Open App

 気がつくと、なんと20年も生きていた。

 取るに足らない日を積み重ね、間違いばかりの時間を刻み、ふと振り返るとここまで来ていた。

「まさか自分が成人するなんて」

 ぽつりこぼすと、同級生に笑われた。
 
 笑う隣の彼女は、思っていた通り振袖がよく似合っていた。

 ひとが成人する姿は簡単に思い浮かべられるのに、自分のことなら夢か幻、想定外の出来事としか言いようがなく、頭の上には疑問符ばかりが浮かんでいる。

 ……きっと。
 これから先の長い時間、この疑問符は私にずっと付きまとうに違いないのだ。


『20歳』



疑問符を浮かべながらも生きてこられた今に感謝します。

1/11/2024, 9:48:12 AM