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 我が家には20年物がたくさんある。
 私は今年で二十歳になるのだが、私が生まれた時に待望の子供ということで、親戚一同がいろいろ買ってきたのだ。

 20年物のブルーベリーの木。
 毎年実がなったものをお菓子にして食べている。

 20年物の株券。
 あまり値上がりしてないが、買った株の配当は私のお小遣いになった。

 20年物のぬいぐるみ。
 単に捨ててないだけだが、今ではプレミアでとんでもない値が……。

 私が二十歳になるまで、一緒にいられなかったものもあるけど、どれも私の人生を豊かにしてくれた。

 そして今日は私の誕生日。
 目の前に20本のろうそくが立てられたバースデイケーキが鎮座していた。
 こんな歳になると嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑だ。

 私は家族に見守られながら、ろうそくの火を吹き消す。
 『誕生日おめでとう』と祝福され、みんなからプレゼントをもらう。

 それを見た父は嬉しそうに20年物のワインを取り出す。
 私が生まれた時に、一緒に飲むんだと言って買ったワイン。

 私の誕生日が近づくにつれて、ワインを眺めながら『まだかな』と言い続ける父。
 本人よりも誕生日を楽しみにしているとか、何だこいつと思わなくもないが、今日は許してやろう。
 正直お酒にはずっと興味があったのだ。

 そして20年物――ではないワイングラスを取り出し、ワインを注ぐ。
 ワインの香りは初めてだが、とても良い香りがする。

 ワインを興味深げに眺める私を見て、父は満足気にうなずいた。
「それでは一人前の君に乾杯」
 お互いのグラスをカチンと鳴らして、口をつける。
 初めて飲んだワインは、とても甘美で苦い大人の味がした。
 

1/11/2024, 9:33:39 AM