『10年後の私から届いた手紙』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
10年後の私から届いた手紙(2月16日)
10年前の自分へ
今読んでる自分、元気ですか?
この手紙を書いてる自分は元気です。
10年前ってことは、1?歳か。
勉強頑張ってる?部活はどう?
今思い返してみると10年前の自分大変だったね。
でも大変だったからこそ、今の自分がいるよ。
本当にありがとう。
無理をせず、自分らしく過ごせば絶対、幸せになれるから!
今の自分が幸せだからそれは絶対に約束できる!!
だから、頑張れ!! 10年前の自分!
2034年の自分より
【10年後の私から届いた手紙】
31歳とか私ちゃんと生きれてるかなー
ってまずそこが問題( '‐' )
今を生きることに精一杯だから
10年後とか本当に遠い未来は分からないよ( ・-・̥ )
興味深い実験の話を聞いたことがある。ある新年会の席の余興で、「一年後に叶っている自分の希望」を、参加者全員、小さな紙片に書いてもらい、“来年の新年会でまたこの紙をみんなで見てみる”ことにした。さて、一年後の新年会でまた余興としてそれを見たところ、実に八割以上の人が、「紙片のねがい」を叶えていたそうだ。気軽な余興、酒の入った酔っぱらい達が、概ね楽しく気軽に書いたものだ。紙に自分の希望や夢を書き出すこと自体が、「現実への最初の出力」であるのは確かだと思う。
「何かのテーマについて、未来の自分からメッセージを受け取ることができる」と、聞いたこともある。
たぶん、その「自分」は、「時間計測の先にある自分」ではない。正確に表現するなら、「今日の自分と同一自我」ではない。ただ、「存在は同一」だ。「存在」と「自我」は違う。自我は「存在の窓口」だ。
未来の自分であるなら、自我は今より洗練されている可能性が高い。人間は進む。“ぜんぜん進んでないし成長してない。自分の周りの心象風景だって変わらない”と思うかもしれないが、成長は螺旋で上昇するように進む。「またもや同じ風景」に見えても、「高さ」が違う。つまり、「未来の自分」とは、「現在よりも認識の俯瞰性が高い自己意識」とも言えそうだ。
人間は愛する生きものだ。異論は認めない。「愛をもって眺める深さが増している意識領域」が出してくるメッセージなら、力強い信頼性がある。なによりも、自分で自分を真にだますことはできないのだ。
さて、私も「未来の自分からのメッセージ」にアクセスしてみよう…
曰く、「生きる瞬々のどんな部分も、紛う方なき愛を以て抱きしめられるようになる。なに、心配すんな」と。それって10年後か?…
また曰く、「今更年限なんて必要かね」と。確かに。
テーマ/10年後の私から届いた手紙
10年前、この手紙が私に届くことはなかった。
でも、並行したもうひとつの私の世界では……と、一縷の望みを託す。
10年前の私へ。
そう、今の君に宛てて手紙を書くことにした。
だから、この手紙を君が読んでいるのは2014年であることを願う。
よく聞いてくれ。
君は、自分の人生の中で一番、自分の気持ちに嘘をついていた……自分を欺いていた。後悔が先に立ってくれたらいいのに。君は4年後の2018年、とても悲しいくらい本当のさびしさを体験することになるんだ。この世には涙しかないんだって、泣いて過ごすことになる。
でも今だったら、まだ間にあうから。
彼女、真由子の病気と一緒に闘ってくれ。
彼女は君と別れたことを後悔していたんだ……絶望のせいで病気と闘う気力さえも失うことになった。
今から4年後、真由子は覚悟を決めて君にそのことを伝えてくることになる。もう彼女には3か月しかないという人生のタイムリミットが課せられていたんだ。
この手紙を書いても、私の人生は変わらないかもしれない。
だけど、もしかしたら君の世界の、10年前の私である君の人生では、彼女は……真由子はガンを克服して、一緒に人生を歩んでゆけるかもしれない。
そうして隣にならんで、ともに手をつないで彼女と一緒に歳を重ねていってほしいと、私は願う。
どうか、どうかこの手紙が君に届いてくれますように。
どうか、どうか真由子が泣かないですむ未来に繋がってくれますように。
どうか、どうか神様。私は一生をかけて願うから。神様に祈り続けるから。君と真由子が幸せで笑って過ごせますようにと。
10年後の私から届いた手紙
相変わらず汚い字の宛名だ。開くと、わたしへの文句がびっしり書いてある。
「おまえのせいで」「どうしてくれる」「まちがえるな」
どうやら過去を変えたいらしいが、懇願でなく文句であるところがわたしらしい。
肝心の、自分がなにを選択したのかは書いていないのだからどうしようもない。
この大事な場面であんたはどうしたんだ。
久しぶり、元気?
今何してるの?
とりあえず、自殺してなくて偉い👏
死ぬ勇気もなかったかもしれんけど笑
なんでも知ってるよ、自分だもん
自分でさえ教えてくれなかったけど、もう少し教えれてる?
自分らしくいれてる?
自分も世の中も誰も彼も苦手だけど、少しは好きになれてる?
笑って生きてればなんとかなると信じてるから、とりあえず生きてね
今までもこれからも
ずっと味方だからね
テーマ『10年後の私から届いた手紙』
『10年後の私から届いた手紙』
ある年の年末、
ぼくに不思議な手紙が届いた。
「よう、元気か。
俺は10年後のおまえだ。
トランプの貧民で大富豪になるだけで
大喜びするおまえに、今日はいい事を
教えてやる。
大きくなったら第36回有馬記念
ダイユウサクの単勝を買え。
100円で1万3790円
1万で137万円
100万買えば1億以上だ!
分かったな?
じゃあ、ヨロシク!」
何これ?
ありうまきねんって何?
ダイユウサクって誰?
どうして100円が1万円になるの?
こんなわけのわからない変な手紙
ぼくいらない。
「えーー…?」
あなたは大変胡散臭そうに眉を歪めた。
それもそうだろう、何せ、あなたが持っている封筒の差出人には『10年後の』と書かれているのだから。もちろん、宛名には『10年前の』と。
同じものがわたくしの手にも一通。
何の変哲もない茶封筒に、印刷文字でわたくし宛てということと、どこかの会社名が書かれている。
「おや」
「あーっ、きみはまたそうやって何の警戒もなしに開けちゃうんだから!」
「どうやら何かに当選したらしいですよ?」
「そんなありきたりな胡散臭さ…」
茶封筒の中にはコピー用紙が一枚と、きれいなシールで封がされた便箋が一枚。
コピー用紙の最初の一文は赤い文字。
『ご当選! おめでとうございます!』
それから黒く落ち着いたフォントが本文を印字してゆく。
『このたびは、10年後のお客様に当キャンペーンへのご応募をいただき誠にありがとうございます。たくさんのご応募の中から厳正なる抽選の結果、お客様は過去へのお手紙キャンペーンにご当選されました。
・当選者:[10年後のお客様]
・賞品:[10年後のお客様から、現在のお客様へのお手紙一通](お手紙は10年後の同月同日、同時刻のお客様からのものとなります)
10年後のお客様へのご返送はお伺いできません旨、あらかじめご了承ください。また現在のお客様のご質問にお答えすることはできません。
弊社は現在より8年9か月5日後にグランドオープンを迎えます。御多忙でない際には是非ともお立ち寄り頂けますと幸いです。お会いできることを心より楽しみにしております』
「もー、ほら、すっごいあやしい」
「……でも、ふふ、10年後のわたくしからの手紙がちゃんと入っています」
「わっ…ほんとだ、えー……ぼくの字…」
シールで封をされた便箋を開けば、見慣れたわたくしの字が覚えのない文章を綴っている。となりで訝し気にしているあなたの手許にも、同じように10年後のあなたからの手紙――――らしいものがあるのでしょうね。
何かタネがあるはずだと、ブツブツ言いながら検分するあなたの、眉間のシワの深いこと。
そんなあなたを横目に10年後のわたくしから届いたらしい手紙に目を落とす。
『お早うございます。そちらはいま曇っているでしょうけれど、夕方の頃にはすっかり晴れますよ。けれど風が冷たくなるので、あたたかくして出かけてくださいね。
内緒で応募してみたら当選したので、そのときの反応は10年後のたのしみにしてください。
さて、何か助言しようにも、あまり意味はないでしょうし、わたくしが先達に受けたように有益な情報を残しておきます。
いつもの角のカフェがちょうど二か月後に、いつものメニューを一新しますから、その前に飲み納めておきましょう。新メニューもいいものばかりでしたから、代わりのカフェを探す必要はありませんでしたよ。それから国道線のハンバーグ屋さんが――(中略)――になるので、その前に一度足を運んでみてくださいね。
あなたの10年後がより良いものでありますよう。
追伸、今晩のディナーでいつもとは違う好みのものを選んでもいいかも知れませんよ』
便箋には10年後という仰々しさとは裏腹に、身近なものばかりが詰め込まれていた。
あなたはまだ眉間にシワを寄せたまま。
「ね、大丈夫だった? 変なの書いてなかった?」
「ええ、おいしい情報ばかりでしたよ。10年後のあなたはなんて?」
「なんか、おすすめのジムとマーケットのことばかり紹介された。えーー、ぼく、運動やなんだけど」
「ふふ、たのしみですね」
「えーー?」
不満そうな、不思議そうなあなた。
思わずその髪を耳にかけて、顔をまじまじと眺めてしまう。
#10年後の私から届いた手紙
『10年後の私から届いた手紙』
外から帰ってくると家の郵便受けの近くに所在無げな配達員さんが立っていた。よく見かける郵便局の制服とちょっと違うな、と見ているとこちらに気づいて会釈をされる。
「すいません、ちょっと、……いやかなり不審なこと言いますけど一旦聞いてください」
「は、はぁ」
「未来のあなたから手紙の配達を承ったので届けに来ましたが、どうされますか」
「なん、……え、未来から?」
「やっぱそうなりますよねぇ」
こちらは困惑しているし、配達員さんは胃に穴が空きそうな感じの困り方をしている。めちゃめちゃに不審ではあるのだが、放っておくにはかわいそうな気がする。
「未来から来たってことですか」
「ええ、そうなんです」
「いつ頃です?」
「10年後ですね」
「たったの10年で未来から手紙が届くようになるんですか」
「技術的にはそうなったんですけど、今テスト段階でして。過去の人に説明付きで配達しないといけなくてですね、」
「配達員さんたちに負担がかかりまくってるってことですか」
「そうなんです……」
配達員さんは胃のあたりを押さえている。心中察するに余りある。
「で、手紙なんですけど、受け取るか拒否するか選んで頂く形になってまして」
「未来のことがちょっとでもわかっちゃうからですか」
「そうです」
「……配達員さん的にはぶっちゃけどうしてほしいですか」
「今テスト配達中の受取りを全拒否してほしいです」
「ですよね~」
ということで受け取り拒否に同意する書類にサインをし、配達員さんはようやく未来へと帰ることができた。
未来の出来事に興味はあるにはあるが、10年は意外と早い。じきにこの目で見ることになるのだろう。
人を愛すことを覚えてください
化粧と愛嬌と笑顔も
死んだ魚の目はしないで下さい
周りから人が減ります
テスト真面目に受けてください
後悔します
貴方は愛されてたよ
【10年後の私から届いた手紙】
わかんないんだよね、
親友から元カノと別れる前から避けられてんの、
絶対これ私だよね元凶
こーゆーとき
ある日突然さようならって言って
高校来なくなったら
どーなるんだろって毎日思う
【わからないです】
最近、面白いサイトがSNSで話題だ。
その名も『〇〇から届いた手紙』。任意の相手への手紙の文面を入力すれば、AIがその相手からの返事を手紙形式で生成してくれる、というものだ。
例えば、普通なら返事が来るわけがない好きな有名人へのファンレターや、片想いの相手へのラブレターなど。実在しないアニメキャラとの文通まで疑似体験できるという嬉しいサービスだった。
友達もインフルエンサーたちも、こぞってこのサイトで手紙のやり取りを試しては「めちゃくちゃクオリティ高い!」「これはトンチンカンすぎる笑」などと投稿しているので、それをSNSで眺めるのも楽しみの一つだ。
私は、このサイトを使って10年後の自分に未来のあれこれを聞いてみることにした。誰とでも文通ができるなら、10年後の自分からも返事が来るのではないかと、試してみたくなったのだ。
どんな仕事をしているのか、恋人はいるのか、芸能人の誰彼はどうなっているのか──思いつく限りのことを書き連ねて、私は未来の私に宛てて手紙を送った。
少しのローディング時間のあと、画面に結果が表示される。
「…えっ?」
映し出されたのは、手紙ではなかった。
『申し訳ありません。手紙を生成できませんでした。この方は存在しません。』
...何これ、「10年後の私から届いた手紙」...?
こんなの書いた覚えあったかな?と思ったら
過去の私からではなく未来の私かららしい。
あ、そっちね...と一人で納得したのも束の間、
え、変じゃない?なんで未来から?という疑問が生まれる。
いや〜でも封筒のこの汚い字は私の字...
何だか開けるのが怖くなって無駄に天井にかざして透かしてみる。もちろん見られるわけもない。
散々悩んだ挙句、引き出しに戻す。
多分未来の私も今の自分が見ないのを想定して何も書いてないんだろうな、
なんて思ったり。
その予想は大体当たってる。
不動産のチラシばかりが投函される、私の部屋のポストに桃色の封筒が投函されたのは、2月の初めのことだった。
初めは、送り先を間違えられたものかと思った。しかし、その封筒には確かに私の名前が書かれていた。ただ、不思議なことに切手も貼られていなければ、ここの住所すら書かれていない。誰かが直接、部屋のポストに入れたということだろうか。
私は色々と疑惑を抱きながらも好奇心に打ち負け、封筒を留めていたハート型のシールを剥いだ。
中には便箋が3枚入っているだけだった。白地にラインが引かれただけのシンプルなデザインのもの。その上に置かれた文字は。
『⚪︎⚪︎へ
こんにちは、お元気ですか?突然のお手紙に驚いて
いるでしょうね。ですが、もう一つあなたを驚かせて
しまう事をお伝えします。私は、10年後のあなたです。未来から、過去の私、つまりあなたにお手紙を書いているのです。信じられないでしょう。10年後には、手紙を過去に送る技術が生まれるのです。楽しみにしていて下さい。
さて、ここで本題に入らせて下さい。落ち着いて読んでほしいのですが、私はとある難病に罹ってしまいました。あと、半年の命だと医者に言われています。
ショックですよね、私もです。私の人生には、後悔が
多すぎる。もっと、幸せに生きたかった。
そこで、あなたにひとつお願い事をさせて下さい。
大学で同じ専攻の、××君。彼に、告白してくれませんか。今、あなたが彼の事をただの友人だと思っている
事はよく知っています。それでも、彼との付き合いが長く続くうちに、あなたは彼の事を愛すようになります。でも、長く続いた友人という関係が邪魔をして、告白する勇気を失うのです。だから、今もずっとただ
の友人のまま。これからも、告白する事は出来ないと
思います。だから、彼と出会った頃のあなたに、彼に
想いを伝えて欲しい。今は好きでなくても、いつか愛おしくてたまらない存在になるから。
あなたが、後悔しないために。私が、ひとつでも悔いを消して旅立てるように。どうかお願い。
⚪︎⚪︎より』
ありえない、こんな事。私は薄く開いた唇から空気が漏れ出るのを感じた。手が震え、便箋が床へと落ちていく。すると、便箋が床の上で裏返り、紙裏に書かれた言葉が私の目に飛び込む。
『信じられないかもしれないから、あなたしか知りえない事を書いておく。
大切にしているシマエナガのぬいぐるまの名前は、雪。お気に入りのお菓子はぽたぽた焼き。ベッド脇のテーブルに置いているアロマキャンドルは隣町のIKEAで買ったバニラの香りのもの。
どうかな、これで信じてくれるといいな』
…当たっている。胸がどくどくと痛むくらいに早鐘を打ち、膝から崩れ落ちる。
これは、本物なんだ。
驚きと恐怖、不安が身体中を這い回り、冷や汗が出るのを感じて。もし、これが本当ならば。
私は、スマホを手元に引き寄せ、LINEを開いた。トーク履歴の下の方にある、××君の名前をタップする。
最後の会話は1ヶ月前。課題の提出期限を確認するだけの短い会話だった。こんな彼が、本当に人生を賭けて愛せるような存在になるのだろうか。想いを伝えられず、人生の悔いとなってしまうような存在に。
僅かに震える指先を画面に当て、メッセージを打ち込む。
『お疲れ様!良ければ今度、呑み行かない?テストの打ち上げって事で』
〜〜〜
俺は、口角が歪むのを感じた。あんな怪しすぎる手紙を信じてしまうなんて、本当に彼女は可愛いな。彼女から来た、呑みの誘い。それこそが、彼女があの手紙を受け取り、その内容を信用した証拠だ。
馬鹿だなぁ。
ぐっ、ぐっ、と笑いを堪えながら彼女からのメッセージに返信する。
『突然だね。笑
全然いいよ〜、いつがいいかな?』
LINEを閉じて、写真アプリを起動する。そこに表示される、『⚪︎⚪︎』のフォルダ。そこには、こちらに視線をくれない彼女がずらりと並んでいた。だが近いうちに、彼女の笑顔、真正面からの笑顔が並ぶようになるだろう。
楽しみだなぁ。10年後まで一緒に居ようね。
「怠けるな」
完全に大人の年齢となった貴方にとって、今の私はどんな風に思い起こされるものなのだろう、と考えて、一番に思い浮かんだのがそれだった。
実際、肉体年齢も違えば精神年齢も経験値も違う。
だから自分の想像通りの貴方ではないだろうし、もちろん手紙に書かれる内容も想像とかけ離れているものになるだろう。
けれど、きっと何歳の自分であろうと、今の私を見たら「怠けるな」と喝を入れてくれるに違いないと思っている。
続く言葉はなんだろう。
もしかしたら自堕落な生活のせいで碌な生活を送ってない、と言われるかもしれないし、夢を叶えています、と言われるかもしれない。
ともすれば、全部が叱咤の言葉やも。
それは少し嫌だと思う。
わくわくして手紙を開けて、中身がお叱りの声だけとは、飛んだぬか喜びだ。
だから今を生きる私は、未来からの手紙に褒める言葉が混ざるよう、少しばかり頑張ってみることにした。
さて、まずは部屋の掃除に取りかかろう。
10年先の私へ
返事をありがとう
話を聞いてくれてありがとう
また手紙を書きます
__10年後の私から届いた手紙
10年後の私に届いた手紙。
だいたい高校生くらいの頃かな?届いたことがある。
中身はホントに大したことなかった。まあ学校強制のイベントの中身なんてまあそんなもん。
今とは違って活字苦手だし字も汚いしで、なんかとっておく価値なんてありゃしなかった。
だからさらに10年後の自分へ手紙を送ろうと思う。
こんどはなんかエモい文面でも送ってやろうかな。
……絶対恥ずかしさで悶絶すると思うけど。
「10年後の自分『に』、届『ける』手紙、なら書いたことあるわ。イベントだったかな」
ソレじゃなくて、10年後の自分「から」、届くんだろ?どう書く? 物書きは首筋をガリガリ書きながら、天井を見上げた。今回もお手上げであった。
「……誰かの手紙が、自分のところに来て、それがまるで10年後の自分が書いたような内容だったとか」
そんなん言ってもグルチャ社会だぞ。あるいはDM社会だぞ。電子手紙すら最近見ねぇ。物書きは呟いた。
「2月3日あたりのお題、『1000年先も』だったな。未来想定ネタがお好き……?」
そういえば、「明日」がつくお題を4回ほど書いた。
――――――
私の職場の先輩の、アパートの近所の稲荷神社は、「ユニークですごく当たる」っておみくじが売られていて、ほんの少し、短期間だけ千バズした。
去年の7月9日あたりだ。
小さな白い巻物の形で、赤紐で封されて、紐を解くと小吉も大凶も無く、花と狐が何かしてるイラストと、その花の名前&簡単な言葉が添えられてる。
私の時はアキワスレナグサと、それに虫眼鏡近づける子狐の絵と、「電話してみたら」だった。
その時実はイヤリング無くしてて、思い当たる場所に電話してみたら、「保管してますよ」っていう。
コンコンを崇めよ(おい狐は祟るぞ)
ところでその稲荷神社、2月15日と16日だけ、特別なおみくじを売ってるらしい。
昨日、呟きックスのTLを見てたら、流れてきた。
『◯◯区の、本物の狐がいる稲荷神社で10年前に買ったお手紙みくじ、マジで当たった』って。
お手紙みくじ、とは。 真相を確かめるため、私と職場の先輩は、森深い稲荷神社へ向かった……
「何故私まで?」
「去年の7月のおみくじ、一緒に引いたじゃん」
仕事が終わって、夜。先輩のアパートの近所、バズった稲荷神社に行ってみると、投稿を見たっぽい人がやっぱり、チラホラ。
中には何枚もおみくじ買って、千円札を渡してる人もいたけど、意味あるのかな。
おみくじの名前は、「10年後からの手紙みくじ」。
A7かB8あたりの封筒に、縦向き・巻き三つ折りの便箋が入ってて、誰にでも当てはまりそうなコメントが2個3個。ひとつ、200円だって。
200円払って、300も500も整列してる封筒の小箱から、ランダムにピンクの封筒を1枚抜く。
「ねぇ先輩、10年後、私達どうなってるだろ」
便箋を、1回、2回、パタンパタン。
「さぁな?お前はもっと条件の良いところに転職して、私は相変わらずあそこに留まって?」
開いたA7だかB7だか知らないけど、その便箋に書かれてたのは、こんな言葉だった。
【自分で滑ってみようとはゼッタイ思うな】
じぶんで、すべってみようとおもうな、とは。
「なんだ。目当てのコメントではなかったか」
先輩も白封筒を1枚抜いて、封切って。
「当たるも当たらぬも、だ。みくじの言葉から、自分自身と向き合って、自分なりの答えを探してみろよ」
きっと、自分の問題の答えを自分のチカラで見つけるのを助けるのが、この手のくじだろうから。
先輩はそう言って、封筒から、便箋を取り出して……
数秒、ぱっくり口開けて、フリーズして、
静かに、便箋を畳んだ。
「おまえ、手紙の内容、なんて」
「『自分で滑ってみようとは思うな』って」
「そうか。……そうだな」
「どしたの。先輩の手紙、なんて書いてたの」
なんなの。なんでフリーズしたの。 かたい表情の先輩から、ちょっと手紙を失敬して見てみると、
私の手紙より詳細に、具体的に、こんなことが。
【冬の運転は気をつけろ。絶対にヘマをするな
滑った瞬間、アトラクションと間違われる】
「どゆこと」
「……黙秘」
「先輩、心当たりあるの。先輩の故郷の雪国、冬の運転、アトラクション並みに滑るの」
「黙秘だ」
第一印象は「なにこれホラー?」である。私は手紙など書くような人柄だっただろうか、この10年後の私から届いた手紙がもしもあるとしたらそれは、10年後になんらかのロマンを感じた私の黒歴史的な手紙なのではないだろうか、本当にそんなことが起きたらすごく不安である。
過去の僕へ
よく頑張ったね
偉いよ
でももう少し頑張れ
あと少しであの子のそばに
居れるようになるんだから
「あいてるぜにげばおに」
それだけ書かれた手紙が机の引き出しから見つかった。
なんだこれ?自分で書いたおぼえもない、
机も誰かからもらったとかではなく
親から買ってもらった学習机だ。
不思議に思ってると裏に日付と名前が書いてあること気づいた
2034,2,16 ナナミ
自分の名前だ、ただ日付が未来のものになっている
誰かイタズラかなにかだろうか