20歳と言えば成人式、和服で出席する人も多いだろう。 お祝いの晴れ着、その多くが鮮やかな色合いで縁起の良い柄の描き込みのあるものだ。
成人を迎えた若い方々、おめでとう。
さて、これからの「人生いろいろ」については他の諸先輩方もたくさん語っておられようから、私は少し目先を変えてみよう。成人式によく用いられる、着物(和服)のこと…辺りを。
和服。言わずと知れた日本の伝統的被服だ。形は基本的に皆同じ。近年は素材や飾りに目新しいものも増えて、思いのほか自由に楽しまれるようだ。しかし最もよく見かけるのは、テレビの時代劇ドラマの中のような気がする。
形こそ皆同じなのだが、どのような場であるか、年齢かでも「着方」が違う。素材や様式で「格式」が違う。日本に限ったことではないが、着方にも格式にもちゃんと理由がある。
私はいい加減トシなので、子供の頃の「おばあちゃんズ」は結構うるさ型と言うか、厳格な考えの人が多かった。
成人前の女の子は「えり抜き」をしない。髪の結い方にその必要性が無いから。成人後は結い方が変わるから必要な分だけ襟を抜く。現代でも、和服に慣れている人は髪型に従った襟の状態で着ているのを見かける。色の選び方、長襦袢の選び方、懐中の持ち物、なによりも立ち居振る舞いには、思想文化が如実に反映されていた。
最近は「ハーフ成人式」なんて言い回しも聞く。一度だけ、10歳の女の子の和服姿に目を剥いた(驚き怒った)が、それは私が「古い」のだろう。現代では何の意味も無い、ただのお洒落の自由なのだが、その出で立ちはまんま「禿」だったのだ。古都の着付師に着せてもらったと聞いて、更に怒りと呆れが倍増してしまった。今振り返ると無駄な怒りだったと思う。
被服は文化様式から生まれる生活のありようで発展する。日本にあった人間関係の姿や「敬い」を表す多くの振る舞い方もだいぶ廃れているが、そういう「独自文化の核心」こそは音も無く消え去るのかもしれない。
いかん、何だか晴れやかさの欠片も無いグダグダになってしまってる。こういうのを今の人は「老害」とか言うんだっけ?
いかんいかん、今日はこれにて退散だ。
1/11/2024, 9:02:01 AM