「すごい人だったんだね」
「うん!だからね、本物の仏様を作れるご先祖様の力が、ヒガタのことを夢に見せてくれてるんじゃないかな」
誇らしげに睦月は胸を張る。その頭を撫でながら、燈里は冬玄と目を合わせ頷いた。
睦月の見る夢は情報として、信頼できる。燈里は睦月の肩に手を置き、目を合わせて問いかけた。
「睦月ちゃんの夢のこと、もう少し詳しく教えてくれないかな。ヒガタについて知りたいの」
「分かった!あ、でも、ヒガタのことなら浜吉《はまよし》のおじちゃんとこに行った方がいいかも。ヒガタの祭りを始めたのはおじちゃんだって、前にばあちゃんが言ってた」
「浜吉?」
聞き覚えのある単語に、燈里は眉を寄せる。楓も眉を寄せ、あぁ、と思いついたように声を上げた。
「楓?」
「手紙に書いてあった娘だよ。一番最初にヒガタについて行った娘がそうだったはずだ」
言いながらも、楓は眉を寄せたままだ。
ヒガタという来訪神の風習を持ち込んだ浜吉。泣く子を攫うヒガタに、泣かないからとついて行った娘。
削がれたからという言葉。
疑問が渦を巻き、徒に不安を掻き立てる。
「俺が話を聞きに行く。燈里は楓と夢の話を聞いておけ」
「分かった……気を付けなよ。何が起こってもおかしくない状態になってきたからね」
楓はヒガタがいる山を見上げ、守るように燈里と手を繋いだ。
20260110 『20歳』
『20歳』と『三日月』
「──なにも変わらなかった」
20歳が三日月に言った。
「17歳や18歳、19歳のときと同じ。ただ昨日が今日になって、すぐに明日になっただけ、ワタシも世の中も、なにも変わらなかった」
「そりゃ、そうだろ? この世は基本、なにも変わらない。少々歳を重ねたところで、オマエはオマエでしかないのだから」
「アナタは──見る度に、その姿が変わるのに?」
「スポットライトの当て具合が違うだけだ。光の加減でオレは、マッチョにも、いまのようなヒョロヒョロの優男にもなる。だがオレは、未来永劫、オレでしかない」
「ああ、そういう……三日月のアナタも満月のアナタも、アナタはアナタである、と」
「フン……まぁ、そういうことでもいいか」
三日月は鼻で笑い、そして続けた。
「で? オマエは、どんなふうに変わりたかったんだ? いや待て、当ててやろう。いまのオマエじゃないなら、なんでもよかった──ここではないどこかへ行きたかった〜、とか、どうせそんな感じだろ?」
「……普通に、腹が立ちますね?」
「フッ、腹が立つなら重畳。まぁせいぜい、いま現在ココにいる、オマエのままでいることだ。そのまんまのオマエでもな、意外と、なんにでもなれるぞ? ……オレと違って、な」
それから──月日が過ぎ。
かつて20歳だった者は、久しぶりに見上げた夜空に三日月があるのを見つけ、三日月と話したことを思い出した。
「……アナタは。変わらずにそこにいる」
かつて20歳だった者は続けた。
「ワタシも、どんなにあがいても結局、ワタシのままでしたが。でも何者かには、なれたかもしれませんし、これからも……まだ、なんにでもなれる。アナタとは違って」
三日月からの返事はなく──かつて20歳だった者は、ふいっと三日月から視線をそらす。そして背に月光の当たる熱にも気づかず、一人夜道を行くのだった。
あと5年。あと3年。あと1年。あと1日。
やっとあなたに追いつけると思ったのに、あなたはそれよりずっと先にいるみたいだ。
白い泡をぼんやりと見つめる。カランと氷の音がして顔を上げると、あなたの笑顔があった。
楽しみにしていた自分が馬鹿みたいだ。
ねえ、一体いくつになれば、その笑顔を見なくてすむんですか。
20歳を迎えた時、20歳になった実感は無かった。タバコも、酒もやらないだろうと思っていたし、引きこもりがちで友人もおらず中学生から同じような趣味をずっと続けてきたからだ。そもそも、一区切りが20年って短くない?大人を見ると、どうやっても子供には戻れないと痛感する。
今でも自分が大人なのか疑問に思う時がある。「そう思わなくなったら大人なんだよ」そうか、なら思い続けよう。
20歳はたち
私は二十歳になる2週間前に世の中を知った。
「世の中では理由もなく嫌われることがあるのだ」と
「他人のことなどさして気にしていないし、困っている人がいても下手に関わりたくないものだ」と。
それは私には必要な知識で
乗り越えなければならない苦しみだった。
大学で合気道部に入部し、同期の女子は3人だった。
半年ほど経ってから、ある一人に嫌われるようになった。
関節技で畳をタップしても技を止めてくれなかったり、関節の固い私を嘲笑うようにため息を吐いたり、
逆に身体の柔らかい彼女は私の技をすり抜けるようになった。
話しかけても素っ気ないし、グループでいるときなんかは私を空気のようにいないものとして扱った。
目を合わせることもなければ、笑顔を向けることもない。
あからさまな態度に私は衝撃を受けた。
19歳にもなって、こんな小学生みたいなことをする人がいるんだと。
私は何をしたんだろう?
1日の中でそれを考える時間がどんどん増えていった。
周りの部員に私たちの不仲はどう写っているのだろうか?迷惑じゃなかろうか?
私は二十歳になる前に、彼女と会談の場をもうけることにした。
「私、なにかした?なんで避けるの?何が気に食わないの?」と。
彼女のアンサーはこうだった。
「してないし。先に避けて話しかけてこないのはそっちじゃん。」と。
話は平行線で何も解決はしなかった。
私は人生で初めてカウンセラーのカウンセリングを受けた。
大学には担任の先生なんていう相談機関はなかったのだ。
カウンセラーにことの顛末を話しきるとカウンセラーはこう言った。
「長年、カウンセリングをしていますが、
あなたの話しぶりはまるで親に嫌われた子供のように深刻な話しぶりですね。
友人一人に嫌われたくらいいいじゃないですか。
他に友だちは沢山いるんでしょう。」
冷たいような反応だったが、私の悩みはそれで吹き飛んだ。
『そうだよね。親に嫌われたわけじゃないもんね』と。
単純だった。
「理由もなく、人を嫌う人は沢山いますよ。
生理的に無理だったり、過去の出来事とあなたを重ねて嫌悪しているのかもしれない。
あなたが頑張って解決できるものではない。
これからはそういう人もいると受け入れて、そういう人とは関わらないように上手に距離をとりながら生きる方法を考えた方が有意義ですよ。」
「まわりが困っているあなたを助けてくれる、というのもあなたの期待なんです。あなたは勝手に期待して、勝手に裏切られたと思っている。普通の人は他人のトラブルにできるだけ巻き込まれたくないと思っているはずなんです。それが普通だと知った方がいい。そんな白馬の王子なんていないんですよ。」と。
そうなんだ。と悲しくもあり、当時の私には笑える回答だった。
『私は悪くない。みんなは彼女に振り回されている私に同情してくれているはずだ。さらっとスルーして楽しくみんなと過ごした方がスマートで格好いい。』
そう思うことにして自分を守った。
私はその一週間後に、考え方を改めて二十歳を迎えたのだ。
「二十歳になったら、あたしはどんな大人になってるんだろう」
あたしは『未来の人生計画』と書かれた宿題を見ながらそんな言葉を呟いた。
マスコットは昼頃に敵を倒したあとに『ちょっとキミから離れるけど明日までには戻るから安心してくれるかい』なんて言いながらいなくなったきり、姿を見てない。
そんなことを言われるのは初めてだからちょっとだけ不安だしドキドキもしてるけど、もう敵を倒した後だからそうそう危ない目には合わないだろう。会話をする相手がいないのがちょっぴり悲しいくらいだ。
二十歳。あたしは何をしてるんだろう。
魔法少女はまだやってるのかな。二十歳で少女なんてちょっとだけ変な感じがするけど。でも、辞めることなんて出来るのかな。死ぬまで、って言ってたしお姉さんになってもおばあさんになってもやらなきゃいけないならちょっとだけやかも。
何かになっているのかな。今、夢と言える夢は持ってないけどどうなんだろう。これから生きていくうちに何かになりたいって気持ちが湧いてきて何かになってるかもしれない。ただ普通に会社員とかになってるのかも。
『やぁ、ただいま』
そんなことを考えてたら壁をすり抜けてマスコットが帰ってきた。
「あ、おかえり」
『それは宿題かい? …………未来の人生計画?』
覗き込みながら題名を不思議そうに読み上げた。
『そんなものを書かなきゃいけないのかい、人間は』
「そうなの。だからどうにかして考えなきゃいけなくて」
あたしがそう返すとマスコットはチラリとこちらを見てから、ふんわりと笑った。
『キミはもちろん、魔法少女を続けることを念頭に置いて考えてくれよ』
「あ、少女じゃなくなっても続くの?」
『……………………そういうことになるね。キミはやけに些細なことが気になるようだ』
マスコットはそう言ってからため息をついた。
「そういえば、何しにどこに行ってたの?」
『……キミの報告をしに行ってただけだよ、カオル』
第十一話 二十歳
『20歳』
20XX年1月某日
知ってるような知らないような
顔がたくさん笑い合っていました
聞いたことあるような無いような
声がたくさん飛び交っていました
20歳
キミとショッピングをしていると、鮮やかな着物を着た人たちをちらほら見かける。
「ああ、今日は成人式…今は、20歳の集いって言うんだっけ、それがあるんだね」
着物を着た人たちをキミは笑顔で眺める。
「着物かぁ、みんなキレイだね。キミの着物姿もキレイだったんだろうな」
キミの横顔を見つめそう言うと
「今度、写真を見せようか?」
俺を見つめ返し、キミはにこっと笑う。
「うん、見せてほしい。けどさ」
キミの耳に唇を寄せ
「俺のために白無垢姿を見せてほしいな」
と囁くと、キミは顔を紅くし頷いたのだった。
法に達する者、これより汝、人と成る。
己を律し、己を探究せよ。
問われるは責任。得られるは自由な選択。
過ぎ去るは幼き自分。
何を成し、何を目指すか。
汝、軽んずることなかれ。
「お題 20歳」#112
『20歳』
華やかな振袖を着て
久しぶりの友人に会って
みんなでお酒を飲んで
積もる話もたくさんして
そんな二十歳を、私も迎えられますように
はたちってなんだろう。先輩が成人式で
とても華やかな格好をしてる様子をSNSで
見た時ふと思った。はたちは合法的にお酒とかの
大人の嗜みができる日?本当に大人になる年?
考えれば考えるほどわからなくなるハタチ。
とにかく私は地元に帰って成人式で久しぶりに
再会するのが本当に楽しみでならない。
あえて一貫性がない文を書く
そんな私も来年20歳。
20歳。
大人は楽しいらしい。
やりたい事何でもできて、考え方も変わるから、何でも楽しく思えるらしい。
じゃあ、大人っていつからだろう?
20歳の僕は、まだ人生が楽しいものだと思えない。
「楽しい」そう感じれたら、大人なのだろうか?
でもそれは、子供のまま大人になった人が言える言葉ではないのだろうか?
子供でいられなくなった人が、大人になっていく。
無理矢理、大人という種類に分類される。
子供のまま大人になった人は、人生が成功している。
子供にも大人にもなれるから。
…まぁ、まだ20歳の僕には分からない話だ。
誕生日おめでとうございます
記念日になりますように
ホントにおめでとう、ありがとう
「うぅー寒い…でも……」
冬至も過ぎ新年になったというのに更に寒くなっていくこの気温を恨みつつ、のそのそとコタツから這い出る。
…そう(と急に言われても分からないだろうが)、1生に1度しかない成人式──もとい二十歳の集いの準備をするためにだ。
「…そういえばあいつも来るのか。」
あいつ、とは保育園の頃からの幼馴染である佐原なつみのことである。ちなみに現在は違う大学に通っている。
「2年ぶりか…久しぶりだな」
なつみとの思い出は基本、なつみが俺にべたべた付きまとってそれを俺が適当にあしらうというものばかりだった。まぁ、それでもなんだかんだ幼馴染。面倒とは思いつつも勿論嫌いではないので、小中高3年間の修学旅行では毎回同じ班だったり(無理やり)ほぼ毎日共に登下校したり(無理やりその2)はしていたのだが。
「…って、そろそろ行かないと!?」
ちょっと回想に浸りすぎたか……じゃなくて!!!急がないと!!
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「よぉ〜翔、久しぶり〜」
「おぉっ!樹じゃ〜んおっひさー!」
「お前高校のときよりでかくなったか?」
「そうか?…でもたしかに目線の高低差が大きくなった気がするな笑」
「うっせぇよww」
昔からの友達、昔と変わらない会話。まるで過去に戻った気分になる。そんな風にまたもや思い出に浸っていた時間は
「あ!樹だぁぁー!!でけぇ!!!」
と、相変わらずの爆音で遮断された。
「久しぶりだな、なつみ」
「ね〜!てかまじで樹でかすぎない?前はこーんなだったのにね〜」
「そんな小さかったことねぇよ」
なつみはそういいつつ以前の如く抱きついてきた。着付けも髪の毛崩れるぞ。
「こうしてると懐かしいねぇ〜」
そういいながらなつみは、今までと同じように、でも今までよりも少しだけ大人びたような笑顔をこちらに向ける。
「…お前なんか前より可愛くなったか?前より…こう……?」
「きゃー!今までそんなこと言ってくれなかったのに!離れた期間のおかげかな?」
「うっせぇよ…」
でも、たしかに今までそういうことは一度も言ったことがなかった。思春期の恥ずかしさもあったが、幼馴染だったこともあってあまり意識をしていなかった気がする。そう思うとたしかに離れた期間がそうさせたのかもしれない。
「でもなんでだろ〜。うーん…」
「…あ!彼氏が出来たからかも!!」
…えっ?
「カ、カレシ…?」
「ふっはははww樹のそんな顔初めて見たww」
「だ、だって…」
そういえばなつみも、勿論のことながら俺も、高校生まで一回も恋人なんてできていなかった。
まぁ、当たり前だ。2人ともお互いとずっと一緒にいるのだ。付け入る隙もなかったのだろう。
だから、当然今も恋人なんていないと思っていた。なんなら今日あっちから抱きついてきたし。
「あ、あいちゃんだ〜!樹またねぇ〜!!」
「あっちょっ……」
…なんなのだろうか、この喪失感は。なつみのことを恋愛対象だなんて思っていなかったはずだ。というか別に今も思ってはいない。
「娘を取られた、みたいな感情になってるのか…?」
いや、だとしたらとんだ厄介人間だ。ただの幼馴染だってのにこんな感情を抱くなんて迷惑すぎるだろ。じゃあ何故……
「自分がなつみちゃんの中の1番じゃ無くなったからじゃないか?」
「…え?てか翔どこいってたんだよ。」
「お前がなつみちゃんと話してたから二人で話せるようにどっか行ってたの!こんなこと言わせんなよ!!」
「別にそんなことしなくていいのに…じゃなくて。なんて言った?」
「んぁ?だから、自分がなつみちゃんの中の1番じゃ無くなったからじゃない?って」
「1番……」
そう言われると腑に落ちた。確かになつみ、他の友達よりも俺の方が一緒にいる時間長かったし…。
「まっ、子供くせぇ嫉妬みたいなもんだろ!」
「えぇ…なんかそんな風にまとめられると、俺、すごくめんどくさいやつじゃない?」
「ん〜、まっ!そんなこともあるだろ!気にせず次行こうぜ!!」
「…それもそうだな。」
執着していたのは、なつみより俺の方だったのかもしれない。
➹20歳
『20歳』
「私を口説きたいなら、大人になってから出直してきてくれる?」
成人年齢が引き下げられようと10代と20代では越えられない壁がある。
先に10代という少女時代を終えた彼女は、俺に対して明確に線を引いてきた。
だから俺は、二十歳になるまで彼女のことを口説くのをやめる。
つい最近まで少女だった彼女が、急に大人ぶったところで元が無垢で無防備だ。
あけすけな言葉で好意を示すことをやめただけある。
彼女にたかるよからぬ虫は、彼女の見えないところで徹底的に潰していった。
そうしているうちに迎えたハタチの誕生日。
駅前を歩いていると、黒い小さなポニーテールを揺らす彼女を見つけた。
見間違えるはずのない後ろ姿に思わず駆け出し、彼女の正面に回り込む。
「好きです」
彼女の前で久しぶりに口にしたその言葉はうれしさで震えた。
深々と頭を下げ、彼女に手を伸ばす。
「俺とつき合ってくれませんか?」
「ヤダ」
ヤダッ!?
なんでっ!?
迷いのない返事に、腰を折ったまま顔を上げた。
相変わらずの澄まし顔で彼女は俺を見下ろしている。
ハタチになったのにっ!?
話が違うっ!?
狼狽える俺の横を通り抜けて、彼女は人混みの中に消えていった。
*
そんな俺も、今では21歳になった。
ハタチになったからといって、彼女とすぐに交際を始められたわけではない。
だが、数と勢いで告白を重ね、ようやく、互いの家で寝泊まりする仲にまで進展した。
どうして彼女が俺とつき合う気になったのかはわからない。
彼女の好意の矢印は、確実に俺に向いていた。
その事実だけあれば理由なんて必要ない。
「シャワーありがとうございます」
シャワーから戻ると、リビングの電気はついているのに彼女の姿が見当たらなかった。
「あれ?」
もう寝たのかな?
夕食をすませたあと、彼女は先に寝支度を整えていた。
リビングの電気とエアコンを消し、そっと寝室の扉を開ける。
彼女は頭から爪先まで、もこもこと上質な羽毛布団ですっぽりと覆っていた。
ベッドの端に腰をかけて、驚かせないように声をかける。
「もう、寝るんです?」
「ごめん、向こう寒くて」
「え?」
リビングのエアコンはきちんと効いていたはずだ。
体調を崩す前触れなのか。
深く毛布を被る彼女の額に手を当てがった。
今のところ、熱はなさそうである。
「温かいミルクかなにか作りましょうか?」
「んーん。いらない」
「必要ならカイロとか買いに行きますけど?」
「大丈夫」
「……そうですか?」
首を横に振り続ける彼女の隣に潜り込む。
少し照れくさそうにした彼女が、背中を向けた。
俺には少し窮屈なベッドの中で、彼女の腰を抱きしめる。
俺の腕に乗せられた彼女の手や、絡む足先がいつもより冷えていた。
人肌程度だが彼女と隙間なく密着する。
「んん」
柔らかな腹の上で指を遊ばせていたら、彼女がくすぐったさそうに身を捩った。
「あんまり、指、動かさないで」
「すみません。ちょっと寂しくて」
小さな彼女の背中に頬を擦りつけて、わざとらしく甘えてみる。
「こっち、向いてくれませんか?」
「ん……」
焦ったいほどゆっくりと俺に向き直った彼女は、顔を伏せて視線を逸らした。
気恥ずかしそうに頬を染めて、俺の一挙一動を意識しすぎて体に力が入っている。
「れーじくんがあったかいから平気」
「……」
そんな反応されたら、俺も我慢できなくなりそうだ。
くっついているせいか、確実に迫り上がる下心を必死に追い出す。
「……本格的に具合が悪くなったらちゃんと言ってください」
「私、風邪とか引いたことないから大丈夫」
「え、それは凄くないですか?」
「ふふっ、でしょでしょ?」
屈託のない無防備な笑顔にトスッと恋の矢が刺さった。
つき合い始めて以降、彼女は俺にいろいろな表情を見せてくれる。
反応がいちいち子どもっぽくて目が離せなくなった。
かと思えば、先ほどのように頬を染めて熱を孕んだ瞳を伏せ、女性の顔を覗かせる。
彼女が許してくれる境界線が曖昧になっていく幸せを、俺は噛みしめた。
20歳で成人したけれど、大人になったという実感があまりなかった。自分は、まだまだ未熟で、圧倒的に経験値が少ないと思った。
それから年を重ねて大人になっただろうか。一人の人間として、責任を持たなければならないことは分かった。外見は変わっていったが、中身はそんなに変わったという気がしない。でも、確かに色々なことを見て、経験してきた。普通に生きているだけで、色々なことがあった。
大人になるとは、特別なことではなくて、生きて、経験を重ねていくことなのかもしれない。
「20歳」