『10年後の私から届いた手紙』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
週に一回、いつもの流れで郵便受けに溜まったものを引っつかみ、テレビをつけて、適当なニュースを流しながらゴミと大事な書類を振り分けていく。自分に振り分けられた家事のひとつだ。
過去から手紙が届く、ってのはよくある話。
学校の課題とかでも、未来のあなたに向けて手紙を書きましょう、なんて言ってやらされた記憶がある。そういえばいつ届くんだ?あれは。
だからまぁ、過去の日付で書かれた中身とか押印は不思議じゃない。
でも今目の前にあるのは未来の日付。
手書きの文字が未来なら、お巫山戯だなで済むけど、押印が未来の時点で頭おかしくなるだろ。
封筒は明らかに大人の文字。10年後の今日。
開ける…?いやいや…イタズラなんて読む価値もない。
でも……と怖いもの見たさでハサミを取り出す。
中にあったのは、見慣れた、あの。
『続いてのニュースです。本日昼頃通報によって発覚した事件ですが、郵便局に務める……』
『10年後の私から届いた手紙』
お題「10年後の私から届いた手紙」
不思議なこともあるものだと思う。
私はそのとき、机に向かっていた。夏休みが終わろうとしている8月の末のことだった。
私は明日提出予定のワークとその答えを広げて、3問に1問間違える、いかにも自分で解きましたという雰囲気を出す作業に取り組んでいた。
どうせ、先生も書いてあるかどうかくらいしか確認しないだろうに、なんで自然な回答になるように気をつけているのか。
そんなの、私の性という他ない。
ここは正解しといたことにしよう。
問題によって自分が答えられるかどうかを検討しながらシャーペンを動かしていると、コトン、と何か落ちるような音がした。
下の方から聞こえた気がする。
足元を見るが、自分の足がぶら下がっているだけで、何もおかしなところはない。
あたりを見回すが、終わった宿題が床に散らばっているだけで、何か崩れた様子もない。
机の中か?
机の中に何を入れているか思い出せないまま、私は引き出しを開けた。
そこには、乱雑に置かれたシールやメモ帳など、小学生くらいの時に集めたものが入っていた。そんなものを入れていたことさえ忘れていた私の心は、懐かしさでいっぱいになった。
そんな懐かしさの中に、異質なものがあった。
なんの飾りっけもない紙切れ。ゴミかと思い手にとってみると、確かにしわしわであるが、走り書きのような雑な文字が書かれていることに気づく。
『2023年→2013年 アキラ 許すな』
「え、きもちわる」
思わず声に出る。よく見てみればノートを破ったような紙で、端っこが赤いインクで汚れている。指紋のようになっていて気持ち悪い。そのとき、はたと気づく。
そのインクに触れた指が、赤く汚れていた。違和感があり、顔に近づけると、鉄のような臭いがした。
「血……?」
慌てて紙を手放す。ワークに少し滲みができた。
なんで私の机から血のついた紙が出てくるの? 知らないうちに怪我でもした? そもそも書いた覚えのない紙が出てくるのも意味わからないんだけど。
混乱する頭で、改めて紙を見る。
2023年から矢印があって、2013年と書いてある。部屋に飾ってあったカレンダーを見る。2013年の8月だ。
授業で選挙のことをやった際に、20歳になった自分への手紙を書いたことがあった。そのときの私は、手紙の冒頭に、「2007年→2016年」と書いた。
同じように現在の自分が左側だとすれば、これは未来の自分からの手紙になる。
真剣に考えて、私は馬鹿馬鹿しくなった。
未来から手紙が届くわけない。というか、書いてある年をそのまま鵜呑みにして未来の自分が描いたものだと判断するなんて、頭がゆるゆるすぎる。
きっと弟あたりがイタズラで忍ばせたのだろう。
ついていた血は、きっとさっき机に腕を突っ込んだときにどこか引っかけたのだろう。
そう自分を納得させて、私はその紙をぎゅっと固めるように握りつぶした。そのままゴミ箱にいれようとしたが、血のついているこんな紙が家族に気づかれても嫌なので、ティッシュに包んだ上にお菓子の袋に包んで捨てた。
何事もなかったかのように私は椅子に座り直す。
ワークについた血は、乾いていた。
アキラって……この間引っ越してきたお隣さんのことかな……。
シャーペンを動かしながらも、私の頭はさっき捨てた紙に持って行かれていた。
誰かのイタズラだと思おうとしても、もしかして、という不安は拭えない。
サンタさんを信じたかったいつかの私と一緒だ。はっきりと否定されなければ、その可能性を信じてしまいたくなる。
アキラちゃんは、ついこの間お隣に引っ越してきた、私と同い年の女の子だ。
訳ありというやつらしくて、お母さんと二人でひっそりと引っ越してきたらしい。
夏休み明けから同じ中学校に通うらしく、同じクラスになれるといいねと話した。
アキラちゃんは静かな子だ。引っ越しの挨拶に来た時に一緒に遊ぼうとしたが、何も喋ってくれなかった。
人見知りなのだと、アキラちゃんのお母さんは笑っていた。
会う度に話しかけていたせいか、ここ一週間くらいは会話ができている。
私の弟のサトルも頑張っているようだが、まだ話してくれないと昨日ぼやいていた。
話してくれないからって、こんなイタズラしなくても……。本人見てないしまあいっか。
私は答え写しに集中しようとしたが、玄関のチャイムが鳴ったのでできなかった。
いまは両親は仕事に行っている。サトルは多分アキラちゃんにちょっかいをかけに行ってると思うが、まあ、家にいたとしても、私が出るべきだとは思う。
「はーい、どちらさまですかー」
「アキラ……」
「え、アキラちゃん?」
私は玄関に向かう。ドアを開けて、頭がショートしそうになった。
真っ青な顔のアキラちゃんが、手に血まみれの包丁をもっている。
「さ、サトルくん……うごかな……くて……」
私は急いで隣のアキラちゃんの家に入った。扉を開けた瞬間に、血の臭いと、サトルの姿が飛び込んできた。
クラクラする。名前を叫んでも、サトルの見開いた目は少しも動かなかった。
「ど、どうすれば」
アキラちゃんの弱った声が聞こえてきた。
どうすればもなにも。私もわからないのに。
「きゅ、救急車……」
「だ、だめ!」
「なんで……」
「おかあさんの、仕事邪魔しちゃう」
邪魔も何も。呼ばなかったらサトルが。
わけがわからずサトルの手を握ってアキラちゃんを見ていると、アキラちゃんは、決意したように、サトルの足を持ち上げた。
「腕の方、持って」
「なんで……」
「押入れに、隠す」
「隠したらサトルが……」
「もう死んでる!」
アキラちゃんが叫んだ。思わず固まる。
ゆっくりとサトルに目を戻すと、目は開かれたままだ。瞬きをしない。そんなに長い間瞬きをしないなんて、できるわけない。
これは人形なんじゃないかと思い始めた。
サトルによく似た人形。だって、サトルはもっと表情豊かで、私を見たら元気な声で「お姉ちゃん」と呼んでくれたのだから。
人形なら、隠す必要ないじゃないか。
私が立ち上がった時、玄関のドアが開いた。
「アキラ……?」
「お、か……」
呆然と立ち尽くしている女性。アキラちゃんのお母さん。
返り血に塗れた娘と倒れた男の子を見て事情を察したのだろうか。
アキラちゃんのお母さんは手早かった。
とりあえず押入れに隠しとくから、ユリちゃんは家族にこのことは秘密にしとくこと。
言ったら、ユリちゃんもサトルくんと同じ目に遭うからね。
念を押されて私は家を追い出された。
ぼんやりとした頭で自分の家に入る。
玄関にはサトルの靴はなかった。
元気よく出て行ったのだから当たり前だ。あの靴がここに並ぶ日はもうない。
私は玄関に座り込んだ。わからなかった。なんでサトルが殺されたのかも、私がアキラちゃんに呼ばれた時何をするべきだったのかも。
『アキラ 許すな』
ふと、あの変な紙が頭によぎった。
もしあれが本当に未来からの手紙なら、未来の私はどういう選択をしたのだろう。
どういう選択を、後悔したのだろう。
『さ、サトルくん……うごかな……くて……』
包丁を持って私の前に現れたアキラちゃん。
その包丁はすでに血に塗れていた。
「あのとき……殺せばよかったのか……」
今はアキラちゃんのお母さんもいるから殺せない。
いや、殺せなくても、問題が大きくなればいいんだ。怪我をさせるだけでもできれば、サトルを隠すどころじゃなくなれば、きっとすべて解決する。
生きてなくても、家族が泣き叫ぶとしても、ちゃんとサトルが帰ってくる。
私は耳を澄ませながら時を待った。
誰かが外の廊下を歩く音がしないか、隣の家から誰か出てきた音がしないか。
そろそろお母さんが帰ってくるだろう時間になった。隣はまだ動いていない。
私は台所の包丁を持って、ゆっくりと隣の家に向かって歩いて行った。
心の中でお母さんとお父さんに謝って、隣のチャイムを鳴らしながら名乗りあげる。
お母さんの叫び声と、アキラちゃんのお母さんがドアを開ける音が、同時に聞こえた。
おわり。
10年後の私から届いた手紙
パサリという音がして、スマホを見ていた私は布団から身を起こした。音は机の方角だったので向かうと、机の上に封筒があった。上の棚から落ちたのだろう。封筒に見覚えはないが、郵便物やチラシをいつも棚に無造作に置いていたので、なんら不思議ではなかった。
封筒を棚に戻そうとして、ふと宛名のないことに気づいた。そして、封筒に継ぎ目がないことも気になった。私は俄然興味が湧いて、すぐさま封筒の短辺を破った。
中には、ごくシンプルな便箋の手紙が2枚あった。
1枚目には、冒頭に『本信書が20xx年のあなたによって書かれたものであることの証明』と書かれていて、いくつかの事実の列挙があった。私は十分に納得して2枚目を読み始めた。
2枚目の手紙には、いくつかの指示とその理由が箇条書きで並んでいた。いずれも納得できる内容であり、従えばよりよい未来へ到達できることは想像に難くなかった。私は深く頷いて手紙を棚に貼り付けた。
布団に戻ろうとすると、再び背後で音がする。振り返るとまた封筒が机上にある。しかも先程開封したものと同じ見た目の封筒だ。直前に棚を確認していたので、そこにまだ別の封筒があって落ちてきたなどとは思えなかった。このことは手紙の信憑性を裏付けるようだった。
出現した2つ目の封筒を開封する。
今度は手紙が1枚だった。冒頭には『警告と訂正』と書かれていて、「何番と何番と何番についてきちんと実行するように、何番に関してはやはりこうするように」とあった。
なるほど不具合が生じたのだな。
そう思っていると、頭頂にカツンと当たるものがあり、それもまた同じデザインの封筒だった。開封するとまた警告と訂正の手紙が入っており、読み終えるとまた頭上から封筒が降ってきた。私は天井を見つめ、ため息をついた。
なんだ、未来の私もよく分かってないんじゃないか。
私は全ての手紙をかき集め、ゴミ箱に捨てた。
2023/02/16
「10年後の私から届いた手紙」
大人になりたい
あの頃はただそう思った
貴方を好きになった時から
10も離れていたから
貴方から見て私は
きっと子供扱いして
私を一人の人として
見てくれなさそうで
手紙にはたった一行
大人になって
貴方に相応しい人になりたい
そう記されていた
大人になった頃には
貴方の右側には
もう素敵な女(ひと)がいて
心がつーんと痛くなり
涙零れた
この涙は冷たそうな水色で
今日の雨に混じった
2023年 29
[とあるゲームセンター]
サトル・ナツキ・マスミが来る。
今日。俺たち3人はジャックさんに呼ばれて、俺たちが持つ"能力"について聞かされる…
で、この米国人は格闘ゲームに夢中(-_-)
とても真剣な雰囲気ではない。
「いやぁ、終わってもいいんだけど、連勝が止まらなくてさぁ…いっか。やりながらでも(・∀・)」
3人「キセキ!?」
「そうだよ。伝説とかに聞くだろ?海を割ったり、雨降らせたりと神懸かった聖人。あれだよ」
胡散臭い外国人の戯言も、ここまで来ると清々しい。もうこの人の話はマジメに聞いてはダメだ。
「口で言うより試した方が早いか。お前、どこの台でもいいからスロット押してみろ」
ジャックさんはナツキにメダルを3枚渡す。この後、台はスリーセブンが止まらなくなってギャラリーが集まる事態に(・o・)
「こんなの序の口だよ。キセキを必然にするチカラ…神の領域。俗に"ミラクリスト能力"って呼ばれてる」
…平凡な俺たちの人生はトンデモナイ方向へ向かいそうだ。あれからいくらか話は続いたが、脳が処理しきれない。
[サトルの自宅]
部屋に帰るなり、すぐベッドに横になった。なんだよキセキって?俺たちのカラダどうなってるんだ?ワケが分からない。
ピンポーン。郵便でーす。
自分宛ての封書だったが、差出人が書かれていない。怪しい…(-_-)
でも中の手紙に触れた途端、アタマにイメージが入り込んでくる感覚が⁉
[手紙の文面]
この手紙を受け取っている時は、きっと複雑な気持ちの中にいると思う。でも不安になることなく、今の自分を受け入れてほしい。
その持っている力は、限られた者にしか扱えない。だから必ず役立ててくれ。
大丈夫。君は一人じゃない。時期に同じ志に導かれた仲間が集まる。
だから、来るべきときに備えて努力してほしい。
…なんだろう。みんなの笑顔が伝わってくる不思議な手紙だった。
[10年後の世界。荒んだ都市部]
マヤ「サトル君。貴方のメッセージ、手紙にして届けたよ。君が初めて"チカラ"について知らされた日に設定して」
ありがとう。悪あがきかもしれないけど、早いうちから自分の意識を育てておきたくて…(^_^)
このイメージが見えるか?あの頃の俺。
これから世界は滅亡の危機に傾いていく。きっと想像を絶するだろう。
君のひらめきが今の自分に何かを与えるかもしれない。そんな淡い期待だけど、それさえもキセキに変えてみせる。
みんな元気だし、まだ諦めていないよ。
大人になりたい。
大人になったら自分でいろんなことができるから。
でも、あの人は言ってた。気楽にすごせるから子どもの方がいいよ、って。
大人ってへんだ。
なんで好きなこと仕事にしないんだろう。そっちの方がぜったい楽しいのに!
でもおかあさんは、そのうち楽しくなくなるからやめておいたほうがいいかもね、って言う。
あーあ。早く来ないかな。自分からのお手紙。
みらいの郵便局から「もうすこしで来ます」っておでんわ来たのに、ぜんぜん来ないんだもん。
きっとお手紙ないのごまかしてるだけなんだ!
まったく。みんなうそつきなんだから。
あしたこそ来ますように。
朝おきたら「みらいこどもゆうびんきょく」って書かれたふうとうと、じぶんあてのお手紙がポストに入ってた!
待ちに待ったお手紙。さっそく中を見てみた。
そこにはきれいな字でたった一行書いてあった。
郵便局からのお手紙もじぶんからのお手紙も、書いてあることはわからなかったけれど、おへんじを書いてみよう。
たいせつにしているオレンジ色の便せんをとりだして「ありがとう」って書いてみた。
次の行は何を書こう。
「10年前の自分へ。
今までありがとう。さよなら。」
「―さまへ
まことにもうしわけありませんが、こちらのおくりぬしはげんざいこちらにいらっしゃいませ ん。
おへんじをいただいてもおわたしできませんので、おきをつけください。
みらいこどもゆうびんきょく」
10年後の私からこんな手紙が届いた。
“たからものの箱がもうパンパンで蓋が閉まらないので、あたらしい入れ物を探しています。
たからものがひとつも溢れないように早く見つけてきてください。いそいでね、至急。”
それとは別にもうひとつ、ちいさいメモがある。
買い物リストのようだ。
・たからもの用ノート
・茶色のペン(替芯)
・水色のギンガムチェックの布
・フランスのレース
・チョコレート
− 10年後も変わらず楽しいようだ。
たからものはどんどん増えていく。
10年後の私から届いた手紙
封はされたまま
この手紙には
明るい未来が書かれているかもしれない
だけどそこにあるのが絶望なら?
そこにあるのが別れなら?
怖がりな私には
この手紙を開ける勇気がない
きっとこの手紙を開けるのは
10年後
私からの10年後の手紙
「成功ですね...」
「ああ...」
その研究室には二人の男がいた
試験管に入った透明な液体を見て二人は感慨のため息をつく
「この薬がたくさんの人々を救うんですね、先生...」
「ああ、そうだ。今までよく頑張ってくれた」
先生と呼ばれた男は助手らしき男の肩口に手を添える
「先生が僕を誘ってくれたあの日から、もう8年も経つんですね」
「あっという間だったよ...なんとか間に合ってよかった」
「さあ、最後の仕事ですよ、先生」
「そうだな」
男たちは実験室を出て廊下を進んでゆく
どこまでも白い洗練された廊下
二人の急くような足音だけがそこに響いていた
「あーしんどー」
8月。
燃えるような灼熱が身体中を予断なく焦がす
今日の最高気温は31度、今年に入って一番暑い日だ
こんな日に外出をしているのには理由がある
俺は大学6年生
そう、就職活動である
必死に勉強した高校時代、その甲斐あって有名大学の医学部に進学できた、できたんだが...
「はあ...なんで医学部にきたのかねえ...」
俺は血がダメだった
見るだけで体が拒絶反応を起こす
解剖などもってのほか
外科、内科、循環器内科、ほとんど無理でした...
なので仕方なく就活
こんな暑い日にせかせか頑張ってるわけです
今日受けるのは大手製薬会社の面接、失敗は許されない
「よしっ、気を張っていくか!」
やるしかないのだ
ダメだった...
面接の日から5日後
今朝届いたメールだったが、なかなか開けられず、内容を確認したのは夕方ごろ
「うそだろ...」
受け答え結構上手くいったと思ったんだが、ダメか...
これでもう12社目
自分の不甲斐なさにヤケになる
「散歩にでもいくか...」
全く、上手くいかない人生だ
「あれ?」
散歩から帰って郵便受けをのぞくと手紙が入っている
気になってとってみると、そこには自分の名前と「読んでね」という文字が書かれている
「なんだこれ...?」
家に入り手紙を開く
10年前の僕へ
やあ、こんにちは、10年前の君
僕の名前は大芝徹。君と同じ名前です
まあそれは当たり前なんだけどね笑
信じてくれるかわからないけど、僕は10年後の君です
何言ってんだって思ってる?僕もこんなのが届いたらそう思うよ
でも、ホントだから、聞いて
そっちの方の今である2023年から10年後にとあるウイルスが生まれます
そのウイルス致死率は98%
こっちの世界では表れて2ヶ月で1億人以上が亡くなってる、やばいでしょ?
僕らも急いで特効薬を作るつもりだけどかなり絶望的なんだ...
だから君に頼みたい
10年前から特効薬を作って欲しいんだ
ウイルスに関する情報は送れないんだけど、ひとつ大事な情報がある
そのウイルスにかかる一人目の人だ
僕も驚いたんだけど、このウイルス8年間も潜伏してたんだ
しかも無症状だから気付けない
症状が出て、気づいた時には遅かった、多くの人々が罹ってたからね
だからその一人目を見つけて協力させるんだ
その人の名前は、高田慎二
長崎県長崎市西浦上町出身の22歳男性だよ
君にしか頼めないんだ
どうか頼むよ
「は?」
こいつはなにを言っているんだ
大体2ヶ月で1億人って...そんなわけないだろ...
「はあ...ばからし」
大体俺は血が苦手なんだ、誰のイタズラか知らないが、もう少しまともな嘘にしてほしいもんだ
そんなことより腹が減った。こんな手紙より夜ご飯だ
体の内から感じる空腹感に耐えながら立ちあがろうと手に力を入れる
「うおっ」
足を滑らせ転んでしまった
右手に持っていた手紙が空を舞い、顔に被さる
「痛ってえ...」
手紙をとる。ふとあることに気づいた
さっきと文章が違う...?
「これ裏もあったのか...」
まだ阿保の戯言は続くのか...
くだらないとは思うが、尻の痛みが消えるまでは付き合ってやろう
とは言ったけど君は血が苦手だからね、医者なんて無理だって思うだろうなあ
だけどね、それは違うよ
君が本当に恐れているのは痛みだ
痛みは出血を伴うことが多いからね
現に僕は医者として現地を走り回ってる
研究者だってできるはずなんだよ
なあ徹、負けるなよ。
お前は確かに人より何かをうまくはできない
でもそれは最初だけだろ?
勉強だってスポーツだって死ぬほど努力したからできたんだ
俺たちは努力の才能があるんだよ
だろ?徹
努力の才能。父さんがよく言っていた言葉だ
いつも俺を励まして、応援してくれた
そんな今は亡き、父の言葉
「なんだよ...」
辛い大学生活だった
友人関係もうまくいかず、医療の道には進めないと言われ、それを誰にも相談できなかった
救われたような気がした
ある日ぽっくり逝ってしまった父さんがまた、励ましてくれているようで
胸の中がポカポカする
頬を走るように涙が溢れた
もう、迷いはなかった
「さあ、慎二さん。これを飲んでください」
「完成したんですね...!わかりました」
慎二はそう言って、もらった薬を水と一緒に飲み下した
「経過観察のためにあと1ヶ月だけいてもらいます、長い間本当に申し訳ない...」
防護服を着た男が深々と頭を下げる
「いいんです、先生が僕の人生を変えてくれたんですから」
その笑顔は屈託なく、慈愛に満ちたものだった
病室を出て、防護服を脱ぎ、そのまま外へ出る
陽気な日差しと鳥のさえずりがあたりに充満していた
「終わったよ、父さん、10年後の俺」
太陽の光がシワの刻まれた彼を祝福していた
拝啓。そんなものがひつようですか。
『君は凄い奴になる!』
あなたからの沢山の手紙、拝見しました……わたしにどうしてほしいんですか?
『稀代の才能の持ち主だ! 私も鼻が高いよ』
なにを、なにを。やればいいんですか。
『次の作品も楽しみにしているよ!』
どこまで成せばいいんでしょうか。
『10年もしたらダヴィンチだって抜かせるさ!』
──今私は、正しく貴方に殺されそうです。
【10年後の私から届いた手紙】
「あ」
「ん、どうしたの?」
きみが短く、珍しく声を上げたから。気になるのは当然。だって、ラプラスの計算も蓋然的にできるから、不意にっていうのはきみにとって必然になるわけで。
思わず、作り置きしていた真水をすくっていたバケツを落としたよね。
バチャッて水が撥ねたから服が濡れちゃった。
パッパッとまあるく布地に浮いてる水滴を、手で払った。防水処理もお手の物だったね。……たったの43800時間だったもの。
そんなぼくの旋毛を見ないで、きみはちょっと動きを止めてる。気になって点けっぱなし――スリープ状態にならないようにしてあるデスクトップに目をやった。
きみのフォルダーにメールが一通。
本文は英数字とアルファベットの羅列。件名も暗号化されてる。
ふと見れば、きみが、本当に、本当にひどくうれしそうに微笑んでいた。へにゃり、ふにゃり、肩も竦めて手の甲で口許が隠しきれていないの。
珍しい、そんなお顔見せるの。ぼくだってあのお顔を引き出すのすっごく難しいのに。
……誰が、どうやってやったの。
すっごいジェラシー。
「……いいことあったの。だれから? まさか、恋人とか言わないでよ」
「ふふ、もう融合も同然の親しい方からの通知です。ひどく惚気けられました。たのしみ」
「どういうこと……」
「お箸の使い方を教えて下さい。わたくし、使えるようにならないといけないんです」
「エッ……だって、泳げるようになるって言ってたでしょ、どうすんの」
「並行して習います」
「先生はだれ」
「あなたです」
「ゔあ」
ぼくだってお箸のとびきり上手じゃない。むしろ苦手なのに。泳ぎだって犬かきが平泳ぎに進化した程度なんだから。
「それから、4.07以降のアップデートも頑張ってゆきましょう」
「え゛……あのね、この7、8年で何回アプデしたと思ってるの。そろそろ頭空っぽにするクールダウンの時期じゃないの」
「三が日と祝日があったではないですか」
「疲れは溜めとけるけど、回復は都度しなきゃいけないんだよ。それにね、味蕾は10000個。えぐいんだからね、ちゃんと自覚してよ」
「あなたが生きていてよかった」
「話噛み合ってない!」
今日の日付け覚えた!
ぜったい忘れないから! 毎年確認してやるんだからね!!
くそう、ぼくのせいなんだから!
アルコール処理のスクリプトつくってやる! うんと弱くしてやるんだから、覚悟しててよね!
#10年後の私から届いた手紙
#10年後の私から届いた手紙
やっほー
元気ですか?こちらは10年後の私です。
未来から手紙が届くなんて、そんな不思議なことあるって感じだよね。
でも、未来の私です。
うーん、10年前の私に何か伝えたいことがあるかなって考えて書いてるんだけど、ありすぎるよね。
もうあれからそんなに経ったのかーって思うし、今までよくがんばって生きてきたなって心からそう思うよ。
とりあえず、私は元気です。
なんかいろいろあるけれど、なんとかここまで生きているから、
そんなに心配しないで。
過去の私に心配しないでって言うのもあれだけど!
未来なんてね、眩しすぎて、前向きな言葉、私は敬遠してるでしょ?
まあね、時間が経って今のキミより少し大人になった私からしてみれば、未来って言葉はただの言葉だから、思いこみでまた塞ぎこまないように!
こうしてないといけないってことはないよ。
未来の私がどうなってるか、知りたい?
それをね、書こうかなって思ったよ。
こわがりで心配症な私だから、大丈夫だよって教えてあげたいけど…やっぱり辞めた!
だって、知ってたらつまらないでしょう?
え?
つまらないなんてことより、不安を解消させるために教えてって言ってそう。
うん、安心したい気持ちも分かる。
でも、今は秘密のままにしておくよ。
今の私…あー10年前の、これを読んでる私ね。
君が思い描いていること。
こうなったらいい、あれがやりたい。こういう風になりたい。
自由な想像力で、頭の中に思い浮かんでいることは、すべて叶えられるよ。
思いこみが激しくて、固定観念に縛られて、偏見とプライドは人一倍高くて、素直じゃない君がさ、本当は心の中に秘めていることのすべて。
恋愛も気になる?
恋愛についてなんか、思いこみの塊だもんね。
今は何でもかんでも無理、無理、無理って言ってるけど、
そんなに難しいもんじゃないから大丈夫だよ。
周りがどうとか、相手がどうとかじゃなくて、自分の心に素直になっていて欲しいな。
難しい?ふふ、大丈夫、未来の私が言ってるんだから。
いろいろ書きたいけど、長くなるし、過去に送れる便箋も限られてるから終わるね。
10年後、どうなってるか、たしかめに来てよ。
道中、きっといろんなことがあるけど、それも全部楽しんで!
ああ、あとこれだけ!
今も精一杯、生きててくれてありがとう!
今の私がいるから、未来の私もこうして笑って、元気でいられるんだ!
未来は「今」の連続なの。
いつの瞬間の私でも、どれかが欠けたら、今の私はいないから。
本当にありがとう!
楽しんでね!
10年後、未来で待ってる。
#10年後の私から届いた手紙
昔埋めたタイムカプセル
中には10年後の私から届いた手紙が入っていた。
元気ですか
夢を叶えられましたか
駄目でもたまに趣味でやってたら嬉しいな
結婚して、子供はいますか?
最悪焦らななくて大丈夫です
私が経験した10年が思い出したとき良いものであれば幸いです。
テーマ【10年後の私から届いた手紙】
制作者:いと。 2.16 2023 16:35
ふとした瞬間頭に浮かぶ。
「...いなくなっちゃえば、楽になるのかな、?」
いなくなれば学校も、人間関係も、悩みも
全部関係なくなるじゃん?
別につらいわけじゃない。
でも、少しでも息詰まるとやっぱり考えちゃう。
そんな私を救ってくれたのは、一通の手紙でした。
「今、すっごく幸せだよ。
10年後の私より」
ありがとう
今は、とても幸せです
笑顔でいるから
信じて乗り越えてね
周りはとても良い人に囲まれているから
心配しないでね
10年後の私から届いた手紙
10年後の私を楽しみに歩んでね
自分の想う道を進めば
そこは必ず正解になる
大丈夫
私はあなたを信じてる
舞華
―10年後の私から届いた手紙―
郵便受けに一通の手紙が入っていた。
送り主は、10年後の私。
意味が分からない。
でも、筆跡は確かに自分のものだし、消印の日付が10年後になっている。
本当に未来からの手紙なのだろうか。
誰かのいたずらだろうか。
しかし、やはり気になる。
◯月◯日事故に遭うとか誰かに騙されるとか人の生死に関わる事が書いてあるかもしれない。
そんなネガティブな考えが脳裏を過るも、恐る恐る封を開けてみた。
そこには、たった一行“元気に生きてます”とだけ。
なんじゃそりゃ。
拍子抜けしたが私らしいと思う。
とりあえず、別の便箋に“生きてて良かったです”と書いて、同じ封筒に入れ机の引き出しにしまった。
イルマーレのようだと驚き
封を開けて取り出してみたら
数字だけの手紙でさらに驚き
ひっくり返して裏面を見たら
二行だけ言葉が書いてある
これは高額当選番号です
宝くじを買ってください
何度も目を擦っても
本当にただそれだけ
私利私欲がそのまんま
時空を超えてきただけ
もうちょっとなんか他に
書くことなかったのかよ
労いとかアドバイスとか
書くことあっただろうよ
十年前ならまだしも
十年経ってこれかよ
たとえ相手が自分であろうが
自分のことしか考えないのが
我ながら自分らしくもあるけど
こんな手紙は書きたくないから
今から未来を変えようと思える
来週辺りから頑張れる気がする
「10年後の私から届いた手紙」
10年後の私から届いた手紙
私へ
人生どうでもいいって言っていたけれど、その気持ちは今もよくわかるよ。
でもね、どうでもいいて嘆いているだけじゃ何も始まらない。無力でもとりあえず出来ることをこなしていくしかないんだよ。
ゆっくりでいいからね。味方は必ずいるからね。
10年後の私より
追伸
あなたの大好きなカフェ、まだ営業しているよ。
お題:10年後の私から届いた手紙
自分は、何をしているのでしょうか。
今の状況が続くのか、或いは変化してるのか。
やるべき事はちゃんとやれるんでしょうか。
10年経っても生活リズムは崩さないでいたいです。
(今日のお題は少し難しかったと思うので、変な感じです)